ルイズアドベンチャー~使い魔のガンマ~   作:三船

1 / 30
初めまして、三船と申します。
ソニックアドベンチャーが大好きで(特にガンマ)ゼロの使い魔のクロスオーバーもののSSを読んでたら我慢できず思い切って生まれてはじめての小説を書いてみました。
お目汚しなると思いますが、楽しんでいただけれた幸いです。


ミッションー100:プロローグ

ザザー・・ザッ・・ザザッ・・

 

 

 

 

動けない体で、電子頭脳に激しい警告音が鳴り響き、砂嵐のような映像がカメラアイの視界に覆うように流れる。

もう映像を修復させるだけのエネルギーも機能もなく、ただただ・・静かにその乱れた映像を眺めていた・・ほんの数秒程度の時間が何故か何時間にも感じられるほど、落ち着いた様子でそれを眺め続けた。

暫くしたあと、乱れた映像が少しづつ直っていき、あれだけ酷かった砂嵐の映像が嘘かのように鮮明に映し出されていた。 …その映像には、可愛らしいピンク色の女の子が、こちらを見上げるかのように優しい笑みを浮かべ見つめていた

 

 

 

 

《……『あなたが本当に悪いひとでないのなら、今度会う時は友達よ!』…》

 

 

 

 

 

「・・・・エ・・ミー・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

ミスティックルーイン近郊の海・・・その海上には戦艦と言うには生易しいほどの巨大な要塞が浮かんでいた。

「超万能巨大空中戦闘要塞エッグキャリア」…悪の天才科学者Dr.エッグマンが己の理想都市エッグマンランドを建設するという野望をもって平和な都市ステーションスクエアを破壊しようとしたが、英雄である青いハリネズミ"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"によって破壊され、この海の上に墜落し…巨大空中要塞を誇ったその鉄の塊は今や少しずつ海底へと沈んでゆく定めとなっていた。

 

 

そして……そのエッグキャリアの甲板上の中央ドームに、激しい損傷を受け体の至る所から火花を撒き散らす一体の赤いロボットが倒れていた。

 

 

 

そのロボットの名は「E-102γ(ガンマ)」。

 

エッグマンが開発したE-100シリーズの2番めに造られたロボットで、先輩機体であるE-101β(ベータ)の余った予備パーツで造られた機体である。

最初は主人であるエッグマンにあまり期待されていなかったにも関わらず、想像以上の成果と戦闘能力を発揮しエッグマンを驚かし、数あるEシリーズの中でも評価が高くエッグマンから気に入られるようになった。 

 

 

だがガンマは、主人であるエッグマンの命令を絶対として忠実にこなすと同時に、自分の存在に疑問を持つようになっていた・・・

 

 

尻尾が生えたカエル捕獲任務のさい、同じ任務を受けた兄弟機であるE-103δ(デルタ)、E-104ε(イプシロン)、E-105ζ(ゼータ)は任務失敗によりエッグマンからお払い箱とされ、ガンマの目の前で兄弟たちが破棄されどこかへ消えていく光景・・

間違えて入った禁断の部屋で、無残にも体を分解され改造されていくベータの姿・・

 

次に会う時は友達だと言ってくれた、ピンク色のハリネズミの少女エミーとの出会い・・・

 

 

そのいくつもの境遇が重なりガンマは、

エミーの言葉と処分された仲間たちを思い出して自我に目覚め、

エッグマンのマスター登録を自力で解除し…散らばった仲間のEシリーズを倒すことで動力源となった動物を解放し助けることを決意したのだ。

 

 

 

――――――

 

 

 

 

「・・・エミー・・・・ボク・・ハ・・・」

 

 

バチバチッバチバチッと体に電流が走る。 もう喋ることさえ困難なほどに機能が低下していた

デルタ、イプシロン、ゼータを倒し、最後に残った改造されもう面影すら無くしたベータとの激しい銃撃戦のすえ、改造され強化されたベータによる最後の一撃をもろにくらった体はすでに限界が近づき、爆発したベータの中から小鳥が出てくるの確認し、飛び去る小鳥に振り返ったと同時に力なく倒れこんだまま動かなかった。 振り返る最後の瞬間、何かを思い出したかのように灰色の小鳥を見つめ、"自分がなぜあの小鳥に動揺したのか"・・・それがやっとわかった。

 

エッグマンのロボットである自分もまた、他のEシリーズと同様小動物の生命エネルギーを動力源として動いている。つまり、自分自身もまた解放されなければならないターゲットでもある、

だからベータによる最後の一撃はガンマ自身を破壊することで中の小動物を解放し目的が達成されることになる

 

 

もうすぐこの体は崩壊するだろう・・・しかし、感情を持ったガンマに後悔はなかった

 

 

 

 

……だが、その刹那

 

 

 

 

 

《……『お願い!助けて!少しでもこの子をかわいそうと思う気持ちがあるのなら』……『あなた…あなたは他のエッグマンのロボットとは違うみたい』……『ロボットさん…アナタ、そんなひとじゃないんでしょう?』……『今度会う時は友達って言ってたじゃない。この子もアナタの事、こんなに心配している。エッグマンの傍になんか居ちゃダメなんだからね』……

 

 

――――『ロボットさん!きっとまた会えるよねぇ!』…》

 

 

 

「・・・・ア・・・・アア・・・・ッ!」

 

 

 

 

もうすでに機能が停止してもおかしくないのに、ガンマのメモリーバンクにはエミーと会ったときの映像が、まるで走馬灯のように繰り返し流されていた。 

 

本当に短い時間だったが、それでも自我を持つことができたガンマには・・ただの戦闘ロボットでしかなかったガンマには、感じられなかったはずのエミーの言葉一つ一つが"ココロ"に染み込んでいくように感じられた。 

 

 

彼女の綺麗なピンク色の髪のように・・・包み込まれるような優しい温かさを。

 

 

映像に映し出された元気に笑う彼女に手を伸ばそうとするが、そこにいるはずのない彼女に触れれるわけがなかった

 

 

 

 

 

できるなら・・・許されるなら・・・もう一度、友達として彼女に会いたい。

 

 

 

 

 

そんな、些細な願いを思ってしまった。 だがそれは叶わぬ願いなのだとガンマ自身がさとり、最後の残りわずかなエネルギーを音声機能に回して もう届かないであろう、聞こえてなどいないであろう初めてできた友達に……最後の言葉を囁いた

 

 

 

 

 

 

 

「・・・サヨウナラ・・・エミー・・・・ボク ノ・・・  ト   モ   ダ    チ    」

 

 

 

 

 

 

 

 

カッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、ガンマの体からベータの時よりも爆発のような膨大な光が体からあふれ出した。 

ベータの中から解放された灰色の小鳥は、しばらく飛んだあと、ゆっくりと爆発したガンマのほうへ振り返る。

 

そこにはエミーが連れていた小鳥のペンダントにあった写真の三匹のうちの一匹である赤い小鳥が、

同じく三匹のうちの片割れである灰色の小鳥と再会しお互いが嬉しそうに喜び合っていた。 

 

 

揃った二匹は、別れてしまった最後の一匹を探すため、再び沈みかけたエッグキャリアのほうへと向かっていった。  

 

 

 

「・・・ピィ?」

 

 

ふと、赤色の小鳥は自分たちが押し込められていたロボットが居た場所を少し訝しげに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――そこにあるはずの、あるはずであろうガンマの残骸が・・・まるで最初からなかったかのように、消えていた。

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。

続きが書けれたらまた書こうと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。