概念礼装しか引けない男   作:マーマレードタルト

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勢いでばばーっと書いてます。


洞窟と黒とセイバー

 

いざ、決戦。

 

 

の、前に戦力の補充である。

アーチャーを倒した際に入手した聖晶石を使って召喚サークルを起動するのだ。

 

「出来ればサーヴァント出来ればサーヴァント出来ればサーヴァント……」

「所長……」

 

天を仰ぎ祈りを捧げる所長を、まるで痛ましい物を見るような目で見守るマシュ。きっとこれも人生経験だ。たぶん。

 

そして恐らくだが、今回もサーヴァントは引けない。

これは勘なのだが、自分の持つベルトの影響なのではないかと思う。概念礼装も言わば、人が積み重ねて来た歴史。それが失われると知れば、自己保存しようとするだろう。その力がベルトに増幅されているのではないだろうか。

つまり、概念礼装を引く確率>超えられない壁>ランサーが死なない確率>サーヴァントという感じになってる。確率的にどう頑張っても概念礼装(爆死)

 

かといってこのベルトを破棄するかと問われれば、そうするわけにもいかない。

 

“絶対に捨てられないのだ”

 

なので大人しく概念礼装を引くしかないのである。

 

 

 

 

概念礼装【フォーマルクラフト】

【イマジナリ アラウンド】【カレイドスコープ】【魔性菩薩】【黒の聖杯】【ガンド】etc…を入手しました。

 

 

 

 

『わぁ、本当に概念礼装しか引けないんだね』

「やっぱり概念礼装しか引けてないじゃないぃぃ!!」

「お、落ち着いて下さい!適切に切り替えて使えば戦力は上がります!」

「装備させるサーヴァントが居ないのよっ!!」

 

自分が戦うから問題ない。

 

「あぁ、もう!!そういう話しじゃないのよぉー!!!」

 

所長には残念だが、諦めて貰うしかない。

さて、戦力の補強も終わった事だし進むことにしよう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

暗がりの洞窟。天然の物にしては大き過ぎる事から元からあったものを人が拡張したのだろう。

 

そんな広大な地下空間にソレは居た。

 

「アーチャーを破ったか」

 

黒い甲冑を身に纏い、手には黒き剣を携えた恐怖を形にしたような騎士。されど金の髪は絹のようにサラサラと風になびく様は息をつくほど美しく、不気味なはずの青白い肌も美しさを引き立てるアクセントになっている。

 

しかし、その美しい身からは先のアーチャーとは比べ物にならない程の魔力を感じられる。

真名は分からないが、クラスは恐らくセイバー。それも高名な人物。そしてその後ろには更に強大な魔力反応…道中にロマンから聞いた大聖杯というやつだろう。

 

「先輩下がってください!あの敵は危険です!」

 

「その盾、ほう……そういう事か。面白い」

 

下げていた剣を構えるセイバー。警戒度を一気に上げる。マシュにいつでも防御出来るように指示する。

 

「試してやろう」

 

無造作に剣を振り下ろすのを見た瞬間、所長を抱えてマシュの後ろに飛び込んだ。

 

「ぐぅぅ…!!!」

 

黒い魔力を伴った衝撃波をマシュの盾は防ぎきったが、衝撃でマシュは盾ごと弾き飛ばされていた。

当たり前だが、これまで道中で戦った魔物とは比べ物にならない程強い。

 

所長に離れて身を守るように告げる。

 

「ちょ、ちょっと!?貴方何する気なの!?」

 

マシュだけを戦わせる事は出来ない。自分も戦うつもりだ。

 

「多少戦えると言ったって、アーチャーとは比べ物にならないわ!無駄死にするかもしれないのよ!?」

 

例えそうだとしても、自分は逃げる訳にはいかない。あのベルトを手にした時から自分は戦う者なのだ。

親指をグッと立ててサムズアップし、ベルトを腰に装着しながらマシュの元へ駆け出す。

 

 

ーー変身ーーーー

 

 

completeというスタートキーが回る音。それと共に青い人造霊基のラインが全身を駆け巡りカルデア戦闘服を包む。戦闘服の強化魔法が起動し、身体能力がサーヴァントと渡り合える程にまで引き上げられる。

そのまま概念礼装をスキャンする。

 

 

ーー概念ライド【リミテッド ゼロオーバー】ーーーー

 

 

一瞬身体を包んだ光が弾けると、羽織や日本刀が装備される。

そのまま抜刀し、マシュを攻める騎士に斬りかかる。

 

「奇怪なやつめ」

 

しかしなんなく受け止められ、逆に腹に蹴りを受けて吹き飛ばされてしまう。追撃で衝撃波が飛んでくる。

 

「先輩!」

 

割り込んだマシュが盾を構え、衝撃波を防ぐ。マシュに礼を言い、隣に並び立つ。

 

「私にも戦わせてください。未熟かもしれませんが、先輩のお力になりたいんです!」

 

むしろこちらからお願いしたいくらいだ。マシュの防御力は心強い。

協力プレイだ。それに合わせてフォームを変える事にする。

 

ホルスターから概念礼装を1枚取り出し、スキャン。

 

 

ーー概念ライド【イマジナリアラウンド】ーーーー

 

 

概念礼装を読み込むとベルトからFoam Changeと機械音が響き、袴や羽織、日本刀が光に還る。

代わりに白の腰布が巻かれる。右腕は振りの付いた着物の袖を、左腕に黒の射籠手を装備し、最後に頭部には紫の刺繍の入った黒いフードを被る。

 

マシュに頷きかけ、同時に駆け出す。

 

「雑魚が群れたところで」

「先輩!」

 

再び衝撃波が飛んでくる。マシュに防御を任せ、後ろに隠れる。

それを凌いだところで2撃目を放とうとしたところで能力を行使。目に見えない不確定を引き寄せ、セイバーの動きを阻害する。ビキリとセイバーの動きが鈍る。

 

「ッ!?」

「ハァァァ!!!」

 

一瞬の隙を突き、マシュが盾をセイバーに叩きつける。剣で受け止めたセイバーの足元が砕け沈む。

 

「舐めるなァ!!」

 

マシュを振り払ったところへ、桜色の矢を射かける。

いくつか当たるが、鎧を貫通するには至らない。

弓を影に戻し、影を短い桜色の刃に形成。更に概念礼装をスキャンする。

 

 

ーー概念コンボライド【閃光】【好機】【緑の黒鍵】ーーーー

 

 

戦闘の余波で辺りに漂う魔力の残滓(スター)を吸収し、力に変換する。

 

リミテッド ゼロオーバーを纏っていた時より上がった俊敏性を生かし、セイバーに対して密着戦を挑む。これで衝撃波は使いづらくなり、黒い長剣も幾分か振り回し難いはずだ。

 

「度胸は認めてやろう。だが甘い」

 

光を帯びる短い刃を剣の柄で受けたり、ガントレットで受け流すことでいなされてしまう。

能力を行使出来れば優位に立てたかもしれないが、自分が虚数魔術に対しての理解が浅いせいで有効に使えていない。

苦し紛れに繰り出した首への攻撃は手首を掴まれ阻止された。

 

「愚かさは死で償うがいい」

 

咄嗟に左腕を掲げるが、この程度では防ぐ事はできないだろう。避けられない死にヘルメットの下で目を見開く。

 

「させません!!」

「ガッ…!?」

 

横からマシュがシールドバッシュを繰り出す。自分に意識を集中させていたセイバーは反応が遅れ、まともに受けて吹き飛ばされた。

 

「先輩、大丈夫ですか!?」

 

マシュの手を借りて立ち上がりつつ礼を言う。本気で死ぬかと思った。

 

「良かろう。ならばこれはどうだ」

 

ガラガラと瓦礫を跳ね除け、セイバーが立ち上がったセイバーが再び剣を構える。

 

次の瞬間、周囲の魔力が黒く渦を巻き始める。その暴力的とさえ感じる膨大な魔力に直感する。あれは……宝具だ。

 

そんな圧倒的な力に立ち塞がる。マシュ・キリエライトだ。

 

「先輩は…私が守ります」

 

怯えを宿し、それでも決意を秘めた強い目でセイバーを見据え、盾を構えた。

 

その後ろ姿は間違いなく戦う者のものであり、騎士のものであった。

 

 

 




キャスターのアニキは合流前に単独でセイバーに挑んで死にました。この人でなし!!

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