衛宮士郎であり、衛宮士郎ではない   作:夢幻パンチ

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はい!
と言う訳で、岸波白野の人生をエクストラとしてやっていきます
ご都合上、第四戦をユリウスに変更。第五と第四を入れ替えてます。指摘が多々あった誤字は、今回念入りにチェックしました(絶対無いとは言っていない)

※前編と言っていましたが、前編消しました。ただそれだけ……


私と俺は……

彼との出会いは、突然だった

 

 

 

 

 

まだ諦めないと、心に誓い。周りには死体だらけ、私の身体も黒くなり始める。目の前の人形にやられ、身体中が痛く、立つ事も出来ない

 

此処は何処なんだろう?私は誰なんだろう?親は?友は?クラスの人は?何も、わからない

 

でも…

 

でも…

 

でも…

 

諦めたくなかった

 

「だって、私は、まだ何もしていない………!」

 

それは突然だった。遠くに見えるスタンドグラスにヒビが入る。痛かった身体の痛みは引き、身体が動くようになる。手の甲に痛みとともに宿る紋章

 

弾けるように割れたガラスとともに人影が私の前に立っていた

 

「……生きていたか。まだ立てるか?諦めないと、今も心の底から言えるか?」

 

目の前に立ってやっとわかった。男性だった。真っ白の肌と真っ白の髪。私は男の質問に答えた

 

「わからない。でも!ここで死ぬ訳にはいかない。私は、生きたい!」

 

「…………上出来だ。……会いたかったぞ。マスター」

 

これが私とバーサーカーの出会いである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの出会いから、私は命のやり取りをせざる得ない状態になった

 

聖杯戦争

 

128人のマスターとサーヴァントが願いを叶えるために、最後の一人になるまで戦う。バーサーカーと出会った後、桜に聞かされた事である。そして、さっきまで普通に学園生活をしていたのは予選で、仮想の世界だった。そもそもこの世界、この私もデータで、ここは月らしい

 

サーヴァントは本来、聖杯から情報が送られてくるらしいが…

 

「え?そんなん無いよ。ほら俺って野良だから。かっこよく言えば、サーヴァントユニバースですから」

 

私は困惑したし、運営側の桜も困惑していた。でも聖杯戦争のルールを知らなくて無知のサーヴァントに、自分の事を知らないマスターは何だかんだ相性がいいのではないだろうか?私が勝手に思ってるのだけど

 

私が困惑している中、バーサーカーは桜になんか怒られていた。突然いなくなるからビックリしただの、すまんすまんと言っている。二人は知り合いなの?と聞いたら、桜は涙目になりながら、勝手に保健室に住み着いたと言っていた。よくわからんが、バーサーカーが悪いことは確かなようだ

 

説明を聞いて改めて、どうしたらいいのかわからなくなった。願い?特に無いのだ。バーサーカーも特に無いと、強いて言うなら戦いたくない!と言っている。だが時は残酷に考える時間をくれない。私は実感も思考もままならないまま戦いへと挑むのだった

 

 

 

第1回戦

対戦者、間桐慎二

 

慎二は予選の学園生活で親友だった。鼻につく態度だが何処かに憎めない人だ。そんな慎二と、正直言えば、無理だ。勝敗云々ではなく、命のやり取りをするなんて、考えられなかった

 

「ほらほら!ちょこまか動いてばかりじゃ、勝負にならないよ!慎二。もっと魔力回しな」

 

「うるさいな!僕に指図するなよ!………でもいいかもしれない。ライダー。宝具でやっつけちゃってよ!」

 

「クッ、避けるのでやっとだっての……、レベル上げをサボったツケが回ってきたか」

 

バーサーカー。ごめん。私が変な指示出しちゃったから…

 

「まったくだ。まぁ体は大丈夫だ。鉄砲玉の何発程度なら余裕だサーヴァントだからな!それよか、怪我ないか?」

 

私は大丈夫

 

「……………………マスター。覚悟決める時だ。間桐慎二を殺す覚悟をしろ」

 

……慎二を殺す

 

「そうだ。都合良く、あっちは俺達を下に見てる。慢心ほど隙だらけな状態はないからな、慢心は王様だけの特権だ。一般人じゃただの弱点だ」

 

出来ないよ。慎二は親友で、それに負けたからと言って、本当に死ぬわけじゃないよね?

 

「じゃあ、負けて、死ぬか?何も知らないまま、何も得ないまま、人の死をゲーム感覚の相手に負けて、俺は死にたくないね」

 

やらなきゃ……、やられる……!

 

「そうだ。それでいい。レベリングはサボったが、さっき教会で青い方の赤ババァに強化してもらったからな、スキルを一個覚えたぞ。これは初見技だ。どうするマスター?死ぬなら、そのまま立ってな。だがまだ、生きると言うなら……、魔力を回せ」

 

「ライダー!これで終わりにしろ!」

 

「アタシの名前を覚えて逝きな。テメロッゾ・エル・ドラゴ!太陽を落とした女ってな!勝利も財宝も全部置いきな!」

 

「ッ!…………バーサーカーァァァ!」

 

「ああ、了解だ。てかなんでこのスキルを俺が覚えるのでしょうね?行きますか。固有時制御・二重加速」

 

この時初めて、勝利と言う物を味わったと思う。そして初めて、人を、友を、殺めてしまった……

なんとも味の悪い勝利だった。その時私はどんな顔していたのかわからない。でもバーサーカーは無表情だった。でもその無表情がどうにも頭から離れなかった

 

 

第2回戦

対戦者、ダン・ブラックモア

 

学園と言う空間に似合わない容姿。髭を生やし、見るからに騎士と言った感じの人だった。実際騎士らしいが、その戦い方は騎士道を貫き、正々堂々だった。バーサーカーに聞いたら

 

「騎士道?ワケワカメ。正々堂々?俺も正々堂々だよ。まぁ正々堂々と不意打ちはするけどね」

 

ダメだこいつ。正義を語ったグズだ

 

バーサーカーは最近、私が口が悪いと言うが、まぁそれは私が悪いのだ。慎二との一件で私にも余裕がなかった。バーサーカーがわざとらしく接してくれるのが、辛かった。でもマイルームでのバーサーカーのデリカシーの無さは、私も手が出てしまう

 

ダン・ブラックモア卿の話に戻るのだが、ダン・ブラックモア卿のサーヴァントであるアーチャーの攻撃により、私が毒に侵された時だ。三画しかない令呪を使って助けてくれた。それは彼が毒と言う方法が卑怯と感じたからだろう

 

「あーあ!負けた負けた!なんだよヘンテコバーサーカー。おたく毒効かないとかデタラメでしょ?」

 

「悪いな。あんまり覚えてないけど、生前から毒には耐性があるみたいでな」

 

「そうかい………、はぁ、てかおたくのマスター。覚悟が座って来たんじゃないの?うちの旦那と今話してますけど」

 

「ああ、ダン・ブラックモアの死は無駄にはならない。無駄にはしない。あいつは、マスターは、屍の上に立つ意味を理解してるよ」

 

「…………………そうだな。あの嬢ちゃんなら、大丈夫だな。じゃあなバーサーカー。ハッ、なんかおたくとは、また会いそうだ」

 

「おいやめろ。フラグ立てんな」

 

ダン・ブラックモア卿の戦いを終えて、私は気付かされた。私は屍の上に立っている。そう、願いを持った屍の上にだ。後悔してはならない。悲しんではならない。だってそんなことをしてしまっては、散っていった者達に申し訳ない。生きるんだ。生きて、私だけの光を見つけなければ……

 

 

 

第3回戦

対戦相手、ありす

 

次の対戦相手は、ありすと言う少女だった。10歳も満たない子供だった。前回の相手であるダン・ブラックモア卿とは真逆の相手だった。バーサーカーは彼女を見て、とても悲しそうだった

 

「…………立香。って誰だっけ?マスター知ってる?」

 

いや知らないし。立香とは誰なのか?バーサーカーとはマイルームで色々話すが、私の召喚ミスなのか、そもそも頭が緩いのか、バーサーカーの記憶には所々穴がある。穴があると言うか、あまり話したがらないみたいな感じだ。だが、嫁がいたとか娘がいたとか、話してくれるが本当だろうか?性格的に結婚したくないサーヴァント1位だと思うよと言ったら、真顔で泣いていた。何か不備があってはいけないので運営に聞いた所

 

「すまないな少女よ。そのサーヴァントはムーセルとは関係の無いサーヴァントでね。我々も処遇に困っていた。だが、自身を知らぬマスターに、正体不明のサーヴァント。お似合いではないか?」

 

神父が仕事しない。バーサーカーはこの神父さんをマーボーと呼んでいたが、マーボー?麻婆豆腐の事か?いかん。お腹が減ってきた…

 

話がまた脱線してしまった。ありすのサーヴァントはキャスター。その能力なのか、ジャバウォックと言うエネミーを出したり、記憶があやふやになる空間を作ったりと、先の二組とは違う意味でタチが悪い。記憶も無く、名前しか覚えてない私がザビエルにワープ進化する所だった

 

「ザッビザッビにしてやんよ♪う、記憶が!生前年収二億の俺が半ニートの様な記憶にすり替えられている」

 

黙れダメ人間。バーサーカーはどうやらこう言った事には鈍感らしい

 

「……………あれ?からだが、動かないよ私……」

 

「ええそうよわたし。遊びはおしまい。お姉ちゃんにバーサーカー。わたしと、ありすと遊んでくれてありがとう」

 

生きる為だと、ありすとキャスターに勝った私。私はこの時、どんな顔をしていたのだろうか?彼女達は果てしなく無垢だ。この残酷な聖杯戦争を、遊びと認識していた。そう思うと、どうしようもなく、胸が苦しかった。心では同情はダメだと決めていた。でもバーサーカーは、していいと言ってくれた。優しさあっての人間だと、人間である事を忘れては駄目だと、この言葉に私は涙が出てしまった

 

 

 

 

 

次の相手、とはいかなかった。セラフの処理が追いついていないのか、言峰神父より休みだと言われた。だが棘のように体を刺す雰囲気があった。凛とラニだった

 

二人は先の戦いにおいて、何だかんだ手伝ってくれた者達だ。私はそんな二人が戦うことなんて、考えたくなかった。バーサーカーは休みと聞いて、原作だの漫画だの言って頭を抱えている。病気ではないかと桜に聞いたら

 

「ああ、バーサーカーさんですか?大丈夫ですよ先輩。病気なので」

 

どうやら大丈夫のようだ

 

「二人とも酷くない?もっと優しくしてよ」

 

することもないので、学校を探索していたところ、ユリウスと出くわした。ユリウスはレオと言う優勝に一番近いとされる男の兄だ。私も何度も殺されかけた。彼はレオを優勝させるために参加者を殺めてまわっていたからだ。バーサーカーが居たから助かったが、居なかったらと思うだけで鳥肌が立つ

 

そんなユリウスなのだが、神妙な顔で出てきた部屋。視聴覚室と書いてある。中に入ると映写機が動いていた。そこに映された映像は凛とラニが戦っている風景だった。どちらも巧みな戦術で私には絶対に無理だと思った

 

「無理でしょ。お前があの二人みたいに?ブハハハ!ガハッ!」

 

おっと手が出てしまった。だが恩人の二人だ。正直言って争って欲しくない。戦場は一変した。凛がラニを押し始めた

 

ラニも焦りの色が見られる。だがラニがカードを切った。令呪だ。そして発動したのは自爆だった。このままではどちらも助からない。私は…

 

「………マジか。マジだよな。なぁ、鏡とか持ち歩いてる?いやそこまで女子力ないよなぁ。顔に書いてるぞ助けたいって」

 

バーサーカーに言われて、ハッとなった。どうやら私は彼女達を助けたいらしい。でもどうすればと思っていたら、バーサーカーは無言で令呪を指した。そうか令呪!

 

「と言いたいが、俺には令呪効かないのよ」

 

な、なんだと?

 

「正確には、命令系統だがな。その令呪にはちゃんと俺とのパスが繋がっている。令呪を発動し、俺に一時的に魔力を回してくれたなら…、まぁ行き帰りだけなら余裕だ」

 

じゃそれで、おねがいします。いつも頼りないバーサーカーが心なしかイケメンに見える

 

「ただし!ただしだ。魔力量はえげつないぞ?まず行きで立つこともできなくなる。そしてあちら側で戦闘がある。後は言わなくてもわかるよな?」

 

…………行こう!バーサーカー

 

「…………馬鹿だよお前は。だが、それでこそ岸波白野だ。で、どっち助けるの?」

 

え?二人ともだけど

 

「………お腹痛い。ちゃんと保健室行くな?」

 

令呪をもって命ずる!

 

「わかったよ!助けますよ!……………はぁ、マジですか?腹くくるか、さてこれだけ魔力があれば真名は無理でも使えるだろ。起きろ鞘よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果

ふたりとも助かった

 

私が目を覚ましたのは保健室だった。目を開ければ呆れた顔の凛と、心配そうにしている桜がこちらを見ていた。私の隣にはラニが寝ているのがわかった

 

バーサーカーと共に凛とラニの試合に乱入して、自爆しようとしているラニにバーサーカーが拳を放ち、自爆は治った。だが、ラニの契約するサーヴァントは暴走を始めた。魔力が少なくなる一方で私の意識も薄れていく、凛は私達に驚きはしたが冷静に令呪を使い離脱した。後は私達だ。私がラニに近づき、安全を確保した。後は離脱するだけだ。だが私はここで意識が途絶えた。最後に見たのは、私のバーサーカーの後ろ姿、そしてラニのバーサーカーが倒れているところだった

 

保健室までは先に離脱した凛が助けてくれた。話によれば私もバーサーカーも、白目剥いて、口から泡を吹き、とれたての魚の様に痙攣してたらしい……、しかしバーサーカーの、あの鞘。あれは何だろう?鞘を持った英霊なんて、無知の私でもわかる。アーサー・ペンドラゴンぐらいじゃないだろうか?でもあのバーサーカーが、かの有名の騎士王なんて考えたくない。私の理想の王子様が崩れてしまう。え?騎士王は女?またわけわからんことを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4戦

対戦者。ユリウス

 

ラニを助けた後、私の次の対戦者はユリウスだった。ユリウスのサーヴァントはアサシン。霊体化ではなく姿が見えないサーヴァントだった。姿が見えないので対処のしようがなく。アサシンはマスターである私を狙って来た。それを庇いバーサーカーがダメージを負ってしまった。どうやら回復とかで治せる類ではなくバーサーカーの調子も良くない。だがアサシンはバーサーカーについて驚いていた

 

「ほぉ、ユリウスよ。こやつ、死に耐性があるようだぞ」

 

と、漏らしていた。死に耐性とはいったい?そんなことよりだ。あれからバーサーカーの容体が良くない。どうしたらいいのかもわからない。いつもは、ダルいだの、マイルームで籠ってようぜとか、言っている人が、経験値稼ぎをしようと言い出すのだ。この人はピンチの時だけ、人に気を使う。私もこの人に何かしてあげたい

 

「…………ふぅ。マスター大丈夫だ。今のままではアサシンにやられてしまう。相手は即死持ち。生憎相性はいい、俺はそう言った物は効かないのでね。よし経験値稼ッグフ!な、何するんだ………!や、休め?言うにしたって、やり方があるだろうが、死ぬかと思った」

 

ラニに相談したら、どうやら魔術回路にダメージを負ったようだ。ラニと話している声を聞いたのか凛までも力を貸してくれると言ってくれた。借りを返すだと言っていた。バーサーカーを二人に見た

 

「……………Ms.遠坂」

 

「……………あー、そう言うこと?白野。これは私達には無理みたい」

 

どう言うことだろ?

 

「簡単に言えば、彼は普通のサーヴァントではないのですよ。この電脳空間。聖杯によって召喚されたサーヴァントばかりですが、これは少々予想外です」

 

「あんた。ちゃんと契約したの?これはユリウスの襲撃以前の問題ね。襲撃受ける前から令呪が魔力送る以外に機能していないのよ」

 

…………………そういえば、教会のアオザキ姉妹も、霊基弄るときに微妙な顔してた

 

「と、言うことで魔術回路を治しなさい」

 

ん?誰が?

 

「「あなた/あんたが」」

 

私ですか?私ウィザード初心者何ですが?

 

「簡単よ。魔術回路を一旦切って、また繋ぎ直すのよ」

 

は、はぁ

 

「Ms.遠坂。白野さんは全然わかってないですよ」

 

「まぁそこはバーサーカーが知っているから聞きなさいな。さてととりあえず保健室かしら」

 

「いやだー!魔術回路修復って、あれでしょ?どっち?PC?アニメ?俺には嫁と娘がいるんだー!」

 

あれ?でも記憶ないって…

 

「そうなんだよ。覚えてないねん。畑ばかり作っていたから、な!」

 

「じゃあ行くわよ」

 

「了解です」

 

「待って!まだ心の準備が……!で、電気は消してよ?恥ずかしいし」

 

「乙女か!」

 

 

結果

 

 

 

 

治りました。まさかあんな展開になるとは……

 

「あれ?相性が良い?…………なんか覚えがあるような」

 

と、バーサーカーは言っていたが、どうやら私達は相性が良いらしい。バーサーカーが凛やラニとこんな展開になったら、どうなっていたのだろう?無性に腹が立って来たので、元気になった体に一発殴ってやろう。それよりもさっきからバーサーカーが顔を合わせてくれないのだが…

 

「お、おま!ふざけんなし。なんで普通なんだよ⁈神経バーサーカーか!」

 

バーサーカーはあなたでしょ?まぁバーサーカーだし良いかなって

 

「………………………ズリィはそれ。イケメンすぎるでしょ」

 

そして、あれから元気になったバーサーカーと凛、ラニとでユリウスのサーヴァントアサシンの姿を破った。そしてやる事をやり、経験値もだいぶ付いた。だがまだ決定打に欠ける……。最終日にして、凛やラニに今のままではアサシンに勝てないと言われた。悔しいが私もそう思う。バーサーカーは拳を使った戦いをする。素人のような突きでは、武術を用いているアサシンには到底届かないだろう。教会で作戦会議をしているがいい案など浮かばない。だがバーサーカーが建てた作戦ならユリウスに勝てる確率がある。だから私はバーサーカーを信じる

 

 

 

 

「ガハッ!くぅー、おお!」

 

「カッカッカッ!儂も二の手要らずとはよく言ったものよ。ユリウス。こやつ、三十発は儂の拳を受けているぞ?」

 

「いい加減にしろアサシン。………岸波白野、貴様もだ。さっさと令呪を破棄し、ここで朽ちろ」

 

「…………………」

 

現在。アサシンにサンドバッグになっているバーサーカーを近くで見ている。ユリウスは遠くで傍観している。バーサーカーが弱いと見て、アサシンに好きにさせているのだろう。アサシンは私を狙わず、バーサーカーと一騎打ちをしている。先ほども言ったが素人のバーサーカーの攻撃は一度も当たらない

 

「ブッ!」

 

顎にモロにくらい。血飛沫をあげるバーサーカー。痛々しく。見るに耐える。でも彼は立ち、またアサシンに立ち向かう

 

「ま、くらっとけ!チッ、グ、ガッ!」

 

何度も

 

「ま、まだ、だ」

 

何度も

 

「…………………あ、ぉぉぉぉぉ!」

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……!彼がこれほど必死になっているのを見たことがあるだろうか?彼の白い髪は血で真っ赤になり、頬は腫れ、目からも流血が出ている。それでも、彼は立った

 

「……ッ!アサシン!いい加減にしろ。さっさと蹴りを付けろ」

 

「………………眼は死んでおらずか、その身のこなし、その雰囲気、おぬしは英傑ではないな。だが、その眼だ。その眼は間違いなく英雄の散る間際に見せる眼よ。ユリウスも痺れを切らしたか、ふむ。終わりにするか」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。バーカ。英傑?英雄?はっ、笑わせん、な。生憎そんな、かっこいいもんじゃねぇよ。俺は、…………そうだよ。思い出したよ。俺がたたかう理由なんて、最初から決まってる。それは死んでも、記憶がなくても、変わらない!それが!俺だ!」

 

「よく言った!見事。逝ね!」

 

アサシンの、今までの攻撃より遥かに強烈な一撃がバーサーカーの顔に入る。確実に殺す一撃

 

「ッ!バーサーカー!」

 

私も思わず叫んでしまった。ついこの間まで苦しそうだったのに、彼はこんなに頑張っているのだ。だから私も………

 

 

 

 

礼装の剣を持ってバーサーカーの元に走った

 

そしてユリウスは気づいた。私がなぜバーサーカーの近くに居たのか、バーサーカーは攻撃を受けながら、アサシンとユリウスを遠ざけたのか、気づいた時にはユリウスはアサシンの元に走った

 

「バーサーカーのマスター?ッ!貴様⁈」

 

「捕まえたぞ。はっ、アサシン……!」

 

最後の一撃をくらい。倒れたはずのバーサーカー。私が走ってくる瞬間。アサシンの意識はバーサーカーから離れた。その瞬間アサシンをバーサーカーが掴む

 

「……逆しまに死ね!偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)!」

 

地面から黒いモヤが二人を包む。そして弾けた。一度もダメージを負ってないアサシンは、バーサーカーとともに倒れ伏せた

 

「クッ!写し身の技か⁈………おぬし正気ではないようだの?このダメージ、儂でも立てぬわ」

 

「……………」

 

技を放って意識を無くしたバーサーカー。あとは私が……

 

『はぁ⁈そんなの作戦じゃないわ。自殺よ』

 

この作戦はバーサーカーが考えたと言ったが、バーサーカーは乗り気ではなかった

 

『私も、賛成しかねます。もしバーサーカーの体力とアサシンの体力に差があれば、意味をなしません』

 

散々反対をされたが、私がやると言ったのだ。現にバーサーカーはアサシンが確実に倒れるまで頑張ったのだ。死ぬ一歩前、だから私が、アサシンを殺る

 

「娘。ぬしのサーヴァント。実に見事だ。ほら、早く殺らぬか。ユリウスが来てしまうぞ?」

 

倒れたアサシンに馬乗りになり、剣を構える

 

動け!

 

動け!

 

殺らなければ、バーサーカーが頑張った意味がなくなる。慎二を、ダン・ブラックモア卿を、アリスを殺めた。ラニ、凛、桜が助けてくれたじゃないか。私は生かされているのだ。だから生きなければならない。ここで死んではならない!

 

「ああぁぁぁぁぁぁ!」

 

剣を振り下ろす

 

でも、それは止められた

 

 

 

 

「………バーサーカー?」

 

「………いい。白野。もういい。俺が、俺がやる」

 

バーサーカーだった。先程まで意識を飛ばしていたバーサーカーが優しく、私から剣をとる

 

「カッカッカッ!アハハハハハ!動いたか⁈立ったか⁈英雄ではないとぬかしておきながら、おぬしはまだ、その眼で儂を見る。見事としか言いようがない」

 

「………ここで行かなかったら、………悔いが残っちまうからな」

 

アサシンの心臓に剣が刺さった

 

 




岸波白野
原作同様に予選を過ごし、戦いに巻き込まれる。死ぬ間際にバーサーカーと契約する。マイルームにて、バーサーカーのデリカシーのない発言で凶暴化してしまう


聖杯戦争の準備中に、宇宙より飛来したバーサーカーに保健室を占拠される。3年程一緒にいた。迷惑だの何だの言っているが、内心楽しんでいた

バーサーカー
ヒロインXと別れた後、宇宙船と言う乗り物にも呪いが発生し、ブラックホールに飲まれる事故が起こって、時間系列の違う月に墜落。保健室に住み着き、予選の風景をボケーっと眺めていた。本戦間近で岸波白野を追って契約する。野良のサーヴァントなので、聖杯のバックアップが無く、青崎姉妹に適当に関連スキルを付けられる。ちなみに、座に長く居たため、記憶が曖昧で嫁と娘の存在はわかるが、思い出がほぼ無い。原作知識は毎秒更新されるので岸波白野は原作の岸波白野として認識している

青崎橙子
なんだあの面白サーヴァント?サーヴァント適正がほぼ無い?
よし魔改造していいだな?

トワイス・H・ピースマン
見たことのないサーヴァントを見つける。笑みがこぼれる



舞台裏

ネロ「来た来た。うむ、やはり奏者は余を選ぶだろうな。あー、あー、喉の調子は良いようだな」

タマモ「セイバーさん。意味が無いですからやめといたほうが良いですよ?御主人様は、私を!タマモちゃんを選ぶので♪」

ネロ「キャス孤か…、やはり頭がおかしいようだな?さぁ座に帰れ」

タマモ「やはりとか言いやがりましたよこの人⁈あーあーセイバーさんを選んでも、音痴の歌ばかり聞かされるんですかねぇ?」

ネロ「む?やはり喉のコンディションが悪かったか?」

タマモ「喉の問題じゃあねぇですよ!」

エミヤ「(気まずい。…………む?あれは)」

俺「…………上出来だ。……会いたかったぞ。マスター」

ネロタマ「「あ」」

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