将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第三十一話 女の一番の化粧は笑顔

「バラバラーンス!!」

 

とん、とん、とん、ちーん。。りまが流行りの一発ギャグを披露すると、教室が静まり返った。だが、しばらくすると、笑いがあちらこちらで続出した。

 

「はは、意外すぎる!笑」

 

「キャラ全然ちがうし!ふふっ笑」

 

 

その一方で。りま親衛隊は

 

「うそだ。おれたちのりまさまが......」

 

「明日からどうすればいいんだ.........」

 

りまのギャップにショックを受ける。だが、そんな彼らを神は見捨てなかった。大きな声が教室に届いた。それは、希望の光。

 

 

 

 

「もう大丈夫!何故って? 私が来た!! 」

 

 

「オールマイトォォォォォォ!!

 

 

 

 

 

 

............ん?アレ、この声ってもしかして......」

 

 

声の持ち主は鞄からスケッチブックを取りだし、見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【オープニングからスタンバってました】

 

 

 

 

教室の入り口にこじんまりとよせていた春日がいた。相変わらずの無表情だ。

 

「狂乱の貴公子!?」

 

 

「きょうは部室に立てこもらないだ!?」

 

 

ほぼこの場にいる全員が驚きの顔をしている。その理由と上記の発言は噂で春日が部室に立てこもっていると流れていたからだ。失礼すぎる。彼らの春日のイメージはどうなっているんだ。それはさておき、春日が教室に入ろうとすると、すでにカオスな状態だった。静まる教室。キャッキャッとハイタッチするりまとクスクス。カオスだった。そんな様子を春日はとうとうバレたのか、と他人事のように思っていた。

 

りまが教室から出ていき、あむもその後を追った。春日は先日のことを思い出していた。

 

 

ぽわんぽわんぽわん【回想】

 

教室の本棚が汚いという委員長の指摘により、クラスに1人整頓係を決めることになった。

 

くじ引きの結果、りまがその係になった。でも、りまは家庭の事情で放課後に残ることは難しい。手伝おうとした、めしつかいも各々用事があり手伝えず、女子とは仲がよろしくないため頼めない。困った顔をしたりまを日奈森あむはそんなりまをそっとみていた。

 

「りーま!みて、へんなかおー」

 

クスクスが自分の頬を引っ張り、りまにみせた。ひとりで本の作業をしていたりまはそれをみて笑った。様子をみかねたあむが本棚の整頓を手伝い、作業は終わったかに思えた。

 

 

 

りまが【ギャグマンガ大王】を手に取るまでは。

 

 

案の定、りまのキャラチェンジが暴走し、クスクスとともに「バラバラーンス!!」と騒いでいた。そして、真の悪い人間がいた。

 

 

久我春日である。

 

 

教室の入り口にこじんまりとよせていた春日がいた。相変わらずの無表情だ。

 

 

【ずっとスタンバってました】

 

 

なぜかスケッチブックを見せている。

 

そして、りまは春日がいたことに気付き、あむの背にかくれた。りまは厄介な人間にバレたとすでに涙目である。そんなりまを春日は一瞥し、口を開いた。

 

「悪ぃが泣いてる女シバくほどドSじゃねぇんだ。もう疲れたしな。

 

もし、泣かす奴らがいるんなら待ってろ。

 

きっちり落とし前をつけにいく。

 

それまでに泣き止んでおけよ。」

 

りまはあむの背からそっと顔を覗かせ、春日をみた。春日の背中が大きくみえた。

 

ぽわんぽわんぽわん【回想終了】

 

 

 

 

---------------

 

あむとりまが教室に戻ったころ、教室は異様な空気だった。黒板には【第2回気になる女子ランキング】とかかれてある。それをみたあむは「また、あいつら」と呆れた顔で教室に入ろうとした。

 

だが、少年たちは心身共に折れていた。いったい誰の仕業なのだろう。あむが教室を見渡すと見知った人物がいた。その人物を視認したあむはこれが噂の【闇討ち】だと認識した。話しかけようとしたが、どこからか声が聞こえる。

 

 

 

 

 

これは、一匹狼の小学生の話である。

 

聖夜学園の勢力は弱体化し、学園のやりとりをするガーディアンもついに弱肉強食の時代に突入した。

 

その危機的な教育現場の穴埋めに現れたのがフリーランス......すなわち、一匹狼のスチューデントである。 

 

たとえば、このこども。 

 

群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門知識のライセンスと叩き上げのスキルだけが春日の武器だ。

 

小学生、久我春日。

 

またの名を、狂乱の貴公C

 

 

『ぼく、失敗しないので』----ピッ

 

 

 

 

 

「あ、もしもし?」

 

「電話かよっ!なに、その呼び出し音。長いよ!!長すぎる!!前にも聞いたことある!!いますぐ変更を要求しますッ!」

 

「致しません」

 

「其処は『御意ッ!』でしょうがぁぁぁ!」

 

「致しません」

 

すました顔で春日はあむを一蹴する。りまはあむと春日のやり取りにくすりと笑った。

 

「もうすぐ明智くん(仮)がくるから心配いらねぇよコノヤロー。後片付けはやつに任せる」

 

 

裏設定によると、某医療ドラマのような語りは空智くんに固定されている。そして、春日はりまの顔をみて言った。

 

「それと、お嬢さん。

 

......いや、真城。

 

約束しろ!

 

 

 

これからの人生でどんな苦境に立たされても

 

そのツラから笑顔だけはなくさねぇってな!」

 

 

りまと春日の不思議な縁がはじまった。

 

 


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