病弱剣士も異世界から来るそうですよ‼︎   作:紅茶_uva

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階層支配者に喧嘩を売るそうですよ

二人が倒した2匹の蛇からギフトをもらい世界の果てを見にいった後、先に箱庭の中に来ていた飛鳥たちと落ち合った。

そして飛鳥たちから黒うさぎがいなかった時のことを聞き黒うさぎの絶叫が走った。

 

「何やっちゃってるんですか‼︎問題児様がたああぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎」

「「むしゃくしゃしてやった!後悔も反省もしていない!」」

「なに堂々と言い張ってるんですか!」スパァン

 

飛鳥たち曰く、その相手はものすごい外道らしい。悪ならば即斬りたいところだが飛鳥たちは私たちを参加させる気は無さそうだった

 

「まぁ、いいです十六夜さんたちが参加するならば勝利するでしょうし」

「なに言ってんだ黒うさぎ俺たちは参加しねぇぞ」

「ええ、あなたたちは参加させないわ」

 

やっぱり思った通りです

 

「ダメですよ!同じコミュニティ同士協力しないと」

「お前こそなに言ってるんだこれは奴らが売った喧嘩だろ、そこに俺らが出て行くのは無粋ってもんだ」

「あらわかってるじゃない」

「はぁ、もう勝手にしてください」

「それじゃあ今日はコミュニティへ帰る?」

「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら”サウザンドアイズ”に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹の事もありますし。」

 

四人は首を傾げて聞き直す。

 

「”サウザンドアイズ”?コミュニティの名前か?」

「YES。”サウザンドアイズ”は特殊な”瞳”のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし。」

「ギフト鑑定というのは?」

「勿論、ギフトの秘めた力や根源などを鑑定することデス。自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出処は気になるでしょう?」

 

同意を求める黒ウサギに四人は複雑な表情で返す。思うことはそれぞれあるのだろうが、拒否する声はなく、黒ウサギ・十六夜・飛鳥・セイバー・耀の五人と一匹は”サウザンドアイズ”に向かう。

道中、十六夜・飛鳥・セイバー・耀の四人は興味深そうに街並みを眺めていた。

商店へ向かうペリベッド通りは石造で整備されており、脇を埋める街路樹は桃色の花を散らして新芽と青葉が生え始めている。

日が暮れて月と街灯ランプに照らされている並木道を、飛鳥は不思議そうに眺めて呟く。

 

「桜の木・・・ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの。」

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合の入った桜が残っていてもおかしくないだろ。」

「・・・?今は秋だったと思うけど。」

「霜月の頃だったから桜はまだ先では?」

 

ん?っと噛み合わない四人は顔を見合わせて首を傾げる。黒ウサギが笑って説明した。

 

「皆さんそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。元いた時間軸以外にも歴史や文化、生態系など所々違う箇所かしょがあるはずですよ?」

「それは、パラレルワールド・・・だったかしら?」

「近しいですね。正しくは立体交差並行世界論というものなのですけれども・・・今からコレの説明を始めますと一日二日では説明しきれないので、またの機会ということに。」

 

曖昧あいまいに濁して黒ウサギは振り返る。どうやら店に着いたらしい。商店の旗には、蒼い生地に互いが向かい合う二人の女神像が記されている。あれが”サウザンドアイズ”の旗なのだろう。

日が暮れて看板を下げる割烹着かっぽうぎの女性店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを、

 

「まっ「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません。」...」

 

・・・ストップをかけることも出来なかった。黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつける。

流石は超大手の商業コミュニティ。押し入る客の拒み方にも隙がない。

 

「なんて商売っ気の無い店なのかしら。」

「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です。」

「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」

 

キャーキャーと喚く黒ウサギに、店員は冷めたような眼と侮蔑を込めた声で対応する。

 

「なるほど”箱庭の貴族”であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

「・・・う。」

 

一転して言葉に詰まる黒ウサギ。しかし十六夜は何の躊躇いもなく名乗る。

 

「俺達は”ノーネーム”ってコミュニティなんだが。」

「ほほう。ではどこの”ノーネーム”様でしょう。よかったら旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

ぐっ、と黙りこむ。”名”と”旗”がないコミュニティのリスクとはまさにこういう状況のことだった。

 

(ま、まずいです。”サウザンドアイズ”の商店は”ノーネーム”お断りでした。このままだと本当に出禁にされるかも。)

 

力のある商店だからこそ彼らは客を選ぶ。信用出来ない客を扱うリスクを彼らは冒さない。

全員の視線が黒ウサギに集中する。彼女は心の底から悔しそうな顔をして、小声で呟いた。

 

「その・・・あの・・・私達に、旗はありま

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

 

黒ウサギは店内から爆走してくる着物風の服を来た真っ白い髪の少女に抱き(もしくはフライングボディアタック)つかれ、少女とともにクルクルクルクルクと空中四回転半ひねりをして街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

 

「きゃあーーーーー・・・・・・・!」

 

ボチャン。そして遠くなる悲鳴。

セイバー達は眼を丸くし、店員は痛そうな頭を抱えていた。

 

「・・・おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

「ありません。」

「なんなら有料でも。」

「やりません。」

「じゃあセイバー俺に飛びつけ」

「やるわけないじゃないですか...」

 

そのようなふざけたやり合いをしているとフライングボディアタックで黒ウサギを強襲した白い髪の少女は、黒ウサギの胸に顔を埋めてなすりつけていた。

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに!フフ、フホホフホホ!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

スリスリスリスリ。

 

「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」

 

白夜叉と呼ばれた少女を無理やり引き剥がし、頭を掴んで店に向かって投げつける。

くるくると縦回転した少女を、十六夜は足でセイバーの方へ蹴飛ばし、彼女は腰に下げていた剣で切った。

もちろん峰打ちである

 

「そらっ。」

「ハァッ」

 

「ゴバ――グフッ!お、おんしら!飛んできた初対面の美少女を足で蹴飛ばし、あまつさえ峰打ちとはいえ斬るとは何様だ!」

「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ。」

「セイバーです」

 

ヤハハと笑う十六夜と、呆れているセイバーが自己紹介をした。

この一連の流れに呆気にとられていた飛鳥は、思い出したように白夜叉に話しかける。

 

「貴女はこの店の人?」

「おお、そうだとも。この”サウザンドアイズ”の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育が良い胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ。」

「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります。」

「”ノーネーム”だとわかっていながら名を尋ねる、性悪店員に対する詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ。」

 

む、っと拗ねるような顔をする女性店員。彼女にしてみればルールを守っただけなのだから気を悪くするのは仕方がない事だろう。女性店員に睨まれながら暖簾のれんをくぐった五人と一匹は、店の外観からは考えられない、不自然な広さの中庭に出た。

正面玄関を見れば、ショーウィンドに展示された様々な珍品ちんぴん名品が並んでいる。

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ。」

 

五人と一匹は和風の中庭を進み、縁側で足を止める。

障子を開けて招かれた場所は香の様な者が焚かれており、風とともに五人の鼻をくすぐる。

個室というにはやや広い和室の上座に腰を下ろした白夜叉は、大きく背伸びをしてからセイバー達に向き直る。気がつけば、彼女の服はいつの間にか乾ききっていた。

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている”サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやってる器の大きな美少女と認識しておいてくれ。」

「はいはい、お世話になっております本当に。」

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。その隣で耀が小首を傾げて問う。

 

「その外門、ってなに?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです。」

 

此処、箱庭の都市は上層から下層まで七つの支配層に分かれており、それに伴ってそれぞれを区切る門には数字が与えられている。

外壁から数えて七桁の外門、六桁の外門、と内側に行くほど数字は若くなり、同時に強大な力を持つ。箱庭の四桁の外門ともなれば、名のある修羅神仏しゅらしんぶつが割拠する完全な人外魔境だ。

黒ウサギが描く上空から見た箱庭の図は外門によって幾重もの階層に分かれている。

 

その図を見た四人は口を揃えて、

 

「・・・超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだな。どちらかというとバームクーヘンだ。」

「ばぁむくぅへん、とはなんだ?」

「「「バームクーヘンを知らない...だと...」」」

十六夜たちの例え話にセイバーは首を傾ける

そんなセイバーにその場にいた全員が反応する

 

「バームクーヘンを知らないなんて人生損している...」

「おい白夜叉、こいつにバームクーヘンを用意しろ」

「すぐに用意させよう」

「えっ?...えっ?」

 

自分を置き去りに行動する十六夜たちにセーバーは戸惑いを隠せない

そしてセーバーの前にバームクーヘンが用意された

 

「食べながらでいい話を進めよう。今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は”世界の果て”と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティには所属してはいないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ――その水樹と刀の持ち主などな。」

 

白夜叉は薄く笑って黒ウサギの持つ水樹の苗と一振りの刀に視線を向ける。白夜叉が指すのはトリトニスの滝を棲み家にしていた蛇神のことだろう。

 

「して、一体誰が、どのようなゲームで買ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

「いえいえ。この水樹は十六夜さんとセイバーさんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ。」

 

自慢気に黒ウサギが言うと、白夜叉は声を上げて驚いた。

 

「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその童達は神格持ちの神童か?」

 

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし。」

 

「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力でいうなら蛇と人では月とスッポンだぞ。」

 

神格とは生来の神様そのものではなく、種の最高ランクに体を変幻させるギフトを指す。

蛇に神格を与えれば巨軀の蛇神に。

人に神格を与えれば現人神や神童に。

鬼に神格を与えれば天地を揺るがす鬼神と化す。

更に神格を持つことで他のギフトも強化される。箱庭にあるコミュニティの多くは各々の目的のために神格を手に入れることを第一目標とし、彼らは上層を目指して力をつけているのだ。

 

「白夜叉様はあの邪神様とお知り合いだったのですか?」

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの。」

 

小さな胸を張り、呵々と豪快に笑う白夜叉。

だが、ソレを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせて問いただす。

 

「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

「ふふん、当然だ。私は東側の”階層支配者”だぞ。この東側の4桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者ホストなのだからの。」

 

”最強の主催者”――その言葉に、十六夜・飛鳥・耀の三人は一斉に瞳を輝かせた。

 

「そう・・・ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリアできれば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論、そうなるのう。」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた。けど、セイバー。お前はやらないのかよ?」

 

と十六夜はセイバーの方を向くそこにはバームクーヘンを頬張り満面の笑みを浮かべているセイバーがいた

まだ食ってたのかよ。と呆れた様子でつぶやいた十六夜は、他二人と同じ、剥き出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声を上げた。

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

慌てる黒ウサギを右手で制す白夜叉。

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている。」

「ノリがいいわね。そういうの好きよ。」

「ふふ、そうか。――しかし、ゲームの前に一つ確認しておく事がある。」

「なんだ?」

 

白夜叉は着物の裾から”サウザンドアイズ”の旗印――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

 

「おんしらが望むのは”挑戦”か――もしくは”決闘”か?」

 

 

刹那、四人の視界に爆発的な変化が起きた。

四人の視覚は意味を無くし、様々な情景が脳裏で回転し始める。

脳裏を掠めたのは、黄金色の穂波が揺れる草原。白い地平線を覗く丘。森林の湖畔。記憶に無い場所が流転を繰り返し、足元から四人を呑み込んでいく。

四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔――そして、【水平に太陽が廻る世界だった】。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は”白き夜の魔王”―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への”挑戦”か?それとも対等な”決闘”か?」

 

魔王・白夜叉。少女の笑みとは思えぬ凄味に、再度息を呑む三人。

”星霊”とは、惑星級以上の星に存在する主精霊を指す。妖精や鬼・悪魔などの概念の最上級種であり、同時にギフトを”与える側”の存在でもある。

十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じ取りながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

「水平に廻る太陽と・・・そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に裂け、薄明に太陽が晒される。

”白夜”の星霊。十六夜の指す白夜とは、フィンランドやノルウェーといった特定の経緯に位置する北欧諸国などで見られる、太陽が沈まない現象である。

そして”夜叉”とは、水と大地と神霊を指し示すと同時に、悪神としての側面を持つ鬼神。

数多の修羅神仏が集うこの箱庭で、最強種と名高い”星霊”にして”神霊”。

彼女はまさに、箱庭の代表とでもいえるほど―――強大な”魔王”だった。

 

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤・・・!?」

「如何にも。して、おんしらの返答は?”挑戦”であるならば、手慰てなぐさみ程度に遊んでやる。―――だがしかし、”決闘”を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

「・・・っ」

 

飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った。

白夜叉が如何なるギフトを持つかは定かではない。だが勝ち目がないことだけは一目瞭然だ。しかし、自分達が売った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

しばしの静寂の後―――諦めたように笑う十六夜が、ゆっくりと手を挙げ、

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるということかの?」

「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタには資格がある。―――いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

 

苦笑ともに吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉は堪え切れず高らかと笑い飛ばした。プライドの高い十六夜にしては最大限の譲歩なのだろうが、『試されてやる』とは随分可愛らしい意地の張り方があったものだと、白夜叉は腹を抱えて哄笑を上げた。

一頻り笑った白夜叉は笑いを噛み殺して他の二人にも問う。

 

「く、くく・・・して、他の童達も同じか?」

「・・・ええ。私も、試されてあげていいわ」

「右に同じ」

 

苦虫を噛み潰したような表情で返事をする二人。満足そうに声を上げる白夜叉。

一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸を撫で下ろす。

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!”階層支配者”に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う”階層支配者”なんて、冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

「はてさて、どうだったかな?」

 

ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。ガクリと肩を落とす黒ウサギと三人。

白夜叉は、思い出すようにセイバーの方へ振り向いた。

 

「おっと、おんしにはまた別のゲームを用意するつもりだ...って、いつまでバームクーヘンを食べてるつもりだ!」

「ん?...ってうわぁぁここ何処ですか!」

「気づいてなかったのかよ」

「まぁよい。早速ゲームを始めるかの」

 

その時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。

 


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