汚い艦娘を見つけたので虐待することにした   作:konpeitou

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ついに本気の暴力が金剛達を襲う!




第十四話 金剛型と格闘

 

「……一ヶ月か」

 

 俺は執務室で独り呟く。

 いや、正確には妖精さんがいるから独り言では無いのだがな。

 

 俺が此処に着任して一ヶ月とちょっと。

 鎮守府運営と虐待、その双方共に、中々良いスタートを切れたと感じている。

 

 『衣』『食』『住』。

 この三つに関する虐待を、俺は基本に行ってきた。

 

 あいつらの精神力の強さが、一つの誤算ではあったがなぁ。

 

 耐性を付けてきてやがるのか、俺に怯える事が減ってきている。

 ここらでいっちょ、俺の本当の恐ろしさを見せつける、か……。

 

「虐待の基本といえば、力関係をはっきりさせることだよなぁ。妖精さん?」

 

 俺の意図を察したのか、妖精さんたちがニッコリと邪悪に笑う。

 

 さあ、『虐待』の時間だぜ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 提督の固い拳が、榛名のお腹に突き刺さります。

 凄まじいダメージに、叫び声を出してしまいました。

 

「榛名ぁ……まだまだこんなもんじゃあねえぞ!」

 

「くっ……榛名は負けません!」

 

 どうにか反撃しようと、榛名は前蹴りを繰り出します。

 しかし、提督の身軽なフットワークの前には無力。

 

 ヒラリと躱され、再びの打撃。

 

「ああっ!」

 

「榛名! しっかりするネ!」

 

 金剛お姉さまの声が聴こえる。

 お姉さま……。

 

「金剛、次はお前の番だ。今は黙ってなぁ!!」

 

「て、テイトク……なんで、なんでこんな……!」

 

 比叡お姉さまも霧島も、不安そうに榛名を見ています。

 最期まで……戦わなくては!

 

「榛名、覚悟はいいかぁ?」

 

 どうやら提督は、私に止めを刺すつもりのようです。

 構えるその姿勢には、一撃必殺の気迫がこもっています。

 

 私はなんとか立ち上がり、対峙します。

 

「……榛名は、大丈夫です!」

 

「ククッ、じゃあ、これで終わりだ!!」

 

 提督の拳激が、榛名の身体を貫きました。

 もう、力が入りません。

 

 崩れ落ちていく……。

 

「榛名っ! 榛名!!」

 

「これが運命ならば……受け入れます……ごめんなさい」

 

 ごめんなさい、みんな。

 榛名は、ここまでの、ようです……。

 

「榛名あああああああああああ!!」

 

「ククク、さ、次は金剛、てめえの番だ!」

 

 比叡姉さまの絶叫。

 そして、金剛お姉さまが提督の隣に座ります。

 

「テイトク……何で貴方は……」

 

「これが力の差だ。いや、経験の差、と言うべきか?」

 

 金剛お姉さま、どうか、どうか提督を……。

 

 提督を止めてください……!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「金剛……お前」

 

「榛名の仇ネ!」

 

 こいつ、この短時間で成長してやがる……!

 戦闘経験で、俺に叶うはずがねぇのに!

 

 才能か、それとも、『騙し』のテクニックか。

 経験不足を装って、実は熟練者だったのか!?

 

「ファイアー!!」

 

「ク、クッ、無駄ァ!!」

 

 だがなぁ!

 付け焼刃の力じゃあ、俺には勝てねえんだよ!

 

「ああっ!?」

 

「ほんの少しだけ、本気を出してやるよぉ!!」

 

 打撃のラッシュを、金剛にブチかます!

 これを受けきれるか?

 

「金剛お姉さま!」

 

「グッ、比叡、霧島……よく見ておくネ……!」

 

 後ろに控えてるやつらに、金剛が何か目配せをしている。

 何をする気だ?

 

「これが、勝利の為の『技』ネー!!」

 

「何ぃ!?」

 

 こいつ、まさかアレを!?

 させるかよぉ!!

 

「ぐはっ!?」

 

「危ねぇ……だが、一手、遅かったな!」

 

 倒れ行く金剛。

 こいつ、まさかアレを使おうとするとはな。

 想像以上の成長っぷりだったぜ。

 

 だが……。

 

「俺の勝ちだぁ!! クックック!!」

 

「そんな……姉さま!」

 

 残りはこいつらだけだ。

 ここで金剛型を全員ぶったおして……。

 

 鎮守府中の艦娘に晒しあげてやるぜ!!

 

 

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 コンゴウ達と紅茶でも飲もうと、彼女達の部屋に来てみたら。

 と、とんでもない事が起きてしまっているわ!

 

「ひええええええ!」

 

「どうしたぁ!? 金剛と榛名の仇を取るんだろ!?」

 

 ヒエイの叫び声に、仇!?

 一体何が起きてるの!?

 

 Admiral……彼は言葉使いこそ怖いけど、決して悪い人じゃあない。

 酷い事はしない、そんな人だと思っていたのに!

 

「クク、他愛も無いな」

 

「ああ、姉さま達が……!」

 

 ヒエイがやられた!?

 そ、そんな……。

 

「霧島……お前が一番手強そうだな」

 

「ええ……戦況分析は完璧です」

 

 残ったのはキリシマだけなのね。

 早く、早く助けを呼ぶか、私が助けに行かないと!

 

「ラストバトルだ、いくぜぇ!!」

 

「全門斉射ぁー!」

 

 ……でもちょっと待って。

 艦娘って、そもそも人間に手をあげられないはずじゃあ?

 でも、一方的に暴力を振るわれてる風ではないし。

 

 Admiral達は、中で何をやってるの?

 

「無駄無駄ァ!!」

 

「つ、強い!」

 

「キリシマー! ファイトネー!」

 

 コンゴウ!?

 生きてるの!?

 

「これで……終わりだぁ!!」

 

「そんな、私の戦況分析がっ!?」

 

「提督の覇道翔竜拳です!」

 

「霧島、クレイジーサイコクラッシャーを!!」

 

 ……。

 

「何やってるのよ!!」

 

「えっ?」

 

 もう我慢が出来なくて、私はドアを思い切り開けた。

 そこに広がる光景は。

 

 テレビの前に座っているAdmiralとキリシマ。

 後ろのソファーにいる、ハルナとコンゴウ。

 

 紅茶にお茶菓子、そして。

 テレビ画面には、『KO』の文字が映っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「テレビ、ゲーム?」

 

「あぁ、この世で最高最強の娯楽の事だぜ!」

 

 金剛型を打倒した俺は、いきなり乱入してきたウォースパイトに説明する。

 

 俺の、今日の『虐待』についてな!

 

「クク、どうだウォースパイト? こいつらの表情は」

 

「……」

 

 俺に負かされたこいつらは、全員屈辱の表情だ。

 

 負けず嫌いなようで、さっきから何度も再戦を挑まれている。

 

「テイトク強すぎるネ! ずるいヨー!!」

 

「ふん、だから経験の差だって言ってんだろうが!!」

 

「うう~!」

 

 こいつら、格闘ゲームを一度もやったことが無いと言っていた。

 甘い前任の事だから、ゲームとかは結構やってたと思ったんだがな。

 

 しかし、あっと言う間に適応してきたのは、流石俺の『兵器』ってとこか。

 

 ま、今回の『虐待』は大成功だな!

 こいつらに敗北感を与え、俺の恐ろしさを再認識させることができた。

 

 あとは敗北者を晒すだけだ。

 

「クク、悔しかったら、強くなる事だなァ!!」

 

「はい! 榛名、お次は負けません!」

 

「……」

 

 クク、俺は、卑怯者にはなりたくねえからなぁ。

 コレと同じゲーム機を共用スペースに置いてやるぜ!

 

 どれほど練習しても勝てないということを、思い知らせてやるよ!

 

「妖精さん、頼むぜ!」

 

 妖精さんが散っていく。

 テレビとゲーム機を、談話室に運び込んでもらうぜ。

 

 さぁて、俺は最後の仕上げといこうか。

 

「あれ司令、もう行っちゃうんですか?」

 

「金剛型は倒したからなぁ。俺は、更に犠牲者を増やしたいんだよ」

 

 他の艦娘どもに、ゲームの存在、そして俺と戦えるということを伝えなくちゃあな。

 片っ端から、叩き潰してやるぜぇ?

 

「それに、お前らには罰を受けてもらう」

 

「そ、その罰とは……?」

 

 恐る恐る聞いてくる霧島。

 ククク……。

 

「食堂掲示板の『敗北者リスト』に書き込んでおいてやるぜ!」

 

「……」

 

 これにより周囲の艦娘からの視線に苦しめられ!

 艦娘全員の対戦意欲を向上させる!

 

 一石二鳥の罰だなぁ。

 

「……Admiral」

 

「ん? なんだぁ?」

 

 さっきから黙りっぱなしのウォースパイト。

 なんだよ。

 

「……こんどは、私とやりましょう」

 

「おう、いつでもかかってきな!」

 

 金剛達に影響されたか?

 ま、いい傾向だなぁ。

 

「あばよ負け犬ども。クックック……!」

 

「ムキー! 比叡、練習付き合うネ!」

 

「はい!」

 

 部屋を出て、食堂へ向かう。

 そろそろ午後の出撃、遠征艦隊も帰ってくる時間だ。

 

 談話室にいる艦娘から、質問も来るだろうしな。

 

 ……艦娘は、人間に直接危害を加えられない。

 安全装置が付いている兵器、結構な話だ。

 

 しかし、それじゃあ面白くねぇ。

 せっかく感情、自我を持ってるやつらなんだ。

 敢えて戦える場を作り、それを返り討ちにする楽しさ。

 

 クク、これだから『虐待』はやめられねえんだよなぁ。

 

「司令官ー! なんか変な箱が談話室に!」

 

「妖精さんめっちゃきたニャ! なんにゃ!?」

 

「説明して欲しいであります!」

 

 ……食堂に入った瞬間、質問の嵐。

 こいつら、本当に……!

 

「うるっせえぞお前らぁ!! 説明するから大人しくしやがれ!!」

 

 




談話室が賑やかになったそうです。

次回、視察官襲来。

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