傲慢の罪(偽)   作:アンパンくん

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仕事

 

都内のとある一角。

大通りを抜け裏道に入っていくとそこに小さな居酒屋があった。

店は見たところとてもオンボロで本当に営業出来ているかも分からない。

しかも、立地が悪いせいか客の入りも殆どない。

 

それでも店主である男は血の繋がりもない娘を養おうと日々頑張っていた。

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラッ

 

「いらっしゃいませーーー」

 

いつもは閑古鳥が鳴いている店に1人の男が来た。

男はスーツを着ており、口にはとてもゴツゴツしいマスクの様なものをつけている。

包帯で顔の上半分がグルグル巻きにされており目は見えていない様だが何故か周りの様子が分かる様だった。

 

「やぁ、店主はいるかな?」

 

「お父さんですか……?、ちょっと呼んで来ますね。」

 

男は店員に店に来た目的でもある店主の居場所を聞く。

この店に一人しかいない店員である娘は店主でもある父を呼びに店の奥に入っていった。

 

その間、スーツの男は手慣れた様子でカウンター席に座り、先ほど出されたお手拭きで手を拭きながら待つ。

 

店の中はとても古い感じで、和風というよりは中世の酒場といった様子だ。

壁には斧頭がやけに大きい斧が飾れているだけであり、他にこれといった物はない。

 

 

「お、お待たせしました。ぼ…僕が店主のエスカノールです。」

 

暫くして店の奥から出て来たのは、身長が160センチぐらいしかないほっそりとした男性だった。髪の毛は金髪で鼻の下に変なチョビヒゲが生えておりメガネをかけている。

 

「やぁ、久しぶりだね。エスカノール君。」

 

「あ…貴方は、……オールフォーワンさん‼︎。お久しぶりです!」

 

店主は尋ねて来た男を見た瞬間驚きの声をあげた。

男は驚くことは想定内だった様で全く動じてない。

 

「しばらく見ない間にチョビヒゲなんか生やしてね。」

 

「い…いや〜、ちょっとは風格出るかな…なんて!」

 

「……いや、お父さんは前の方がカッコ良かったよ。」

 

「ゴフッ‼︎」

 

奥から父を呼びに入ってた娘は戻って来ては今まで自分からは言えなかった文句を遂に言う。

 

娘から予想外の不意打ちを浴びた店主は膝から崩れそうになるが少ない精神力で何とか耐え、久しぶりに顔を見せた常連がいつも頼んでいた飲み物を出す。

 

「あぁ、ありがとう。それでね今日は、エスカノール君……君に仕事を頼みに来たんだ。」

 

「……はぁ〜。お酒の配達か何かですか?」

 

「いやいや、残念ながら違うよ。実は、ちょっと手合わせして貰いたい者がいてね……勿論、仕事だからお金はちゃんと払うよ。」

 

オールフォーワンはそう言うとスーツの内ポッケから小切手を一枚取り出してカウンターの上に置いた。

 

エスカノールはおそるおそる、小切手を手に取り金額を見る。

娘も気になったのか父の後ろに回り一緒に小切手を見る。

 

「「ヒィィィィィィィィ!!!!」」

 

書いてあったのは2人がこれまで見た事ない様な金額だった。

想像以上の金額に驚いた二人は抱き合いながら部屋の隅でいってしまう。

 

「…け、けど、僕、喧嘩はからきしですよ。」

 

「そんなこと分かっているさ。それでも僕は君にお願いしたいんだ。」

 

部屋の隅で娘とブルブル震えていたエスカノールは震えが取れたのか立ち上がりそのまま考え込む。

 

「お父さん、受けるべきだよ‼︎ このお金があればお父さんが無理して私が高校に行くためのお金を貯めなくても良いんだよ‼︎」

 

エスカノールは血は繋がってないが愛しい娘と思えるこの子に自分が受けれなかった人並みの教育を受けさせようとこの酒場を開いた。

だが、いくら前世の記憶があるからといってこの世界は自分がいた世界とは違う仕組みで動いており、その上自営業などした事もなかったから家計は常に火の車だった。

 

「……わかりました。このエスカノール、喧嘩などからきしですが娘の為、そして大恩あるオールフォーワンさんの頼みとなれば断る訳には行きません。思った通りの結果にはならないかもしれませんが、それでもよろしければ是非やらせて下さい‼︎」

 

右の拳を上に掲げ決意を固めたように声をあげた。

 

オールフォーワンはその言葉を聞き満足そうに頷いた

 

「君ならそう言ってくれると思ったよ。それじゃあ、明日の8時に迎えを寄越すから店の前で待っててくれるかい?」

 

「えっ、明日やるんですか‼︎」

 

「あぁ、そうだよ。此方としても早い方が都合が良いし、君も今した決断が時間が経って鈍るのは嫌だろ。じゃあ、明日よろしく頼むよ。」

 

そういうと代金を机の上に置き、颯爽と店を出て行った。

 

その言葉を聞いたエスカノールはだんだんと顔色を悪くしながら娘の方へ振り向く。

 

「すいません。明日の授業参観は行けそうにないです。」

 

「いや、お昼にお父さんが来ると迷惑だから来なくていいよ。」

 

娘はそういうと店をたたむため、外へ出て行った。

そうして、店の中には娘の言葉に更に落ち込んだ一人の可哀想な男だけが残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズズ……

 

朝、光が差す裏路地に真っ黒なモヤが現れそこから人が出てきた。

顔は黒いモヤで覆われており黒い霧が服を着たようにも見える。

そしてそれは何かを探すように裏路地にを歩いていく。

 

(全く、先生にも困ったものです。金髪のチョビヒゲを連れてこいなんて。もう少し詳しく教えてくれないと。しっかしここら辺は暑いですねぇ)

 

殆ど手がかりが無いまま手探りで探していく。

が、そんな状態で人など見つかる筈もなく、諦めて一旦戻ろうとした時、奥から数少ない手がかりに当てはまる人物が歩いて此方に近づいて来た。

 

「全く、いつまで経っても来ないから、この私自ら探しに来てしまいましたよ。」

 

「え、もしかして貴方が先生が仰っていた方ですか⁇」

 

 

 

 

「えぇ、そうです。私が『傲慢の罪(ライオン・シン)』エスカノール様だ。」




ちなみに仕事とは原作でオールマイトが初めて戦った脳無の試作型と戦う仕事です。(パンチ5発で壊れました)

あと、ネタが無いです。見たいシチュエーションなどがあったら教えて下さい。(書くかは分かりません)

質問や設定など聞いてくれたら考えてる限りであれば答えます。感想もお願いします。

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