かなり話が亀進行で申し訳ないです
「もう…あの下着は結構高いのよ!?しかも気に入ってたやつだったのに、まったくっ!」
「申シ訳ナイ・・・」
ルイズはプンプンと怒りながら部屋を出て、その後ろをションボリとしながら付いていくガンマの姿があった。
あの後何度か鞭でシバかれて怒られたが、ガンマが片腕でしか洗えなかったことと、素直に謝りながら反省してるところからルイズはなんとか許してくれた。 鞭で叩かれてもロボットであるためまったく痛くはないのだが・・・あまり彼女は怒らせないようにしようと気をつけることにした。
そうしてルイズと共に部屋を出た先に、廊下に並んであるいくつもあるドアの一つが開き、中から炎のように赤い髪をしたこの学院の生徒らしき女性が出てきた。
その女性はルイズよりも身長が高く、褐色の肌をしており、スラリとしたスタイルをし、胸の大きさもルイズと比べれば天と地ほどの差があるほど大きくブラウスのボタンを二つ外すほどである。
「おはよう、ルイズ。朝からご機嫌斜めね」
「…おはよう。キュルケ」
その女性に挨拶されるが、ルイズは顔をしかめていた。 自分のせいで不機嫌にさせてしまったのはたしかだが、どうもルイズの態度から見るとこの女性に対して違う不機嫌さが出ているようだ
「あなたの使い魔って言うのは、そのゴーレム?」
ガンマを指さし、バカにした口調で言った。
「そうよ」
「あっはっは! 近くで見るとほんとにへんてこな姿をしてるのね! すごいじゃない! 『サモン・サーヴァント』でこんな珍しいゴーレムを召喚するなんて、あなたらしいわ、さすがはゼロのルイズ」
「うるさいわね、こいつはただのゴーレムじゃないのよ!昨日召喚の儀式の時に喋ってたのをあんただって聞いてたはずでしょ!」
「ふふ、たしかに喋れるゴーレムだなんてとても珍しいわ。でもそんなゴーレムもあなたじゃ雑用くらいにしか使えてないんじゃないかしら? さっきの怒鳴り声からするとその雑用も上手くいってなさそうね」
「ぐぬぬ・・っ」
図星をつかれ、悔しそうにキュルケを睨みつけるルイズ。 そんな二人のやりとりを見ていたガンマは、どうやらこの二人はいがみ合っているが知り合いのようだと思った、このキュルケと言う女性は平然とした態度をしているのに、主人のルイズはやけに敵対的だ・・・二人の間になにかあったのかはわからないが、この女性も制服からしてルイズと同じ学院の生徒であり、同じ貴族のようだ。ならばちゃんと挨拶はしておくべきだろうと判断する。
「初メマシテ、ミス・キュルケ。マスター・ルイズノ使イ魔ニナッタ、E-102γ(ガンマ)ト申シマス。」
「!…へぇ、見た目によらず礼儀正しいのね。変わった名前だけど、それにちゃんと意思をもって人と会話が出来るだなんて驚きだわ」
キュルケは突然丁寧に挨拶してきたガンマに鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。 まさか命令もなしに自分から挨拶してくるとは思ってなかったようで、面白いものを見つけたかのようにガンマをじろじろと見る。
「キュルケに挨拶なんかしなくたっていいわよガンマ」
「あらルイズ、そんなつれない事言わなくたっていいじゃない。 こんな見たことないゴーレムに挨拶されるなんてなかなかないことなのよ? それに、このゴーレムの目のような部分なんて、まるで宝石みたいに綺麗だわぁ…」
キュルケはうっとりとしたようにガンマの緑のカメラアイに指をなぞらせ覗き込む。 このキュルケの行動の意味が理解できないガンマはどう対応すればいいのかわからず、ただじっとしているしかできなかった。
「ちょっと!人の使い魔に気安く触んないで!」
ルイズはそれが気に入らなかったらしく、ガンマからキュルケを引き剥がすように割ってはいる。
「あん、もうちょっとだけ見たかったのに・・。 でもまぁ、あなたのゴーレムが珍しいのはたしかだけど、どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」
キュルケがそう呼ぶと、キュルケの部屋から真っ赤な体をした巨大なトカゲが現れ、のしのしと歩いてくる。 大きさは虎ほどはあり、体からは熱気を放ち、尻尾の先にはゆらゆらと燃える炎がついていた。
「(・・・データニナイ生物)』
ガンマはフレイムをデータバンクで調べてみたが、やっぱり自分のデータにのっていない生物で、自分が居た世界には存在しないものだった。 たしかエッグマンのロボットでレオンと言う名のカメレオン型エネミーもこれくらい大きかったが、あれとは似ても似つかない。
「おっほっほ!その様子だとゴーレムのあなたも、この火トカゲが珍しいものだってわかるみたいね。」
「ボクガ居タトコロニハ、コノヨウナ生物ハ生息シテイマセン。危険ハアリマセンカ?」
「平気よ。あたしが命令しない限り、襲ったりしないから。」
「…これって、サラマンダー?」
ルイズは少し悔しそうに尋ねる
「そうよー。火トカゲよー。見て?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
「そりゃよかったわね」
苦々しい声でルイズが言った。
「素敵でしょ。あたしの属性にぴったり」
「あんた『火』属性だもんね」
「ええ、微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも、男の子はそれでイチコロなのですわ。あなたと違ってね?」
キュルケは得意げに胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返すが、悲しいかな、大きな木の実とまな板では勝負にすらなっていない。ルイズはそれでもぐっとキュルケを睨みつけた。かなりの負けず嫌いのようだ。
バチバチと二人の視線の間に火花が出ているような気がするが、ガンマは気にする様子もなく思ったことを口にした。
「・・二人ハ・・友達?」
「どこをどう見たら友達に見えるのよ!!あんたの目はどこについてんの!?」
「目…ココ」
「そういう意味じゃない!!」
自分の目を指差すが、ガンマが何気なくいった言葉がルイズの癇にさわってしまったようだ。その剣幕に後ずさる
そのルイズ達のやりとりを見てキュルケはクスクスと笑いを堪えている。
「ともかく、あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」
ひとしきり笑った後、そんなルイズをキュルケはにっこりと余裕そうに笑う。 そして再びガンマを見つめる
「ねぇゴーレムさん、あなたたしかガンマだったかしら?」
「ソウデス、ミス・キュルケ」
「あなた、ホントに人間のように喋れるのね…。今度いつか、あなたの住んでいたところの話を聞いてみたいわ」
「可能ナ情報デアレバ、オ話デキマス。」
「ふふふ…お話が聞けるその時を楽しみにしておくわね。 それじゃぁ、お先に失礼。」
そう言うと、炎のような赤髪をかきあげ、颯爽とキュルケは去っていった。サラマンダーのフレイムは一度ガンマにきゅるきゅると挨拶するかのように鳴いたあと、ちょこちょことキュルケの後を可愛らしい動きで追っていった。
キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握り締めた
「くやしー! なんなのあの女! 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! しかも人の使い魔に馴れ馴れしく…! ああもう!」
「・・・・マスター、ボクジャ・・イヤ?」
キュルケの使い魔自慢に悔しそうにしているルイズを見て、ガンマは自分では使い魔としてダメなんだろうかと思いルイズい問いかける。 先ほどルイズの下着をダメにしてしまったのもあって負い目を感じているようだ。
「うっ・・・べ、別にあんたが嫌ってわけじゃないわよ。アンタは喋れるし、珍しいし、言うこと聞いてくれるし、頑丈だし、馬よりも早く走れるし・・・・・・・・・・あれ?サラマンダーよりすごくない?」
改めて考えてみるとガンマのほうが見たことないほど希少な喋れるゴーレムで、自我を持って話せるし、主人に忠実ときてるんだから文句なしの使い魔といえるんじゃないだろうか? なんだかそう考えるとキュルケのサラマンダーを羨ましいと思ったのがバカらしくなってくる。 この普通のゴーレムと比べて弱そうな見た目以外なら使い魔としての条件を満たしてると言えてるだろう。
「…ごめんなさいガンマ、わたしだってあんたみたいな立派な使い魔が居るってことを忘れてたわ」
「気ニシナクテイイ。ソレニボクハマダ使イ魔トシテ立派トハ言エナイ、ダカラルイズノ役ニ立テレルヨウモット頑張ル」
「・・・あんたってホントに真面目なのね。ゴーレムとは思えないくらいだわ。」
ルイズは呆れながらもニコリと笑った。
「・・・トコロデ、ミス・キュルケハ 自分ノコトヲ『微熱ノキュルケ』ト言ッテイタガ、魔法ト関係ガ?」
「ええそうよ、魔法には属性があって、キュルケの場合は『火』属性の魔法が得意だから、それにちなんで二つ名が付けられるのよ」
魔法というものには種類があるのか・・・だとすると、『火』以外にも何種類かの属性が存在して、メイジそれぞれに得意の属性魔法があって、それによって二つ名が付けられるということか・・。
ガンマは新しい魔法の情報に興味が出て、もう一つ気になった単語をルイズに聞いた。
「デハ、ミス・キュルケガマスターニ言ッタ『ゼロ』ハ、マスターノ二つ名ナノダロウカ? 『ゼロ』トハドウイウ意味ガ?」
「・・・・・・・」
「・・・マスター?」
「アンタは知らなくていいことよ、さっさと行くわよ」
ガンマのその問いに答えることすらせず、何故かバツが悪そうに言い、食堂のほうへと歩き出す
「・・・??」
ガンマはわけがわからず、とにかくこの話題は打ち切り、ルイズの後を追うことにした。
――――後にガンマは、この『ゼロ』の意味を知ることになる
アニメネタもチラホラ