CODE:BREAKER -Another-   作:冷目

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今回、クロスオーバー1作目となります
完全に自己満足な内容となっているのでご了承ください
それでは、どうぞ!





番外篇
code:X-1 過去~past~


 それは、『天下一品』から帰って数日経った頃に起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「た、大変だー!!」

 突然、『渋谷荘』リビングの扉が勢いよく開け放たれたかと思うと、大きな袋を持った桜が肩で息をしながらそこに立っていた。明らかに何かあった様子だったが、ちょうどリビングにいた大神は特に慌てることも無く……それどころか、どこか冷ややかな視線を桜に送るのだった。

 「……買い出しから戻ってきたかと思えば、いったい何事ですか?」

 「だ、だから……大変なことが起こったのだ!」

 「……そうですか、大変ですね」

 「大神! お前、真面目に聞いていないな!」

 「あ~、うっせーナ。いったいなんだっつーの」

 適当な対応をする大神にご立腹な桜だったが、そんな二人の(主に桜の)騒ぎを聞きつけて他の住人たちもリビングへと集まり始めた。まぁ、そのほとんどが大神と同様に危機感など欠片も感じていない様子だが。

 「『にゃんまる』、なんかあったんか?」

 「何かあったんだとしても騒ぎ過ぎだ。もう少し落ち着け、桜小路」

 「う……す、すみません」

 「ま、桜チャンらしいっちゃらしいケド。んで? なにがそんな大変なんだヨ」

 「おお、そうだ! 大変なのだ!」

 「だから何がだっつーノ……」

 王子に諭されて一度は落ち着いた桜だったが、刻に何があったか尋ねられてすぐに復活する。ぶんぶんと両手を興奮気味に振っているが、おかげで話がまったく先に進まない。

 さっさと話を終わらせようと思い、大神は自分の方から質問することにした。

 「買い出しで何かあったんですか?」

 「む! 勘が良いな、大神! まさにその通りなのだ!」

 「買い出し~? 行ったらたまたまタイムセールでもやってたとか?」

 「ふっふっふ……刻君、そんなことで満足しているようではまだまだだぞ?」

 「……なんでオレ煽られてんノ?」

 大神の予想通り、どうやら桜が先ほどまで行っていた買い出しで何かあったらしい。買い出しで興奮すること……ということで刻はタイムセールでもあったかと考えたが、桜は腕を組んでどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべてそれは不正解だと語る。

 では何があったのか……その言葉を誰かが言うよりも早く、桜は堂々と胸を張って正解を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんと! 買い出しに行く途中でたまたま拾った福引券で福引をしたら3等賞が当たったのだ! どうだ! すごいだろう!! ハッハッハ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 (((く、下らねぇ……!)))

 「『にゃんまる』、すごいわー」

 散々引っ張った挙句、ただ福引で3等賞が当たっただけという桜の言葉に、大神、刻、王子の三人はなんとも言えない表情になった。一方、遊騎はパチパチと拍手をしながら唯一桜を称えていた。

 「わかってくれるか、遊騎君! 恥ずかしながら、今までやった福引はハズレばかり……。3等なんて上位の物が当たるなんて夢にも思わなかったのだ!」

 「……なんつうか、幸せ者だな。アイツは」

 「ホント……さすが桜チャンだわ」

 「ハァ……」

 福引で3等が当たったというだけで満面の笑みを浮かべる桜を見て、改めて桜小路桜という少女の人間性を知った王子と刻。そして、大神はというと深々とため息をつくのだった。

 「ところで『にゃんまる』、なに当たったんや?」

 「うむ、よくぞ聞いてくれたのだ。えーっと……」

 純粋なためか、桜と一緒に喜びを共有していた遊騎は肝心の景品は何かと気になっていた。首を傾げながら景品の内容を聞くと、桜は持っていた袋を置いて何やらゴソゴソと捜し始めた。それを見て、大神たち三人も自然と出てくるものに注目し始めていた。下らないとは思いつつも、何か物が当たったとなれば何が当たったか気になるものだ。

 「今回当たったのは……これなのだ!!」

 そう言って桜が取り出したのは……桜の顔より一回りは大きい円型の物体。ポツンと存在する小さな円を中心に、花火を思わせる黒白の模様が外側へと向かって伸びている。そして、その先には散り散りに割り振られた1から20の数字があった。

 それは、学生である桜や大神にしてみればあまり近しいものとは言えない。だが、それが何であるかは誰もがわかっていた。

 「……ダーツ?」

 「うむ。ダーツ盤と矢のセットだったのだ」

 『…………』

 「どうだ、すごいだろう」と言わんばかりに胸を張る桜に対し、大神たちの反応は寂しいものだった。言葉にするんだとしたら「なんだ、そんなものか」というレベルだ。

 「な、なんだその反応は! 3等だぞ!? 上から三番目の商品なんだぞ!」

 「……ちなみに桜チャン、他の商品はなんだったワケ?」

 「む? えーっと、1等は温泉のペア宿泊券で、2等は商品券1万円分。で、4等は蟹セットで5等はトイレットペーパー半月分だったのだ」

 「なんでそのラインナップで3等がダーツなんだヨ! 明らかに3等と4等、逆だろ!」

 「いやいや、バカにしてはいけないぞ。このダーツセット、ちょっとお高いダーツセットらしいのだ。あくまでちょっとらしいが」

 「ちょっと、なのネ……」

 明らかに他の景品と比べて豪華さが劣る内容に肩を落とす刻だったが、桜はスルーしてダーツ盤を壁にセットし始めた。最中、大神に「高さはこのくらいか?」と確認していたが、大神は「そうなんじゃないですか」と適当な返事をするのだった。

 そして、壁にダーツ盤をセットすると、桜はいそいそと矢を持って盤から距離をとった。そして、楽しみでしょうがない、といった表情で矢を構えた。

 「ふっふっふ……何を隠そうこの桜小路桜、ダーツをやるのは初めてなのだ! だが、ちゃんとルールは知っているのだ。真ん中を狙って…………とぉ!」

 ──カッ!

 真ん中を狙って放った桜の矢は、見事に真ん中に……とはいかず、真ん中より右斜め上にずれたところに刺さった。その後も二発続けて投げる桜だったが、どれも真ん中にはかすりもしなかった。

 「うぬぬ……! やはり難しいのだ」

 「あ~あ、見てらんねーナ。桜チャン、ちょいとオレに貸してみ」

 「刻君? もしかして……ダーツができるのか?」

 「当ったり前ジャン。ダーツはモテる男の嗜みだゼ? あと、ダーツで真ん中狙えばいいってのは高得点取るって意味じゃ間違いなんだヨ、桜チャン」

 「え!? そうなのか!?」

 ダーツの難しさを桜が噛み締めていると、刻が仕方なさそうに盤に刺さった矢を回収した。そして、桜が立っていた位置まで移動しながら、自信満々な様子でダーツの説明を始めた。

 「ダーツにも色んなルールがあるからそれによって変わるけど、純粋な点取り勝負だったら真ん中は50点。でも、一番高いのは真ん中から上に向かって伸びてるゾーンの……あの狭いところ」

 「そういえば、いくつか色分けされているな……。これはなんの意味があるのだ?」

 「真ん中より少し外側のところはシングル。外側に書いてある数字がそのまんま得点になるところ。んで、一番外側にあるのはダブルで点が2倍。シングルとダブルに挟まれている狭い部分がトリプルで3倍ってワケ。真ん中から上に向かって伸びてるところは20点のゾーンだから、そこのトリプルに当てれば……60点ってこと!」

 ──カッ!

 説明を終えると同時に矢を投げる刻。すると、刻の矢は見事に20のトリプルへと刺さった。刻の射撃の腕が高いことは知っていた桜だったが、ダーツでもその才能が発揮されたところを見て目を輝かせた。

 「おお! 刻君、すごいのだ!」

 「まぁね~! 射撃が得意なオレにとって、あれくらいの的を狙うなんて朝飯前なんだよ……ネッ!」

 その後も二発続けて投げる刻。しかし、一発目はわずかにずれて20のダブルへと刺さる。そして二発目に関しては……18のトリプルへと刺さった。

 「外れてますよ。朝飯前じゃないんですか?」

 「う、うっせー! こちとら手が全快じゃねーんだから外すのは仕方ねーっつの!」

 自信満々に投げておきながら外した刻を見て、大神はここぞとばかりにそれを指摘する。刻も予想外だったらしく、顔を赤くしながら反論するが悪あがきにしか見えない。

 と、彼らが騒いでいると別の住人が新しくリビングへとやってきたのだった。

 「さっきから騒がしいと思って来てみれば……何事だ?」

 「夜原先輩! 実はですね……」

 少ししかめっ面をしながら入ってきた優に、桜は福引でダーツセットを当てたこと、刻の腕前がすごかったことなど……事の経緯を説明した。

 桜から一通りの経緯を聞いた優はダーツの矢を一本持ち、興味深そうにそれを眺めていた。

 「……ダーツ、か」

 「よければ先輩もやってみませんか? 先輩も初めてだったら、初心者同士で上達を目指しましょう!」

 「ハハハ! 無理だって、桜チャン。こんな下っ端ヤローは百年経ったってダーツなんてできるわけねーってノ」

 「……ふむ」

 興味を持った様子を見せる優をダーツに誘う桜だったが、その後ろでは刻が下品な笑みを浮かべながら辛辣な言葉をかけていた。

 だが、当の優はそんなものは無視して桜と刻が投げた位置に立つ。矢を構え、ダーツ盤を真正面に見据え……放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──カッ!

 「……エ?」

 刺さったのは……20のトリプル。優の放った矢は、吸いこまれるようにそこへと刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……久し振り(・・・・)にやったが、腕は落ちていなかったようだな」

 「ええ!? 先輩、ダーツをやったことがあるんですか!?」

 「へぇ、それは初耳だな」

 「……嗜む程度だ」

 優がダーツ経験者であることに驚く桜、そして感心する王子だったが、そんな二人に対して優は調子に乗ることも無く、続けて二発を投げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 ──カッ!

 20・トリプル。

 

 

 

 

 

 

 ──カッ!

 20・トリプル。

 

 

 

 

 

 

 「……180点だ」

 「おおおおお! 全部20のトリプルに入っているのだ!」

 「中々やるじゃねぇか。フォームも綺麗だったし、随分やり込んでたんだな」

 「(よんばん)は外したけど、(ななばん)はすごいなー」

 「えぇ、刻は外しましたけどね」

 「うっせー!!」

 見事に3投全て20のトリプルへと投げた優の腕前に、一同は感心する。

 だが、遊騎と大神に煽られたからか、それとも純粋にプライドが許さないのか……刻だけは面白くなさそうに苛立っていた。

 「こ、こうなったら……優! オレと勝負しやがれ!」

 「別に構わないが……お前、手がそんな状態でできるのか?」

 「ハッ! これくらいハンデだっつーノ! テメーにオレの本気、見せてやるゼ!」

 そう言うと、刻は眼帯を出して右眼を隠した。彼が銃を使う時にのみ見せる、射撃特化のスタイルだ。

 「ルールは3投8ラウンドのカウントアップ! 純粋な点取り勝負だ! 負けたらオレに土下座しやがれ!」

 「なんで土下座しなきゃいけないのかわからないが……了解だ」

 「な、なんだか白熱してきたのだ! 頑張れ、二人とも!」

 「おい、零。ボードか何か持ってこい。二人の点数、書いとかねぇとな」

 「なんであなたまで乗り気なんですか……」

 こうして、刻のプライドと優の土下座を懸けた二人の勝負が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし! それじゃ始めるぞ! 対戦するのは優と刻! ルールは3投8ラウンドのカウントアップ! 全て投げ終わった後、点の高い方が勝ちだ!」

 「うむ!」

 「言っておくが、審判はオレだ。不正なんてしようもんならぶっ殺してやるから覚悟しろ」

 「王子殿! お任せしました!」

 (何気に一番楽しんでるだろ……王子)

 点数を書くための画用紙を用意したところで、王子が高々と二人の対決の幕開けを宣言した。それに同調するようにテンションを上げる桜だったが、大神はそんな二人の様子を呆れながら観察するのだった。

 「んじゃ、先攻後攻決めよーゼ。何で決める?」

 「……コイントスでいいだろ。どっちに懸ける?」

 「テメーは裏手がお似合いだからナ。オレは表だ」

 「じゃあ、当たった方が先行だ」

 ──ピン!

 プレイする順番を決めるため、優はコインを出してコイントスを提案する。特に順番は気にしていないのか、刻は深く考える様子も無く「表」に即決する。

 刻が決めた面を聞くと、優はすぐにコインを親指で上空へと弾く。天井ギリギリまで上がったコインは重力に乗っていき、優の手の甲へと落ちる。それと同時に優がもう片方の手でコインが見えないように隠し、しっかりと手の甲にコインが乗っていることを感触で確認する。

 ゆっくりと手をどけると、コインがしっかりと手の甲に乗っている。見えていた面は……「表」。

 「よっし、オレの先行ナ」

 「刻君、頑張るのだ!」

 「オイオイ、桜チャン。頑張る必要なんかねーっての。相手は所詮、下っ端の優なんだからサ」

 「さっき、その下っ端より低い点を取ってたくせによく言うな」

 「言ったろ? さっきは本気じゃなかったんだヨ。本気のオレを舐めんな……ヨ!」

 ──カッ!

 ──カッ!

 ──カッ!

 さっさと三発続けて投げる刻。一、二発目は見事20のトリプルへと刺さるが、三発目は20のダブルへと刺さっており、合計は160点となった。

 「チッ、少しずれたか。ま、でも上出来ダロ」

 「刻の1ラウンド目は160点だ。次、優の番だ」

 画用紙にしっかりと刻の点数を書くと、王子は後行である優を呼ぶ。優は表情を変えることも無く、定位置に立って構えた。

 「へっ、さっきはまぐれで180点取れたかもしれねーが、そんなラッキーが何度も続く──」

 ──カッ!

 「わけ──」

 ──カッ!

 「な、い……」

 ──カッ!

 刻が言葉を言い終えるよりも前に、優は3投を投げ終える。それらは全て、20のトリプルへとしっかり刺さっていた。

 「す、すごいのだ! 夜原先輩、また満点なのだ!」

 「ぐぐぐ……! な、舐めんなヨ! 次はオレだって!」

 

 

 

 

 

 2ラウンド目……刻118点・優180点

 

 

 

 

 

 3ラウンド目……刻150点・優180点

 

 

 

 

 

 4ラウンド目……刻170点・優180点

 

 

 

 

 

 5ラウンド目……刻160点・優180点

 

 

 

 

 

 6ラウンド目……刻114点・優180点

 

 

 

 

 

 7ラウンド目……刻96点・優180点

 

 

 

 

 

 そして、迎えた最終ラウンドでは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オラァ!」

 「……18のダブル。刻の点数は112点だ」

 「ち、ちっくしょおおおお!!」

 最後まで満点を取ることなく終えた刻。すでに勝敗は決しているが、それでも優が投げ終えるまでゲームは終わらない。

 そして、優は最後の3投を投げるため矢を構える。

 「それにしても、夜原先輩はすごいな……。今のところ全部満点なのだ」

 「……そうですね。そこは素直に驚きました」

 もはや勝敗も決したということもあったが、観戦者である桜と大神は優の腕前に唖然としていた。まさかこれまでの全ラウンドで全て満点を取るとは思っていなかったからだ。

 だが……

 「……これくらい、驚くことでもない。なんだったら、もう少し驚かせてやる」

 「え?」

 桜と大神の言葉を聞き、ポツリと呟く優。そして次の瞬間……彼の宣言通り、彼らは驚くこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──カカカッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 優の放った矢は、今回も全て20のトリプルへと刺さった。だが、これまでと違うのは……彼は3投一緒に投げた(・・・・・・・・)ということだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「は……ハァァァァァアァ!!?」

 「お、大神!? 私の目が確かなら夜原先輩は今、三つ同時に投げたよな!?」

 「え、ええ……。オレもそう見えました」

 「トリオ投げやー」

 ダーツの矢を三つ同時に投げて、その三つを全て20のトリプルへと命中させるという技を見せた優。その技術に、刻を含めた優以外の人間は驚愕に感嘆と様々な感情を見せていた。審判である王子ですら、驚きのあまり声も出ていなかった。

 「ッ──! ゆ、優の得点は180点。合計は……刻が1080点、優が…………1440点。優の勝ちだ」

 「ナ……ナ……!」

 「刻、筋は悪くないが後半になるにつれて力みすぎだ。下手に力めばフォームも崩れる。それに、お前の投げ方自体、少し肘がぶれて──」

 「ダー!! うっせー!!」

 王子が改めて優の勝利を発表すると、刻は開いた口が塞がらないとばかりに大口を開けたままわなわなと震えていた。そんな刻とは対照的に、優は平然と刻に対するアドバイスを行っていた。

 だが、もちろん今の刻がそれを素直に聞くはずもなく、刻の大声によってそのアドバイスは強制終了となった。

 「すごいです、夜原先輩! まさにプロ並ではないですか!」

 「嗜む程度……なんて言っていましたが、とてもそうは見えませんね」

 試合が終わったことで、桜は興奮冷め切らぬままに優の元へ行き、大袈裟なジェスチャーで感動を表していた。その後ろでは、大神が感心した様子で声をかける。

 しかし、当の優はそれらの言葉が不相応とでも言いたげに、ふるふると首を振った。

 「そんなことはない。強いて言うなら……先生(・・)が優秀だったんだ」

 「先生?」

 「ああ。子どもの頃、オレにダーツを教えてくれた人だ」

 「それは……刃賀匠ですか?」

 「いや、違う」

 自分がすごいのではなく、自分に教えてくれた人がすごいと話す優。そう言われ、大神は真っ先に匠を思い浮かべたが、優はあっさりとそれを否定する。

 「匠さんはダーツとかは一切やらない人だからな。あの人がやる遊びはメンコとかベーゴマくらいだ。オレが世話になっていた頃からよく一人でやっていた」

 「それはそれでヤベェ……」

 意外なところで匠のプライベートな部分が暴かれたが、彼が一人でメンコやベーゴマをしている絵を想像するとシュールなものである。現に、実際に想像してみた刻は若干引いていた。

 「あの人じゃないとなると……誰なんだ? お前をそこまでの腕前にした先生ってのは」

 「……とりあえず、表に立つ人間じゃない。だが、オレたち『コード:ブレイカー』ほど深い裏にいる人でもない。ある組が胴元のトップを担う賭けダーツのプレイヤーだ。……あの人は、そこではこう呼ばれている」

 表の人間ではない、と事前に言ったことで優が言った「組」という言葉が裏の世界に属する者たちを指す言葉だと誰もが瞬時に理解する。

 そして、優は話し始める。そんな裏の世界をダーツの腕前のみで生き抜き、自身にダーツの技術を授けた人物について。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──『迷路の悪魔』、ってな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CODE:BREAKER × エンバンメイズ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1作目は「エンバンメイズ」というダーツ漫画とのクロスとなっています
私自身ダーツはやったことも触ったこともないのですが、この漫画にはドハマりしてしまいました
なので正確なルール等はしっかり把握しきれていないので、ダーツに詳しい方がいたら申し訳ありません



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