将来の夢はマダオ。 作:ら!
春日の心のなかにもう一人の声が響く。
「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ、発情期ですか、コノヤロー」
自然と木刀を握る手に力が入る。
「...みろよ、これ。てめぇらが騒ぐせいでこれ。
おれのいちご牛乳が
ぐっちゃぐっちゃじゃねーか!!」
たしかに春日が口にしていたいちご牛乳はカツアゲ犯によって踏みつぶされていた。
「あぁ?なんだてめぇ、いちごぎゅブフオオオ」
春日が振りかざした木刀はそのままカツアゲ犯の脳天を直撃した。
その場に沈黙がただよう。
「...あ、あの!」
「...なんだ、お前」
「た、助けてくださってありがとうございましたっ!」
「...あぁ。気にすんな。...まぁ、依頼料ってことでもらってやんねーこともないけどな」
「...依頼?...あなたは一体...??」
「おれぁ、万事屋の久我春日だ。まぁ、春さんでも春ちゃんでも好きなようによんでくれ。
ま!今日は初回限定サービスつーことで、まけてやらぁ。」
そして春日は背を向けてゆっくりとあるきだした。
感謝の気持ちでいっぱいのカツアゲされていた少年の手にはどういうわけか木刀が握られていた。
「春さん、かー。かっこいいなぁ!」
「ちょいとそこの君。この少年を気絶させたのはきみかね?」
「え?!ち、ちがいますよ!」
「なら、その手にある木刀はどういうことだい?」
「木刀...?え、な、なんでぼくが?!」
「じゃ、事情聴取ってことで同行ねがいまーす」
「そ、そんなぁー。は、春さぁんんんん!」
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「お前、幽霊か?」
「ゆっ、幽霊?!...べ、別にこわくなんかないけどね!そこになんか気配がするなんて一ミリもおもってないから!」
「...幽霊じゃない、だと」
「な、なんだよ。おどかすなっつーの。..おれは銀時ってんだ。しゅごキャラとかいうフェアリー的な存在だ」
「...どうみてもマダオだろ」
「なにいってんだ、春日。銀さんに任せりゃどうってことない。安心しろ。
そうだ、糖分王におれはなる!」
「...そうか。ときに銀時。」
「んぁ?」
「いちごパフェは好きか」
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「いやぁ。おたく、講⚪社だったんだってな。」
「講⚪社?...なんの話だ」
「だぁかぁら!おれは集⚪社なの!王手出版のたまに表紙をかざるやつなの!天下の少年ジャ⚪プなの!」
「悪いが、おれはゴリラに興味はない」
「なんだ、おまえ!ヅラみたいなヤローなのか?会話が噛み合わないんですけど!」
「何をいってる、銀時。さっきからパフェにかじりついてるじゃないか」
「その噛み合うじゃねぇよ!...ったく、なんでおれの回りには話聞かねぇやつが多いんだ?」
「それはお前も話聞かねぇからだろ」
なんだかんだ言いつつ春日と銀時は打ち解けていった。今では二人仲良くファミレスでいちごパフェを注文し、食している。
「銀時、お前はいつまでここにいるんだ?」
「..なにいってんだ、春日。おれはお前のしゅごキャラだからお前のなりたい自分になるまでお前を見守るんだよ。」
「おいおいおいおい。そりゃねぇぜ、銀時。プライバシーもなにも、ねぇじゃないか。」
「..何も四六時中いっしょにいるわけじゃねぇんだよ。ただ、そうだな、おれは甘いものがないとだめなんだ」
「甘党なのか?」
「あぁ。医者が言うにはメタボリックシンドローム..いや、糖尿病予備軍だが、気にすんな。それでもおれは糖分がほしい」
「医者の忠告は聞くもんだぜ?わたあめ頭」
「男にゃ、ときに自分の武士道ってもんをつらぬくんだ。わかったか、女顔」
春日の日常に3時のおやつが加えられた。