将来の夢はマダオ。 作:ら!
ここ数日、聖夜学園で日常となりつつある光景がある。
「久我さん!!おはようございますっ!」
「荷物持ちますっ!」
春日に舎弟ができた。
ことの次第は、春日に一括された少年たちが、春日にあこがれ、舎弟というかたちで落ち着いた。彼らはカルガモの親子のように引っ付くような真似はしないので、春日は現状を受け入れている。
春日が廊下を歩くと、モーセのごとく人波がわかれ、大奥のように皆、頭を下げる。
「......ったく、実写化されたとたん態度がかわるなぁ、オイ。おれたちは何回各方面に頭さげたんだとおもってんだ。」
「しらねーよ」
「この掌返された感じはなんだよ。そんなに小栗しゅんのすけがいいのかよ。みんなの銀さんはどこにいったんだ、オイ。
な?はーるひ」
「首傾けて『まーきの』みたいにいっても、マダオに心ときめかねーよ!おまえちゃっかり実写版にあやかってるじゃねーか!!」
「硬いこと言うなよ、ほら、昨日の敵はきょうの友っていうだろ?はーるひ」
「意味わかんねーよ!そのいい方腹立つからヤメロ」
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どうしてこうなったのだろう。
「......おかしい、なんで、うちのクラス、こんなにキツいんだろう......」
「あむちゃん!ファイト~!!」
きょうは球技大会。月組と星組にわかれ、日奈森あむは奮闘していた。ランとキャラチェンジしていてそれなりに運動神経がよくなっているはずなのにきつく感じる。
「ってソコーーー!!!」
あむが周囲を見渡すと、ビーチチェアに座りビッグサングラスをかけ、優雅にくつろぐ真城りまがいた。彼女の傍にはめしつかいが配置されている。
「.........うるさい。ビッグサングラスはセレブの間で話しかけない合図なの。知らないの?」
「それより!真城さんもいっしょにやろ!ほら!」
あむに手を引かれ、りまはボールを高くあげた。
----スカッ
二回目。もう一度高くあげた。
----スカッ
「......もしかして、真城さん運動オンチ?」
「......」
「で、久我くんはそこでなにしてんの?」
あむが口もとをひくつかせながら、春日にたずねた。
「あ?きまってるじゃねーか。
グラブってんだよ」
「さっきからこの調子だ、諦めなピンク頭。
な?はーるひ。」
「はーるひじゃない、グラブる春日だ。」
「バカじゃん!?意味わかんないし!グラブるって何?なんで、銀時は首かたむけてんの!?」
「何ってお前。おれは小栗銀さん。こいつはグラブる春日。なら、残ってんのは何だ?」
「千年に一度の神楽だろ!やるんだ、日奈森。いいか、おまえはアルアル言ってるヒロイン、いや、ゲロインだ!!」
銀時と春日があむに言ったそのとき、草むらから何かが飛び出した。
「.........ヒロイン...?
もしや、フラグなのですーーー!」
「「「は?」」」
あむと春日と銀時の声が重なった。
目の前にいる金の輪っかはドラゴン⚪ールでみたことある。だが、どうみてもしゅごキャラだ。
このとき春日と銀時の行動はシンクロした。
「「......あぁ!おれだよ、おれ。そうそう。あー!今からいくわー。
ってことでサヨーナラ」」
「ウエーイト!このラブハンター、エルにサヨナラはフラグ回避を意味するのですーー!」
「......ていうか、久我くん。どこに向かって手ふってんの?真城さんめっちゃそわそわしてんじゃん!すっごい挙動不審にアンタ思いだそうとしてるけど、心当たりなくて気まずそうな顔してんじゃん!」
呆れた表情であむはつぶやいた。