「ん......もう朝か......。」
俺は目が覚めた、時刻は6時で普段より起きるのが1時間ほどは早い。早く起きたのには理由があった。
「んぅ......ますたぁ......、むにゃ......」
メアはまだ目が覚めておらず寝返りをうっている。めちゃくちゃ可愛いです。
「さて、準備するか。」
俺はそろそろと下に降りて、キッチンに向かう。
そう、ピクニックに行くということは昼ごはんの準備が必要だ。だからこうやって早起きして準備しているのだ。
「......ピクニックと言ったらサンドイッチだよなー。」
あらかじめ買っておいてもらったサンドイッチ用のパンを取り出した。
「ゆで卵作らないとなー。卵どんくらいあるんだろ。」
俺は冷蔵庫を開けて卵を確認する。
「うん、結構あるな、5個くらい使ってもいいか。」
そう言って俺は沸かしたお湯の中に卵を放り込んだ。
あれ?作り方合ってたっけ?
そのあと、ハムを半分に切って、レタスの間に挟んでマヨネーズをかけたり、いちごを切ってホイップクリームをかけてデザート用のサンドイッチを作ったりした。気づけばゆで卵も茹で上がってたので切り刻んでボールの中に入れて、マヨネーズと一緒に混ぜたものをパンに挟んでタマゴサンドを作った。
「ふぃー、かんせーい。」
気づけば日も上って来ており、7時を過ぎていた。因みに今日は日曜日なので私の寛大なる両親様はお目覚めになってはおられない。さらに言えば、ここでむやみに起こしに行ったりすると怒りに触れて生きて帰ってくることはできない(実体験済み)
メアが『食べるのが好き』と読んで、バスケット二つ分のサンドイッチを作っておいた。喜んで全部食べてくれると嬉しいが......。
「どうしようか、二度寝しようかな...。」
普段より1時間も早く起きたので眠気がぶり返して来たのだ。どこまでデリケートな身体してんだよ俺......。
『がちゃ』
リビングの扉が開いた。
「ふぁぁ、おはようございますー、ますたぁ......」
メアが7時ジャストで下に降りて来た。まだ眠いのか欠伸をしながら、トロンとした目をこすっている。
「あぁ、おはようメア。」
「マスター何してるんですか?朝早くに起きてましたけど。」
「あぁ、これを見てくれ。」
俺はさっき作ったサンドイッチの入ったバスケット二つをメアに見せた。
「わぁ!!サンドイッチですかーー!!」
メアがぱあっと嬉しそうな表情を見せた。
「って、結構たくさん作ってますね、二人で食べきれますかね?」
「さぁな、俺は敢えて朝食は食わないよ。メアはどうする?」
「それじゃあ私も遠慮しときますね。」
そのあと、ソファーに座ってテレビを見ていた。朝なので、まだニュースしかやっていなかった。
『速報です。先日、行われましたシンオウリーグでカンナギタウン出身のシロナ選手が史上最年少でチャンピオンとなりました。新チャンピオンのシロナ選手は「勝っちゃいました☆」と驚きの表情を見せておりました。......続いてのニュースです。』
ふーん、ここで原作と合わせて来たか...。
「すげえなぁ、シロナさん。俺もいずれ戦って見たいなあ。」
「そうですね、私も戦ってみたいです。」
「近いうち俺たちも旅にでる。その時の目標は決まったな。」
「はい。」
俺は拳を強く握る。
「絶対シロナをぶっ倒して俺がチャンピオンになってみせる。」
「もちろんです!!私も全力でサポートしますよ!!」
こうして俺たちの目標は決まり、結束を強めたのだった。
『続いてのニュースです。シンオウ地方のナナカマド博士がポケモンの擬人化について発表いたしました。』
「え?」
思わずテレビ画面に視線を向ける。
『えー、ゴホン!みなさんこんにちは、ナナカマドポケモン研究所のナナカマドでございます。今回はポケモンの擬人化について記者会見を開かせていただきました。最近ごく稀に野生のポケモンの中に人とほとんど同じ姿をしているポケモンが発見されました。最初はただの変人かと思いましたが、精密検査の結果、ポケモンと同じ構造となっていることが発覚いたしました。次に擬人化したポケモンは知能が高く、喋ることができるため人に紛れてもほとんど違和感がなく、人とポケモン自由に変化することができます。また、先日チャンピオンとなったシロナ選手のポケモンのガブリアスですが、今朝擬人化の現象が確認されたそうです。今回の件でトレーナーのポケモンも擬人化することが判明しました。条件についてですが、まだ詳しくはわかっておりません。わかり次第会見でお知らせしていく次第でございます。』
「なぁ、メア。」
「はい。」
「元の姿に戻れるか?」
「え、戻るって......どうやるんですか?」
「え、わからないの?」
「は、はい。」
多分、ナナカマド博士が言った通り、メアはダークライが擬人化したポケモンだろう。博士が言うならば、元の姿に戻れるはずだが............本人曰く『戻れない』とのこと。
「うーん、まぁ、悩んでも仕方ないか。そろそろ着替えて準備するぞー。」
「私はもう着替えてますよ。」
「えっ?」
メアはいつの間にかいつもの黒いゴスロリの服に変わっていた。
「どうやって着替えたんだ?」
そう、昨日パジャマ服に変わってるときから気になっていたことだ。取り敢えず聞いてみた。
「私が来ている服って、なんというかー、えーっと、これ服じゃなくて毛皮みたいなやつですかねー。よくわからないです。」
「ふーん、楽な身体してるんだなぁ。それじゃあ着替えてくるから待っててくれ。」
「はーい。」
俺は二階の自分の部屋に戻って、服を着替えた。
服装は湯煮黒で買ったヒートテックの上に黄色いパーカーにまあまあ暖かいジーンズを履いた。ファッションに疎い俺はこれが限界だった。
最後に同じく湯煮黒で買った、うるとらなんちゃらダウンってやつを上に羽織った。軽くて暖かいのが売りだそうだ。
下に降りると玄関前でメアが待っていた。
「マスター!行きましょっ!!」
「あぁ、行こうか。」
外に出て、コトブキシティに行くため、218番道路の方へ向かった。
「寒っ。」
まだ午前中のためか、少し肌寒かった。
すると、メアが俺の腕に抱きついて来た。
「これで暖かいですねっ♪」
「あぁ、そうだな。」
.........あれ、218番道路からコトブキシティに行くのって、なみのりが必要なんじゃ...
そう、原作通りに従うと、なみのりが無いと渡ることができないはずだ。
「あれ?橋が架かってる......。」
何故かコトブキシティと218番道路を繋ぐ木製の橋が架かっていた。
「まぁ......いいか。」
俺たちが橋を渡った瞬間だった。
『じゃぼおおおん!!』
釣り人「うおあああっ!!?」
「えっ?」
渡り終えた瞬間後ろの橋の一部が沈んだ。
あぁそうか。
俺は理解した。
なみのりで渡らないといけないのは俺たちの所為なんだなって。
コトブキシティには特に用事は無かったのだが、ポケッチの会社の前を通ると社長の人と会い、ポケッチをもらった。