そん、ごはく。孫 悟白っていいます。   作:鯱の助

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聴いたところによると、超のベジットは1時間で戻れてしまうらしいですね。
前回までの閲覧、感想、お気に入りありがとうございました!
30件へ到達!良きかな良きかな…ありがてぇ…
今回はほぼアニメ振り返りの回ですね。写し拳が唸ります。
一応オリジナルも織り交ぜてあります…大丈夫なはず…


圧倒的合体お父!いや、ベジットさ?

「すげぇ…」

宙へ浮き、自分の動きがどれほどか確かめた後風圧を魔人ブウへ浴びせた、悟空とベジータの合体した…合体お父さん?

たったそれだけで、魔人ブウの頬が奥までバックリと切れたのがわかった。

「完全に…魔人ブウより上手だ…!」

気自体は魔人ブウを上回った訳では無いが…なんとなく、わかった。

合体お父さんは完全に、魔人ブウを上回っている。

「ふむ…ベジータとカカロットが合体して、ベジットってとこかな?」

喋った声が、二つ分。

辛うじて聞こえたのは、名前と、続きをやろう、という声。

なにやら魔人ブウが言ったあと、合体おと……ベジットが挑発をした。

挑発をした後、魔人ブウは動くことがなかった。

それに不思議そうに首を傾げ、ベジットがまた挑発をすると、魔人ブウの大きな叫び。

「巫山戯るな!!!」

そうして飛び掛っていった魔人ブウ。

だがそれを軽々とかわし、ベジットが蹴りを食らわせて魔人ブウを飛ばす。

…完全に上手のようだ。すぐ、わかった。

…まあ多少殴られたりしていたが。

 

 

 

 

身体が温まってきた。

そう言ったベジットを、舞空術で追い掛けながらみた。

邪魔にならないところで見ているつもりだが…ここにいても大丈夫だろうか。

なにやら、空気が変わったのを察して、もっと離れる。

そして、ベジットが動いた。

一瞬で魔人ブウの前に現れ一方的に殴り飛ばした後、大きな気弾を放ち、爆発させた。そのなかからバラバラと自分の体の一部を落としながら出てきた魔人ブウの姿は…

一気にボロボロになり、そして下半身が無くなっていた。

……やはり圧倒的だ。

「や、やったな!?」

何か言ったベジットのあと、全てを直した魔人ブウ。

二人が構え直し、そして、また空気が重くなる。

…殴り合いを始めたふたりはヒートアップし、どんどん上へ行く。

そして、雲の上まで行ってしまった。

ぶつかり合う音が、ここまで響く。

そして戻ってきて、最後に大きな音を立てて離れた。

「す、げえ……もはや次元が違う。」

傍観者になるしかない圧倒的な戦い。

…混ざろうなんてどうかしている。自分は、もう御役御免だ。

そう思って、超サイヤ人を解除して再びぶつかり合い始めた2人の戦いを見た。

 

 

 

 

なにやら、すごい気を放っている魔人ブウから放たれる風圧と光になんとか腕で塞いだりし、行く末を見る。

魔人ブウの目の前に立っているベジットでさえ目を開けられないほどの眩しさに、ベジットは一度地に降りた。

「なんだと言うべ…!」

少しすると、ようやくまだ目を開けられるくらいに光が収まったのを確認し、目を開けた。

そして、見開いた。

「ありゃ…まさか…!!!」

「そいつは…まさか…!」

ベジットとほぼ同じセリフを言うと、魔人ブウは大きな声で、

「そうだ。このエネルギーには、惑星一つを木っ端微塵に出来るほどの力が備わっている。果たして貴様にこいつが止められるかな…?」

「なんてこと…!」

「命が惜しければ避けてもいいんだぞ…?ただし、避けたら最後。地球は消し飛ぶ…跡形もなく、一瞬の内にな!

さあ!どうする!あははは!!」

まさか…そんな。

再び襲ってきた恐怖に、体温がだんだんと冷えていく。

「さあ、覚悟はできたか?」

「覚悟?…どうやら、わかっていないようだな…

本気で、そんな虚仮威しが通用すると思っているのか?」

ベジットが言ったことに、そちらを見た。

…こけ、おどし?

「なんだと!?」

「まあいい…やってみるさ。」

そして、ベジットが静かに構えをとった。

「何時でもいいぜ。約束してやるよ、1歩も、逃げないってな!」

「強がるのも大概にしろよ…ならば、地球諸共消えてなくなれ!!!

ぅおらあああああああああああ!!!!!!!!」

そうして投げられた超高エネルギーは、ゆっくり、ゆっくりと地球目掛けて降ってきた。

そして、ベジットが…受け止めた。

じわじわと地面に足が埋まっていくが…その中で、大きな声ではないが、しっかりと聞こえた。

 

「そら、返してやるよ!」

どんどんと助走をつけ、超高エネルギーが押されていく方へ進む方向を変え、最後にベジットに蹴り上げられ、魔人ブウへ返っていく。

「す、……げぇ……!!!!!」

自分はただ、それしか言うことを出来ず、見守っていた。

だが、魔人ブウへ返ったのかと思ったが、そうではなく、宇宙へ飛び出していき、そして、爆発した。

酷い風圧に、岩を壁にして耐えた。

そして超高エネルギーを発生させた時よりも強い光に目を閉じた。

 

 

収まった時、自分の視界も光から開放された時には、既にベジットは魔人ブウと同じ高さにいた。

聴力を研ぎ澄ませ、会話を聞く。

 

「貴様はたしかに強くなった…だが、それでもこの私を超えたとは言えん!」

「…そうか。ならば、見せてやるか!

…はあああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

 

じわじわと上がっていく気。

上がる度に、肌を刺すようなピリピリとした痛み。

ベジットは、髪を金色に変えた。

ベジットを覆う気は、酷く大きかった。

 

「これが、超ベジットだ!」

 

周りを囲うように発生する稲妻、二層になった気。

……完全に、勝っている。

 

「超ベジットだと…?ふ、ははは…ははははは!

貴様まだわかっていないようだな?

俺は、悟天、トランクス、そして悟飯とかいうやつを吸収しているんだぞ?

合体した貴様が超サイヤ人になった所で、それが一体なんだと言うんだ?!」

「分かっていないのは貴様の方だ。ポタラによる合体は単純なものじゃない。

……ふ、どうせ口にしたってわからないなら……教えてやるよ。」

そういって、再び挑発するベジット。

それに完全にイラついたらしく、魔人ブウがベジットへ挑む。

「そうだな、口で言ってもわからないなら力で分からせるしかないな…!!貴様なんぞにッー!!!!」

…だが、全てかわされた。

そして、放ったエネルギー弾も弾かれ、体を崩して避けたが畳み掛けでベジットの足が顎に入った。

「…『貴様なんぞに…』何だよ?」

「…っ!!」

「鼻血が出てるぞ。…みっともないぜ、早く拭きな。」

…カッコイイ。そして、強い、圧倒的にだ。

思わず拳をぐっと握りしめながら戦いを見る。

鼻血を拭った魔人ブウが構えた。

「俺を怒らせる程、貴様は苦しんで死ぬことになるんだぞ!

分かってやっているのか?」

その言葉に、ただ笑って見返すベジット。

そんなベジットに唐突に殴り掛かり肘打ちで海へ落とし、そのままエネルギー弾ラッシュをする魔人ブウ。

そしてラッシュを終え、ベジットを落とした近くの岩場へ降り立った。

だが、その瞬間水底から光が溢れた。そして、水が大きく跳ね、その水の奥には…ベジットか腕を組み、余裕の態度で魔人ブウを見ていた。

「フン、全然効かないな。もう少し真剣にやってもらいたいもんだぜ。

悟白!よぉくみておけよ?」

「え?…あ、はい…」

唐突に出された自分の名前に思い切り驚いて心臓も跳ねたが、それでもなんとか返事を返した。

するとベジットはこちらをちらりと見て…フッと笑った。

挑発する様な笑いではない、なんと言っていいか…とにかく、優しい笑い方だ。そしてすぐその笑いを魔人ブウへ向けるものへ変え、ベジットは腕組みを解いた。

「ダメージを与えるって言うのは、こうやるんだ…」

そして、左腕を突き出し、親指をおり、その状態で気を込めた。

そして、だんだんと…ベジットの周りを囲うように水が上がる。

「ビッグ、バン………!」

すると、左手にバチリと、稲妻が走った。

「アターック!!」

蒼い光が、魔人ブウへ向かっていきそして……包んだ。

「…!!!」

ビッグバンアタックが空へ向かい、そして消えた時…そこにあったのは、魔人ブウのバラバラになったもの。

「…どうだ?ダメージを与えるっていうのはこういう事だ…覚えときな。」

「は………はい…!」

……かっこいい!

いつか、こんな強い人になれたらな、と思った。

そして、今度は自分へ向けた言葉でなく、魔人ブウへ向けた言葉を言った。

「どうだ、効いただろう?」

そしてみるみる内に戻っていく魔人ブウを見据えた。

「は、はあ…はあ…、!

き、きかん…!」

「…?」

自分は、魔人ブウがなんのきかん、を言ったのかがわからなかった。

「効かんなぁ…!」

二度言ったことにより、ようやく理解出来た。

効かない、と言ったのだ。

まさか。粉々にされていたのに、そんな事を?

だが、動じず再び魔人ブウと同じ高さへ上がってきたベジット。

何を思ったのか、魔人ブウが身体の穴からやかんのように煙をあげた。

「はははは!どうだ、見えるか?見えないだろう!」

視界を遮ったらしく、魔人ブウがいたであろう辺りは何も見えなかった。…だが。

「ああ。見えないさ。…だがな!」

ベジットが消え、煙の中から殴る音が聞こえてきた。魔人ブウの声も。

そして後ろ向きで出てきた魔人ブウは、ぼろぼろで、腹を抑えていた。

「重要なのは気の強さや動きを掴むことだ。

貴様は目で追うから俺の動きについてこれないんだ。」

「え…偉そうに!」

殴ろうとした魔人ブウか殴る前に逆に殴られる。

そして魔人ブウが蹴ろうとするとそれをベジットが捕まえる。

「悟白、お前はこんな間抜けになるなよ?」

「は、はい!」

「よし…いい子だ。…はあああああ!」

魔人ブウの足を引っ張り、そのままベジットが地面へ向かっていく。

ベジットだけ急に止まり、そこで魔人ブウを投げる。

魔人ブウは対応しきれずに地面へ衝突した。

……カッコイイ!!

 

しばらくするが、なかなか出てこない魔人ブウ。

落ちたところへ向け、ベジットが右手を出し、指先にエネルギーを溜め、そして放った。命中した。

そのままエネルギーはエネルギー弾として無くなると思ったが、放たれたはずのエネルギーは、なんと…剣のように、魔人ブウを突き刺していた。持ち上げた時、魔人ブウが刺さっていたのだ。

「…無様だな。」

「ゔゔ…!」

「……どうした?随分無口になったな。

…それにしても、これじゃちっとも面白くない。もっと本気でやって欲しいな。

…それとも本気でやってこのザマだったのか?

だったら失礼な事言って悪かった。謝るよ」

その言葉に怒ったらしく、刺さったまま、

「っ!!!おのれぇぇえええ!!!!」

と叫んだ。そして無理矢理方向を直し、そして自力で突き刺さった状態から戻った。

「……フ」

「わ、笑ったな!?たかが人間の分際でこの俺を…!!!!

わっーーー!!!!」

そして、そう叫びながら魔人ブウは精神と時の部屋の次元から抜け出てきた時のようにニュルニュルと細長くなった。

そして、そのままベジットへ向かっていく。

…そして、ベジットの口の中から、入った。

その気持ち悪さを想像して吐きそうになった。

 

「これは…?」

「はははは!どうだ?貴様の体の中に入り込んでやったぞ!どんなにパワーアップしようがこれではどうしようもあるまい!」

「…」

「覚悟するんだな…貴様の体を、中から破壊してやろう!」

そんな魔人ブウの言葉に焦ることも無く、ベジットは手を動かし、動きを確認していた。

一体どんな策があるのだろう…?

「ふ、覚悟するのは貴様の方だ。」

「何!?」

するとベジットは気を高めだした。

何をするのかとじっと見ていると、徐々に身体が元へ戻ろうとしているのが分かった。

そして、しばらくすると、身体が完全に元の体型に戻った。異常など見付からない。少しすると、ベジットの肩が盛り上がった。

そこをベジットは構うこと無く殴り付ける。

するとその塊は動いて左膝へ。右手腕へ。腹の辺りへ。そして、全て殴られる。

すると、ここなら届くまいと思ったのか塊は背中へいった。

ベジットは一気に下降していき、地面へ思い切り背中を叩き付けた。

すると少し会話したかと思うと、ピンクがベジットの口から出て、魔人ブウへ戻った。

「…すげえ…!」

 

…自分の夢が、ベジットのようになりたい、に確定した瞬間であった。

 

「しかしあれほど合体しておいてその程度とはな…期待ハズレもいい所だぜ。」

「……!き、期待ハズレだと!?この俺が!宇宙最強のこの俺が!!!!

〜!馬鹿にするのもいい加減にしろ!!!」

それに、鼻で笑ってベジットが返すと、魔人ブウが唸りをあげ、気を発した。

飛ばされないように踏ん張り、魔人ブウを見た。

…空には黒い雲が充満し、体からは稲妻が出ていた。

「馬鹿に、しやがって…!この俺を、この俺を!!!

……うああああああああああ、うわああああああああああああああ!!!!!!!!」

魔人ブウが、どんどん気を上げていく。

周りの岩場が崩落し、空からは雷が落ちてくる。

…凄い気だ。

「許さんぞ!!!うああああああああああああああああ!!!!!」

 

「いけない!!それ以上魔人ブウを怒らせては!!」

「!?………!で、デンデ!?」

少し後ろから聞こえたのは…なんといつの間に来ていたのかデンデがいた。ミスターサタンも。

「こ、こんな危ない所まで見に来てただか!?」

「は、はい!そんな事より…!」

「な、なんだ!?ブウを怒らせるとそんなにまずいのか?!」

「あ、は、はい。以前、魔人ブウを精神と時の部屋へ閉じ込めた事があったのですが…怒りで狂った魔人ブウは、その怒りのパワーで次元の壁を突き破って出てきてしまいました。

…見てください。怒りに我を忘れた魔人ブウの余りのパワーに周りの空間がゆがんでいます!」

そう言われてじっと目を凝らしてみると、確かにどこか、歪んでいるように見える。

「このままでは次元の壁が壊れて、異次元が飛び出してきてしまいます!!」

「ああ…そりゃあ、大変だ…!」

大変どころじゃない。本当にまずい。

「馬鹿にしやがって…馬鹿にしやがって…!!

ああああああああああああああ!!!!!!」

魔人ブウが叫びながら辺りへ気を飛ばすと、空へ稲妻が登っていき、雲の間から異次元が覗いていた。

…だが、少しの押し合いで、すぐにベジットが勝ち、魔人ブウを殴り飛ばした。みるみると次元が閉じていき、元の空へ戻った。

ほっとして、デンデ達のところまで下がる事にした。

 

とりあえず、魔人ブウが再びバラバラにされて戻った時、ベジットが触覚を掴んだままだったことで、身体を治したあと魔人ブウとベジットが、

(おい、それを返せ)

(ん?これ?)

(そうそれだ)

(ほらよ、ドカン!)

と無言で会話していたのが、少しだけ面白かったと記しておく。

 

 

 

 

「大切なのは気の動きを掴む事だと言っただろう。貴様俺の言うことを聞いていたかったのか?聴くことも理解する事も、悟白はちゃあんとやってるぜ?」

「だ、黙れ!!汚いぞ貴様!合体なんてしやがって…!!」

そう言う魔人ブウに、何を言ってるんだという顔をしながらベジットが言い返した。

「よく言うぜ!自分だって合体しまくった癖によー!

ほれほれどうした!?てめぇなんて足だけで充分だぜ!」

「おのれっ…!?」

向かおうとした魔人ブウの顔面に、思い切り気弾が直撃した。

「この際、分かっていないようだからはっきり教えてやる。

無駄なんだよ、無駄。俺に勝とうだなんてさ…もうやめたら?

これ以上頑張っても無駄だよ。」

憎たらしそうにベジットを睨む魔人ブウ。

「どうする?まだ続ける気か?」

そうして、しばらく無言のままでいた魔人ブウが、突然、声を張り上げて

「当たり前だ!俺が負けるわけが無い!俺は宇宙最強なんだ!

さーぁ掛かってこい!叩きのめしてやる!」

そう言った。

「!」

「さあどうした?かかって来いよ!何処からでもかかってこい!」

「…懲りねぇ野郎だな。」

そうして、ベジットは魔人ブウへ近付いていく。

その間、魔人ブウはベジットへ挑発を続ける。

そして、ある位置まで来ると、唐突に。

「おい、貴様は何故俺が最初の時、回収しなかったと思う?」

「え?」

最初の時?いきなり何の話だ?

「…いいや、何でもない。分からないなら仕方ないよな。

所で貴様はコーヒーキャンディは好きか?」

「は?」

 

「イヤッホオオオオウ!ヘイヘイヘーイ馬鹿めーっ!ざまあみろーっ!不用意に近づくからだ!クソッタレー!

ふはははは!一思いに噛み砕いてやろうか、それともゆっくり舐めて溶かしてやろうか…!情けないな!飴玉とは!まさに手も足も出なかろう!まあ悲観するな、後でじっくり味わって食ってやろう。」

ベジットが、飴玉になった。

その事実が自分へ、いきなり大きくのしかかってきた。

「そ、そんな…!」

「さあて…折角仕掛けたんだから使わないともったいないよなあ?」

何か魔人ブウが小声で言ったようだが、よく聞こえなかった。

「なあ悟白よ!!!」

何を言ったのか考えようとしたところで、大きな声で呼ばれた。

「!」

「お前の番だぞ…!この飴玉は後でゆっくり頂くことにする。」

「く、そっ…!」

勝ち目はないが、応戦しなくては。

そう思って超サイヤ人3になる。

「ふふ…ははは!今回ばかりはさっぱり分からないみたいだな!」

「何を言っている?!」

「…まあ、分かるのは事がもう遅い所まで迫ってからの方が面白いよなあ?」

そういい、魔人ブウは人差し指を動かした。

途端。

背後でねちょりと、気持ちの悪い音がした。

「!?」

後ろを見た時には…見覚えのある桃色があった。

「なに、!?」

だがそれは自分を包むのでは無く、手足を縛り上げ、動けなくした。

「ぐっ…うう…!!」

「吸収しようとすると毎度失敗したが…もう邪魔は入らない!

今まで散々逃げた分…お仕置きをしなきゃならないな。

おっと、その前に種明かししてやらないとな…何故お前の後ろから奇襲が出来たかな!

一番最初…あの野郎に攻撃を受けてバラバラになったとき。俺は少し一部を落としていた。俺はあれを回収しなかった!そう、あの回収しなかったあれは保険だったのさ!もしもの時のためにな!

それを、お前は気付かなかった!情けないな、三度目にもなって注意を怠るなど…どうせ、勝てると思って油断したのだろう?

…さて、じゃあ早速お仕置きをしないとな。」

「ひ、」

「さあ、何がいい?ただ殴るだけじゃ面白くないな…最高に悪趣味な事をしてやりたい。そうだな………いや、試行錯誤していきながらでいいか。考え付くこと片っ端から試してやろう!」

…言いようも無い、恐怖心。

目の前の魔人は、卑しくニヤニヤと笑っている。

……本気だ。

「やっめろ…!!!っく、ぐううぅ!!!やめろ!やめてよ!!」

外そうと奮闘するが、強く締めあげられ封じられた。

「う、ぁあああ!!!」

「はははは!!さあ、泣き叫べよ!!」

 

________その時。

 

「おい」

「!?」

「おい、おいってんだよ。」

「な、なんだ?!ど、どこだ!」

「なんだ、ちゃんとこっちから言ってるのに何処から言ってるのかも聞き取れないのか?」

聞こえる声に、自分も耳をすませる。

「ええい、どこだと言っている!!」

「ここだよ。」

すると、魔人ブウの左耳近くに…魔人ブウの左腕があった。

ポカンとしていると、魔人ブウの左手から声がした。

「ずっとここだと言っているのになあ…耳をちゃんと掃除しているのか?全く。」

そう言った左手から何かが飛び出、魔人ブウの左耳から、右耳へ…貫通していった。

「!!?!?」

「掃除ちゃんとしてないみたいだったから、ちゃんと聞こえるように穴開けといたぜ。嬉しいだろ?」

何が起こったか分からない様子の魔人ブウが、困惑した表情のまま自分から離れた。

そして、左手のなかにあったであろう飴玉が…自分へ近付いた。

「悪かったな、悟白…動ける事を確認していたら少し遅くなっちまってな。……たく、なんてことを悟白にしようとしてんだあの野郎…!

…波!!!」

飴玉から…ベジットの声がしたかと思うと、その場で飴玉から衝撃波が来て、腕や足を捉えていたピンクが剥がれた。

「大丈夫か?何ともないか?」

心配してくれるベジットの声が飴玉から聞こえるのはなんとも不思議な気分だが…なんとか返事を返した。

そして、やはり片方は自分の父だったんだな、となんだか嬉しくなった。

「…よし。

残念だったな、魔人ブウ。俺を飴玉にして、余裕ぶっこいて折角用意してた仕掛けをお披露目できたってのになあ。」

「な、何!?」

魔人ブウは耳を治したあと、その言葉をきいて飴玉を見た。

「そんな、馬鹿な…」

「格好は変わったけど、どうやら強さの方は変わってないようだな。」

動いて見せたベジット……飴玉は、素早いが…なんともシュールだ。

「しめしめ、スピードも変わっていないようだな。

けど手足がないとなんか調子が出ないな…」

魔人ブウと自分は、不思議そうに飴玉を見ていた。

…魔人ブウと同じ思いになるのはきっとこれで最後だろう。

「さあ、どうする?お前の相手は世界一強い飴玉だぞ?」

「くっ…!巫山戯るな!動けようが貴様は所詮飴玉に過ぎない!

飴玉如きに何が出来る!?」

そして…なんだろう…指を振ったつもりなのか左右へ少し動いた飴玉。

「いいのかなぁそんな事言っちゃって…

それにやばいんじゃないの?悟白も油断して吸収し損ねたし…それに、こんなに小さいと攻撃しにくいぜ?」

「攻撃だと…?そんなことする必要何処にある!

貴様を捕らえて口の中に放り込む!ただそれだけの事だ!」

「そうか。なら、遠慮なく行くぜ!!」

「!?」

そして、鳩尾、顎、眉間の三撃で魔人ブウを地面へ叩き付けた。

「え、ええ……」

「あーあ、だから言っただろ?強さは変わってないって。

お前はちゃんと聞いてたのにな。あいつ、耳大丈夫か?耳鼻科紹介した方がいいんじゃない?」

「え?あ、そうですね…」

「ん?どうした敬語になっちまって…超サイヤ人3でもないのに。」

「あ、ははは、大丈夫です!はい…」

「ん?そうか。…よし、下がってな。」

そう言われて、だいぶ後ろへ下がる。

するとタイミングよく、魔人ブウが下から出てきて飴玉を殴りにかかる。

…だが全く当たらない。

たまにラッシュから抜けているのだが、魔人ブウはそれに気付かずラッシュを続けていた。

……見えていないらしい。

そして、ラッシュをやめたときにもう一度すばしっこく回った。

「ふう…一休み一休み…」

…飴玉は案外疲れるのだろうか?

「どうした?俺を捕まえて食べるんじゃなかったのか?

来ないならこっちから行くぜ!」

真剣な勝負の筈なのだが…なんだか魔人ブウの相手がシュールなだけになんだか気が締まらない。

そして、最後に魔人ブウの口を突き抜けて止まった。

「あらら申し訳ない。あんまり食べたそうにしてたから食べられてやろうと思ったのに突き抜けちゃったよ」

そう言われながら魔人ブウは全て元に直し、向き直る。

「どうする?もっとやろうか?」

「……戻れ!」

桃色の光線が再び走り、飴玉を包んで…ベジットに戻った。

「あ、あれ?はは、もう飴玉はおしまいか?

色々頑張ったみたいだけど、俺を食うのは無理だったみたいだな。」

元に戻った自分の身体になんとなく…どころかだいぶ嬉しそうにして身体を動かしたベジット。

………そういえば、これなら一瞬で片が付くのになんでベジットはやらないのだろうか?

よくわからなくて首を傾げたが、結局よく分からなかった。

 

 

 

 

「10だ!十数える間、貴様が消えるのを待ってやろう。

精々お祈りでもするんだな。…おっと、悟白にちょっかいだそうという気があるかもしれないな。悟白!そばにこい!」

「え、は…はい!」

呼ばれたのでいそいでベジットの横へ行った。

「よおし、数えるぞ!いーち!にー!さーん!

…死に急ぎたければ掛かってきてもいいんだぜ?一瞬で消えさせてやるよ。跡形もなくな。

しー!ごー!ろーく!」

そしてたじろいただけでまだ動かない魔人ブウを見ながら、知らないうちに尻尾がベジットの足に巻かれていたらしく、ベジットに数を数えられながら頭を撫でられた。

その間、まだ魔人ブウは動かない。

「しーち!」

「!……」

何やら魔人ブウが…笑った…?

「…?」

「はーち!」

ちらりとベジットを見るが、特に動じている様子はない。

…何を考えているのだろう。本当に一瞬で木っ端微塵にする気なのだろうか?

「きゅう!」

…だが、その瞬間ベジットが…たらりと冷や汗を流した。

…なにか、気付いている?

「じゅう!!」

瞬間、魔人ブウがばっと両腕を広げた。

後ろが1面のピンクになったのを、確認した。

「…!!!」

自分が後ろを向いて応戦しようとすると、ベジットがいきなり自分の腕を掴み、腕の中へ引き込み抱き込んだ。

「な!?なにっ」

「バリア!!!」

 

それと同時に、全背景がピンクになった。

 

 

 

 




Z見返しながら書いてますが、自分地味に、ベジットの「貴様なんぞに…何だよ。」と「鼻血が出てるぞ。…みっともないぜ、早く拭きな。」の、言った時の声と言い方が大好きです。
そして2人がやってた無言会話が好きです。

悟白の夢…ベジットみたいに格好よくて強い人になりたい←New!
悟白の憧れ…ベジット←New!

なれるといいね悟白!頑張れ悟白!

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