汚い艦娘を見つけたので虐待することにした   作:konpeitou

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感想件数2000超え記念の番外編です。

僕っ娘提督の、波乱なんて全く無い日常風景。
しかし、彼女の知らない所に恐ろしいものが潜んでいるのであった……。




第三十九話 番外編 正義提督と一日

 

 正義提督の朝は遅い。

 彼女は朝に弱い人間だった。

 

「司令ー! 起きてくださいっすー!」

 

 秘書艦がまず一日の初めに行う業務は、提督を起こすこと。

 これが中々難しい。

 

 夏場は、まだいい。

 タオルケットをかけているだけだし、彼女も意外とすんなり起床する。

 

 だが、それ以外の季節は酷い。

 毛布をかぶり、じっと篭っている。

 どうにか毛布を引っぺがすか、ベッドに搭乗するか。

 

 実力行使しなければ、提督の牙城を崩すことは出来ないのだ。

 

「あと五分……」

 

「もう朝食冷めちゃうっす! 早く起きるっしゅー!」

 

 どうやら本日の秘書艦は、苦戦を強いられているようだ。

 彼女は身体が小さく、体重も軽い……。

 

 

 結局提督が起きたのは、それから十分後のことであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「今日も頑張ろう!」

 

 提督は真面目な人間だ。

 艦娘を見送った後は、仕事に従事する。

 

 決して無理せず、確実にノルマをこなす。

 いたって普通の、語ることもない提督業務だった。

 

「そこで占守は言ったっす。クナはまるでツナ缶みたいだなって」

 

「ふふ、なんだいそれ」

 

 秘書艦と話しながら、ただ書類仕事をしていく。

 平和であった。

 

 そもそも彼女はギャグ時空の人間ではないのだ。

 とある友人の提督と関わらなければ、まともな女性なのである。

 

 

(うーん、しかし、何時見てもボリューミーっすねぇ)

 

 秘書艦の少女の目線は、提督の胸部に釘付けであった。

 実際、そのバストは豊満であった。

 

 彼女は己の鎮守府と、友人の鎮守府ではサラシをつけない。

 普通の下着でのみ支えられるそれの破壊力。

 

 それは幼い海防艦の興味をくすぐるには十分なパワーを持っていた!

 

 秘書艦の役得は、そんなパワーをたっぷり味わえることである。

 

「……あ、消しゴムが」

 

「おっと、取ってあげるね。よいしょ……」

 

 秘書艦はわざと提督の前に消しゴムを投げた。

 その技術は完璧、あたかも手が滑ってしまったように錯覚させられる。

 

 提督は机に上半身を乗り出して、手を伸ばして消しゴムを取る。

 その瞬間ッ!

 

(うわおおお、凄いっす! ギュムギュムっしゅ~!!)

 

 豊かな胸が机に押し付けられ、形を変える!

 この光景が見たいがために、彼女は非道な手を使ったのだ!

 

 知らぬは提督ばかりなり。

 彼女は艦娘達のことを、純粋無垢で優しいと思っているだろう。

 

 ところがどっこい、意外に邪悪!

 

 ……悪ではないにしろ、邪ではあった。

 

「はい、占守」

 

「ご、ご馳走様っす……」

 

「?」

 

 

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「皆で食べると美味しいね!」

 

 提督はバランス良く、そして沢山食べる人間である。

 艦娘達と考えた献立を、毎日美味しそうに食べている。

 

 艦娘達も、そんな彼女と一緒に食卓を囲むのが好きだった。

 

「……あんだけ食べてるのに」

 

「全部、お胸に行っちゃってるんですかね?」

 

 健啖家である提督は、その分運動を欠かさない。

 自室で筋トレをしたり、艦娘に混ざって運動をしたりしている。

 

 そのせいか、身体は引き締まっており、その上に程よく脂肪がのっている。

 だが、そのぶら下げた代物だけは栄養素を十二分に吸収しているらしい。

 

 貧乳艦娘やロリ艦娘からは、羨望と嫉妬の視線に晒されていた。

 勿論、提督がそんなことに気がつくわけないのだが。

 

 

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「ふぅ~、癒されるな……」

 

 鎮守府大浴場、女風呂。

 提督は基本的にそこで入浴する。

 

 提督専用の風呂があるにはあるのだが。

 自分も女だし、何よりみんなと一緒に入りたいという考えから。

 

 もっぱら、艦娘達に混ざって入っている。

 

 彼女自身は、裸の付き合い、というつもりで何も難しいことは考えていないだろう。

 だが、一緒に入る艦娘達はどうだろうか……。

 

 

(浮いてる! 浮いてるっす!)

 

(ウチの誰よりも大きいんじゃないの?)

 

(口調と反して色っぽい身体、たまらないです!)

 

 みんな、提督のことが大好きらしい。

 ……本当に。

 

「よし占守! 背中流してあげるよ!」

 

「うえぇ!! マジっしゅか!」

 

「秘書艦へのねぎらいってことで、ね?」

 

 

 秘書艦だった少女は、忘れないだろう。

 背中に当たる、素晴らしき感触を。

 

 決して、忘れることはない。

 

 

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「うぁ~……ひっく」

 

「ちょっとォ! 誰っすか司令にお酒飲ませたの!」

 

 夜。

 この鎮守府では彼女にお酒をなるべく与えないようにしようという動きがあるのだが。

 どういう経緯か、酒に酔っ払ってしまっているようだ。

 

「千歳さんっすか? 那智さん? 出て来るっす!!」

 

「うーん……しむしゅぅ~」

 

 犯人探しに気を取られた少女は、背後に迫る気配に気がつけなかった。

 振り返ろうとした時にはもう遅いッ!

 

 少女は提督に、後ろから羽交い締めにされてしまった!!

 

「司令!? ま、待つっす、落ち着くっす!!」

 

「うへへ……なぁ、すけべしようやぁ」

 

「!?」

 

 提督は、酔っ払うとあまりまともな人間ではなくなるタイプだった。

 

 まず第一に。

 

「ひゃっ、ちょ、司令、何処触ってるんすか!!」

 

「ええやないかええやないか」

 

 肉体的に絡んでくる。

 抱きつくなんて当たり前。

 駆逐艦だろうが戦艦だろうが『友人』だろうが、どんな相手でもデロデロに絡みに行く。

 

 その手つきは、とても『スゴイ』。

 

 そして第二に。

 

「僕はねぇ、こんなにも熱い想いを持ってるんだぞ!」

 

「だから何故脱ぐんすか!」

 

 絶対脱ぐ。

 突如脱ぐ。

 

 

 そして第三は……。

 

 

「僕も脱いだんだから、占守も脱いでよね!」

 

「その理屈はおかしいっす」

 

「いいからいいから。僕にまかせてぇ~」

 

 人の服を脱がせたがる。

 もうどうしようもないほど悪酔いだった。

 

「ちょっとぉ~! スカート引っ張らないでっすー!」

 

「じゃあボタンを外そう……」

 

「そっちもナシっす! ダメっす!」

 

 彼女は酔うと、毎回これだった。

 しかも、翌朝には完璧に記憶が消去されている。

 

 あまりに可哀想だから、だれも彼女に教えてはいないのだが。

 いつの日か、彼女が己の抱える闇に気づく日はくるのだろうか?

 

 

 ちなみにこの後、秘書艦は結局脱がされた。

 そして翌日の朝。

 

 下着姿の二人が倒れていたのを、誰かが発見したという。

 

 




提督に服を着せて部屋に運ぶ作業は必須。
ちなみに記憶は吹っ飛んでおります。


……正義に溢れた格好いい日常を書く予定だったのですが、
胸の事ばかり言及している様な気がします。
不思議。

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