HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

41 / 105
覇剣抜刀

 

 偽聖剣。それは、俺がアーチャーとアザゼルに創ってもらった超高性能の装備。

 

 サーヴァントとの接近戦を単独でこなすことを目的とするという、むちゃくちゃなオーダーを可能とした代物。

 

 ぶっちゃけむちゃくちゃ問題がある。

 

 エクスカリバーの残骸を中心とする、希少性の高すぎる材料。

 

 アザゼルとアーチャーという一流の技術者による超職人芸。アーチャー亡き今、修復には鍛冶の神の力が必要だった。

 

 悪魔の駒のベースマテリアルを中心とする、レーティングゲームでは本来使えない違法技術の数々。

 

 そして俺自身も偽聖剣を使うための改造を何度も行った、人剣一体の特注品。

 

 当然量産など現状不可能の代物だ。少なくとも、俺が使わなければ性能を発揮することなどできない。

 

 だが、ここに例外が存在する。

 

 あらゆる剣の性能を引き出すことこそが能力である英霊剣士なら、その能力を発動させることが可能。

 

 この土壇場において、それにすべてをかける!!

 

「覇王―」

 

 そして一気にハイディはフォンフの懐にもぐりこむ。

 

 ああ、才能なら俺より上なんだから、使いこなせれば俺より強くなることも十分あり得るさ。

 

「―断空拳!!」

 

 その拳が、フォンフ・シノビコームにめり込んだ。

 

「クソが!」

 

 もろに喰らいながら、フォンフ・シノビコームはそれに耐える。

 

 ええい、これでも押し切れんか!

 

「それでいい。アインハルト、一分ほど時間を稼いでくれ」

 

 だが、アルサムには別のものが見えていた。

 

 正眼にルレアベを構えると、アルサムは呼吸を整えて魔力を込める。

 

「地獄にて目覚めよ、魔の王よ。冥府の大地を照らすのだ」

 

 その瞬間、ルレアベから魔力が増大化されて放出される。

 

「我こそは大罪を担いし終末の獣の後継。天すら汚すその猛威、今こそここに見せつけよう」

 

 その魔力はアルサムにまとわりつき、そしてアルサム自身を強化する。

 

「我が手に宿れ軍勢の主。今こそその威を見せつけよ!」

 

 それは、あえて言うのならば―

 

覇剣抜刀(フルスロットル・ブレイド・エンペラー)!」

 

 覇龍(ジャガーノート・ドライブ)とよく似ていた。

 

「馬鹿な!? そんな機能はルレアベにあるはずが―」

 

「抜かせ! 私はルレアベの新たなる担い手だぞ?」

 

 一瞬の動揺を振り切りながら放たれるシノビコームの一撃を、アルサムは今までではありえないような速度でかわし―

 

「―先代を超えることこそ後代の務めと知れ!!」

 

 一振りで、その腕をぶった切った。

 

 速い! この戦闘能力の上昇率、ヴァーリの極覇龍にすら匹敵するぞ!

 

 マジでこれは覇の領域だ。あの野郎、こんな奥の手を編み出していたのか!

 

「この出力、マジで覇の領域に―」

 

「遅い!」

 

 そして体勢を整えさせる隙を一切与えず、アルサムはシノビコームを滅多切りにした。

 

「バカな、俺は、業獣鬼(バンダースナッチ)をベースに―」

 

「罪もなき民草を傷つけた報い、魂魄にまで刻むがいい!!」

 

 断末魔の叫びすら言わせることなく、アルサムはフォンフ・シノビコームの首を跳ね飛ばした。

 

「……我らだけならばまだしも、時空管理局にまで牙をむいた罪、その程度ですまされたことを光栄に思うがいい」

 

 言い放つと同時、シノビコームは跡形も残さず爆発する。

 

 その爆風にあおられて、アルサムは壁にたたきつけられた。

 

 あ、さすがに消耗が激しいらしい。

 

「少し休む。それまで何とかしのいでくれ」

 

「……ああ、任せろ!!」

 

 アルサム、お前はよくやってくれた。

 

 俺も格好位付けないとな!

 

「させるか! ここで貴様だけでも殺しておいて―」

 

「いや、ここまでだよ」

 

 すでに対抗策は思いついた。

 

 今の戦闘の最中も、頭を回転させてもらった。

 

 ああ、考えてみれば簡単なことだ。

 

 ……人間に特攻なら、人間でなくなればいい。

 

「ハイディ、五秒かせげ!! それで終わらせる!!」

 

「わかりました!!」

 

「そんな短時間で何ができる!!」

 

 フォンフ・バーサーカーはそう言い放ちながら攻撃を行うが、しかしハイディはしっかり五秒持ちこたえる。

 

 いかに人間特攻とはいえど、今のハイディは英霊の力を宿している。

 

 数秒ぐらいなら確実に持ちこたえる。

 

 しかし、フォンフ・バーサーカーは殺人鬼の英霊を宿すもの。

 

 人間を殺す存在である以上、相手が人間ならば圧倒的に有利。

 

 ましてや、まだハイディは七式に慣れていない。

 

 ゆえに、五秒を過ぎたあたりでフォンフはその一撃をハイディに届かせ―

 

「え?」

 

「は?」

 

 条件反射レベルで放たれたカウンターの拳をもろに喰らった。

 

 フォンフが驚くのも無理はない。

 

 人間特攻であるフォンフの攻撃は、純粋な人間であるハイディには一撃が致命傷。一撃クリーンヒットを当てればそれで勝負はつく。

 

 にもかかわらず、ハイディは反撃を余裕で行える程度のダメージしか入っていない。これは普通に考えておかしい。

 

 では、なぜか。

 

 その答えに、フォンフはすぐに思い至った。

 

「宮白兵夜、お前神器のドーピングを―」

 

「―したともさ!」

 

 注射器を投げ捨てながら、俺は即座に反撃を開始する。

 

 俺の新たなる禁手は、己を堕天使へと変化させること。

 

 では、それを強化拡張するドーピングをおこなえばどうなるか。

 

 それはすなわち―

 

「アインハルト・ストラトスを堕天使化させたのか!」

 

「一時的だがな!!」

 

 これで状況はひっくり返る。

 

 人間特攻であるフォンフ・バーサーカーは人間以外にはその利点を生かしきれない。

 

 すなわち、この状況は大きく不利なのだ。

 

 そして、この五秒はそれだけでは済まない。

 

 俺も指摘されるまですっかり忘れていたが、フェニックスの涙の備蓄を用意してきていた。

 

 なにせ前回それで失敗したからな。金に物を言わせてたくさん集めたとも。

 

 それはすなわちどういうことかというと。

 

「……体が力強すぎるのは問題ですが、おかげで何とかなりそうですわね」

 

「あ、やべ」

 

 真っ先に回復したヴィクトーリアを筆頭に、お礼参りといわんばかりに連続で攻撃がフォンフに叩き込まれる。

 

 そして、とどめはもちろん俺の決め技。

 

「砕け散れ。冥府へ誘い死の一撃(ハーイデース・ストライク)!!」

 

 どてっぱらに、遠慮なく殺すつもりで大技を叩き込んだ。

 

 

 




徹頭徹尾量産できる条件をそぎ落とした装備、偽聖剣。文字通りのオンリーワンな装備である。

ですが中二バトル作品恒例、例外! 剣士の英霊はその特性上、このオンリーワンな特性をガン無視できるのです!

これが本来の聖杯戦争なら、こいつは間違いなく三流サーヴァントで勝利は困難。ですがこの世界なら話は別です。









そして覇剣抜刀。アルサムの新技です。

新たなる使い手として先代を超えたアルサム。ついに覇の領域を独自に編み出しました。これにはフォンフも唖然。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。