ハイスクールDragon×Disciple   作:井坂 環世

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展開が思いつかなかったんだ。本当に。いや、オリジナル展開で何十話と書き続けられる作家って尊敬に値しますよね。ネタを思いついても展開が思いつかねぇぇぇぇ

てなわけで急展開の第9話です。


9 今、ダイジェストを始めます。

これは・・・試練だ・・・。乗り越えるべき過去からやってきたな・・・。

 

キング・クリムゾンッッ!!過程は消え去り、結果だけが残る!!

 

炎は消えたことを認識せず、雲は千切れたことに気付かない!!

 

そして、翔がはぐれ悪魔30体を捕縛した2年間という「過程」は消え去り、’’サーゼクスとの契約を見事達成した’’という「結果」だけが残るっ!!

 

と、いうわけで翔の2年間をダイジェストでどうぞー。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

サーゼクスとの契約から1日目

 

黒歌から仙術の基礎理論を教わるも、才能が無いこともあり苦戦する。また、事情を聞いた師匠たちが張り切り、修行の地獄度が1段階UP。契約どうこう以前に修行で師匠ズに殺されないか一抹の不安を感じる。

 

また、黒歌に抱きしめられた件もあり、黒歌の顔を直視出来なくなる。そのことを師匠たちにからかわれる。

 

 

 

1週間目

 

ようやく氣を感知することが出来るようになる。が、元々習っていた気と混同しがちになり、修行に行き詰る。逆に信念と呼べるものがはっきりし、覚悟を固め、成すべき目標が出来たことで武術の修行は以前よりも習得速度が速くなり、師匠たちを喜ばせる。その結果、更に修行が辛くなる。

 

修行の時はきちんと黒歌の顔を見られるようになるが、普段の会話はまだ緊張気味のままで、黒歌が「避けられてるのかにゃ?」と思い始める。

 

 

1ヶ月目

 

仙術による身体強化に成功。まだまだ拙く、効果も今一つだが有頂天になり、師匠たちに挑むもボコボコにされる。全治2週間の大怪我を負う。

 

その怪我の看病に黒歌が付きっ切りで行うと駄々を捏ね、両親に黒歌の存在がばれる。そのことを機に武術のこと、神器のこと、そして黒歌の現在の状況と自身の決意を両親にオブラートに包んで話す。それ以降翔が両親と目が合うと何かとニヤニヤされるようになる。

 

 

2ヶ月目

 

氣による身体強化はジワジワと錬度を上げていっている。その他の仙術にも手を付けようとするものの、全然才能が無いことがわかり、かなり落ち込む。2日程自分の部屋に引き篭もるものの、黒歌の懸命な励ましにより気力を取り戻す。

 

両親&師匠ズのお節介により何かと黒歌と2人きりにさせられる。黒歌の顔を見ていると不意にドキッとするようになり、そのことを不思議に思うも目前の目標があるので棚上げする。

 

3ヶ月目

 

ようやく黒歌&師匠ズのはぐれ悪魔との勝負の許可がおりる程には身体強化の効果が上がり始める。そのことをジョージ経由でサーゼクスに連絡し初めての悪魔退治。C級のはぐれ悪魔だったこともあり、難なく捕縛に成功。サーゼクスに送る。

 

黒歌と一緒にいることにかなり慣れ始める。修行、学校などの時間以外はほぼ黒歌と一緒にいて何かしらをやっている。

 

 

6ヶ月目

 

3ヶ月で5体のはぐれ悪魔の捕縛に成功するも、徐々に相手が強くなっていっているので怪我も増え始める。そのことに危機感を覚え師匠ズに相談。「相手が強くなっているなら自分も強くなればいいじゃない。」ということで修行が更に激化する。このことを予測出来なかった自らの頭脳に心の底から絶望する。

 

修行で心が荒む→黒歌に癒される→修行で心が荒む→黒歌に励まされる→修行で(以下無限ループ

 

 

7ヶ月目

 

「そうだ、切り札があればいざという時大丈夫なんじゃないか?」という考えのもと原作の「ケンイチ」の切り札の1つであった孤塁抜きを教えてもらおうと兼一に懇願する。そのことを兼一は快諾するも、「武術家の楽園(ユートピア・オブ・マスターアーツ)」から出られないと人の意識より外れているところを探す修行が出来ないので難航する。

 

悪魔との戦闘に慣れるために黒歌との組み手を開始。ほぼ毎回気絶させられるもその後の膝枕に翔はご満悦であった。

 

 

9ヶ月目

 

何とか孤塁抜きの習得に成功。1人で人でごった返した場所で走り抜けたりするのはかなり恥ずかしかったため心の底から歓喜する。その孤塁抜きを以ってはぐれ悪魔捕縛10抜きを達成する。大体3ヶ月に5体のペースとあり、かなりのハイペースにサーゼクスは驚いていた。

 

黒歌との組み手でなんと黒歌が「ネコンドー」を披露する。翔が修行に明け暮れている間に南條キサラに教えを受けていたようだが、元々猫又である黒歌とは相性が良く、かなりの速度で習得していく。護ろうと思っている相手が更に強くなっているのに翔は焦りを覚える。

 

 

10ヶ月目

 

無茶な修行の末翔が本当に死に掛ける。何故そんなことをしていたのか黒歌に問い詰められ、素直に自身の焦りを供述。そんなことよりも自身の命を大事にしてと黒歌に泣いて懇願され無茶せず自身のペースで強くなろうと決断する。

 

泣き顔を見てしまったことと見られてしまったことを気にして翔と黒歌が互いにギクシャクする。師匠ズはそのことを肴にして酒を飲む。

 

 

12ヶ月目

 

A級はぐれ悪魔三浦依都のことをサーゼクスより連絡され、捕縛のために長野県へ。激闘の末「久賀舘流極意が4 導父」で決着。色々な武術を習っている強みが出た形となる。

 

苦戦したので全身裂傷を覆っていた翔はまたもや全身ミイラ&絶対安静。黒歌が嬉々として看病する。両親が孫の名前を考え始めていることに何か得体の知れない感覚を得る。

 

 

15ヶ月目

 

はぐれ悪魔退治を始めたことによる修行の激化と仙術による身体強化とが合わさり、身体能力に限っては達人級(マスタークラス)に追いついたと確信し、師匠ズに勝負を挑むも師匠ズが仙術による身体強化を発動。フルボッコにされる。

師匠ズ曰く「確かに弟子は進歩するのが本分・・・。但し、師匠という生き物も暇があれば進歩しているものなのだよ。」翔は「それ何てチートおおおぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」と心からの叫びを上げる。

 

思わずガチ泣きして黒歌に縋りついてしまう。後日目が合う度に顔を真っ赤にするところを見られ師匠ズにやや受けする。

 

 

18ヶ月目

 

武術の腕に関しては大体妙手の中でも中の上に入ったと師匠ズに判断され、舞い上がる。但し黒歌も純粋な武術の腕で妙手に到達したと判断され、「自分が12年かけて到達した物に1年半で到達するって・・・」と落ち込む。黒歌が励まそうとしても拗ねているので逆効果となる。

 

自分から拗ねた手前何だか謝り難いものの、話しかけようとして失敗し、シュンとしている黒歌を見て罪悪感を感じまくり結局自分から謝ることに。両親と師匠ズには「将来は尻に敷かれるタイプだな。」とからかわれる。

 

 

21ヶ月目

 

はぐれ悪魔捕縛数25体目に突入。この辺りまでくると退治対象のはぐれ悪魔もかなりの強さとなり始め、S級もちらほらと出始める。しかし翔はその豊富な手札と相手の油断を利用した策を張り巡らせることで細かい怪我があるものの、致命的な怪我を負う事無く気絶させることが出来てくる。

 

この頃から何故か翔が告白されることが多くなる。師匠曰く「精神的なことが顔に出ているんじゃないかな?」とのこと。だが、そのことを知った黒歌が拗ねて話を聞いてくれなくなり翔が落ち込む。

 

 

22ヶ月目

 

はぐれ悪魔退治に向かった翔が何とか退治には成功したものの、大怪我をしてジョージに背負われ帰ってくる。その様子に黒歌は顔を青褪めさせ、嫉妬して話をしなかったことを後悔したが、

 

「ただいま、黒歌さん。」

 

翔のその言葉を聞いて感極まったのか、涙が止まらなくなり逆に翔を困らせる。その様子を見たジョージは「っけ。リア充爆発しろ。」と捨て台詞を残した。

 

 

24ヶ月目

 

最後のはぐれ悪魔退治に赴く。今まで修めてきた技術、思いの丈、気力、全てを振り絞ってSS級はぐれ悪魔の捕縛に成功する。決め技はやはりここぞという時に信頼している「無拍子」だった。

 

家に帰ってそのことを黒歌に報告し、涙を浮かべながらも黒歌としばらく抱き合う。その様子を見ていたサーザクスとグレイフィアは「ごちそうさま」と言いながらも契約達成の証に黒歌の討伐対象解除認定証を黒歌に渡す。その今までの努力の結晶を見た翔は感極まって泣き出してしまうなど賑やかな一悶着があったりした。

 

 

以上、翔の2年間でした。え?ジョ○ョネタ?ハハッ。この2年間のネタが前回しか思いつかなかったからキンクリしたわけじゃないですよ?ホントウダヨ?

 

ゴホッ。ゲフンッ!ゲフゲフンッッ!!

 

とにかく、こうして翔はサーゼクスとの契約を見事達成したのであった。達成したのであった!!大事なことなので2回書きました!!!

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

そんな翔は現在、黒歌を連れて散歩している。「武術家の楽園」ではなく、現実世界の方を、である。討伐対象が解除されたので、誰に憚ることもなくこともなく外を出歩けるのである。

 

日が暮れ始める黄昏時。翔の自宅の近くを2人きりで歩き回る。翔は白のワイシャツに黒のスラックス、というシンプルな服装だが、この2年で伸びた身長がそんな格好をシックな感じに納めている。黒歌は普段の着物姿ではなく、白のワンピースに淡い空色のカーディガンを羽織っている。黒歌の黒髪に良く映えているな、と翔は素直に感じた。

 

黒歌は久々に外をのんびりと歩けることが嬉しいのか、かなりご機嫌な様子だ。鼻歌を歌いだしそうな雰囲気ですらある。またそんな黒歌を眺めている翔も、大きな目標を達成したことの達成感や充実感。また、大切な人とともに歩けるという幸福感も相まってかなりいい気分である。

 

お互いに話しかけることもなく、ゆっくりと歩いていく。穏やかな空気が流れ、それがとても心地よく感じられる。自分達の周りだけ妙に静かに感じ、周囲の喧騒もどこか遠くに聞こえる。

 

言葉は無く、しかし確かにお互いを感じられる時間。それはとある公園にやってきたことで終わりを告げる。

 

そこは、かつて翔とジョージが闘った公園だった。2年前のことだが、翔は昨日のように思い出すことが出来る。あの日、あの時があったからこそ、今の自分があるのだと翔は確信できる。

 

「ここ、懐かしいです。ここで、黒歌さんのことをちょっと知ることが出来たから、黒歌さんのはぐれ悪魔認定を解除出来ました。」

 

「フフっ。そうは言っても、私は来たの初めてだけどにゃ。」

 

「それもそうでしたね。」

 

お互いの顔を見て笑いあう。こんな穏やかな日常がこれからも続くのなら、この2年間頑張ってきた甲斐もあるものだと翔は思った。

 

翔がそんな風に思いを馳せていると、不意に黒歌が真剣な顔になった。その表情は何かの決意に満ちている。

 

「翔。思えば、私達が出会ったのは偶然だったわね。私が怪我してるところを拾われて・・・。あの時はまさかこんなことになるなんて思いもしなかった。」

 

「確かに、そうだね。でも、あの時、黒歌さんと出会えてよかったって今は心の底から思えるよ。」

 

そう、本当に出会えてよかったと翔は思う。もしも出会えていなければ、ここまで真摯に武術に打ち込むことも無かったし、本気になれるような何かと出会うことも無かっただろう。翔にとって黒歌との出会いはそれほどの衝撃を人生に齎したのだ。

 

そして、それは黒歌も同様だった。

 

「私もそう思うわ。翔と出会えて良かったって。」

 

そう言って黒歌は翔の目をまっすぐに覗き込んでくる。その顔が赤いのは夕日のせいか、それとも・・・。

 

「翔、改めて、本当にありがとう。あなたのおかげで、私は今笑うことが出来ているわ。そして・・・。」

 

そこで黒歌が翔に一歩近づく。この2年で翔は黒歌の背を追い越していた。黒歌が見上げる体勢になり、そして満面の笑顔を形作る。それは貼り付けられた偽者じゃなく、心の底からの笑顔だと見るものに感じさせるもので、その光景を見ていた翔は思わず黒歌の笑顔に見惚れていた。

 

「翔、あなたのことが好きです。恋人として、付き合ってください。」

 

その言葉を聞いた時、翔の鼓動は大きく跳ねていたが、翔の心の奥はストン、とパズルが嵌まったかのように落ち着いていた。なんで、と思い、そして考えるまでもなかったな、と苦笑する。

 

そして内心で情けないな、と自嘲しようとして、やめた。今はそんなことをしている時ではない。確かに、前々からこの気持ちに気付いていたのに理解しようとせず、棚上げしていたばかりか相手から告白させてしまったというのは男として情けないが、今は何よりも返事をすることが大事だと翔は思ったからだ。

 

だから、翔は先ほど自分でも理解出来た感情に素直に従うことにした。

 

近くまで来ていた黒歌の肩に手をやり、引き寄せる。何の抵抗も無く胸に収まった黒歌をその鍛え抜かれた両腕で抱きしめた。その細く、力を入れすぎると壊れてしまいそうな腰に手を回した。

 

今までも何回かしてきたことのある行為。だが、この感情のままにしたのは初めてで、今までとはまるで違うものにかんじられた。

 

いつまでもそのままでいるわけにもいかず、翔は腕の中で目を瞬かせている黒歌に向けて言葉を発した。

 

「黒歌さん。僕も、あなたのことが好きです。だから・・・恋人として、結婚を前提に付き合って下さい。」

 

「あ・・・。」

 

その言葉を聞いた黒歌は驚愕に目を開かせた。黒歌は悪魔、翔は人間。2人の間にはどうしようもない種族の差というものがある。しかし、翔はそれでも結婚を前提にしてと言っていた。それの意味するところとは・・・。

 

「翔・・・いいの?」

 

「構わないよ。黒歌さんと一緒にいるためなら悪魔にでもなってみせるよ。まぁ、実際になるのは色々な準備を整えてからになるだろうけど。」

 

笑みを浮かべながらの翔の言葉が、黒歌の胸に染み渡っていく。その直後、莫大な歓喜が黒歌の体を震わせた。惚れた男にここまで思ってもらえている。女としてこれ以上の喜びはなかった。

 

「それで、黒歌さん・・・。いい、のかな?」

 

黒歌は目尻に涙を浮かべながらも、満面の笑みを浮かべてみせた。

 

「はいっ!」

 

 

 

 

その日、とある異種族間武術家系カップルが生まれた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

その後の話をしよう。

 

翔と黒歌は恋人関係になったことを師匠ズと両親に包み隠さず話した。「やっとか。」と呆れられはしたものの、概ね祝福されて2人も満更じゃなかったようである。

 

そして2人は翔の両親に悪魔等のことを説明。驚かれながらも受け入れられて、1つ肩の荷が下りた気分であった。

 

翔はサーゼクスに将来悪魔に転生するつまりだと説明。サーゼクスとの話し合いの結果、サーゼクスからは魔王という立場ゆえに出来にくいこと、迅速な行動が出来なく、問題が出た時などに翔に解決を図ってもらい、逆に翔は将来悪魔に転生したときの仕事や住居など、転生に関する便宜を図ってもらうという、相互に自身に出来ないことを依頼という形で協力し合うビジネスライクな友人関係を築くこととなった。

 

概ねハッピーエンドという形で落ち着いた2人は今日も幸せそうにイチャイ「じ、じぇろにも~~!!」・・・修行で死に掛けながらもイチャイチャしているようである。

 

こうして1つの形で決着は着いたものの、まだまだ落とし所のついてない事柄も多く、2人の物語は続いていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、白音・・・。今どこにいるんだにゃ?」

 

To be continued!!

 




副題元ネタ・・・今、恋を始めます

キンクリです。でも、ssってキンクリ結構多いですよね。


こんな風に展開を思いつかないときや、風景は思いついているのに文字に出来ない時って作家さんを尊敬する瞬間ですよね。本当に凄いと思います。


このssを書くに当たってケンイチssを探してみたんですがかなり少ないです。やっぱり戦闘描写や修行描写が難しいからですかね?


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