将来の夢はマダオ。   作:ら!

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六年生篇 前半戦
第二十一話 春休みあけは皆ちょっと大人に見える


春。それは、出会いと別れの季節だ。高校デビューだとか、イメチェンしようだとか、心のスイッチが切り替わる時期だ。『good-bye、昨日までの自分。』『新たな自分にこんにちは! 』そんな風にころっとかわるわけだ。浮かれまくって変人の出没がみられるのも、この季節である。

 

春日もまた、少し成長したようだ。それは、銀時の影響も少なからずある。春日と銀時が出会って、約1年の時間が過ぎた。時間というものは早い。「あれ?時間の流れおかしくね?」って思ったら、タイ⚪マシンなりどこで⚪ドアなり使って、適応してほしい。諸君ならできると信じてる。......そのうち春日の五年生(後半戦)をできたら、なんてかんがえてるが、当分、先の予定だ。上げて落としてすまない。

 

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「......わるいが、辺里。」

 

 

 

「久我くん………」

 

 

 

 

「おまえの気持ちは受け取れない」

 

 

 

 

 

「......お願いだから、話聞いてくれるかな。」

 

春日と唯世は一通の手紙をめぐって、話していた。その手紙には、ハートのシールが貼っている。どうみてもソレっぽい。

 

「藤咲さんから預かったんだよ」

 

「......なんだ。てっきり、おまえが気でも迷ったのかと」

 

春日は唯世から手紙を受け取り、封を開けた。

 

 

 

〔久我くんへ

 

 

これをよんでいるという事はわたしはもうこの世にはいないだろう...

 

 

 

 

なんてね、かいてみただけよ。手紙の書き出しってなんだか照れくさいわね。

驚いた?貴方には驚かされてばっかりだったけど、次に会うときはきっと、貴方も驚く姿になってると思うわ!月に代わって、お仕置きよ!!

 

はじけるレモンのかおり! 藤咲 なでしこ

 

 

 

P.S. フランスに留学します。ガーディアンとあむちゃんのこと、よろしくね〕

 

 

すべてを読み終えたあと、手紙はくしゃりとしわができた。

 

「......狐に化かされた気分だ。というか、化けすぎだろ。なんだよ、月にかわって、て。なんだよ、はじけるレモンって。混ぜすぎたろ。知らないのか?【混ぜるな、危険】って。

 

だいたいなんだよ、驚く姿って!不良娘になるのか?そんなのお父さんは認めませんんんんんん!!」

 

「落ち着け、春日。あの喰えない女狐がそうくるなら、おまえも変わればいい。仰天チェンジして、テレビにでも出てやりゃいいんだよ」

 

「テレビになるのか?なら、微熱大陸がいい!」

 

話がズレてきている。口ではギャーギャー言いながらも、さみしいのかもしれない。

 

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六年星組。これで、春日は3年連続で星組だ。三ツ星だ。教室を見渡すと、さっき会った辺里唯世、落ち込み気味な日奈森あむ、知っている面子が揃っていた。よくみると、ひとつ席があいていて、おそらく朝から話題の転校生が座るところであると検討がつく。

 

自分の座席は窓際の後ろから2番目。ちょうどいい。できれば1年間この席を死守したい。

 

しばらくすると、マダオな雰囲気を醸し出す、二階堂がやって来て、やはり転校生の紹介を始めた。名前は【真城りま】と言うらしい。ちらりと視線が合った気がした。が、お互いにすぐそらした。美少女だが、どことなく自分が気の迷いでも起こしたら、ロリコン疑惑が浮上しそうである。そんなこと起こらないだろうが。

 

だが、六年星組はこの転校生の出現によってクラスが分断されることになる。

 

きっかけはおそらく新学期はじめの日。あの日からだ。うしろの席の少年に目線で椅子をひかせる所業をやってから、ヒビが入った。そして、追い打ちをかけるようになんと転校生は新しいガーディアンQチェアとなった。加えて、辺里の「今までにいないタイプかも」なんていう気でもあるのかと匂わす発言。ついでにいうと、春日も「久我くんは?!」と、質問された。春日はこうみえて世渡り上手な人間だ。だから、去年からつづくなでしことの仮面許嫁を理由に はぐらかした。

「ぼくには藤咲がいるからね」

こんな具合いである。当人たちが聞くと寒気がしそうだ。

よって、矛先は回避された。

 

でも、不器用な人間もいるわけで。怒りのボルテージが上がった女子は日奈森あむにねらいを定めた。追いつめられたあむは、反論もできず、巻き込まれた。そして、男子と女子が分断し、日奈森あむと真城りまをそれぞれリーダーとして対立していった。

 

あい変わらず、春日は我関せずな様子である。

 

「ぼくはなにもみえていない」

 

なんて、言ってるわりにはまだ余裕がありそうだ。

 

こうして、六年星組には、二大派閥ができたのであった。


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