CODE:BREAKER -Another-   作:冷目

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お久しぶりです。
前回の投稿から今回までの間にいろいろとありましたがこっちは変わらず投稿していきたいと思います。
ただ……なんでしょう。ところどころ展開が速かったり安直だったりするかもしれません。チェックはしたんですけどどうにも不安でしょうがない。
そんな感じですが……どうぞ。





code:19 正義の鉄槌

 圧倒的。手も足も出ない。

 今の彼の状態を表すならそれらの言葉が妥当だった。彼が絶対の自信を持っていたであろう技は無効化され、為す術も無くただ相手の攻撃を受け入れるのみであった。

 しかし、本来ならそれは違うはずだった。今の彼の状態は、本来なら彼が相手に与えるはずのものだった。むしろ先ほどまでは与えることができていた。だが、今となってはそれを破られ彼自身がそれを与えられている。相手が出したたった一手により、彼らの形勢は逆転していた。

 彼……仙堂はそれをひしひしと感じていた。

 「ほらほら、どうした? さっきからアンヨが止まってるゼ?」

 「ぐ……!」

 彼の相手である刻が出した『汞』と呼ばれる液体。刻はそれを操り、まるで水遊びをしているかのように楽しげに闘っていた。それとは対照的に、仙堂の顔は苦痛に歪んでいた。今、仙堂はただ刻の攻撃を受けるしかなかった。

 先ほどまで刻に攻撃を与え続けることができた『暗転』。刻が出した『汞』はただの液体。『暗転』で姿を消した攻撃を攻略することなど不可能に見えた。しかし、実際は違った。刻は『汞』を自分の周囲の床に広げ、少量の『汞』を仙堂の体に付着させていた。すると、不思議なことに刻の周囲に広がる『汞』には『暗転』で姿を消した仙堂の足跡がしっかりと残されていた。まるで雪の中を移動したかのようにはっきりと、彼の位置を示す目印が残っていた。さらに仙堂の体に付着させた『汞』によって、刻は完全に見えないはずの仙堂の攻撃を読んでいた。

 さらに今、仙堂に傷を刻んでいるのも『汞』だ。雪のように仙堂の足跡を残したと思えば今度はまるで金属のように固く鋭くなり、刻はそれを仙堂に向かっていくつも発射した。そして、それに混じって体に纏わりつく『汞』が彼の動きを制限している。

 遊んでいるように見えながらも、刻は仙堂をまるで近寄らせず圧倒的な強さを見せつけていた。

 「ええい! こんなもので……! オレ様が斃せるかー!」

 しかし、さすが『捜シ者』の部下と言うべきか仙堂もそのままではなかった。体に纏わりつく『汞』が届いていなかった左拳を硬化させ刻目掛けて思いきり放った。刻は余裕ぶっているのか仙堂の目の前で立っている。命中する。誰もがそう思っていた。

 だが、仙堂の拳は刻の顔に届く前にピタリと止まった。

 「おやおや、止まっちゃっタ? これじゃあ、自慢のパンチも形無しだネ」

 「バ、バカな……! 体が、動かん……!?」

 見ると、仙堂は拳を放った状態の体勢で固まっていた。もちろんそれは彼の意志ではない。彼の意志通りに動いているならば、今ごろ刻の顔は彼の拳で砕けている。しかし、彼の拳は刻に届く前に止まっている。動けないのだ。他から見ればわかりにくいかもしれないが、それは『汞』が原因だった。先ほどの攻撃と同様、仙堂の体に纏わりついていた『汞』が突然金属のような硬度になり彼の動きを制限したのだ。

 「くそ……! なんなんだ、この液体は……! 一体、貴様は何を……!」

 動きを封じられながらも仙堂は刻を睨みつける。そんな仙堂を刻のオッドアイが捉え、口が開き淡々と仙堂が抱いた疑問に答えた。

 「言ったろ? 『汞』だヨ。またの名を『(みずかね)』。あんたには『水銀』って言った方がわかりやすいカナ。オレの『磁力』で形も硬度も自由自在ってワケだヨ」

 金属の性質を持つという金属元素の一つである水銀。それこそが『汞』の正体だった。最初に刻の周囲に広がっていた『汞』は足跡が残るよう雪ほどの硬度で、仙堂に向けた攻撃はそれこそ金属と同じほどの硬度にしたのだろう。そして、今は仙堂の体に纏わりついている『汞』は攻撃同様に金属のような硬度にして動きを封じたのだ。

 刻の『汞』によって完全に動きを封じられた仙堂。なんとか逃れようと体に力を入れるがびくともしない。すると、刻が眼光を鋭くしながら動けない仙堂にゆっくりと近づいた。

 「さて、今のオレにはあんたをそのまま絞め殺すことも可能……。でもオレの質問に正直に答えたら助けてやるヨ」

 「なに……?」

 そうして刻が口にしたのは彼のものとは思えない言葉だった。以前、大神と優と共に行った田畑邸でのバイト。そこでの言葉や普段の彼の態度を見る限り、彼は“悪”である相手には容赦しない。情けなど一片もかけずに裁きを与える。

 そんな彼が“悪”である仙堂に対し、条件付きとはいえ「助ける」という言葉を口にしたのだ。意外という言葉しか出てこない。

 しかし、当の刻はそんなことを気にする様子も無い。その証拠に、彼はその言葉を訂正しようともせずに話を続けた。

 「あんたは言ったよナ? オレのこの『顔』に見覚えがあるって。オレと同じ『顔』……いや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オレと同じ『金銀妖眼(ヘテロクロミア)』を持つ者を。そんな人は一人しかいねぇ……。元『コード:ブレイカー』藤原 寧々音……。さあ、どこでその(ヒト)を見たか教えてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………」

 リリィはただ俯いていた。それ以外は何もせず、ただ自分の眼下を見つめていた。すでに流れきってしまったのか、涙も出てこなければ涙ぐんだ声も出てくることはなかった。

 ──めっちゃ痛い思いした分、オレはめっちゃ優しくなったで

 任された使命を果たせなかった自分が悔しかった。

 ──その女は偶然助けた結果になっただけだ

 敵に命を救われた自分が情けなかった。

 ──『捜シ者』の言う通り、所詮はただの『毒女』か。死んでも困らんな

 信じていた人に裏切られたのが哀しかった。

 今のリリィの中には、それら負の感情が渦巻いていた。なんの力も無く、失態を晒し、誰からも必要とされない自分。そんな自分の存在が無意味だと感じていた。

 しかし、まるでそれを否定するかのように同時に浮かぶことがある。それは助けられた後、自分を真っ先に助けに来たと言う桜の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……リリィ。私はさっき、お前がしたことが心から許せなかった。罪もない研究員殿たちを死なせようとしたのだからな。だが、だからと言ってリリィが死んでいいはずがないのだ。リリィは今、生きている。見捨てられるはずがない。リリィはもっと自分を大切にするべきなのだ。そうすればもっと人に優しくできるし優しくされるのだと私は思うぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ッ……!」

 桜の言葉が頭の中で繰り返され、リリィはキュッと唇を噛み拳を震わせた。今までかけられてきた自分を罵る声は人間がほとんどだった。だから人間が憎くて仕方なかった。だが、彼女は人間だというのに優しい言葉をかけてくれた。信じない。信じられるはずがない。その言葉だけで過去が癒されることなどあるはずがない。しかし、その言葉を聞いた時、リリィの目からはまるで溢れるかのように涙が流れた。自分を否定された時に流した冷たい涙とは違い、その涙は温かかった。かつて『捜シ者』に受け入れてもらえた時と同じ……歓喜の涙だった。

 「…………」

 リリィは視線を動かして真実を突きつけた仙堂を見た。刻によって動きを封じられ、大人しく彼の質問に答えている。刻が言った藤原 寧々音という元『コード:ブレイカー』は以前に『捜シ者』と『コード:ブレイカー』が闘った戦場で一人の少年を庇って殺された、と。

 ふと桜の方を見てみると、刻の言葉を聞いた桜が信じられないというような顔をしていた。当然だ。リリィは知らないが、桜にとってその言葉は矛盾していた。彼女はこれまで生きている寧々音と何度も見ているし言葉も交わしている。寧々音が元『コード:ブレイカー』だということも驚きだったが、何より寧々音が「死んだ」ということが桜にとって衝撃だった。だったら今まで自分が話してきた寧々音は何者だったのか。桜の中に新たな疑問が生まれ、リリィはそれを黙って見ていた。

 すると、リリィの隣に彼が立った。結果的にとはいえ自分を助けた……夜原 優が。

 「そんなに桜小路が気になるか?」

 「……そんなことあるわけないじゃないか。気持ち悪いこと言うんじゃないよ」

 リリィが答えると、優は大きく息を吐きながら彼女の隣に座った。チラリと見ると、優の両腕にはしっかりと包帯が巻かれていた。桜の治療を終えた平家によって巻かれたのだ。リリィはそれを見て、改めて自分が優に救われたのだということを痛感した。悔しさと情けなさで体が震えた。その震えた体で、彼女は絞り出すように彼に言葉を投げかけた。

 「なんで……なんだい」

 「……なにがだ」

 「あいつだけを助けたいんだったら、最初から止めておけばいいじゃないか……。あいつが動いたのがわかってたんだったらなおさらそうだよ……。なんで……あんたは……」

 震えに耐えるかのようにリリィは両方の拳に力を入れた。それでも体の震えは止まらない。一方、彼女に言葉を投げかけられた優はすぐには答えなかった。しばらく黙り込み……ポツリと呟いた。

 「……都合がよかった、からかもしれないな」

 「……都合?」

 優から返ってきたのはあまりにも意味不明な答えだった。リリィは思わず俯いていた顔を上げた。見ると優は顔を逸らしたまま……不愛想な態度で続けた。

 「完全に、というわけじゃないがお前が過去に受けた傷は……理解できる。だからこそお前に言いたいことがあった。それだけだ」

 「……ハッ。『コード:ブレイカー』ともあろう者が“悪”に同情かい? 『コード:ブレイカー』とは思えない言葉だね。あぁ……あんたは正式な『コード:ブレイカー』じゃないんだっけ」

 「…………」

 リリィの言葉に優は何も言わなかった。すでに何十回、何百回と言われた言葉。彼は黙ってそれを受け入れていた。それとは対照的に、リリィは自分が同情されているということでさらに自分が情けなく感じたのか、まるでせき止められた水が一斉に流れだしたかのように言葉を溢れさせた。

 「リリィに同情なんかいらないよ……。というより、できるはずがないんだよ。リリィの気持ちなんて誰にもわからない……。あんたにわかるのかい? 実の親にも存在を否定され、信じていた人にも裏切られた……。そんなリリィの気持ちが……あんたなんかにわかるっていうのかい!? あんたなんかに──!」

 瞬間、リリィの言葉が途切れた。理由は簡単だった。リリィの隣に座る優……彼がリリィの顔を鷲掴みにしたのだ。突然のことに混乱したリリィだったが、今の自分の状況が彼女の中の記憶と重なった。昼、ファミレスで大神を襲撃した時に部下の一人を容赦なく裁いた優。頭を鷲掴みにし、容赦なく床にその顔をめり込ませたその姿が浮かび、リリィは思わず息を呑んだ。それに呼応したかのように、体の震えがどんどん強くなっていく。

 すると、優は相変わらず顔を逸らしたまま、声のトーンを一層低くして言った。

 「勘違いするな。“悪”に同情するような腐った心は持ち合わせていない。お前は……裁くべき“悪”でしかない。そんなお前に誰が同情なんてするか……」

 「──ッ……!」

 そう言うと優はリリィの顔を鷲掴みにしていた手を離した。リリィは再び力無く俯き、一層強くなった体の震えに耐えていた。

 優はそんなリリィに目もくれずに立ち上がった。そして、彼女の隣を立ち去──

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……だが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……え?」

 立ち去った。そう思った。しかし違った。立ち上がり、リリィの横を通って立ち去っていく。そうすると思われた優だったが、実際の行動はそれとはまるで違っていた。

 今の彼は、リリィの横に立ち……彼女の頭に優しく手を置いていた。そして、彼女にしか聞こえないほど小さな声で呟いた。

 「今までよく耐えた……それだけ言っておく」

 その声は先ほどまでとは違い、ひどく優しさを感じさせる温かな声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な……なん、で……」

 リリィの声が震えた。いくら平常を装うとしてもできなかった。何か(・・)が中から溢れてきそうだった。それを押し止めているかのように、彼女の声も体も震えていた。優はリリィの頭に手を置いたまま、ゆっくりと言葉を続けた。

 「……オレが子供の頃、たった一人だけオレを受け入れてくれる奴がいた。オレはそいつに何度も言われてきた。『よく頑張ったね』ってな……。オレはお前に同情なんてしないし許す気はない。だが、お前が今まで必死に生き抜いてきたことは否定しない。だから、オレはお前にこれを言いたかった。……それだけだ」

 くしゃくしゃと少し乱暴にリリィの頭を撫でる優の手。その時間はとても短かったが、リリィには全てがスローモーションに感じた。そして、優の手が離れ優の足音が耳に響くと、今まで押し止められていたものが一気に溢れだした。まるで洪水のように……彼女の目から涙が溢れ出た。

 (なんで……)

 顔がぐしゃぐしゃになった。いくら止めようとしても止まらなかった。しかし不快な感覚は無かった。むしろ、何か清々しさに似たものを感じる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 (なんで……その言葉を最初に言ってくれたのがあんたなんだよ……!)

 声にならない泣き声を上げるリリィ。体の震えは……いつの間にか止まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうかヨ……。テメェの話を聞いて大体のことはわかったゼ」

 『汞』で動きを封じた仙堂を前にし、刻は呟いた。その眼光はこれまでに無いほど鋭く、揺るぐことない覚悟が感じられた。

 「ガキのオレを庇ったあの(ヒト)を殺したあの瘢痕の男……。そいつは『捜シ者』直属の親衛隊である『Re-CODE(リ・コード)』の03……。『捜シ者』に力を認められた異能のスペシャリストらしいが……そんなことは関係ネェ……! 必ず……この手でブッ殺す……!」

 ギリッと歯を噛み締める刻。もはや彼の眼光は目の前の仙堂に向けられたものではない。寧々音を殺したという瘢痕の『Re-CODE』03に向けられていた。

 しかし、それが油断に繋がったのか状況は一変した。

 「クク……残念だがそれは無理だ。なぜなら……お前はここでオレに殺されるのだからな!」

 仙堂がそう叫んだ瞬間、今まで『汞』によって動かすことができなかったはずの右腕が大きく振りかざされた。それとほぼ同時に大量の気体が仙堂の体を包み、その中から現れた彼の左手が刻の首を掴んだ。

 「ハハハハ! オレがわざわざ長話に付き合ってやったのは全てこのためだ! どんなに硬度を高めたとしても所詮はただの『水銀』! 『熱化(ねっか)』させた『表皮』の前ではただただ気化して消えるのみ! そして……貴様もな!」

 次にそこにあった光景……。それはあまりにも簡単で、あまりにも信じられない光景。

 仙堂の右拳に貫かれ、力無く俯く刻の姿だった。

 「と、刻君!」

 桜が驚きに目を見開き叫んだ。しかし、いつもの憎まれ口は返ってこない。先ほどあんなに自分を笑ったその口から声が聞こえてこない。聞こえてきたのは、勝利を確信した仙堂の言葉だった。

 「ハハハ! やはり『コード:ブレイカー』はクズだな! あの女も貴様も下らん正義の名の下、弱者を護って死んだクズでしかない! この世は強気こそが正義! 勝者こそが掟! 待っていろ! 今すぐ貴様の仲間も皆殺しにしてやる! そしてオレも『Re-CODE』の称号を手にするのだ!」

 豪快な笑い声を部屋に響かせる仙堂。目の前の光景に桜は震え、大神たちは黙ってそれを見ていた。そして、『熱化』された『表皮』によって刻の体はみるみるうちに消え──

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……そいつは聞き捨てならないナァ。誰が……クズだって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なに!?」

 「刻君!」

 仙堂の後ろ……最初に刻が放った鉄骨の上には新しい煙草を咥える刻の姿があった。それに気付くと同時に、仙堂が拳を貫かせていた刻が『水銀』の塊へと変わった。彼は仙堂の突然の反撃を『水銀』の変わり身を使うことで回避した。拳が完全に貫いているため、仙堂は再び動きを封じられた。

 「おのれ……! だがこんなまぐれは続かんぞ!」

 「あぁ、そうだナ。だって……もうアンタ死んじゃってんだもんネ、仙堂サン」

 「な……!?」

 その瞬間、仙堂の顔の一部が盛り上がった。そして、その部分のみ皮膚が裂け血が飛び散り、そこから小さな粒が出てきた。自分の体に起きた異常に、仙堂は訳がわからずただ目を見開いていた。

 「さっきアンタが気化させてたっぷりと吸い込んだ『水銀』だヨ。トリックは簡単。アンタの体の中にある『水銀』を、オレが『磁力』で操って中から外に出すだけ。外側はご立派な『表皮』で防げても内側は無理みたいだネ」

 「あ……あ……」

 淡々と語られる刻の言葉に仙堂は目を見開いたまま恐怖していた。いつ来るかわからずどうすることもできない自分の体の中からの攻撃。仙堂はそれに恐怖し、大きな体を震えさせながら刻に尋ねた。

 「お、おい……。お前、さっきオレに言ったよな? 正直に言えば助けるって……」

 それは刻が言ったとは思えないほど珍しい言葉。仙堂はそれを最後の望みと思ったらしい。そんな仙堂に対し、刻は咥えた煙草を口から離して大きく煙を空中に吹き出した。

 「……ハッ」

 そして笑顔で……冷酷に告げた。

 「嘘に決まってんジャン……。オレが“(クズ)”を許すワケねーだろ」

 そう言って刻はゆっくりと右手を前に出し、そこから『磁力』を発生させる。その『磁力』は仙堂の体の中にある『水銀』にあっという間に伝わり──

 

 

 

 

 

 

 

 

 「目には目を」

 仙堂の顔を──

 「歯には歯を」

 仙堂の体を奇形に変化させ──

 「悪には正義の鉄槌を」

 刻が手を握った瞬間、一斉に『水銀』が仙堂の全身を突き破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「姉ちゃんを侮辱する奴は絶対に許さねぇ……。瘢痕の『Re-CODE』03……必ずお前を沈めてやるヨ……!」

 「よんばん……」

 仙堂の無残な死体を背に、明確になった標的を斃す覚悟を改めて固める刻。そんな刻を遊騎はジッと見上げていた。そして、彼に勝利を祝う言葉を──

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はよせーや。もうみんな上の階行ったで」

 「ハ!? ちょ……! 薄情者ォォォォォォォ!!」

 「やかましいわ」

 ──かける者は誰一人としていなかったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 




CODE:NOTE

Page:12 人見

 かつて『コード:ブレイカー』の『コード:01』として大神たちをまとめた男。基本的に昼寝をしており、俗に言う威厳を感じる瞬間は少ない。しかし、彼は一度も『コード:01』という称号を誰にも奪われたことが無い。そのことから実力は大神たちの中でも最高峰と言える。元々は“エデン”に従い“悪”を裁いていたが、あるきっかけで『コード:エンド』の存在を知り『コード:ブレイカー』は“エデン”にとって使い捨ての道具であったことを知る。“エデン”に怒りを覚えた人見は『コード:ブレイカー』の存在を公にし、彼らに普通の生活を送らせるために『コード:ブレイカー』を離反し“悪”となった。“エデン”のトップである藤原総理を誘拐し大規模な爆破テロを行うことで恐怖を与え、“エデン”への復讐だけでなく人々に“悪”を裁く存在である『コード:ブレイカー』を求めさせようとした。だが、大神たちの奮闘により計画は失敗に終わり、彼自身も『コード:エンド』で逝った。
 異能は『電力』。雷のように『電力』を操り相手に必殺の一撃を与えるだけでなく、脳に電気信号を与えることでその人物を操ることができる。また、体中の筋肉に電気信号を与えれば死体を操ることも可能。ロストすると一日中寝ている。
 モットーは「目には目を 歯には歯を 悪には厳正の閃電を」

※作者の主観による簡略化
 カッコいいにもほどがある人。



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