コメントなどを見るとガンマ好きな人が多くてとても嬉しいです
まだまだ序盤ですが、がんばって続きを書いていきます。
っというわけでやっとできた次の話です。
「あ・・・あんた、ゴーレムのくせに・・・喋れるの?」
やっとすこし落ち着きを取り戻したルイズは、恐る恐ると自分の使い魔である喋るゴーレムに話しかける。
「会話ハ可能。 タダシ、情報ガ不足シテイルタメ、十分ナコミュニケーション ガ 取レル期待ハ推奨シナイ」
「こ・・・こみゅにけーしょん??」
ルイズが使い魔の聞きなれない言葉と無機質な喋り方にとまどう中、生徒達はただのへんてこなゴーレムくらいにしか思ってなかったルイズの使い魔が突然話しかけてきたことで驚きを隠せなかった。
本来ゴーレムは明確な意思を持っているわけではなく、主人の命令通りに従う操り人形でしかない、それなのにこの使い魔は、ルイズの命令ではなく…自分の意思をもって言葉を話しているのだ。
「ただのゴーレムかと思ったら・・言葉を話すなんて!」
「ガーゴイルだったのか!?」
「でもこんな変なガーゴイルを一体どこのメイジが作ったんだ?」
「まぁゼロのルイズが呼び出した使い魔なら変なのは仕方ないさ」
生徒達がこの使い魔のことを変というのはあながち間違っているわけではない、ハルケギニアにいる土系統のメイジが作り出すゴーレムやガーゴイルは材質や形が違えど人に近い形をしているものが多い。 それなのにこの使い魔はここまで人間離れした姿をしているのだから変に見えるのは仕方がないのであろう。
ザワザワと生徒達が意見しあう中、ルイズは再度このゴーレムを上から下まで見ながら考え込む。
「(・・・会話ができるってことは、ガーゴイルか・・・自我を持った高位のゴーレムとかの可能性があるってことよね? 姿はあれだけど…神聖ほどではないにしろ、珍しい使い魔に違いないわ!)」
ルイズは自分が呼び出した使い魔が、ただのゴーレムじゃないと知るやいなや…その使い魔に対して毅然とした態度をとってご主人様としての威厳をみせようとする。
「あんた、まだ名前を聞いてなかったはね! 私の名前はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 あんたがこれから仕えるご主人様よ!覚えておきなさい!」
「初メマシテ、ボクノ名前ハ、E-102γ(ガンマ)。 ヨロシク、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 ・・・トコロデ、ゴ主人様・・トハ?」
ルイズが呼びだしたゴーレム…ガンマは、突然自分を新しい主人と言ってきたルイズに疑問の声をかける。
疑問に思うのは当然だ、ガンマは先ほど目覚めたばかりの上に自分のデータをスキャンしたところ、マスター登録は空欄のままなのだ。 エッグマンのマスター登録を解除してからはそれ以降・・・いや、自我に目覚めた時点で新しいマスターを持つつもりはなかった。
「イーイチゼロニ・ガンマ? ずいぶん変わった名前ね・・・まぁいいわ。 ご主人様っていうのは、私のことよ!私があんたをサモン・サーヴァントで召喚して、契約を交わしたからもう私の使い魔ってことよ」
「使イ魔…? 召喚シタ…?」
ルイズはルーンが現れている時点でガンマは自分の使い魔になっているとおもっているが・・・当の本人であるガンマはわけがわからなくて痛くないはずの鉄の頭を抱えそうになる。 召喚とはどういうことだろうか?それに契約を交わしたと言っていたが、情報が足りない以上このルイズという少女に理由を聞く必要があるだろう。
「ソレハ・・「あー・・ミス・ヴァリエール、失礼だが、彼と話をしてもよろしいでしょうか?」
ガンマが何かを言おうとしたところを、横から禿頭の男、コルベールがルイズに尋ねる。
ガンマの様子をみて自分が説明すべきと判断したようだ。
「え? あ、はい。どうぞミスタ・コルベール」
「ありがとうございます。 さて、たしか…ガンマ君でよろしいかな? 初めまして、私はこのトリステイン魔法学院の教師を務めるジャン・コルベールというものです。 君は見たところ自我をもったゴーレムのようだが、突然ここに連れて来られた上に目覚めたばかりで困惑しているだろう、もしよければ私が今の状況について説明してもいいだろうか?」
コルベールはガンマに笑顔で自己紹介をするが、内心は今まで見たことがない精密な構造をしている上に、自分の意思を持っているゴーレムのガンマに興味津々で興奮しそうになるが、なんとかそれを抑えて平静を装っている。
ガンマはこのコルベールという人物を見て、ルイズのような高圧的な態度が見受けられないところから、この人物なら話が通じやすいかもしれないと判断した。
「初メマシテ、ジャン・コルベール。 現在、ボクハ自分ノ置カレテイル状況ニ混乱シテイル。 説明ヲ求ム。」
「ええもちろん、まずここは・・・
――――――――《数分後》
コルベールの説明を聞き終え、要約するとこうだ。
ここはトリステイン魔法学院という貴族であるメイジを育てる魔法学校と言う場所で、ここでは毎年春の進級試験で召喚の儀式が行われ、サモン・サーヴァントという召喚魔法により召還を行ったメイジに一人につき一体の使い魔を得られるらしく、コントラクト・サーヴァントという契約のキスでその召喚した使い魔に使い魔のルーンが現れることでその者を従えられるというのだ。しかも呼び出されるものはどうやって選ばれるかは分からないらしい。
そして、今回の儀式でこのルイズと言う少女が召喚によって呼び出したのが……ガンマだというのだ。
「・・・・デハ、コノ左手ノ印ハ・・・」
ガンマは自分の左手にいつの間にか刻まれた使い魔のルーンをじっと眺める。そこには解読不能の文字が刻まれていた。
「ええ、それがガンマ君がミス・ヴァリエールの使い魔となったという契約の証です。彼女はこの春の進級試験に全てをかけて何度も召喚に失敗しながらも、やっと君を呼び出すことができたんだ、もしよろしければこのままミス・ヴァリエールの使い魔になっていただけないだろうか?」
「・・・・・・」
ガンマは一旦黙り、コルベールとルイズを交互に見る。
一度、今ある情報とさきほどのコルベールの情報を照らし合わせることにした。
魔法…という理解不能な力については不明な点が多いが、自分はここに召喚される前…たしかに一度壊れている。
それなのにこの召喚という魔法で、遠いところからこんなデータにない場所へ移動させ、ここまで体も記憶もまったく元通りに復元させたのだ。 本来ならば体が元通りだとしてもデータチップがすこしでも破損していれば修復したとしてもメモリーが欠けているはずだしデータログにも乱れがあるはず。
コアとなっていた動物の生命エネルギーの代わりとなる未知のエネルギーはその魔法と絡んでいるのだろうか?。再スキャンしたところ、左手にあるこの使い魔のルーンからも同質の未知のエネルギーが検出されている。
それらの考えを踏まえ、ガンマはある一つの答えをだした。
――――――――ボクハ、コノ ルイズ ト言ウ少女ニ、救ワレタ・・?
本当ならば、壊れた自分は今頃は沈み行くエッグキャリアとともに・・・海底の底にいるはずなのだ。
もう二度と会うことができないと思ってた・・・・会いたいと願った"友達"に会えるチャンスを・・・彼女は自分に与えてくれたのだ。
つまり彼女は自分にとって恩人いうことになる。 ならばガンマは彼女のために、ルイズがこの学院を卒業できるまで、友達に会えるその日まで、使い魔という任を受けることにした。
―――――かつて自分を助けてくれた、他人のために一生懸命になった友達のように。
そう思いガンマは、自分の中のプログラムにある空欄になったマスター登録に、ルイズの名前を入力した。
「(マスター登録完了。)・・・了解シマシタ、ミスタ・コルベール。 マスター・ルイズ ノ使イ魔ニナル事ヲ、承諾シマス。」
「おお!そうですか…感謝いたします。 よかったですね、ミス・ヴァリエール、ガンマ君は君の使い魔になる事を認めてくれたようだ」
「は、はい…ありがとうございます、ミスタ・コルベール」
ルイズとしてはこのゴーレムに自分の主人としての威厳を見せて従わせたかったのだが…ガンマ自身が自分から使い魔になることを認めてくれたならよしとするとしよう。
一方コルベールは、やっとルイズに使い魔ができたことで一安心し、時間も迫っていることだし待機していた生徒達へ声をかける。
「お待たせした、それでは皆さん!これで今年の春の使い魔召喚の儀式を終了とする!各自寮に戻って使い魔との親睦を深めるように!」
そう宣言し、コルベールも生徒達もフライの呪文を唱えて宙に浮かびだした。
「・・・飛ンダ・・?」
それを見てガンマは驚愕した。コルベールも生徒達もセンサーで確認したが、飛行ユニットらしきものをつけてもないのに、まるで当たり前かのように空を飛んでいるのだ。
いくら住んでいる地域も文化も違うとはいえ、ここにいる人間達はステーションスクエアの住人と同じはずだ。人間にそんなことが可能なのだろうか・・?っとガンマが思いながら、生徒達は白い城のほうへ飛んでゆく。
「ルイズ!お前は歩いてこいよな!」
「あいつ、フライはおろか、レビテーションさえまともにできないんだぜ」
「その不細工なゴーレムに運んでもらうんだな!」
「ルイズにはそのへんてこな使い魔がお似合いよ!」
何人かの生徒が振り返って、ルイズにむかってそう言いながら笑って飛んでいく姿をみながら、ルイズは悔しそうにプルプルと拳を握り締め、その生徒達を睨みつけていた。 そして今、その場に残されているのはルイズとガンマの二人だけとなった。
ルイズは諦めたように深いため息を吐く
「・・・マスターハ、飛バナイノデスカ?」
「っ・・今は疲れてるからやらないだけよ! さぁ、私達もかえ……うっ」
ルイズがズンズンと歩き出そうとしたが、途中でフラッとよろめく。 どうやら想像以上に疲労が出ているらしく、儀式が終わり気がすこしぬけたことで足にきてしまった。
だがそのまま倒れることはなく、とっさにガンマが左手で体を優しく支えてくれた。
「大丈夫デスカ?」
「こ、これくらい平気よ。 ……それより、さっきから気になってるんだけど、なんでアンタいきなり敬語口調になってるの?」
「ミスタ・コルベールノ説明ニヨレバ、ココハ上流階級ノ人間、ツマリ 貴族ガ中心トナッタ場所デアルタメ、敬語デ接スルベキト判断シマシタ」
ルイズはすこし関心したようにガンマのことを見る。自我があるとは言え、そこまでの知能は持ち合わせていないものと思っていたのだが・・・どうやらこのゴーレムは知能のほうも他のゴーレムよりは高いようだ。
「へぇ、ゴーレムのくせにちゃんと自分の身を弁えれるのね。 …でも、アンタは私の使い魔になったんだから、特別に私にはさっきみたいな喋り方で話すことを許してあげるわ。光栄に思いなさい!」
無い胸を張ってご主人様らしい振る舞いをするが、どうもこの使い魔の無機質な声での敬語口調に違和感を感じているらしいが、それはあえて言わないでいた。
「了解、マスター。 トコロデ、マスターカラハ カナリノ疲労ヲ検知、ムリヲセズ ボクガ目的地マデ、オ送リシマスガ・・」
「別にいいわよ、たしかにアンタはゴーレムだけど、そんな貧相な腕じゃ人一人抱えて歩いたら余計に時間が掛かるじゃない。 まぁ、どうしても運びたいって言うんなら…そうね、今飛んでいっているあの連中よりも早くつけるっていうなら話が別だけどね、どうせできないでしょうけど。」
少し意地悪そうに聞こえるが、いくら知能が高くても、このゴーレムはあまり力がなさそうだし見た感じでは動きも遅そうだ。 そんな使い魔に抱えられて行ったんじゃ日が暮れてしまう。
だがガンマはその要望に答えた。
「了解、彼ラヨリモ、早クニ目的地ヘ移動スル」
「はぁ? そんなの無理に決まって・・・ってきゃぁ!?」
ヒョイッ、とルイズの体を左手で抱っこするように抱える
「ちょ、ちょっとアンタ!降ろしなさいよ!恥ずかしいじゃn 「モードチェンジ」
「へ?」
ガシャガシャッ!と足を折りたたみ、足首についた車輪を地面につけて走行モードに変形する。
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!…っとガンマの腰についたマフラーからエンジン音が鳴り響き、ルイズはガンマの変化と突然の音と振動に慌てふためく
「な、なに!?なんなのこの音!一体何する気!?」
「シッカリ、掴マッテ」
「ちょ、ちょっとまって!!!」
そんな慌てるルイズを落とさないように抱えながら、スロットルを回した
ギュィィィィイイイイイーーーーンッッ!!!
「きゃぁぁぁぁぁぁあああああーーー!!!」
ガンマが走り出し、ルイズはまるで初めてジェットコースターに乗せられた子供のように大声で叫んだ
どうゆう原理で走っているかはわからないが、最初は馬よりも早いスピードで走るガンマにしがみ付きながら、風で綺麗なピンクの髪が乱れることも気にせず怖がっていたが、だんだんとそのスピードに慣れていき、周りの風景が次々と流れていく様をみて彼女はある種の感動のようなものが表れだした。
自分は魔法が使えず、他の生徒達がフライで空を飛ぶことで得られるであろう爽やかな風の流れをその身に受けられるのがとても羨ましかった・・・。
なのに・・・なのにこのゴーレムは、使い魔のガンマはなんと大地をまるで風のように走っているのだ! これで興奮しないわけがない!
そしてそんなスピードで走っていれば、前方に飛んでいた生徒達をあっと言う間に追い抜き、追い抜く瞬間生徒たちから
「え・・・」「うそ・・」っと、信じられないような唖然とした表情で、簡単に追い抜いていったルイズとその使い魔を見つめていた。
「すごい…すごい!すごいすごぉぉおおーーいっ!!!」
さっきまでの疲労はどこへやら、ルイズはまるで子供のようにはしゃぎ、キラキラと目を輝かしていた。こんな経験は、きっとハルケギニアにいるどんな名馬だろうと味わえないことだろう。
「ねぇガンマっ!もっと早く走ることってできるっ!?」
「可能。ダガ、ルイズハ大丈夫?」
「ぜんぜん平気!だから、もっと飛ばしちゃって!!」
「了解」
ルイズの命令を受け、さらにスピードを加速させた
「いっけぇぇぇええ~~~!!!」
さらに強い風がその身にかかるが、それでもガンマが主人を絶対に落とさないようちゃんと支えてくれていた。
一体いつぶりだろう・・こんなに感動を覚えたのは。 こんなに風が気持ちいいと思えたのは。
そう思いながら、今しがみ付いている自分の使い魔…ガンマへ視線をむける
「(ひょっとして私・・・すごいやつを使い魔にしちゃったのかも)」
―――そんな思いを持ちながら、一人と一体は草原を駆け抜けていった
ゲームではガンマはそんなに早そうなスピードはなさそうですが、ソニックほどではないにしろ、エメラルドコーストでループコースを走ったりレッドマウンテンの斜めになっている道を走れたりとかなりのスピードが走れるんじゃないかと想像してます。