将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第二十話 人生もゲームもバグだらけ

『おぉ!春日、しんでしまうとはなにごとだ!』

 

目の前にいる白いオッサンは誰だ?

 

『なに、覚えとらんのか。一度会ったじゃろう?』

 

知らないものは知らない。

 

『まぁ、よいよい。ところでお主、帰りたいか?

 

 

 

《久我春日》になる前の世界に帰りたいか?』

 

 

春日はまっすぐ前を見て言った。

 

 

「いいえ。ぼくの帰る世界があるなら、それはぼく自身でさがしたい。」

 

『ほぅ。やはりおもしろい。なら、探せ。そこにお主が求めた《ゆめ》はあるだろう』

 

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なつかしい夢を見た気がする。春日の精神年齢はすでにこどもの域をとうに越えている。それはしゅごキャラがいたって、変わらない。どんなにつくろっても純粋なこどもにはなれない。だから、物わかりのわるいこどものように駄々をこねるなんてマネはしない。それに未練なんかありゃしない。

 

わかっている。

 

大人になって、社会に飛び出して、やっとあこがれていた場所にたどり着いた。理想と現実はちがっていて、理不尽を強いられたり、酒の味も知った。情にかまっちゃダメだ。割り切って生きなきゃ。みんなそうやって耐えて、忍んで、生きてるのだから。それが《日常》なのだから。

 

 

だけど、《久我春日》になって、ここに生まれて。それでも必死こいて生きていた。《久我春日》として生きないと。それが求められているのだから。だから、《いいこ》になりきらないと。

 

「......忘れちゃいねェし、忘れられねェよ。

 

でも、ここは!この場所は!この世界は!

 

てめぇらバカどものいろが混ざりあった…...

 

薄汚ねェ、銀色だァァァァァ!!」

 

 

-------キャラチェンジ

 

「どうして、そう思う?変に理由をつけて学校を休んだのも、《久我春日》になったのも、おまえが逃げ出したからだろう。

 

疲れたからだろう。

 

 

そんな主人公《久我春日》なんていらない。不良品なんていらない。だったら、消す!!」

 

春日はKASUGAと対峙する。

 

 

「オメーの言う通りだ。 ここには完全無欠のヒーローなんてどこにもいねェ。みんな欠点抱えた欠陥品ばかりだ。」

 

 

クール&スパイシーだけど、ほんとは意地っぱりで素直になれないピンク頭。

 

おしとやで儚げだけど、腹のなかは黒い、計算高いポニーテール。

 

やさしい王子さまだけど、内にある野望は想像もつかない金髪アホ毛。

 

【赤ちゃん】なら、みんなに可愛がってもらえる、大きなベビー。

 

ガーディアンのお兄さんだけど、単純な体育バカ。

 

春日の頭に浮かぶのは、いま、ともに闘う彼らの姿。

 

 

「 でも、だからこそぼくたちはつながり合う。互いに欠けたものを補おうと支え合う。

 

ぼくだって一人じゃ何も出来ねェ不完全体主人公だ。 だが不完全体達は……… まぎれもねェ、完全無敵の主人公だよ。

 

そーいうこった。 気にくわねーならまた来い。いつでも相手してやるよ。

 

じゃあな。不完全体野郎。」

 

 

春日は【洞爺湖】とかかれた木刀をふりかざす。重い一撃がKASUGAの溝に入った。辺りは、まばゆい光りでいっぱいになった。

 

 

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〔お気の毒ですが、冒険の書は消えてしまいました。〕

 

春日の手元にはコントローラーが握られていた。

 

「セーブデータ飛んじまったよコノヤロー」

 

「おい、春日。おれはこの前の腐海を忘れちゃいねぇよ。いちご牛乳に誓って言う!」

 

「ぼくだってダークマターを闇討ちされたんだ。いちごパフェに誓って言うね」

 

 

KASUGAが誰だって?

 

それは神のみぞ知るってものだ。

 


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