「咲良~♪お・ふ・ろ♪妾と入ろうぞ♪」ギュッ
と言って豊満な身体を擦り付ける下着姿の八坂の一言により争いは始まった。
当然他の者が黙っている訳もなく、
「はにゃ!咲良はあたしと入るにゃ!」
と突然着物を脱ぎ出した淫乱猫や、
「咲良……九重と入るのは…いや?」
と涙目+上目遣い+着物をはだけさせて意図的チラリズムというあざとい手段を使う九尾娘であったり、
「我、一緒にはいる……おっぱいがいいなら我、おっきくなる…」
と言い、ロリっ娘フォームから出るとこ出すぎるお姉さんフォームへと変身を遂げ、自身の服を弾けさせる龍神様がいたりするわけである。
この段に及んで、渦中の少年はというといつの間にやら服を脱がされ縛られた挙げ句、景品よろしく争いの中心に転がされており最早混沌であり収集のつきようが無くなっていたのである。
しかし、こんなカオス空間でさえ治めるのが高天ヶ原家の凄腕メイドであり、自称「やればできる娘メイドの娘♪姫華ちゃんだよ♪」である。
ちなみにだが、やった後にキャラと違うことを自覚したのか、暫くどこかえ消えていたが、ややあって戻ってきた次第であり、
「せっかく露天の大浴場があるのですから、皆様で入るというのは如何でしょうか?」
とその一言で全て治まってしまうのである。
補足だが、
この暫く後、このメイドの「欲情♪ドキドキ大浴場♪」なる企画によりげっそりとした少年が湯船に浮かんでいるのだ。
引っ越し先でもいつも通り平和な高天ヶ原家であった。
―――――・―――――・――――――
浴場での凄惨な事件から間もなく、急報が届いていた。
町外れでおびき寄せた人間をはぐれ悪魔が食べているというものである。
死体は4つあるという。この街での行方不明者は20程。
勝手に領土にした割には管理が行き届いていない。
人間ごときに気を配る必要はないということか。
そう皆が結論付けざるを得なかった。
なにはともあれ見逃すことは出来ない。
「行ってくるよ」
そう少年が言うと皆が当たり前のようについて行こうとする。
人望のなせる技なのか過保護なのかはさておき、面子的にも流石に全員はヤバいと思えるほどには少年とメイドは良識的であり、誰を選ぼうにも後々面倒なのは目に見えていることであるため、少年一人でいくこととなったわけである。
「危なかったらすぐ妾を呼ぶのじゃぞ?夜道は暗いから足元には気を付けてな?」
とまるで子供を送り出すような過保護ぶりを発揮する八坂、
「九重がちゃんとお留守番できたら、もふもふしてもらいたいのじゃ…////」
とちゃっかりしている九重、
「何かあったら黒歌お姉ちゃんが癒してあげるにゃ!それと、白音にあったら写真と尾行をお願いするにゃ!」
と謎の姉キャラを発揮しつつもぶれない黒歌、
「我、咲良に何かあればこの街消す…」
絶対にかすり傷すら負えない状況を作り出す桜華、
「お帰り、お待ちしております」
とやはり一番まともな姫華。
結局何が言いたいかと言えば、
「たかがはぐれ悪魔狩るだけなのにみんな過保護すぎない?」
ということである。
が、当人達はいたって真面目に心配をしており、以前生死をさ迷う重症を負っていることを鑑みれば当然、むしろ少し軽いくらいの反応と言えよう。
が、毎回なためまたかとなるのは必然である。
毎回なのはこれだけではない。
少年が生殺与奪権を握られていることによる恥辱の時間があるのである。
「妾にいっておくことはないか?」
「そうにゃ!今のうちに言っておいた方がいいにゃ♪」
「九重に申してみよ」
「正直に申し上げた方がよいかと」
事情がのみこめていない桜華はさておいて、他4名は一様に獲物を見つめるかのような目で見ていた。
何を言えば正解か少年はよくわかってはいたが、立派な男である。内容が内容だけに言い渋っていたが、背に腹は変えられないと毎回渋々いうのである。
「………///か、帰ってきたら……いっぱい、ナデナデ……それで………か!、かわいがって…く、くだしゃい!………////////」
どう考えても恥ずかしいセリフを顔を真っ赤にして言うと目にもとまらぬ速さで出ていってしまった。
生殺与奪権とはこの事であり、少年が若干のMであることと、言わなければ帰ってからろくに口を聞いてもらえないどころか、誰も居ないことすらあり得る恐怖を利用した女性陣キュンキュンの時間のための布石なのである。
現場を目撃した桜華はというと、
「我、いま…キュンってなった……////」
と布石で虜になったようなのである。
因みにだが、言う内容は八坂が念を飛ばして少年の頭に直接届けるため、何を言わせられるかわからないというおまけ付き。
だがしかし、満更でもない様子であった。
―――――・―――――・――――――
咲良side
恥ずかしい…物凄く恥ずかしい……
でもあれを言わないと皆構ってくれないし、それどころか誰も居ないときだってあったし…
それで油断してアレな動画で自分のアレをアレしてる時 にいつの間にか耳元で「なにをしておるのかのぉ?」と囁くドッキリつき。
自分の口から言わせられるのは滅茶苦茶恥ずかしい…
あぁ…思い出すだけで恥ずかしい…
皆で動画の鑑賞会開かれるし…なんであの時に限って逆レ系なんか見てしまったんだろう……思い出すだけで恥ずかしい…
「あ…ここだ……」
悶えてたらついた。
気持ちを切り替えていかなければ。
手元に愛刀をだしてそっと中へ入って行く。
血の匂いと邪悪な気が入り口近くまで漂ってきている。
気配を探ると一番奥にそいつはいた。
side out
―――――・―――――・――――――
少年がはぐれ悪魔の討伐を行っている頃、駒王学園でも動きがあった。
「部長、大公よりはぐれ悪魔討伐の依頼が」
その報告により重い腰を上げる紅髪の少女、リアスグレモリー。
毎回大公の依頼でしかはぐれ悪魔討伐を行わないため、犠牲者がかなり出た段階での討伐になり、大公ももうそろそろ管理者をソーナ・シトリーに任せようと思っているのだが知るよしもなく、自信満々に討伐に向かうのである。
この時既にはぐれ悪魔が数体が侵入しているのであるが、当然気付く筈もなく、悪魔側監督者をソーナ・シトリーとする日本神話からの書簡の発行の理由の1つにあげられることとなるのである。
後々の話ではあるが。
なにはともあれ、グレモリー眷属がはぐれ悪魔討伐に向かい、塔上小猫と高天ヶ原咲良が出会うのである。
ところ変わってはぐれ悪魔の住みか。
「お前だな…はぐれ悪魔バインダー」
少年がはぐれ悪魔に相対していた。
使い古されたネタよろしく名前を間違えながら。
対してバイザー、ルーズリーフを綴じるあれと全く同じイントネーションでバインダーと呼ばれ、少々怒っている。
「おのれ人間ごときがぁ!我が名はバイザーだ!」
と、キレ芸ついでに飛びかかったわけであるが、
「バインダーだかバムスターだかはどうでもいいけど……討伐…フツノミタマ」
言うや否や抜刀。
そして一閃。
バイザーの首が宙を舞う。
勝利を確信した顔のまま、バイザーの顔が地に落ちた。
バイザーの死を確認した後、少年は食い荒らされた人間の死体へと歩み寄る。
死体は欠片が4つ。
バイザーの死とともに昇天はしたが、先程御霊が14、5飛んでいたことからかなりの犠牲者がいて、相当な無念を抱いていたことがわかっている。
(すまない…早くに来ていれば……)
後悔の念。
それ以上に、これだけ犠牲者を出しておきながら対策を取らずに野放しにしている悪魔に怒りを抱いていた。
そこへ呑気に堂々とやって来たのがグレモリー眷属である。
「はぐれ悪魔バイザー!貴方を消し飛ばしてあげるわ!」
ババーン!と効果音でも付きそうな登場。
(どの面下げてきたんだ…)
そう思うのも無理はなかった。
グレモリー眷属側はと言うと、討伐に向かったわいいが、首と胴が分かたれたバイザーの亡骸と刀を持った不審な男という現場に遭遇したのである。
見るからに不審な男をプライド高いリアス・グレモリー が見逃すか否かという話である。
答えは当然否。
「貴方何者なの?ここは私が管理する領土よ。そこで好き勝手されると困るのだけれど」
と言うが、当の少年はというと、
(誰も悪魔の領土なんて認めてないぞ)
と若干イラついている。
が、しかしである。
ここで敵対しては内情を探る上で不都合であり、駒王学園に編入することを考えれば表面上は仲良くしておきたい。
「ただの旅人だ」
と素っ気なく予め考えておいた言い訳を使うのである。
対してリアス・グレモリー、素っ気ない対応であるがはぐれ悪魔を切り捨てる少年に興味を持っており、あわよくば眷属にと画策していたのである。
対応する駒は?実力は?堕天使の仲間ではないか?
等々思索に耽っていたのである。
そんな中、
「そこの白い髪の…もしや猫又の類いか?」
と突然少年が自身の眷属に話し掛け出したのである。
1拍遅れてハッとなりその眷属を庇うように前にでる。
「貴方に関係ないわ!」
そう言いきるリアス・グレモリー。
「俺は白い髪の君に聞いている。以前君の特徴に類似する話を聞いていて少し気になったんだ」
平然とする少年。
話を振られた白髪の少女、塔上小猫はというともしや姉を知っているのではと興味を持ったわけである。
「姉様を知っているのですか?」
と恐る恐るではあるが聞き返す。
姉のせいて殺されかけたとはいえ、姉が自身のために必死に働き、自身のために主と口論していたのをたまたま聞いてしまったため、姉が主を殺し追われたのは自身のせいでは?と言うところまで気付いてしまっているのである。姉に置いていかれたことを恨んではいるが、根の部分は姉大好きっ娘なのである。
故に姉の生死は重要な事であり、自身の主を押し退けてまで聞きたがる程に。
眷属一同はというと、
「「「「小猫(ちゃん)!?」」」」
と普段ではあり得ない小猫行動にかなり驚いているのである。
当の小猫、そんなことはお構い無し。
「お願いします!姉のことを知っているなら教えて下さい!」
と必死である。
少年はといえば、小猫の反応から仲直りは容易にいきそうだと喜色を浮かべ、即興でそれらしいストーリーを話始める。
「俺が聞いているのは白音という猫又、それも猫しょうについての話だ。一人目は京都の九尾の御大将八坂から。ちらっと見かけた事があって保護しようと探していた。もう一人は姉を名乗る黒歌という淫乱猫からだ。本当にかわいい妹がいると聞いている」
とざっくりどうにでも解釈できるような説明をしたのである。
因みに、黒歌を淫乱猫と評したのは全うな評価であり、口には出せない辱しめを受けたことへの報復としての評価だ。
「姉様がご迷惑をおかけしました……」
と少年の前まで来てペコリと頭を下げる小猫。
ため息つきで。
「気にするな」ナデナデ
苦笑いをしつつ頭を撫でる、否、撫でまわす少年。
「んにゃ~♪(姉様の匂い…それと、安心する匂い…♪)」
と満更でもない小猫。
(なにこれかわいい…持って帰りたい……)
と真剣にお持ち帰りを検討する少年立ったが、
「私のかわいい下僕に気安く触れないで!祐斗!朱乃!イッセー!」
「うらやましいぃんだよぉ!じゃなくて!小猫ちゃんから離れろぉー!」
思わぬ邪魔が入る。
雷、剣、赤龍帝の籠手、滅びの魔力。
通常ならオーバーキルであり、味方がいる状況では普通やらない。
しかし、グレモリー眷属一同、小猫が少年の元を離脱するものと思い攻撃をしている。
が、避けない。
撫で回されるのに夢中なのである。
流石は少年、と言ったところであろう。九尾、黒猫と撫でまわし撫で回されのうちゴッドハンドを習得しているのである。
そこへ迫る攻撃第一波の雷、魔力玉。
しかし、少年は落ち着いている。
小猫を背に庇い抜刀。
「調伏セヨ…フツノミタマ……」
途端、雷は矛先を変え検討違いな方向へ。
迫る魔力玉は一刀の元に斬って捨てられる。
「「え?」」
リアスと朱乃の呆けたような声が被る。
その中、第二波近接組。
騎士のスピードで斬りつける木場の剣を見切り蹴り飛ばし、ただ殴りかかってきた兵藤も同じく蹴り飛ばされる。
体制を建て直しつつ追撃に備えるグレモリー眷属(小猫は咲良の後ろでクンカクンカしながら隠れてます)。
しかし、追撃はこずそれどころか刀を鞘に納める。
「どお言うつもりかしら?」
相変わらず警戒するグレモリー。
「敵対の意思はない。帰る」
と悪びれる様子もなく呪符を使って転移しようとする。
が、クイクイと服の裾を引かれるので、そちらをみる。
すると、
「行ってしまうのですか?」
と寂しげに見上げる小猫の姿が。
(黒歌ぁぁぁぁ!白音お持ち帰りしたいよぉぉぉぉ!!!)
と叫ぶのを心の中で抑えつつ、
「また会えるさ…今度は学校で……」
といってワシャワシャと撫でる。
小猫はというと、
「ん~♪にゃ~♪待ってますにゃ~♪」
と満足げに微笑むのであった。
完全に余談だが、少年は帰宅後
「白音の匂いがするにゃ!」
との黒歌の一言でとんでもないめに合うことになる。
皆さんおはこんばんにちは。
二話目です。
悲しいかな、表現力の無さ。
これから精進して参りますので、生暖かく見守って頂けると幸いです。
次話では駒王学園編入と村山さんとのお話しの予定です。
お楽しみに。