そん、ごはく。孫 悟白っていいます。   作:鯱の助

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なんとまあベジットは一か八かの試みに悟白を巻き込んだ訳ですが…はてさてどうなっているのやら!

お気に入り40!ありがとうございます!!


悟白vs悟……???

何かの膜を破り、ベジットが降り立つ。

その腕の中には、合体する前の悟空の息子、悟白がいた。

取り込まれた直前、ベジットは悟白にもバリアを張るように言ってあるので、二人分のバリアが大きく貼ってある。

「ふう…なんとか上手く潜り込めたようだな。」

「う……?こ、ここは…」

「ここはブウの体内だ。…なんとも無いか?」

「あ、ああ…大丈夫だ、何ともねぇ。」

「なら良かった。」

すると、酷くうるさい笑い声が響き渡る。

「うるさいな…いつまでも馬鹿みたいに笑いやがって…」

「んだな……あの、そろそろ……」

「ん?ああ…そうか、それもそうだ。」

ずっと抱き上げられていた為、嬉しいのだが…なんとなく恥ずかしく思って下ろして欲しいことを言うと、ゆっくりと下ろされた。

「しかし…元々うるせぇが、あの野郎の中にいるから倍煩くてしょうがない。」

指を両耳に入れて塞ぐ仕草をするベジットと、手のひらで両耳を塞ぐ悟白。

やはり元が親と子なのでしっかり似たような事をする。

「しかし…やはりバリアは上手くいったみたいだな。奴の中に上手く入り込めて、吸収されずに済んだ。」

「えっと…ちゃんと聴けてねぇけんどおらはなんで巻き込まれただ?」

「ん?ああ、悪かったな悟白。俺一人で行ってお前が無茶しかねないんで、一緒に来てもらったのさ。」

「…そ、そういう事け…え、でもそしたら外だともしかしてデンデは…?」

「いや、あいつなら上手く隠れるだろう。死にたくないだろうしな。それに、死んだら困るしな。自分でもわかってるはずさ。

…よし、もういいだろう。早いとこバリアを解いて悟飯達を探さねぇと…悟白、解いていいぜ。」

「は、はい。」

先にバリアを解いて身体を動かす。異常は無さそうだ。

「しかし、ブウの中がさっぱり分からねえ…見つけられるか…?

大丈夫かな、死んでなけりゃいいが…」

そう言って、ベジットもバリアを解いた。

…すると、光がベジットを覆った。

「え、ベジットさ?!」

「お?」

ベジットも何事かと驚いていたが、しばらくすると合体直後のように丸くなって、そこから……

「い!?」

「…!?」

元の2人が弾き出された。

「お、お父!それに、ベジータさ!?なんで…?」

「なんでバリアを解いた瞬間元に戻っちまったんだ!?」

「知るかそんな事。」

「っかしいなあ、ポタラで合体したら2度と元に戻れねぇって言ってたのに…」

「そういやそんな事言ってたな。だとしたらこうなってラッキーだったぜ。貴様と合体なんてもう二度とゴメンだ!」

そう言ってベジータが毟るように自分の右耳からポタラを取った。

「あ、お、おい!何すんだよ、ポタラを取るなよー!

きっとブウの体から出たら、また合体出来ると思うぜ!

多分、こんなかの嫌な空気が合体をダメに…?!」

「べべべベジータさ?!」

ベジータは、ポタラを握ったかと思うと即握り潰した。

「べべべベジータ!!オメェなんちゅうことを…!これじゃ二度と合体出来ねぇじゃねぇかよお!それに…!おめ、死んでんだぞ!?

合体してなかったらまたあの世に戻るしかねぇじゃねぇか!」

「ふん、貴様と合体しているよりはマシだ。それにもう、合体など必要ないだろう。」

「そんなこと、分かんねぇぞ!

もし吸収されたみんなを上手く救い出せたとしても、ブウが元のブウに戻る保証はね「だったら早く連中を探して上手くいくよう願うんだな。」……えぇ、え…そんなあ…!」

「べ、ベジータさ……」

なんとも無慈悲な言い方に、悟白は自分に言われている訳では無いがへこんだ。

「さあ早くしろ!ブウは地球を吹っ飛ばすつもりかもしれんのだぞ」

そして、1人で先に進んでしまった。

「…、あーもう、知らねぇぞ…!」

そう言って悟空もポタラを取り、握り潰して捨てた。

「…そら、行くぞ悟白」

「んだ」

そして小走りでベジータの後を追うのであった。

 

 

 

 

ベジットから分かれて再確認できたが、やはり2人はあまり仲は良くなかった。特にベジータが二三割り増しで悟空が好きではない。

だいぶ遠くに行ったベジータを、小走りだったのをやめて普通に走っておいかける。リーチの差でどう考えても置いていかれる事になるため走る前に、悟空に抱き上げられてしまった。

……もしかしたら移動はこれが主になってしまうかもしれない。

「しっかし、とんでもなく気持ち悪ぃ所だなあ。」

「んだなあ…」

「当然だ。生物の…それも、よりによって魔人ブウの腹の中なんだぞ?」

「…あ、それもそうだな」

「…たく、呑気な奴らだぜ全く…!?」

目の前を歩いていたベジータが、急に沈んだ。

何かと思って足元を見ると、床だと思っていたら飲み込んでくるタイプの何からしかった。

助けようと近付いた悟空も勿論飲み込まれた。

…守ろうとしているのか強く抱き込まれた。

飛べばいいじゃないか!!

…とは言えず、そのまま飲み込まれてしまった。

 

 

落ちたのは、胃袋であった。道理で胃液臭いと…!

悟空には先に上にあげられていたので、自分は何ともなかったが、悟空は上がらずに服から煙が出ていた。

それでベジータに注意されて慌てて上へ乗った。

すると、奥の方で唐突に水を流すような音がした。…洪水が正しいだろうか。

「まずい、やつは俺達を消化する気だ!」

「え!?」

乗っていたお菓子が、吸い込まれ始めた。

そして、囲まれはじめ、そして吸い込むところが近付くと、大きく足場が揺れて3人とも落ちた。

何が何でも胃液は飲みたくないので全力で息を止める。

すると、じわじわと溶かされていくのがわかる。

このままでは…!

…と思っていると、ベジータが気弾を作り上げた。

悟空は喋れないので動作でやめろ、やめとけ、と伝えているが無視してベジータが気弾を放った。

そして、胃袋に穴が開いた。

…うわあ、やっちゃった。

だが、額に手を当てる暇などなく思い切り吸い込まれていく。

そして、吐き出された。

「うわああああ!」

「うおあ!!」

「わ、うわっ!!」

溶けたものも一緒に出たらしく埋もれたが、飛び出して難を逃れる。

「はあ…無茶するなぁベジータ…もしブウに気付かれたらどうすんだ!折角苦労して入り込んだってのに!」

「ふん、俺の知ったことか!溶かされかけたところを助けてやったんだ、少しは感謝してもらいたいぜ」

それに悟空がムッとしたのが分かった。

……ああ、この間に挟まれているのがなんとも嫌だ…

「さあ、グズグズするなカカロット、悟白。

悟飯達を早く見つけないと、救える地球も救えなくなっちまうぞ!」

「分かってるよ…!さ、行くぞ悟白!捕まれよ!」

「え、あ、ええ…分かっただ…」

行こうと思ったら、勿論また抱き上げられた。

…まあいいんだけど。

 

 

 

 

悟空が、溶かそうとしてくる緑のものに包まれてしまった。

自分も飲み込まれるかもしれない時に近くに居た自分を突き飛ばして守ってくれたのだが、どうにかなると思って見ていたら…目の前から化物がやってきた。

はやく消し飛ばせとベジータに急かされたが、思うように身体が動かないらしくうまく飛ばせずにいる悟空。

あわあわと悟空の元へ向かおうとすると隣にいたベジータにとめられた。

「お前まで行ってもっとピンチになってどうするんだ!馬鹿野郎!」

「で、でも!」

問答していると、化物が悟空を食おうと口を広げて悟空へ向かっていった。

「あああああ!!!……っ、あああああああああ!!!!」

そうして、気でなんとか緑の何かと化物を飛ばした悟空にほっとしたが、そっちに目をやっていたせいか唐突にベジータに脇に抱えられて後ろへ下がられた。もともといた場所に、化物の尾であろう部分が降ろされていた。…危ない。

「あ…ありがとうなベジー……タさ……」

「…ふん」

何故か両脇に手を差し込まれ持ち上げられる体制になっていて、何でだろうかとベジータを見ると、何かの器官の肉の壁にめり込んでいた。

……なんとも締まらない姿であった。

 

 

 

化物の親子が登場した。

…何を言っているかわからないと思うが、とにかく現れた。

最初のは兄さんで、次に出てきたのが弟。で、最後のが父親。

……父親がものすごくでかい。

兄ニョロが虐めてきたと父親にいうが、また悪さをしたんだろうといって兄ニョロをはたいた。

…あれ、一般家庭…?

だが、ベジータはニョロニョロしたものが苦手らしく、地味に自分を盾にして、しかもシワになるほど服を握り締められた。ちょっと痛い。

…取り敢えず壁になれるくらいの高さに浮かんでおこう。

子供の代わりに謝っている父親を人の姿にしてみたら…もう本当に一般家庭の家族だ。

「あ、そうだ!オラたちみてぇな格好しててさ、顔はオラより落ちっけど…見なかったか、そんなやつら!」

後ろにいるベジータが、自分と同じで悟空を見た。

…悟空は意外とそういう事も言える人だった様だ。

「お父…なんか…意外と言うだな…」

『僕知ってるよ!』『緑色の人もいたよ!』

「うわ、ぁぁああああ…!!!」

小さい声だが悲鳴をあげて完全に自分の背に隠れたベジータ。

…威厳とは何だったか。

とにかく、みんながいることはわかった。

良かった、まだ兄達にも会えるのだ。

ほっと息をついた。

…後ろに張り付いたベジータを凄く微妙な顔で見ながら。

 

 

 

 

上に上がっていった、ということで。

トイレタイムで流し出されてしまった親子を泣く泣く見送り、自分たちは上を目指して登っていく。

すると、とうとう頭の中まで来てしまった。

「こんなかのどっかに絶対いるはずだ。」

と、2人の間を歩かされ進む。

すると、3本の分かれ道に差し掛かった。

「カカロット。貴様どれだと思う。」

「え?うーん…左かな!」

「そうか。じゃあ俺は貴様と一番離れた右に行く。」

「あじゃっ!?な、何でだよ!」

「貴様と一緒だとろくな事が無いからな!おい行くぞ悟白!」

「ち、ちぇ!勝手にしろ、ベーっだ!!!行くぞ悟白!」

「え、ええ!?」

分かれ道を、自分に声を掛けてそのまま行ってしまう2人。

「あ…あーもう!三人分で丁度いいから真ん中行くだ!後で合流するべ!」

「…ふん」

「えー?!ちぇ、分かったよ…」

そして2人は行ってしまった。

「…なしてあんなに仲悪いだか…すんげぇやりづれぇべよ…はあ…」

そういいながら、真ん中の道を歩いた。

 

 

 

 

暫く歩いていると、目の前に誰かがいるのが分かった。

やはり、ベジータと悟空の言う通り誰かがいたのだ。

誰だろう。悟飯か?悟天か?トランクス、ピッコロ?

「探しただよ!やっぱりここに、い、…?」

なにやら、見たことの無い背中だが…着ているものは…白?

はて、白いものを着ている人なんて知り合いにいただろうか。

着ているなんて、精々じぶ、ん……?

「…え?いやいや、そんなまさか…と、とにかく!誰だ?!」

正体を見てやろうとずんずん近付いていくと、見えた姿は……

「……おら?」

そう、こちらを見ていたのは……自分であった。

「な、なして?!なしておらがっ…か、鏡?!」

だが、あっちは振り返る体制。こちらは正面から向き合う体制。

…鏡ではない。

それに、突然唸るような叫び声をあげて…稲妻が辺りを包むほどに弾け飛び、尻尾は金に輝き、髪も、金になり…超サイヤ人になった。

…完全に鏡ではない。

しかもやる気だ。

「……仕方ねえだな…!!」

自分も超サイヤ人となる。

すると、同じく稲妻が弾け、髪と尻尾が金になり…

2人が放つ電気がショートさせたのか、まわりにある魔人ブウの脳の血管が千切れ、血を吹き出させる。

「…なんにも喋んねぇやつだなおめぇ………!!」

目の前の自分が、静かに構えた。あの構えは勿論知っている。

「まっ、………うぁあああああああ!!!?」

マジか、と言おうとした時、問答無用で放たれた…SR砲は、自分の左腕の一部を抉った。

…これはっ……!!!

「着弾まで一瞬……っ、はは、こんなん食らったら確かに一溜りもねぇ…!!!」

ただ指先からはなっただけのつもりだったが…凄かったのか、この技。

「っ…しゃ、ならおらもやってやるだよ…!」

人差し指を構え、ビー玉位の大きさの青い気弾を溜めて…

「スナイパーライフル砲!!!!」

そして、着弾する。

筈だったのに…しなる気弾をしならせずにこちらに投げたタイミングと同じだったらしく爆散して相殺される。

「っ…そりゃ…ねぇべよ…!」

名前思いっきり適当だったけど…あれも使えたのか…!

 

 

 

暫く様々な技と拳で打ち合っていると、しなる気弾を避けられ、脳に穴を開けた。

「な、なんだ?!」

「…あ!悟白!!!」

「お、お父!?」

壁の奥で、ベジータと悟空が背を合わせていた。

その周りには、ゴテンクス、ピッコロ、悟飯の姿。

「よ、良かっただぁぁあああああ!?」

目の前をチュイ、という音をあげて横へ通り抜けていったスナイパーライフル砲に本気で驚く。

あと1歩踏み出していたら目玉がやられていた。

合流までもう少しなのにやむなく自分へ向き直った。

左手にしなる気弾、右手にスナイパーライフル砲を構える自分。

「うわっ、悟白それっ…おめぇか!?」

「ちっ、悟白は自分とか…!」

「やってられないだよもう…!」

 

 

 

自分たちがお菓子に変わった。

放たれたスナイパーライフル砲はチュロスになって落ちたし、しなる気弾は伸ばしただけのパン生地になった。

自分は…モンブランになった。

拍子抜けしながらも、結局傷を負わされて血が流れるので足に巻いていた包帯を少しちぎって抉れた左腕の部分に巻いておいた。

超サイヤ人を解除し、謎の管を通り抜けながら、みんなを探す。

「悟飯達、どこにいんのかな…やっぱりやられちまったのか…?」

「そ、そんな縁起でもねぇ…」

「おいカカロット、悟白!いたぞ、こっちだ!」

「な、ほんとけ!!」

「おし、いくぞ悟白!」

一気に駆け出して、ベジータのいる方へ向かう。

そして顔を覗かせてみてみると…ピッコロがいた。

「「ああーっ!」」

悟空と二人して叫んで自分は駆け、悟空は飛んで近付いて生死を確認する。

…生きているらしい。

だが、自分はそれより…その奥が気になった。

「お父、ベジータさ……奥、奥!」

「ん?」

「なんだ」

「みんな…いる、だよ…!!」

後ろで、ほんとだ、などと言っているのを聴きながらも大急ぎで飛び出した。

悟天、トランクス、悟飯…無事だ、みんな無事だ!

泣きながら近付いて、確認した。

…生きている、みんな生きている!

「よ、良かった…良かったっ…!!」

まだ泣いてはいけないと分かっているものの、やはり安心して、ポロリと涙が出た。

今まで失ってしまったと思っていたものが帰ってくるのは、本当に嬉しい。

目を拭っていると、2人は様々な事を話しながらに自分を撫でていた。

 

…ほぼ無意識だったらしい。

 

 

 

 

 

全員を切り離し、最後に最初の魔人ブウを外そうという時、中に何故か魔人ブウが来た。

何故かは知らないが…とにかくやって来たのだ。

超サイヤ人3で勝てるか分からないが…とにかく自分ひとりでやってベジータと悟空に魔人ブウを切り離してもらう。

「多分、あの魔人ブウなら超サイヤ人3で時間を十分に稼げる。

オラが相手すっからとっとと切り離しちまってけろ!」

「な、なるほどわかった!」

「なにぃ!?そんなことさせんぞ、っ!!」

「ほら、作業の邪魔ですからどいてください。」

「ぐぎ…!」

通り抜けて行こうとした魔人ブウの触覚を引っ掴んで自分の前に叩きつける。

「さ、構わず。」

「お、おう!…しっかしらあいつ超サイヤ人3になっとガラッと雰囲気変わって完全に悟飯みてぇになっちまうよなあ」

「何を下らんことを…あいつは超サイヤ人3になれんからまず違うだろうが。」

「そういう事じゃなくてさあ」

そういいながら、魔人ブウの下と上を2人で壊そうとする。

魔人ブウはどろりと溶けて二人の前へ現れる。

「ベロベロバア!!アギャ!?」

「ですから、邪魔なんです。あ、やっていいですよ。」

不思議だ、数時間しか経っていないというのに、今の魔人ブウがあまり怖くない。何でだろう。

「おう!サンキュー!」

「…ふん、礼は言わんぞ。」

「やめっ、」

 

そして、ブウは千切れた。

 

 

 

 

ベジータと悟空が2人で手分けしてみんなを持ち、自分は後ろからついていく。

……熱い。

ベジータがまず落ちかけてピッコロを擦り、悟空は手が滑って悟飯を落としかけた。

自分がしっかりしなければと思ってはいるが…大人で耐えきれなくて子供が耐え切れるわけがない。

目の前がぼやけてきて、がくりと落ちる。

「…!!悟白!!」

「ぁ、!!」

自分の気が少し落ちたのが分かったらしくすぐに振り返って声を掛けられ、ハッとして立て直すが、その工程で地肌が死ぬほど熱い床につくだけでは飽き足らずに摩擦してしまう。

「っいっ……!!!たい…!!!」

正気に戻って両手の甲にふうふうと息をかける。

「で、大丈夫か悟白!」

「なんとか…!」

手の甲の皮がじゅくじゅくになり、肉が見えるが…今言うことではない。

チャイナ服をぐっと伸ばして見えない様にした。

 

 

 

 

脱出口をみつけ、勢いよく飛んでいくが、あと1歩の所で閉じてしまう。

さっきのが何だったのか考えると、やかんのように吹き出していたあの部分であることがわかった。

再びしたから迫ってきているマグマよりも熱いそれを打ち返し、空いた穴から当たる前に出る作戦が立てられた。

「おし…いや、手が塞がっててオラたちには出来ねぇから、悟白、頼めっか?」

「わかっただ!はぁ!」

超サイヤ人になる。勝手に出る稲妻を、こんな狭いところでやるのは危ないので無理やりしまう。

そして、言われた通り構えて、かめはめ波を作って待つ。

「…開いただか!?」

「まだだ!」

目の前に迫ってきているのが見えて、心無しか焦る。

が、そこで開いたと合図が来たので、思いっきり打ち込む。

「おらは打ち返しながらでっから、お父達は先に行ってけろ!!!」

「わ、わかった!」

「早く来いよ!」

出ていったのを確認して、ゆっくりと後ろへ下がっていく。

そして、後少しのところへ出てくると打つのをやめて外へ飛び出した。

…成功!

 

 

 

 

…成功はした。

だが、結果は悪いものになった。

地球が丸ごと吹き飛ぶほどの高エネルギーを片手で作り出した、魔人ブウ。

今いるなかで、だれもあんなものは受け止められない。

やめろ、俺たちと戦うんだろう、そう言って悟空が説得しようとしたが、聞く耳などもたない今度の魔人ブウは、無邪気にこちらへ放った。

応戦など無理だ。当たった瞬間消し飛ぶ。

悟空が瞬間移動をする為に、ベジータ、悟空、自分は置いてきたみんなの元へ飛ぶ。

その途中にいたデンデとミスターサタンを見つけて悟空が助ける。

…すぐ後ろに、暴力の塊の高エネルギーが迫る。

…それだけで理解した。

みんなの元まで、間に合わないこと。

瞬間移動の為に気を探る時間が無いこと。

…飲み込まれる。

スピードをあげ、少し遅れて飛んでいたベジータの手を掴み悟空に並ぶが…駄目だ。早くしたって飲み込まれる。

 

絶望。

 

頭に浮かんだのはその二つの単語。

…そんな折、目の前に…誰かがいきなり現れた。

そして、戸惑ったようだがすぐに悟空に手を伸ばした。

それを、悟空も掴む。

頭でしっかり理解出来た訳では無いが…

きっと一瞬で現れたということはこの人も瞬間移動が出来るのだ。

ならば悟空に掴まらなくては。そら急げ。

自分は、とにかく悟空に掴まった。

すると、自分が手を握っていたベジータが、「お、おい…!」と言った。

振り返ると、ある方向を見ている。

…そこには、戻ってきて自分が泣くほど喜んだ大好きな人達の姿。

…だが、何かを言う間もなく、辺りはピンクから…白へ包まれた。

 

 

 

 

 

 




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