将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第二十六話 想像力は中2で培われる

今現在、春日と銀時、あむの前には天使の輪っかをのせたしゅごキャラがいた。

 

 

「あれれーおっかしいなぁ。前に進まないぞ。原稿ストックがなくなってネタがつきた漫画家のペンみたく進まないぞー。」

 

 

「ウエーイト!このエルの目は誤魔化せません!

 

ズバリ!

 

日奈森あむと、この死んだ魚のような目をした少年はいま、まさに!

 

フラグがたっています!!」

 

ビシッとあむと春日に指をさしたエルは自信満々に宣言した。

 

 

((やべええええ!!こいつ電波だ!!!))

 

 

またしても、銀時と春日がシンクロした。

 

あわててあむはエルに弁明した。

 

 

「エル!変なこと言わないでよ。あたしと久我くんはそんなんじゃなくって.....」

 

 

 

 

(そうそう。頼むから余計なこと言うなよ、日奈森。こいつは電波なんだから。)

 

 

春日は気持ちを落ち着かせながらあむの言葉の続きを待った。

 

 

 

 

「えっと、...そう!久我くんはなでしこの許嫁だし!」

 

 

(日奈森ィィ!なんで、いま、それをここで言う!?)

 

 

(あぁ、そんな設定もあったなぁ。なつかしいなぁ、オイ。はーるひ。)

 

 

(おまえはだまってろ!小栗銀時ィィ!)

 

 

「なんですと!恋の三角関係!!

 

 

親友とその許嫁に想いを寄せるヒロイン。親友を裏切りたくないけど、彼を想う心は日に日に増すばかり。ふたりの女に気持ちが揺れ動く男。......

 

なんて王道な展開!!なんて、おいしい展開!!バリ3のフラグがたちまくりですーー!!」

 

 

「グハァっ!............」

 

 

「く、久我くん!?急に血を吐いてどうしたの!!?」

 

 

(これだから電波はこえーんだよ。おれはズラかるぜ、春日。

 

 

安心しろ。おまえの尊い犠牲は忘れるが、骨は拾ってやる。)

 

 

あむのしゅごキャラ、ミキがエルの手を引っ張った。クールなミキは自分のことをボクというが、女の子である。そして、この場にいるなかで一番冷静だった。

 

「ちょっと、エル......!」

 

「...ハッ!......そうです!エルは歌唄ちゃんのしゅごキャラ!おこちゃまガーディアンと馴れ合うなど、言語道断ですっ!

 

エルが日奈森あむのしゅごたまと入れかわったとか、日奈森あむとキャラなりしてるとか、日奈森あむのしゅごたまに×がついたとか、バレたら駄目です!

 

誰にも言っちゃいけません!!フラグがバリ3になってしまいます!!!」

 

 

(こいつ、全部言っちまったよぉぉぉ!!自爆しちまいやがったァァァァァ!!!)

 

 

「久我くんがまた咳き込んだ!

 

はやく、運ばないと!エル!誰か、よんできて!」

 

 

「了解ですっ!

 

 

救急車ァァァァァ!!」

 

 

「そんな原始的な呼び方でくるわけないでしょぉぉぉ!!」

 

 

さすがのミキもクールになれなかった。電波の影響力は計り知れない。

 

事態が混沌とはじめたとき、あむの視界に黒いたまごが飛び込んだ。

 

「あれは×たま!こんなときに....!

 

ミキ、エル!久我くんをお願い!

 

....ラン、キャラなり!」

 

「おっけー、あむちゃん!いっくよー」

 

 

 

-----キャラなり アミュレットハート

 

 

 

 

チアリーダーのような格好をしたあむは×たまを追いかけた。校舎の中に進み、一階、二階。階段を上っていく。そして、屋上に着いたとき、

 

 

「よし!みつけた......!?」

 

あむは×たまを追いかけるのに夢中になり、自分がどこにいるのかわかっていなかった。

 

 

 

あむはどこにいるのか。

 

 

 

その答えは、球技大会、真っ只中の全校生徒の前である。

 

 

「なるほど。チアリーダーにカモフラージュして×たま狩りとは、お見事です」

 

 

ガーディアンの新Jチェア、三条海里。彼はいま、月組の応援団長を務めている。

 

 

「ぼくたちも加勢するんだ!

 

 

星組応援団!集まって応援しよう!」

 

そして、同じくガーディアンのKチェア、辺里唯世も、星組の応援団長を務めている。

 

 

「了解です!キング。

 

月組応援団も集合してください!」

 

 

拍手喝采。全校生徒の前で×たま狩りをするハプニングがあったが、応援団の機転でむしろ場を盛り上げ、無事、×たまは浄化された。

 

 

 

 

 

そして、救護テントのなかでは......

 

「春ちゃん、ゆっくりしてください~」

 

「春ちゃんじゃない、グラブる春日だ。」

 

ベッドに横たわる春日を看病するスゥの姿があった。

 

 

「......なんかスゥって、二階堂先生といい、久我くんといい、扱いなれてるね。ボク、不思議だよ」

 

 

「二人とも、マダオだからですぅ」

 

 

 


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