A.D.2012 偶像特異点 深夜結界舞台シンデレラ   作:赤川島起

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対シャドウゲーティア戦の特殊効果。

「ソロモンとの共闘」
奇数ターンにNP獲得&偶数ターンにHP回復

魔法をかけられた女の子(シンデレラガールズ)
毎ターンスター獲得&毎ターン敵に固定ダメージ


最終章 スターライトステージ 4

 シャドウゲーティアとの戦いは苛烈を極めている。

 舞台の主役は、二百近いシンデレラたち。

 このステージにおいて、一人ひとりが一騎当千。

 完全なホーム、豊富な信仰心。

 相乗される強化、抜群のチームワーク。

 

 均衡は、既に崩れている。

 

 明らかに、シャドウゲーティアに対して押している。

 

「我が力を受けよ!」

(いっけー!)

 

「にょっ、わああぁ!!」

 

「面倒な仕事は、もう終わりだ!!」

 

 絶対勝つ。

 意思を共に、ステージで舞い踊るシンデレラ。

 

「………………。」

 

 →「マシュ!」

 

「はい!戦闘態勢変更、防御をドクターへ集中します」

 

 ソロモンと、初めてでありながら連携をこなすカルデア。

 シャドウサーヴァントは、理知的な戦術を構築できない。

 己の力、技術を振り回すだけ。

 

 だが、逆を言えば味方の動きがわかりやすいと言うことでもある。

 

 動きを誘導し、シャドウソロモンが悪手を打たないように戦いを作り上げる。

 ロマニ・アーキマンとは、今まで一緒に過ごしてきた。

 何度も話をした。何度も話を聞いた。

 Dr.ロマンの思考など、彼らには手に取るようにわかる。

 

「――――――!!」

 

 音無き声を吼え上げるゲーティア。

 

「………………。」

 

 もくもくと、己の魔術を振るうソロモン(ロマニ)

 

「風よ、舞え、逆巻け!風王結界(ストライク・エア)!!」

 

 風を纏い、青き宝石のティアラが輝く。

 アルトリアの領域に入ったものは切り裂かれ、吹き飛ばされる。

 

「我が旗よ、私の仲間のために…、我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)!!」

 

 最前線で展開され、後方の味方を守る盾となるジャンヌ。

 黄色い宝石のティアラ、その美しさが陰ることはない。

 

「ドクター……、先輩……。いまは遙か理想の城(ロード・キャメロット)!!」

 

 マシュは、ゲーティアと戦ったことは無い。

 マスターである立香の為、盾として彼を守った。

 その後の決戦にはいなかった。

 だからこそ(・・・・・)、今度こそはと自らを奮い立たせる。

 ティアラに埋め込まれた、ピンクの宝石は砕けない。

 

 黒二点たる、男性二人。

 彼らは、「魔法をかけられた女の子(シンデレラガールズ)」によって強化されていない。

 卯月の宝具では、衣装変化(きょうか)は受けてもシンデレラの霊基を獲得しない。

 シンデレラがアイドルとするなら、彼らはスタッフ。

 だが彼らもまた、シンデレラの舞台に欠かせない仲間。

 

 →「エミヤ!」

 

「承知した。この光は永久(とわ)に届かぬ王の剣………永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)!!」

 

 エクスカリバーが光る。

 エミヤの投影では、「無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)」を使っても本来は再現不可能な剣。

 しかし、味方からの強化と繋がれた魔力(パス)によって作り出す事が可能となった、星の聖剣に近づかんとする剣。

 執事の騎士(バトラーナイト)として、これ以上ないほどに相応しい。

 

 

 

「闇の力に慄け!月よ照らせ、我が領域(ナクト・ステッド・ヴェルト)!!」

 

 

 

 蘭子の固有結界が展開される。

 だがしかし、赤い月以外は風景に変化がない。

 この宝具は、アイドルと共にいることで世界観が変化する。

 全てのアイドルが揃っているこの空間。

 このステージ以上に、相応しい舞台などない。

 

「炎よ、氷よ、雷よ、闇よ!!」

 

 宝具の続く限り、スキルによる攻撃を放ち続ける。

 

「いくよ!」

 

「私も!」

 

硝子の靴のお姫様(Never say never)!!」

硝子の靴のお姫様(ミツボシ☆☆★)!!」

 

 流星群が降り注ぎ、ステージライトが敵を穿つ。

 凛の宝具は、ユニットメンバーと組むことで威力が増す。

 ここには、全てのユニットが揃っている。

 未央の宝具は、知名度によって大きく左右される。

 この世界には、彼女を知る人が大勢いる。

 

 

 

「――――――!!」

 

 

 

 守る、攻める、撹乱する。

 それによって、ゲーティアを追い詰める。

 

 

 

「―――!?――――――!!」

 

 

 

 あと少し、もう少し。

 

 

 

 

 

「――――――!!」

 

 

 

 

 

 ここに来て、ゲーティアが変化した。

 このまま訪れる敗北に抗って、逸早く形態を先に進めた。

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 そのシルエットは、人王ゲーティア。

 魔神ではなく、ヒトとして最後に立ちはだかった存在。

 この深夜結界舞台を制しても、人理は揺るがない。

 そう、魔神王からすれば何の意味もない戦い(・・・・・・・・・)

 最初から、この姿になる条件は揃っていた。

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 意味は無い、影であるため理由も無い。

 ただあの時の譲れないもの、最後の勝ちを得る為に全霊を賭して戦った彼の再現。

 だが、今の彼は敗北の中から残った残滓ではなく。

 敗北に抗おうとする機能である影としての名は、擬人王ゲーティア。

 

 

 

 →「まだ……」

 

 

 

 後一押し。

 それがとてつもなく長い道のりに見える。

 残る魔力は少ない。

 アイドル達も息を切らし、肩で呼吸をしている。

 

 

 

 でも。

 

 

 

 →「まだ……まだ!」

 

 

 

 やれる。

 長い道のりだろうが、もうゴールは見えた。

 後は最後まで戦い通すだけだ。

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 魔術王ソロモン(ロマニ・アーキマン)が前に出た。

 前といっても、アイドル達の最前まで。

 後ろを振り向き。

 

 

 

 パチ、パチ、パチ。

 

 

 

 手を叩く。

 拍手を送る。

 これは、時間神殿では無かった出来事。

 つまり、深夜結界でこそ起こったこと。

 

 

 

 足りなかったものが、はまっていくのを感じ取った。

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 

 

 深夜結界舞台シンデレラ。

 それは、プロデューサーが時間神殿の欠片から構築したシンデレラの舞台。

 アイドルの舞台に必要な人。

 

 シンデレラの名を冠する、アイドル自身。

 

 アイドルをサポートするスタッフ。

 

 そして、アイドルをプロデュースするプロデュ-サー。

 

 だがここには、どうしても足りないものがあった。

 

 

 

 アイドルを応援する者。――――ファンの存在が。

 

 

 

 それも、ロマニ・アーキマンが来た事で全て揃った。

 

「拍、手?」

 

「……うん」

 

「……そっか」

 

 今までの戦い。

 輝き続けたシンデレラ。

 そんな彼女たちに対する、たった一人の拍手。

 それこそが、アイドルに最も必要だった。

 

 今ここに、アイドルがいる、スタッフがいる、プロデューサーがいる、ファンもいる。

 

 アイドル達の共鳴が、一段階上へと昇華される。

 

 

 

 そうこれが、――――二つ目の(・・・・)合体宝具。

 

 

 

 

 

 シンデレラの舞踏会(スターライトステージ)

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 

 

 ゲーティアが崩れ去っていく。

 動きが制限され、崩壊していく。

 ただそこに存在しているだけで。

 ランクEX宝具、「シンデレラの舞踏会(スターライトステージ)」。

 その分類は、対悪・対戦闘宝具(・・・・・)

 敵対行動や悪意ある行動を対象にし、存在するだけでダメージを与える特攻結界。

 対策は簡単だ、戦いを止めればいい。

 ただそれだけで、この宝具の対象を外れる。

 

 

 

 だが、擬人王ゲーティアにそんな機能は無い(・・・・・・・・)

 

 

 

「………………。―――。」

 

 

 

 次第に薄れていく、消滅していく。

 

 

 

 

 

 そして、その姿は完全に消え去った。

 

 この時をもって、最終決戦は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 

 

 →「マシュ……」

 

「はい。……ドクター」

 

「………………。」

 

 戦いは、終わった。

 全てに決着がつき、シャドウソロモンも退去することとなる。

 

『私は、ロマニ・アーキマンとは関わりが無い。故に、私からは何かを言う権利は無い。だが、君達カルデアの職員達は違う。……なにか、言いたい事はあるかい?』

 

『……いいや。私は別になーんにも。それに、マシュの邪魔はしたくないからね』

 

 カルデアの職員は、戦地に赴く彼を見送った。

 マスターである立香は、自らの宝具によって消滅する瞬間を見届けた。

 マシュだけが、時間神殿の戦いにおいてDr.ロマンとお別れをしていない。

 

「今までドクターは、いつも私の身体を気にかけてくださりました。まさか今回、影とはいえこうして会えるとは思いませんでした」

 

 目の前のドクターは、ただの影に過ぎない。

 意識は無く、記憶も記録もしない、ただ消え去っていくだけの存在。

 だが、ここまで一緒に戦ってきた意思だけは本物だ。

 ドクターが残した意思に、マシュは感謝の意を告げる。

 

 

 

「ありがとうございました、ドクター。私、――――生まれてきて、本当によかったです」

 

 

 

 そう言った直後、ドクターの影が掻き消えた。

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 

 

 此度のステージは、全て終了した。

 

 アンコールは無い。

 

 それを告げるファンが既にいないから。

 

 深夜結界は役割を終える。

 

 アイドルたちによる、盛大な舞台は終わった。

 

 そうして、会場から退場するのは――――――。

 

 

 

 

 




対シャドウゲーティア戦ブレイクゲージ

第一段階 擬神王 ゲーティア

第二段階 擬人王 ゲーティア

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