将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第二十八話 ベギラマな夏

ミーンミンミンミーン......

 

蝉の鳴き声が頭に響きわたる。世間はもう夏休みだ。夏休みが始まる前に宿題を全て終わらす者もいれば、最後の最後まで手をつけずに最終日に家族の手を借りて泣きながら終わらす者もいる。夏休みのよくある光景だ。そして、ガーディアンは夏休みだと言ってもお構い無しに集合することになった。場所はいつものロイヤルガーデンだ。×たまに夏休みなんてない。やれやれ、休日出勤ご苦労様です。

 

そんなガーディアンのひとり、ジョーカーは......

 

「ムリっ!絶対ムリっ!!

 

自分のたまごに×がついたなんて......! 言えるわけないじゃん!」

 

ジョーカー故なのか。本人の責任感からなのか。頑なに意地を張っていた。すると、なだめるようにミキが言った。

 

「でも、ガーディアンのみんなにはちゃんと話さないとね」

 

-------------

 

 

「すでにデータは手もとにあります。俺の分析によりますと、ムダが多すぎることが判明しました。合理化が必要です。つまり、もっと機能的かつ効率的にですね、......(以下略)」

 

全員の姿がみえるなり、開口一番にJチェア、三条海里が口を開いた。

 

が、話を聞かない奴らがいた。

 

「日本茶キライ。ココア飲みたい。お煎餅もイヤ」

 

りまは唯世が用意した日本茶とお煎餅を拒否。その反応に唯世は「ごめんね...ぼく、日本茶くらいしかたてられなくて...」ショックを受け、隅っこで落ちこんでいる。

 

「ばっか、おまえ何言ってんだ。ココアだなんだ甘えてんじゃねぇよ。

 

ここはいちご牛乳一択だろ。

 

ファイナルアンサー?」

 

「おぅ、ファイナルアンサーだ、春日。ついでにケーキも用意しろ、新八」

 

「し、新八...?俺は、三条海里だ。」

 

「カイリだろーがハイジだろーが、関係ねーよ。てめーはメガネかけてんだ。安心しろ。今日からメガネ掛け機だ。自信を持て。」

 

口では不満を言いつつもちゃっかり春日と銀時に足で使われている海里。まるで普段から慣れているようにその手際はほれぼれするくらい無駄がない。

 

「はいっ!りまたん、ココアだよ」

 

結城やや は りまのめしつかいとなっていた。

 

お茶会のメニューがそろったところでやっと本題に入る。

 

「あり?なんでぼくここにいるんだ?」

クッチャクッチャ

 

「貴方が部長を務めているものつくり部に問題があるからです」

 

「.........」

クッチャクッチャ

 

「無許可の部室改造。それによる被害報告。」

 

「.........」

クッチャクッチャクッチャ

 

「他にも無断欠席や、いろいろ疑惑が--って、話きいてますか!?」

 

「わりぃ。それは日奈森につけといて。それと黙秘権行使しまーす」

クッチャクッチャクッチャクッチャ

 

「はぁ?!なんであたしが!!ていうか、真面目な話してるときにクチャクチャ音たてるなァァァァァ!!」

 

 

-------------

 

 

「そうだ!久我くんも日奈森さんのサポートをするのはどうかな」

 

立ち直った唯世がそう提案した。

 

「サポート?ほんじゃ遠慮なく手取り足取り腰とグフォォォ!!」

 

「ヤメロ、この腐れ天パ。ギャグでも言っていいことと悪いことがある」

 

ピクッとりまの耳が反応した。

「ギャグ...?」

 

「どうしたの?りまたん」

 

「...な、なんでもない!」

 

唯世と向き直った春日が問いかける。

 

「つまり、どういうことだ?」

 

「実は×たま狩りのペースが追いついてなくてね...そこで、交代でジョーカーのサポートをすることになったんだ。」

 

「なるほど。たしかにキングの言う通りそれはいいですね。データによると、過去に貴方は我々ガーディアンに協力して、なおかつキャラ持ちでもありますし。」

 

「......なんでそんな面倒なこと。」

 

春日が文句を言う前に、ややが春日の眼前に春日の問題行動が書かれた書類をつきだす。自分はどうやら不良少年、問題児のように扱われているらしい。精神年齢がいい歳しているだけに情けなく思う。ちらりとりまを窺うと、勢いよく視線を外された。なんだか心が痛い。

 

(SはSでも、打たれ弱いSなんだぞ......)

 

心中で逆ギレする。あむをみると、不安気な顔をしつつも、そわそわとしている。待てと命令される子犬のようだ。

 

====ガーディアンとあむちゃんのことよろしくね====

 

追い討ちをかけるようになでしこの声が春日を捕らえる。逃げ場はない。

 

「ったく、しゃあねぇなぁ。...ほら、行くぞ銀時。......日奈森も。何ボサっとしてやがる」

 

春日は自分の頭をぐしゃぐしゃとかきあげ、ロイヤルガーデンの出口へ向かう。銀時はニヤリと口角を上げついていく。

 

「...え?...あ、ま、待ってよ」

 

あむも一瞬遅れて、春日のあとを追いかけた。

 


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