EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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このSP話は狂三が主役であり、狂三が初めて仮面ライダーになった時の出来事となります。



第SP話 狂三のエピソードZERO・1

ある日。時崎 狂三は、天宮市の崖の上にある高台まで来ていた。

 

高台にて、狂三は敵と対峙していた。その敵は、人の形をしているが不安定なようでユラユラと揺らいでいる。

 

 

「・・・・・・バグスターウィルス、それが全ての始まり。そして檀 黎斗が悲劇を加速させた」

 

一人呟く狂三。ゲーマドライバーを装着し、ガシャットを構える。

 

そのガシャットは二本。一本はバンバンシューティング。

 

もう一本は、カラーリングは青緑色で、ラベルにはスナイプの使用する「バンバン」シリーズに共通して登場している軍人キャラクターが戦車に乗っている絵が書かれている。

 

「バグスターウィルスがこの世にあるから・・・精霊の力がこの世にあるから、わたくしは()()()()を失った」

 

その時の悲しみは、今も忘れられない・・・忘れてはならない。

 

《バンバンシューティング!》

《バンバンタンク!》

 

二本のガシャット・・・バンバンシューティングとバンバンタンクを起動してゲーマドライバーに刺して・・・。

 

「変身」

《レベルアップ!》

 

狂三はスナイプの、新たな姿に変身する。

 

 

その最中、思い出すのは四年前。ゼロデイが起こった一年後である。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

西暦2040年。

 

 

檀 黎斗は仕事を終えて、幻夢コーポレーション社長室へと戻った。

 

すると、社長が座る筈の椅子に一人の少女が座っていた。

 

黒とオレンジの服装に身を包み、長い黒髪を降ろし、左目を長い髪で隠している。

 

 

「君は・・・何者だい?」

「わたくし、精霊ですのよ」

 

黎斗の問いに、少女は薄く笑いながら答えた。

 

 

「精霊・・・」

 

「空間震を引き起こす元凶であり、世界を滅ぼす特殊災害指定生命体・・・というレッテルを貼られてしまっているかわいそうな女の子ですわ」

 

ヨヨヨ、と泣く少女。黎斗はそれが演技だということは見抜いていた。

 

 

「それで、その精霊さんが何のようかな?」

 

「あらあら、つれないですわ・・・・・・用というのは、簡単に言うならば"滅菌"のお手伝いがしたいという感じですわ」

 

「滅菌・・・?」

 

 

「バグスターウィルス」

「・・・・・・!」

 

「わたくし、知っていますわよ。バグスターウィルスの事も、そこから生まれる怪人であるバグスターの事も。私は情報収集が得意なんですの」

 

「それで?」

 

「あなたがバグスターと戦うための力も開発したという情報も掴んでいます。ライダーシステム、でしたっけ。それをわたくしに下さいな。

 

もちろん、タダでよこせとは言いませんわ。戦闘データ収集の為に私が被験者となりましょう。ギブアンドテイク、というやつですわ」

 

黎斗は少し考えて答えを出した。

 

 

「良いでしょう。私も精霊という存在が仮面ライダーになったらどうなるか、ということに興味がある。その申し出を受けよう」

 

「ありがとうございます。契約成立ですわね・・・では、なりましょう。仮面ライダーとやらに」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その後、狂三は戦えるかのテストを受けて合格。"適合手術"を受けて仮面ライダーとなる資格を得た。

 

黎斗から二つの物を受け取った。

 

 

一つはゲーマドライバー。もう一つは、下部が黒くてモノクロの絵が書かれているガシャット・・・プロトガシャットだ。

 

プロトガシャットの一つ、"プロトバンバンシューティング"とゲーマドライバーを手に、狂三は微笑んだ。

 

「今後のあなたの活躍に期待しますね、時崎さん」

「えぇ、お任せくださいな」

 

一礼して部屋を出る狂三。黎斗一人となった部屋の中に、もう一人の男・・・パラドが現れる。

 

 

「良いのか?あの女、お前の黒さに気付くかも知れないぞ」

「バレないようにするつもりだ。念のため君にはしばらくの間、私への接触は控えてもらう」

 

「はいはい。やっと決まった俺達の敵、どんな奴かを見ているだけで面白そうだ」

 

笑いながらパラドは姿を消した。

 

 

「相手が誰でも、私の計画は止められない」

 

黎斗は机の引き出しから一冊のファイルを取り出す。そこには、もう一人の適合者候補のデータが書かれた紙が入っていた。

 

 

「君達は、私の計画の為の"駒"なのだから」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

幻夢コーポレーションを出た狂三は影の中に潜り、一瞬でお気に入りのビルの屋上へとワープした。

 

受け取ったプロトバンバンシューティングガシャットを見ながら考える。

 

 

狂三はゼロデイが起こったこと、バグスターウィルスの存在を知ったことで、自分の目的の邪魔になると判断。

 

バグスターウィルスと戦うために更に情報収集を行い、幻夢コーポレーション、そして仮面ライダーの存在にたどり着いた。

 

狂三の精霊としての力は強力だが、使うには"時間"を消費しなければならない。

 

狂三にとって"時間"を消費すること無く戦える力である仮面ライダーは、喉から手が出るほどに欲しかった力。故にこうして入手した。

 

 

(ですが、あの社長・・・・・・)

 

黎斗の笑顔の裏に黒い何かを感じ取った狂三は、自分の影から"もう一人の狂三"を呼び出した。

 

 

「わたくし。念のため、壇社長についてもう少し調べていただけます?」

「かしこまりましたわ、わたくし」

 

もう一人の狂三・・・分身体は言われた命令をこなす為に外に出た。もう一人の狂三が去り、再び狂三一人になる。

 

ビルの屋上から見える天宮市の風景は変わらない。だが、バグスターウィルスという驚異が蔓延しているのは事実。

 

 

「わたくしの目的・・・必ず成し遂げて見せますわ」

 

自身の目的の為に、狂三は新たな力を得た。それは狂三に何をもたらすか・・・?

 

 

 




次回予告


プロトスナイプとしてバグスターと戦っていく狂三。そんな中で、もう一人の適合者となった少女に出会う。


第SP話② 狂三のエピソードZERO・2


「これからが不安ですわ・・・」


ーーーーーーーーーー

次回はもう一人の適合者と、狂三の交流となります。

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