艦隊これくしょん 艦娘たちと提督の話   作:しゅーがく

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※ 前回、前々回の続きです。ただし、今回は酷過ぎるキャラ崩壊に注意です


第17話  王様ゲーム その3

 

 結論から言おう。赤城を見つけるのに手間取った。本部棟をグルグルと周っている最中、加賀に遭遇。何をしているのかと聞かれて説明すると、翔鶴と瑞鶴のことをチラッと見て哀れに思ったのだろう。暇をしているから探してきてくれるとのこと。瑞鶴を少し弄っていたが、本部棟からその格好で出るのは流石に色々と問題があると言って行ってしまった。

そのまま俺たちは執務室に帰って待つこと十数分後、赤城が『加賀さんに言われてきたんですけど?』と言って執務室に入室。来ているのが分かっていたので、扉の前で瑞鶴と翔鶴は待ち構えていたが、赤城は視界に2人が入るなり『ぶふっ!!』と吹き出して腹を抑える。ツボッたらしく、カタカタと震えること数分後に回復。2人にどうしてそんな格好をしているのか、と聞いていた。それに瑞鶴は『それは後で答えますから、今は私たちがこの格好をしているのを見て、私と翔鶴姉、どっちが似合っているか教えてほしいです!!』と無理矢理時短させる方面に誘導。

それを聞いた赤城は少し2人を観察し、俺たちの方にも目線を向ける。室内の様子を瞬時に観察した赤城は言い放った。

 

「そうですね……瑞鶴さんの方が似合ってますね。なんだか、とても可愛らしくです」

 

 これで女王からの命令は遂行したことになる。そそくさと逃げようとする2人を、赤城は悪い顔をして捕まえた。ちなみに2人にはその表情が見えていない。俺たちには見えた。

 捕まった2人はどうして止められたのか、少し強引に逃げようとするものの、赤城からは逃げることが出来ない。

赤城はそのまま2人の手首をつかんだまま言い放ったのだ。

 

「瑞鶴さんは可愛らしいですが、翔鶴さんは……なんだか艶めかし、いえ……えっちですね」

 

 サッと翔鶴は両腕を使って身体を覆い隠した。そして恥ずかしさで震える翔鶴に、赤城は口撃を加えていく。絶対楽しんでいるよな。

 

「そもそもサイズが合ってないみたいですし、身体のラインが顕著に出る水着ですから、出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。良いじゃないですか。ですけどお尻とか胸のところがあまりに窮屈過ぎて横にはみ出てますし、おm[自主規制]

 

 そろそろ不味そうなので、俺は赤城に止めるように云う。

 

「おい赤城」

 

「あ、はい。分かってますよ~」

 

 どこ吹く風、と言わんばかりに赤城はあっさり引いた。一方で翔鶴は赤城の口撃がクリティカルヒットしたらしく、床にぺたんと座り込んでしまっている。

そんな翔鶴に元凶である霧島も着替えてくるように促している辺り、赤城の遊びもここまで来ると酷い。本人は完全に悪気があってやっていることなのだ。まぁそんな赤城を叱るのはいつも俺な訳だが……。

 

「じゃあ、私も着替えてくる」

 

「おう」

 

 翔鶴が着替えに引っ込んでいったのを見ていた瑞鶴も、着替えてくると言って俺の私室へと入っていってしまった。

 残された俺と金剛型四姉妹、赤城の間に変な空気が流れる。この空気を作り出した元凶は、特に何も思うことはないらしい。

上機嫌なようでニコニコしているので、本当は赤城って性格悪いのだろうか。そんなイメージはなかったんだがなぁ……。と、そんなことを考えていると、霧島が俺たちに声を掛けてきた。

 

「で、では円卓に戻りましょうか。時間的には……あと1回やれそうですけど」

 

「そうだな。2人を待って、再開しよう」

 

 霧島の発言に俺は乗っかるように、この場を誘導する。金剛たちも椅子に座り始めるので、俺も定位置に腰を下ろした。この場で立っているのは赤城だけだ。

 

「えっと……お茶会か何かですか?」

 

「レクリエーションだ」

 

「え?」

 

「レクリエーションだ」

 

 金剛が中心に置いてあったコップの割りばしの数を確認して、中身をシャッフルし始める。霧島、比叡、榛名は談笑をしながらお菓子をつまんで紅茶を淹れ直している。俺はというと、金剛がシャッフルしながら話すことも出来るので、金剛と話していた。

そんな中、自分がアウェーであることに気付いた赤城が、俺にそう訊いてきたのだ。『お茶会か?』と。まぁ、回答はそのままなんだが、やっていることもそのままだし……。

 少しフリーズした赤城はすぐに再起動。面白そうだとか呟いていたが、絶対にろくなことしか考えていないだろうな。金剛のようなことか、霧島みたいなことか……どちらかだろう。だが残念だ、赤城。割りばしはないし、別のもので代替も出来ない。ルールの説明も時間が掛かって面倒だし、赤城のことだ。何か変なことを云いだすだろう。

そう思い、これが終わってから赤城を交えて昼から別のことをしようと俺は提案する。

 

「次が最後、そうですネ? 提督?」

 

「勿論だ。これ以上続けると昼に遅れてしまう」

 

「ならば、さっさと引くことにしまショウ!!」

 

 全員が割りばしを選んで持ち、引き抜く。

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「だ」

 

「……」

 

 普通の服に着替えた翔鶴が未だに恥ずかしそうにしているが、もうあの格好していないんだろう? と聞きたくなるのを我慢しつつ、俺は引いた割りばしに目を向ける。刹那、俺は当たりを引いたことに確信を得た。これは先が赤い。つまり、王様を引いたということになる。

ふふふ……ふぁっはっはっはっはっ!! これで俺が王様だ!! ……とはいえ、何を命令するかなんて考えているはずもなく、俺は一抹考える。だが、もう王様は名乗り出ないといけない。

とりあえず、俺は自分が王であることをアピールすることにした。

 

「俺が王だ」

 

「「「「「「っ?!」」」」」」

 

 一瞬にして全員の表情が強張った。ちなみに赤城も居るが、特になにも分っていない様子。お菓子をつまみながら傍観しているだけだ。

 

「て、提督が……」

 

「王様を」

 

「引いてしまったデス」

 

 え? なにその引いちゃいけなかった的な空気。全員が息を呑み、俺のことを見ている。どうやら命令待ちらしい。

 全員の顔と手に持つ割りばしを見ていく。……特に細工があるとかはないだろうが、誰がどの数字を持っているのかが知りたい。これは王様を引いた人なら誰もが思うことだろう。

そして次に考えるのは、メンツと命令内容だ。メンツ……王様ゲームをプレイしているのは、俺以外が女性。そうなると、定番で言えばちょっとやらしい命令をするのが定石だろうな。だが、それは出来ない。ならばどうするべきか……。俺は考える。全員の割りばしと顔を見ながら考える。

 

「……提督? いや、今は王様デスカ」

 

「どうしたんでしょうか?」

 

 金剛が何も言わない俺の顔を覗き込んでくる。その隣にいる比叡は不思議そうに俺のことを見ていた。

 

「命令で悩まれているのでしょうか?」

 

「そうだと思うけど……翔鶴姉はどう思う?」

 

「……さっきみたいな命令でなければ良いわ」

 

 こっちで冷静に俺のことを分析する霧島に、瑞鶴が相槌を打って翔鶴に話しかけていた。翔鶴はまだ回復しておらず、少し怯えた目で俺のことを見ている。嗜虐心(しぎゃくしん)をくすぐられるが、そんなことをする訳にもいかない。

 と、ここで俺はあることに気付いた。さっきから隣の榛名が静かだ。どうしたのだろうかと目線を向けると、チラチラと俺の顔を見て手を動かしている。割りばしが見えるが、数字を隠す気が全くないのだ。少し視線をずらしたら見えるところで、榛名が俺に対して数字を大公開中。ちなみに『2』だ。

榛名の行動に気付いたのか、今度は金剛が行動を起こす。榛名同様、俺のことをチラチラとみて手元をちらつかせる。割りばしが見え、数字も確認できる。『5』だ。何を意図しての行動かは分からないが、原則ルール違反ではない、と思う。そもそも発案者がやっている時点でルールも何もない。

 2人のお陰で、俺はあることを思いついた。

ふふふ、はっはっはっ!! さっき翔鶴に味合わせた屈辱、そっくりそのまま返してやろう。王と側近の連携プレイだ。まぁ、その側近(榛名、金剛)が望んでいたかはさておき、だけどな。

 

「王の俺が命ずる」

 

 少し声にハリを与えて、俺は割りばしを片手に命令を下した。一抹の不安が翔鶴に押し寄せているのが分かる。不安がり過ぎだろ、翔鶴……。

 

「2番と5番」

 

 スッと立ち上がった榛名と金剛。それを見て、翔鶴が胸を撫でおろしている。だがまだ安心できない、と瑞鶴が脅しているが置いておこう。

 

「翔鶴が先ほど霧島に返した衣装を赤城に着せて、赤城が今着ている服を奪って逃げろ!!」

 

「「サー、イェッサー!!」」

 

 立ち上がった場所からすぐに移動した榛名と金剛は、近くでお菓子を齧っていた赤城を拘束。そもそも金剛はちょっとアレな子で力が普通より強いため、暴れて赤城は逃げようとするもののそれも虚しい抵抗に終わり……。

 

「え? ちょっと?! 翔鶴さんが返した衣装ってまさか?! て、提督っ?! え? ちょっと待って、待ってください!! どうして私がっ?!」

 

 必死に金剛と榛名の手から逃げようとする赤城に、俺は云った。

 

「いたずらっ子にはお仕置きだ」

 

「いやぁぁぁ!! 翔鶴さんより私大きいのに!! 翔鶴さんでアレなら私は!! 私はぁぁぁぁぁぁぁ?! というか金剛さんも榛名さんも離してください!? 私関係なくないですか?! ちょ、えっ?! あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 俺の私室へと連行された赤城に向かって、霧島が一言。

 

「この犠牲は忘れません、赤城さん。今回はいたずら心で仕出かした私の代わりに罰を。後で美味しいもの、ごちそうしますから。アーメン」

 

 そういえばあの衣装、霧島が用意したものだったな。でももう命令権は使ってしまったし、どうすることも出来ないな。あと勝手に〇すな。それに霧島ってキリシタンだったのか。

 そんなことを考えて待つこと数分後、体躯に見合わぬサイズ、恐らく無理やり押し込められた赤城が恥ずかしさとスク水の小ささにプルプルと震えながら俺の布団に丸まって部屋から出てきた。

勿論、涙目の翔鶴にその布団は剥ぎ取られ、俺たちの目に触れることになる訳だが、赤城の恥ずかしがり具合ときたらなんとも言えなかった。ピッチピチで今にも破け散りそうなスク水に、フルセットを着用。頭には猫耳があり、尻尾がフリフリと揺れている。プルプルと震えているため、揺れも倍増だ。

赤城の豊満ボディには瑞鶴の身体に合っていた衣装は全く合っていないのだ。翔鶴が着ていた時よりも酷い。醜い訳では無いが、酷いのだ。

 

「くぅ……」

 

 にやにやと眺める俺たち全員に、赤城は言い放った。

 

「くっ、くっころぉ!!」

 

 涙目で猫耳ぴょこぴょこさせて言うセリフじゃないよな、それ。

 





 後悔は、少ししています(白目) 反省はしません。
今回はかなり荒ぶってもらいましたが、本編には内容の継承があります。話題には出てきませんけどね。
 一応、次回で休憩回は終わりになります。

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