悪夢の少女と   作:ヤマシロ=サン

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第11話 841番目

 

「おとうs...がはっ!?」

 

 

 

俺は昨日のオオスバメのつばめがえしと同じ威力のダイブを喰らった。俺は受け止めきれず後方の壊れた桟橋の方に吹き飛ばされ、海に落ちた。

 

 

「げぼっ!?ごぼぼぼ!!?」

 

 

 

 

海に落ちてしまった俺は静かに意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........!.........っ!」

 

 

 

「ん.........?」

 

 

 

気づけば俺は地面に寝ていた。てか、ここは218番道路か?

 

 

 

「あっ、お父さん!?え、えっと、本当にごめんなさいッ!!」

 

 

「むごあっ!?」

 

 

 

さっき俺に飛びついてきた女の子が泣きながら俺に抱きついてきた。状況が全く把握できてないのと、力強すぎて苦しいです。あと、胸がでかいです。これが女子高生のおっぱいか......!!

 

 

 

「ひぐっ、よかったよぅ...、お父さん生きてて...!!お父さんが死んだら私は...!私はぁ...!!」

 

 

 

うん、全然状況が把握出来ないです。まず、なぜお父さんの方が子供なのか。そして、俺は子作りをしたこともないし、出来るはずもない............ふぅ、取り敢えず俺も優しく抱き返してあげた。そして一言。

 

 

 

「お父さんってどゆことや?」

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、女の子は目を見開いて言った。

 

 

 

「えっ!?覚えてないのお父さん!?ヤヨイだよ!!私のこと忘れちゃったの!?」

 

 

ん?ヤヨイ...?

 

 

 

「や、やっぱりさっきの衝撃で記憶喪失になってるのね!!」

 

 

 

何だろう......どこかで聞いたことあるような......。

 

 

 

 

「ど、どうしよう...!!やっぱりショック療法しか...!」

 

 

 

 

以前、どっかで聞いた覚えのある名前なんだが......。

 

 

 

 

『ガシッ!!』

 

 

「え?」

 

 

俺は今頭を掴まれている。何を言ってるかわからねーと思うが(ry

 

 

 

「思い出して!!お父さぁんっ!!」

 

 

 

『ズドン!!』

 

 

 

「ぐほぉっ!!」

 

 

 

 

俺はそのまま後頭部を地面に叩きつけられた。さっきとは比べものにならない衝撃が頭から全身にかけて走り、俺は意識を再び落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ、これで来なかったらもう諦めるしかないな。』

 

 

 

ん?これは...前世の俺か......?

俺はポケモンDPで手持ちいっぱいに卵をもたせて例のごとくうろちょろしていた。

 

 

 

 

数分後...

 

 

『テレテレン。てんてんてんてんてんてんてんてー...(ry』←bgm

 

 

 

『うおおおおお!!!やっときたぁ!!!』

 

 

 

 

どうやら俺はとあるポケモンの厳選をしていたらしく、それが今終わったらしい。

 

 

 

 

『えっとお前は「が841」って名前だから841番目か。なんか良い名前ないかなぁ。』

 

 

 

だんだん記憶がはっきりしてきた。そうか......俺はこいつと再会したのか...!!

 

 

 

『そうだ!841から取って、ヤヨイだ!!今度からお前の名前はヤヨイだぞ!俺が絶対愛情こめて育てて最強のガブリアスにしてやるからな!!』

 

 

 

なるほどな、だからあいつは俺のことをお父さんって呼んでたのか。悪いことをしたな......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!!?」

 

 

俺は目が覚めた。まだめちゃくちゃアタマが痛い。周りは日が沈んで真っ暗になっていた。しかし、そこにいたのは...

 

 

 

「うぅぅ...!!ごめんなさい...!!ごめんなさい...!」

 

 

 

ヤヨイだった。

 

 

 

 

ヤヨイは地面に座ったまま顔を覆い隠して泣いていた。俺はよろよろと起き上がりヤヨイの元へ向かった。

 

 

「え.......?おとうさ......ッ!!」

 

 

俺はそのままヤヨイの大きな体を強く抱きしめてやった。

 

 

 

「ごめんな...ヤヨイ。お前のことを忘れるなんて...!!お前はずーっと俺のことを覚えててくれたんだな...!!」

 

 

「おとう...さん...?私のこと思い出してくれたの...?」

 

 

「当然だ。約束しただろ?最強のガブリアスにするって...!!(何か既に完遂してる気がするけど!!!)」

 

 

 

「うぅぅぅああぁぁぁ......!!おどうざぁぁん!!」

 

 

 

 

ヤヨイは俺の胸の中で再び声をあげながら泣き始めた。今まで溜め込んできたものを全て吐き出すように。俺もまたそれを優しく受け止めてあげた。二度と離れ離れにならないようにするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?だいぶ落ち着いたか?」

 

 

「うん。えへへ......。」

 

 

ヤヨイは俺の胸に抱きついたままだ。冷静になってみて気づいたんだが、ヤヨイの豊満な胸が形を変えるくらい押し付けられていて俺の理性をじわじわと壊しにかかっていた。

 

 

 

「やっとお父さんに会えたよ...!どれだけ長い間探したことか...!」

 

 

 

「ごめんよ......ほんとにごめん......!!」

 

 

今の俺には謝ることしかできなかった。でも、ヤヨイは笑顔を見せてくれる。

 

 

「うん、別にいいんだよ。今こうやってお父さんを見つけて、お父さんの胸の中にいれるんだから...。」

 

 

 

「そうか......。一つ聞きたいんだが、最初はどこにいたんだ?姿を見る限りフカマルではないだろう?」

 

 

6Vとはいえ、一人でここまで強くなるのは不可能に近いと思うんだが......。

 

 

 

「ハードマウンテン。」

 

 

ヤヨイが突然無表情になってそう言った。

 

 

「は?」

 

 

「あそこは地獄だったよいやめちゃくちゃ暑かったから本当に地獄だった目が覚めたらそこにいたんだとつぜんカバルドンに襲われるし戦う術もなかったから生き残るのにも必死だったよヒードランとかいうポケモンに会わなかったらほんとに生き残れなかった確かにあいつの修行も地獄級だったよもういっそのこと死んでしまおうなんて思ったこともあったよでもお父さんに会うまでは死ねないと思ってたからここまで生き残れたんだガブリアスにまで進化してお父さんの求めている『最強』になったからハードマウンテンを抜けてシンオウ中を旅して回ってやっとの思いでお父さんを見つけたんだもう私はお父さんのそばから離れたくないよ離れたら今度こそ死んでしまうからいいよね私最強になったから絶対誰にも負けないからだから私を見捨てないでお願いお願いお願い...」

 

 

「心配するなヤヨイ。俺に見捨てるなんて選択肢は無いさ。お前はもう俺の家族だ。絶対に離れ離れになんてさせない。だから、そんな悲しそうな表情を見せるのはやめてくれ。あと......よく頑張ったな。ほんとにすごいよお前は......!!」

 

 

俺はヤヨイの頭を優しく撫でてあげた。

 

 

「ほんとに......?ほんとに見捨てたりしない......?」

 

 

ヤヨイは目を見開いて俺に尋ねる。気づけばヤヨイの目にハイライトが戻っていた。取り敢えずヤンデレルートは回避かな。

 

 

 

「あぁ、当然だ。」

 

 

ヤヨイは涙を流しながらももう一度笑顔を見せ、俺に抱きついた。

 

 

「えへへ、ありがとうお父さん。私頑張るから...!!お父さんを最強のトレーナーにするから......!!」

 

 

「あぁ、ありがとな。あと、そろそろ離れてください。そうしないと俺の理性が爆発四散してしまいます。」

 

 

進化したらこんなナイスバディになるんだなぁ。スタイル良すぎだろ...!!しかも、今抱きしめられてるんだぜ?ヤヨイの豊満な胸が変形してしまうくらいにだぞ?この柔らかい感触がこれ以上続くと色々とヤバイことになりそうなんですけど、確かに10歳児だから大丈夫そうに見えるけど、心は17、8歳くらいなんだ。理性を壊されたら何をしでかすかわからない。だから、お願いします離れてください。

 

 

 

「えへへ、ごめんね嬉しくて強く抱きしめすぎちゃった。」

 

 

ヤヨイは素直に離れてくれた。メアかアグノムだったら、「は?いやですよ?(だよ?)」って言ってるな間違いない。

 

 

「ふぅ、そろそろ帰るか。外真っ暗だしな。俺の家にくるだろ?」

 

 

「うん!お母さんにも会ってみたいしね!」

 

 

今気づいたけどヤヨイも背が高いなぁ。頭一つ分くらいはでかいぞ?このままだと示しがつかないから早く俺の成長期来てくれぇ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、マスター......!?」

 

 

 

後ろから聞き覚えのある震えた声。

 

 

振り向くとそこには修行から戻って来たメアがいた。

 

 

「なっ、なんで『が841』がいるんですか!?あなた最後はボックスの隅にいたはずでしょう!?しかも、進化してガブリアスになってるし!!しかも、マスターとくっついてるし!!離れてください!!そこは私のポジションですよ!!」

 

 

ダークライが超涙目でこちらを指差して叫んでいる。よほど悔しかったらしい。

 

 

「へへーん!!ここは私のポジションだもんねー!!もうお父さんの隣から絶対に動かないからー!!てゆーか、お前もボックスの隅にいたじゃん!!(プロローグ最後らへん参照)お前も人のこと言えないじゃん!!どうしても欲しかったら私を倒してみなー!!あと、私にはお父さんからもらった『ヤヨイ』って名前があるんだからー!次その名前で呼んだらぶち殺すぞ?(怒)」

 

 

「望むところですよ!!あなたを半殺しにしてポジションを返してもらいます!!覚悟ッ!!」

 

 

メアがヤヨイに飛びかかって来た。ヤヨイはドラゴンタイプが見せるような獰猛な目をしている。ヤバイ、戦闘モードに入ってるわ。

 

 

 

「だったら、とりま死ねぇ!!」

 

 

 

 

『ズドオオオオオオン!!!』

 

 

 

 

メアとヤヨイが218番道路のど真ん中でぶつかり合った。爆発音が響き渡る。

 

 

 

その光景を見て一言。

 

 

 

「帰って寝よう。」

 

 

 

俺はこいつらを無視して家に帰ることにした。

 

 

 

「この野郎!!無駄に固いですねぇ!!だったらこれでも......!!ってマスター!!?帰らないでくださいよぉ!!」

 

 

「嘘ぉ!?待ってよお父さぁん!!置いていかないでぇ!!」

 

 

二人も俺が帰ろうとしていたのに気づいたらしくバトルを強制中断してついて来た。最初からこうすれば良かったのだ。

 

 

 

翌朝、218番道路の真ん中にどでかいクレーターが発見されたらしいが俺は知らない。俺は何もしていない(震え声)

 

 

家に帰ってからは大変だった。まず、親に説明しなければならなかったからだ。母からは『いつの間に子供授かってたのよ!!?母親はどこにいるの!?』と勘違いされ、父親からは『お前をそんな息子に育てた覚えはない』と殴られ、後ろからメアとヤヨイの殺気があふれ出ていて父親がそのまま気絶してしまったりして。夕飯はメアとヤヨイの食べ比べが始まり、冷蔵庫がすっからかんになってしまったりしていた。何より一番大変だったのは風呂だ。メアくらいならまだ許せるが、ヤヨイが風呂に入って来た時はガチで焦った。本人は自分が超絶ナイスバディであることを知らないらしく、さらに精神年齢は思春期を迎える前で幼い様子もあったので恥という感覚を知らなかったらしくずっと首を傾げていた。俺はずっと浴槽の中で壁の方を向きながらポケモンをNo.1からずっと言っていた。No.370くらいで構ってくれないことを不満に思ったヤヨイが背中に抱きついて来て女の子特有のいい匂いと柔らかな感触とともに俺の意識は途切れてしまったらしく、気がつけば俺はベッドの上で寝ていて、メアとヤヨイが泣きながら取っ組み合いをしていた。俺が体を起こすと二人は同時に俺に飛びついて来て、肺が圧迫され、俺の意識は再び闇の底へと落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々なことなあってその翌朝。

 

 

「.......はっ!!」

 

 

朝の光を浴び目が覚めた。時間はマルナナヒトマル、ノルマはギリギリ達成だ。さて、起きようか.........あれ?動かないぞ?

 

 

「すぅ......すぅ......ます...たぁ......」

 

「う........ん、おと......ぅ......さ...ん......。」

 

 

二人が両端から俺を抱きしめているらしく俺は全く身動きを取ることができない。眠っているところ仕方ないが起こすことにした。俺は大きく息を吸い、

 

 

 

 

 

「火事だぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

「ひゃん!!?えっ!?えっ!?かじっ!?まっ、ますたぁ!?ますたぁはどこでしゅか!?えっ、えと、取り敢えずかえんほうしゃで火をけさにゃいとぉぉ!!」←大混乱

 

 

メアが飛び起きてかえんほうしゃを放とうとする.........え?

 

 

「わわっ!!お父さん!!?お父さんはっ!?どこどこどこどこどこどこどこどこどこどこ!?もっ、もひかしてあの火の中にぃ!!?(寝ぼけている)はわわわわっ!!えっと取り敢えずかえんほうしゃで火をけさにゃいとぉぉ!!?」←大混乱

 

 

ヤヨイも飛び起きてかえんほうしゃを放とうとする......は?

 

 

 

「おいいい!!ストップストップ!!やめてやめて!!家が燃えるからやめろおおおお!!!」

 

 

やり過ぎた。今度から普通に起こさないと、こいつらは普通のポケモンの何倍もの力を持ってるんだからこんな起こし方をしたら家がいくらあっても足りないぞ......。

 

 

「はっ!!あああぁ!!よがっだぁ!!まずだぁぁ!!」

 

 

「はっ!?あああぁ!!よがっだぁ!!おどうざぁぁん!!」

 

 

二人は泣きながら俺を両端から抱きしめてくる。朝から元気だなぁこいつらw

 

 

 

 

 

 

そのあと朝食を済ませてソファーでゴロゴロしていた。

 

 

「お父さーん!!朝の散歩に行きましょ!!」

 

 

「マスター!!図書館で本読みませんか!!?」

 

 

二人がほぼ同時に俺を誘って来た。それは即ち戦いを意味する。

 

 

「は?いや、私が先だよね?何であんたがくんの?あんたはとっとと私の目の前から失せなさい!!」

 

 

「いやいやいや!!あなたこそ新参者の分際でマスターを馴れ馴れしく誘ってんですか!!?あなたこそ失せた方がいいんじゃないですかぁ!?」

 

 

「はぁ!?」

 

「あぁん!?」

 

 

「はぁ、こいつら...。」

 

 

俺は頭を抱えて呆れていた。その時だった。

 

 

『ピンポーン、宅配便でーす。』

 

 

「はーい。お前らうるさいから静かにしとけよ?」

 

 

「「はーい」」

 

 

二人同時に返事。こいつらもしかしたら仲がいいのか?

 

 

 

 

 

「こちらとなります!!今後もシロネコヤマト宅配便をよろしくお願いします!!それでは失礼しゃーす!!」

 

 

「はいはい、ありがとうございまーす。」

 

 

俺は小さい箱を受け取った。シロネコヤマトの人はムクホークに乗って飛び去ってしまった。シロネコ関係ねぇ......。

 

 

箱を開けると小さい封筒が入っていた。手紙も同封されている。

 

 

『チケット送っておいたんで絶対に来てね☆ シロナ 』

 

 

「いやぁ、シロナさんと知り合いになって本当に良かったな.........ん?」

 

 

 

俺は封筒からチケットを取り出した。

 

 

 

 

 

「はっ!?二枚しかない...だ...と?」

 

 

 

 

 

そう、チケットが二枚しかないのだ。俺が一つ座るとして余る席は残り一つ。耳のいい二人には既に聞こえており、リビングでは既にリアルファイトに発展していた。

 

 

 

「私が座るんですよ!!そもそもあなた後から来たんですからシロナさんは私の為に用意してくれたんですよ!!」

 

 

違う!!そもそももう一つの席は母さんに用意してたんだ!でも、母さんは行かないらしいから席が余っただけなんだ!!なんかごめん!!

 

 

 

「いやいや!隣に座るのは血の繋がった(理想)家族の私でしょう!!そもそも赤の他人のあんたに座る権利なんてないから!!」

 

 

 

いやいや、(理想)ってなんだよ!!人とポケモンなんだから血なんて繋がってないから!!てゆーか、本当のお父さんもお母さんもガブリアスだからね!?俺じゃないからね!!?

 

ヤヨイは俺のことを本当のお父さんだと思ってるらしい。すりこみかな?

 

 

 

 

その後、これ以上家を壊されるとヤバイと思った俺はじゃんけんで決めさせることにし、最終的にヤヨイが隣に座ることになった。ヤヨイは本気で喜んでおり、メアはガチで悔しがっていた。

 

 

メアはモンスターボールの中で待機だ。シカタナイ。

 

 

「もし、マスターに傷一つつけたりしたらその場であなたの首を飛ばしますからね!!忘れないでくださいよぉ!!」

 

 

「当然よ。貴方ももし私に復讐でもしてその反動でお父さんに傷でもつけてみなさい、モンスターボールごとぶっ壊してやるからね。」

 

 

 

そう言って二人は握手を交わしていた。こいつら仲良いなぁ(再確認)

 

 

 

 

 

 


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