将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第十四話 ペットは飼い主が責任を持って最期まで面倒をみましょう

「御用改めだぁ!ものつくり部ならびに久我春日。お前は包囲されている!」

 

春日にややのスピーカーで発せられた声はもちろん耳に届いた。

 

ひやりと背筋に汗が流れる。

 

春日には心当たりが多すぎた。

 

たとえば、ドラ⚪エ休暇は現在進行形で絶賛プレイしている。

 

たとえば、⚪フォーアフターなる改造は現在進行形でガーディアン共がその餌食にあっている。

 

たとえば、〔クラブ創設申請書〕は現在進行形で理事長の承認で押し通している。

 

たとえば、ガーディアンのQチェアの藤咲なでしこは現在進行形で自分の許嫁(仮)である。

 

 

例をあげたらキリがない。

 

 

 

 

そして、背筋にひやりと汗が流れたのは銀時も同じだった。

 

「おい、春日。おまえ、まさか家賃滞納しているのか?」

 

銀時の頭に浮かぶのは、家賃催促のババアの姿だった。

 

「家賃?んなわけねぇだろ」

 

春日が銀時にそう答えたときだった。

 

 

「おどりゃぁぁ!ワレがしたんじゃろうが知っとんでぇぇぇ!!」

 

春日が最後にみたのは薙刀をかまえ、血走った目をしたなでしこの姿だった。

 

 

-------------

 

(...あぁ。なんてこった、パンナコッタ。せっかくのドラ⚪エが!)

 

春日の心中は、ドラ⚪エをセーブできず、強制終了させられたことが占めていた。せっかく発売日に手に入れたドラ⚪エを中断させられた。3⚪S版と⚪S4版の両方を手に、同じく話がわかる銀時とそれぞれドラ⚪エに熱中していた。ドラ⚪エ休暇を取るほどに。

 

そんな時にものつくり部を訪れたのが、事もあろうかガーディアンだった。

 

 

「久我くん、二階堂について何か知ってない?どこにいるとか。」

 

ガーディアンを代表して、辺里唯世が春日に尋ねた。

 

「何でもいいの、教えて。これはガーディアンとしての仕事なの」

 

 

続けてなでしこが言った。

 

「仕事だぁ?てめーら仕事なんかしてたのか?街見てみろ、×たまが好き勝手やってるぜ」

 

春日は皮肉った顔で言い返した。驚いた顔で相馬空海が言う。

 

「おまえ、×たまを知ってんのか?!」

 

「んなこたぁ、今はどうだっていい。二階堂だろーが、ガーディアンだろーが、関係ないね!

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは自分の肉体が滅ぶまで、背筋伸ばして生きてくだけだ!!!」

 

 

 

 

これは、一匹狼の小学生の話である。

 

聖夜学園の勢力は弱体化し、学園のやりとりをするガーディアンもついに弱肉強食の時代に突入した。

 

その危機的な教育現場の穴埋めに現れたのがフリーランス......すなわち、一匹狼のスチューデントである。 

 

たとえば、このこども。

 

群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門知識のライセンスと叩き上げのスキルだけが春日の武器だ。

 

小学生、久我春日。

 

またの名を、狂乱の貴公C

 

 

『ぼく、失敗しないので』----

 

 

 

-----ピッ

 

 

「あ、もしもし?」

 

「「「「「着信音かよ!!!」」」」」

 

せっかくいつもの死んだ魚のような目がきらめいたのに、まさかの着信音である。まるで図ったかのようなタイミングだ。あの独特の冷淡な語り口調で脳内再生すると、某医療ドラマを思い出すのはなぜだろう。狂乱の貴公Cとはアルファベットを無理やりくっつけた。

 

 

それにしてもこの部室はよし⚪と新喜劇を再現しすぎだ。

 

とりあえずガーディアンのズッコケのタイミングにはなまるをあげたい。

 

 


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