CODE:BREAKER -Another-   作:冷目

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今回から『捜シ者』篇の中盤となります
様々な謎が解き明かされていく部分なので上手く書けたら……と思っています
そして気づいたら本編も30話……まだまだですね
もっと増えるよう頑張ります!
それでは、どうぞ!





『捜シ者』篇 中
code:30 動き出す敵


 「きゃあぁぁぁぁぁ! 人殺しぃぃぃ!」

 「と、通り魔か!? 逃げろ!」

 まだ人が往来する夜の街に悲鳴が響き渡る。怯える人々の視線の先は、細切れにされた腕や体と夥しいほどの血にまみれていた。何があったのかはわからない。だが、わからないからこそ「次は自分かもしれない」という不確かな恐怖が人々を支配していた。

 しかし、そんな異常な状況でも騒動の中心人物たち……犯人たちに向かう者たちがいた。

 「待て、お前たち! 殺人罪で現行犯逮捕する! 逃げようとすれば撃つぞ!」

 拳銃を手に犯人たちを取り囲む者たち。ちょうど近くを巡回していた警察官たちだ。彼らは犯人たちを全方向から取り囲み、全員が一斉に銃口を向けていた。その様子を見て、逃げていた人々から少しずつ歓喜や希望の声が上がる。状況は犯人たちにとって圧倒的に不利。「自分たちは助かる」という安心感が生まれつつあるのだ。

 だが、当の犯人たちはというと──

 「雪比奈。時間はあるのか?」

 「……あまり無いな」

 「じゃあ、アレ(・・)YO()アレ(・・)で決めちゃ()

 犯人たちは自分たちに大量の銃口が向けられているというのに平然と相談し合っていた。彼らの表情に焦りや恐れは一切感じられない。まるで拳銃などまったくの無力(・・・・・・・・・・・)とでも言いたげに。

 「おい! 何を話し合っている! どんなにあがいても逃げることなんて──」

 「せ~NO()

 詳しい会話の内容までは聞き取れなかった警察官たちは逃げるための相談をしていると判断し、大声と共に改めて拳銃を構える。すると、そんな警察官たちとは打って変わって調子の良い声が響き、犯人たちは一斉に動いた。

 「ジャ~ンケン……PON(ポン)!」

 「……は?」

 突然のことに警察官たちは言葉を見失う。はっきり言って意味がわからない。犯人たちは逃げ道を塞がれ、拳銃を向けられているというのに……「じゃんけん」をしだしたのだ。そして……

 「……グーだ」

 「……オレもだ」

 「日和はPA()ー。だから……YATTA(やったぁ)~! 日和の勝ちー!」

 「……どうでもいい。早く済ませろよ」

 勝敗は一回でついたらしく、一人勝ちした犯人の一人である少女は両腕をぶんぶん振って喜びを表していた。それに対してあとの二人は悔しがる様子も無く、静かにその場で腕組みをした。

 警察官たちは意味がわからず、拳銃を構えたまま彼らに問いかけた。

 「お、おい……。さっきから何をやっているんだ?」

 「()? そんなの決まってるでSYO(しょ)?」

 警察官からの問いを聞き、少女はポカンとした表情をしたかと思うと、笑顔で答えを口にした。異常な答えを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おぢさんたちを誰が殺すか決めてたNO()! 日和CHAN(チャン)ゲットだYO()☆」

 「な……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わず耳を疑った。「この少女は何を言っているのだろう」というのが本心だ。完全に追い詰められ、よく見るとまったくの丸腰である目の前の少女は、平然と「自分たちを殺す」と言ってきた。そして、少女はスッと左手を警察官の一人に向かって伸ばした。

 「大丈夫! 心配いらないYO()? ちゃんと痛い思いするように(・・・・・・・・・)殺してあげるからSA()!」

 瞬間、少女の周りに無数の球体が現れた。警察官たちは何が何だかわからず、次々と怯えた表情に変わっていく。そして、まるで自分の身を守るかのように拳銃を前に出す。

 「と、止まれ! 抵抗したら撃つぞ! おど、脅しじゃないぞ!?」

 「……あ。最後におぢさんたちに教えてあげるNE()? 何もできないくせに日和たちの邪魔しちゃダメなんだYO()。だって日和たちは……」

 「待──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『捜シ者』を守る……『Re-code』なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な……んだコリャァァァァァァァ!」

 「だから言ってるやろ。ここがオレの住処やし」

 一方、大神たち(特に刻)は衝撃の事実にただただ驚いていた。マイペース、自由奔放、何を考えているかわからないという超自由人の遊騎。その彼が……

 「社長(・・)! もうすぐお食事の準備ができます!」

 「あんがとな。けどもつ(・・)食ったからそんな食わんかも」

 「ガチなのかヨ……。ガチで……遊騎が社長なのかヨォォォォォ!」

 刻の悲鳴に似た叫びが遊騎の住処に木霊する。信じられないような豪邸を住処と言い、何十人というメイドや召使に「社長」と呼ばれる現実。もはや信じるしかなかった。

 遊騎は……正真正銘の社長である。

 「し、しかもコレ……ただの中小企業の社長とかじゃねーよナ。遊騎の名前聞いた時にもしやと思ったケド……まさか、遊騎が社長やってるのって……」

 「そのまさかのようですよ。玄関にマークがありました。どうやら遊騎が社長を務めているのはその名の通り「天宝院グループ」。玩具からIT関連、株などの投資事業までこなすかなり大手の複合企業(コンツェルン)です」

 「嘘ダ……」

 想像はしていたが、信じたくないほど大企業の名前が出てきたことで刻は完全に言葉を失った。だが、彼はこれからさらに遊騎の意外な一面……驚異の社長っぷりを経験することになる。

 

 

 

 

 

 (1)食事

 「ま、松坂牛にフランス産フォアグラ!? 幻の鮭の鮭児に……ロシア産ベルーガのキャビア!? と、とんでもねー高級品ばかり……。味は……う、美味過ぎる……! 間違いなく最高品質……!」

 「たかがチョウザメの卵の缶詰で何を感動してるんですか。こんなものいくら食べても腹の足しになりません」

 「むぅ……。美味しいのだが、少しくせのある味なのだ」

 「所詮、オレたち庶民にはわからん味ってことだ」

 「これとりゅふ(・・・・)やったっけ? 美味いけど匂うわ。やっぱ腐っとるで、コレ。まー、もつ(・・)とりゅふ(・・・・)も同じくらい美味いわ」

 

 

 

 

 

 (2)仕事(アイデア)

 「……あ、思いついたわ。加齢臭が気になる中年キノコの『鳥布(とりゅふ)さん』。48歳や」

 「おお! 社長がキャラクターグッズの新企画を! 他にないシュールさ……ヒット間違いなしだ! 大至急社員を集めるんだ!」

 「オモチャ部門はアイデア一つでここまで動くんですね」

 「それだけ実績があるってことだろう」

 「遊騎君はすごいのだ」

 「……へ、へっ。しょ、所詮は思いつき(・・・・)だロ? それくらいで社長なんか務まるわけねーヨ……」

 

 

 

 

 

 (3)仕事(株)

 「ちなみに株もオレがやんねん」

 「十台以上の画面を同時に見て一度に取引するんですか」

 「しかも画面一つ見ても稼ぎ方が尋常じゃないな」

 「株はよくわからんが……とにかく遊騎君はすごいのだな! 遊騎君、パソコンはやり過ぎると目に悪いから気を付けるのだぞ」

 「か、株なんて運だシ……。たまたま……たまたま運が良かっただけだって……」

 

 

 

 

 

 ((止め))知識

 「やっぱ必要なのは頭脳! 本当に頭が良い奴は偏差値70越えの閉成学院高校に余裕で入っちゃったりするワケよ!」

 「家が近いから入ったのではなかったのか?」

 「……そういえば天宝院グループの天才社長は弱冠12歳でイギリスの名門であるケンブリッジ大学を飛び級(スキップ)で卒業したはず。それって遊騎のことですか?」

 「だとしたらここ数年の話だが……。そうなのか? 遊騎」

 「だって……勉強キライやし。はよう卒業したかってん」

 

 

 

 

 

 (結果)惨敗

 「せやけど……『にゃんまる』にはまだまだ追いつけんのや」

 「あなたは一体、何を目指しているんですか」

 「もはや遊騎の中の『にゃんまる』は神と同等なんだろうな……」

 「……ワフ」

 「ほら、刻君。『子犬』も肩を叩いて応援してくれているぞ。心配いらん。刻君には刻君の良いところがあるのだ。私はそれをたくさん知っているぞ」

 「慰めるなヨ! 余計に悲しくなんだろーガ! そして『子犬』! テメーに応援される筋合いなんてこれっぽっちもねーからナ!」

 プライドがいたく傷付けられた刻の叫びが夜の空に消えていく。よく見ると、空には今の刻のプライドのように欠けた三日月が夜道をほんのりと照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ZZZ……」

 それから数時間後。大神たちは体を休めるため少し広めのリビングルームに移動した。遊騎は壁を背に座り、頭を床につけ大股開きの状態で眠っていた。大股開きのため両足の間から、目を開けたまま寝息を立てる遊騎の顔がしっかりと見えていた。ちなみに、他のメンバーはソファーに座ったり窓から外を見るなど自由に過ごしていた。

 そんな中、桜は浮かんだ疑問について大神に尋ねた。

 「……しかし、遊騎君が社長をやっているとは驚いたな。『コード:ブレイカー』は『存在しない者』と聞かされていたから、皆、人目につかないように生活しているのだと思っていたが」

 「『コード:ブレイカー』だということがバレなければ何をしていても構わないんですよ」

 「だとしても、社長っていうのは意外だがな」

 『コード:ブレイカー』の意外な事実について話す桜と大神、優も視線を外に向けながらその会話に入ってくる。だが、桜の中では驚きよりも感心の方が強かったらしく、遊騎に視線を向けて彼に賞賛の声をかけた。

 「そうですね。でも、社員の皆さんも遊騎君を信頼しているようでした。遊騎君、社長と『コード:ブレイカー』の仕事を一緒にやるのは大変だろうが、頑張って──」

 と、言葉の途中で桜は思わず目をパチクリさせる。目の前に見える異様な光景を目にしたことで。

 「テメーをブッ倒してオレのアイドルの座を死守してやる……!」

 「と、刻君?」

 先ほどの出来事でプライドを傷つけられた刻が、『磁力』で部屋にあった像などを操り遊騎にぶつけようとしていた。その姿からはかなり本気の殺気が感じられ、無防備に眠っている遊騎に容赦なくその殺気をぶつけていた。

 すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 「は……っくしゅんっ!」

 「ドワァァァァァ!」

 遊騎がふいに出したくしゃみが『音』の異能により音波と化し、『磁力』で操っていた物もろとも刻を反対側の壁まで吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まったく……。遊騎、そんなとこで寝てるからだ。寝冷えするぞ」

 「仕方ないですね。このシーツでもかけてやってください」

 「少しはオレの心配もしろヨ! そして遊騎! 寝ながら異能使ってんじゃネー!」

 吹き飛ばされ刻よりもくしゃみをした遊騎の心配をする優と大神。自分に対する扱いの雑さと遊騎の滅茶苦茶っぷりに刻は怒りを露わにしたが、優と大神には無視され、肝心の遊騎はまだ寝ていた。その様子を見て無駄だと悟ったのか、刻の感情は怒りから諦めへと変わった。その証拠に、彼はため息をつくとポケットから煙草を取り出して火を点けると、近くにあるソファに深々と腰かけて呟いた。

 「ったく、そーいうとこらしいっちゃらしいけどナ。金・地位・才能・運・学歴……何の苦労も無しに何でも手に入れる……。ホント遊騎らしいゼ。ただのワガママ大王のクセによ……」

 大企業の社長としての財力、その地位を失わないほどに備わっている知識と技量、『コード:ブレイカー』としては唯一無二の異能。誰もが羨むほど恵まれた環境に囲まれており、本人もそれをほどほどに享受している。遊騎のような生活こそ「幸福」と呼べるのだろう。そんな何でも叶う環境だからこそ、遊騎のワガママ(・・・・)も出てくる。まさに羨ましい限りである。

 「……もっとらん」

 しかし、他人がいくらそう思っているからと言って──

 「遊騎君? いつの間にか起きて──」

 本人もそう思っているとは限らない。

 「……本当に欲しいものは何ももっとらん。友達もおらん」

 「……遊騎?」

 いつの間にか起きており、今までとはどこか雰囲気が違う遊騎の言葉に思わず刻は「どうかしたのか」と言わんばかりに彼の名を呼んだ。大神と優も遊騎の言葉に思うところがあるのか、神妙な表情になっている。すると、桜がいつもの笑顔を浮かべて遊騎の傍に寄った。

 「何を言う。私と遊騎君はもう友達ではないか。水臭いではないか、遊騎君」

 桜はそう言うと、遊騎に向かって手を伸ばした。しかし、桜の手が遊騎の体に触れる直前に遊騎は急に前転を繰り返して桜と距離を置いた。それなりに離れると遊騎はピタリと止まり、どこか遠いところを見るような目をして呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……友達やない。『にゃんまる』は『にゃんまる』や。もう……友達なんていらんし」

 その顔に悲しみは感じられない。だが、その言葉には悲しみに近い何か(・・)が感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「遊騎君……? それはどういう──って、遊騎君!? 待つのだ! 危ないぞ!」

 遊騎の言葉から感じた何か(・・)……その正体を探ろうとしたのか、桜が遊騎に声をかける。しかし、桜の言葉が終わるより前に遊騎は再び前転を繰り返してその場から離れた。その独特な移動方法を見てか、遊騎の心情を心配してか……桜は遊騎を追いかけていった。

 「桜小路さ──ん?」

 今の『コード:ブレイカー』が任せられているバイトでは護衛対象である桜。その彼女を一人にさせまいと大神が桜を追おうとしたまさにその時。大神の携帯が鳴った。画面を見ると非通知の見慣れた番号。神田からだった。何かバイトに関する情報だろうと思い、大神はすぐに通話ボタンを押して電話に出た。

 「神田、何か──」

 「大神“君”ですか?」

 しかし、電話越しに聞こえてきたのは予想していた声ではなかった。落ち着いた声に丁寧な口調、そして大神を君付けすることから考えると……考えられるのは一人だけだった。

 「平家です。急を要するので直接連絡しました。してやられました。どうやら『Re-code』がひと暴れしたようです。……一般人を巻き込んで」

 「ッ──!?」

 平家が「急を要する」と言うほどの事態……彼の最後の言葉を聞いて大神は納得した。そして、その言葉に言い知れぬ危機感を感じた大神は刻と優にもこの話を伝えるため、二人にアイコンタクトで「緊急事態」ということだけ伝えると携帯を操作してスピーカーの状態にした。

 「『Re-code』がひと暴れ……ですか。状況は? 死者は出ているんですか?」

 「……それが、よく分からないのです」

 「ハ?」

 大神の言葉で何があったか察した刻と優。しかし、その後にスピーカー越しに聞こえた言葉を聞いて刻は眉をひそめた。優も顎に手を当てて何か考え込んでいる。すると、平家は言葉を続けて今あるだけの情報を伝えた。

 「場所は新宿の繁華街。かなりの人がいたと思われますが……現場には人っ子ひとりおらず完全に無人状態。また、その付近の地面や建物には奇妙な無数の虫食いのような穴があいているのです。何があったのかまるで判断がつかない状況です」

 「……それが『Re-code』の仕業なら、以前『Re-code』と戦ったことのある平家(あなた)ならある程度の予測はできるんじゃないですか?」

 「どうやら今の『Re-code』には風牙のように私の知らない異能者が加わったようです。彼らはすでに桜小路さんを狙いにそちらに向かっていると思われます。いいですか。必ず桜小路さんを護ってください。相手の異能が分からない以上、私も急いで向かいますので」

 そう言うと平家との通話は切られた。平家の言葉を聞き、三人はこれから来るであろう『Re-code』に向けてか、鋭い目つきへと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寂しい、というのが正直な感想だった。建物の構造や設置された家具はとても立派だ。大企業の社長の住まいということを考えると当然だろう。しかし、()のぬくもりは無かった。部屋にも、家具にも、どこからも。似たようなところを知っている。侵入者を警戒して幾重にもトラップを張り巡らせ、寝る時すら命を狙われる生活を送っている男。そう、ここは彼の家と同じ……人の住む匂いのしない寂しい場所だった。

 それが、遊騎を探しに家の中を歩き回った桜が抱いた感想だった。

 「遊騎君……」

 彼を憂いてか、彼の名前をポツリと呟く桜。しかし、それに答える者はいない。他に誰もいない……というより、答えられる者がいないのだ。桜以外にいる者といえば、彼女に抱かれている『子犬』くらいだ。

 そんな不安が膨らむような状況の中、桜はどんどん進み始めた。すると、背後から聞き慣れた声がした。

 「……こちらにいらっしゃいましたか、桜小路さん」

 「平家先輩!?」

 振り向くと、愛読書の官能小説を手にして佇む平家の姿があった。自分たちとは別行動をとっていたことを考えると不審だが、顔見知りであり常に神出鬼没なためだろう。そこまで危機感は感じず、桜は彼の傍に行った。

 「いらっしゃっていたのですね。でしたら連絡してくださればよかったのに」

 「…………」

 桜の言葉に対して平家は沈黙を続ける。すると、彼は不敵な笑みを浮かべてポツリと口を開く。

 「……ご無事で何よりです。さぁ、桜小路さん。私と一緒に……安全な場所へ行きましょう……」

 平家の手が桜に向かって伸びる。不敵な笑みを浮かべ……ゆっくりと。手が桜に近づくにつれ、徐々に手が開いていく。二人の身長差のせいか、平家の真っ直ぐ伸びた手が桜の首と重なる。しかし、平家は気にすることなく桜に向かって手を──!

 「待てや」

 平家の手が桜に届こうとしたその時……平家の手が止まった。いや、止められた。先ほどまで行方を眩ませていたこの家の主……遊騎によって。

 「……ゆ、遊騎君?」

 目の前で起こっていることへの整理がつかない桜。平家が現れ、自分をどこかに連れていこうと手を伸ばし、その手を遊騎が止めている。仲間のはずの二人の間に流れる言い知れぬ雰囲気に桜は不安感を覚える。

 すると、遊騎がその不安感がさらに膨らむ一言を口にした。まるで……“敵”を目の前にしたかのように鋭い眼をしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お前……誰や」

 「……え?」

 「…………」

 疑心に満ちた遊騎の言葉。その言葉を受けてなお、平家は不敵な笑みを崩さず桜を視界に捉えていた。

 

 

 




CODE:NOTE

Page:23 リリィ

 『捜シ者』の部下の一人。団子ヘアーで妖艶な雰囲気を纏わせる女性。『捜シ者』に対する忠誠心が極めて高く、彼を「唯一、自分を理解してくれる人」と感じている。しかし、『捜シ者』にとっては数ある部下の一人でしかなく、彼女の知らないところでは冷たい言葉をかけられていた。
 異能は体の表面から毒性の気体や液体を生成する『分泌』。幼少の頃はこの異能のせいで家族からも酷い迫害を受けていた。そのため、人間に良い印象は持っていない。ちなみに、少しでも『分泌』が使える範囲が広がるよう服装は露出が多いものを着用することが多い。優が少し気になる様子。

※作者の主観による簡略化
 ヒロイン要素それなりにある人



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