将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第三十五話 ヒーローは遅れてやってくる

時は二週間前に遡る。

 

「おねだりCD?」

 

聖夜学園の生徒の間で出回っている×印がプリントされた、通称、おねだりCD。実はイースターによる手口だと判明した。

 

ガーディアンの辺里唯世もおねだりCDの被害に遭い、学園生徒をも巻き込んだ。

 

事態を聞きつけたガーディアンはすぐさまおねだりCDの回収を開始。だが、おねだりCDはJチェアの三条海里によって広められていた。つまり、海里はイースターのスパイだったわけだ。

 

海里とあむたちガールズは一時、敵対するが、なんやかんやあって和解。海里はガーディアンに戻り、ともにイースターと戦うことになった。

 

それと同時にあむは、おねだりCDの歌い手がアイドルのほしな歌唄だと知る。歌唄はエルの持ち主で、現在、あむのしゅごたまと入れ替わっている。イースターの悪事を阻止するため、歌唄を止めるため、ガーディアンは立ち上がった。

 

「やーだね、断る。ぼくはいそがしいんだ」

 

「そこをなんとか頼むよ、久我くん」

 

唯世がお得意のキラキラとしたまなざしで春日に訴える。

 

「ものつくり部として大会に出場することになってな。予選は通ったが、本選を控えてるところだ。ままごとなら余所でしな。」

 

ツンとした物言いで春日はいつも通りの無表情で答えた。

 

「......資金集め、ネタはあがってます」

 

海里が静かな声で告げる。春日はピクリと耳を動かした。

 

「なになに。お宅らいつからセンテンススプリングしちゃったの?それともフライデー?」

 

冷静に努めながら春日は言い返す。

 

「匿名情報です。で、返答はどうしますか」

 

「こえーよ、脅しにきたヤクザですか?コノヤロー。銀時、ヅラかるぞ、って......」

 

「銀時ならあちらでスゥのいちご牛乳をのんでるよ」

 

あむが指を指した方をみると、スゥに懐柔された銀時がいた。

 

「......お前ってやつはよぉ。」

 

呆れた表情で春日はつぶやいた。

 

 

--------------

 

そして時間はあむと歌唄の戦いに戻る。持ち主以外とのキャラなりは体力を多く消費する。疲弊した歌唄とあむの前に迷子だったあみがあらわれた。

 

「おねぇちゃ~ん!!」

 

「わ!あみ!?どうしてここに!!?」

 

「髪の長いお兄ちゃんと目が死んでいるお兄ちゃんにつれてきてもらったの!」

 

「髪の長い......?それに目が死んでいるって......」

 

目が死んでいると言われている人物にあむを含め、ガーディアンには心当たりがあった。

 

「よぉ。ヒーローってモンは遅れて登場するにかぎるだろ」

 

ヘラリと片手をあげ、腰にさした木刀をにぎった春日があむたちの前に姿をあらわした。

 


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