そん、ごはく。孫 悟白っていいます。   作:鯱の助

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前回までの閲覧、感想、ありがとうございました!
お気に入りもありがとうございます!!
We gotta powerの「ハチャメチャが押し寄せてくる 泣いてる場合じゃない」ってのがちょっとだけ悟白に当てはまるなーって思った今日この頃。



勝てなくても

悟飯が、一方的にやられ、ボロボロになっていくのを手に握っていた岩の一部を粉々になってしまうほどに強く握り締めながら見る。

それをミスターサタンが小さな悲鳴をあげながら見て来た。

自分はもう、分かっているのだ。

絶望的にならなかっただけで結局悟飯は勝てないのだと。

ラッシュを仕掛けた悟飯の拳は軽々とかわされ、受け止められてひねりあげられ…何を言われたのか何かを叫びながら蹴りを仕掛けるが、一瞬で後ろに回られ軽く頬に裏拳を当てられ…

……遊ばれている。

…自分は悟飯よりも弱い。そして、実戦経験も浅い。

そんな自分が勝てるなんて全く思えない。

そんな風に考えながらも、悟飯はやられていく。

…ピッコロの魔貫光殺砲を撃ち悟飯をじわじわと追い詰めていく憎たらしい魔人、ブウ。

爆発音と共にやって来た様々な破片を、ミスターサタンとデンデの壁になって防ぐ。

「悟飯さん!!!」

デンデは頭を庇いながらも悟飯へ叫ぶ。

ミスターサタンは、蹲っていた。

…ここに自分がいても壁にしかなれない。

…だが、前に出ても意味がない。

そんな中途半端な自分に悔しくて奥歯を噛み締める。

「くそ…!!おらは、一体どうしたら…!!」

 

めちゃくちゃにやられる悟飯。

だんだんと距離をとったりしている悟飯も、分かっているのだろう。

勝つのが難しい事を。

飛び出していきたい気持ちを抑えて唇を噛んでいると、鉄の味がした。

「…悟白さん、どうか…やめてください。貴方が傷付いても…」

「…そんなこと、おらだって……?」

デンデを見ずにそう言おうとすると、魔人ブウが口から…白い何かを出した。

…あれは、まさか!

その白いものは、魔人ブウの形をしたお化けになった。

間違いない、あれは…!

「飯兄さ!!!!それに触れちゃいけねぇだ!!!!!!」

叫ぶと、両隣のデンデとミスターサタンが驚いてこちらを見た。

おそらく悟飯は聴こえただろう。攻撃を仕掛けようとしていたのをやめて避けながら気弾を放っている。

「な、何故駄目なんですか?」

「あれは…ゴテンクス兄さの技、超幽霊神風特攻。触れるだけで大爆発を起こす…厄介な技だ。」

「え、ええ!?じゃ、じゃああれに触れたら…!」

「飯兄さは…ひとたまりもねぇ。」

「な、なにぃ!?やばいじゃないか!!おいあんた!!絶対触れるなよ!!!」

悟飯に叫ぶミスターサタンをみてから、また悟飯を見る。

お化けがすばしっこく、気弾が全く当たらない。

……一か八か、やってみるか…

そうして、その場で人差し指を悟飯のいる方へ向けて突き出す。

ビー玉くらいの大きさの蒼い気弾が、指先に出来る。

「え、悟白さん?何してるんですか…?」

「…ここからあのお化けを狙うだよ。」

「なにぃ?!こんな遠くからあんな遠い所のやつを狙うなんて、スナイパーライフルくらいじゃないと…!」

ただ撃ち落とす事だけ考えていたため技名なんて無いつもりだったが…そういったミスターサタンをちらりと見てから、集中して照準を目視で定める。きっとここで合っているはず。

「…じゃ、名前はスナイパーライフル砲でいいだかね」

「え、ええ?それは長いな…SR砲と略した方が一応カッコよく聴こえるぞ…」

こんな状況で真剣に考え込むミスターサタンを放っておいて、撃つタイミングを測る。

「…ここだ、スナイパーライフル砲!!」

瞬間、自分の指先からチュイ、という音がしたと思うと、既にお化けは射抜かれていた。おそらく、放ったのと命中したのに時間などかかっていなかったのだろう。

悟飯は一瞬固まって何が起こったか分からないようだったが、すぐに離れた。すると、お化けは大きな大爆発を起こした。

「…すごい…凄いですよ悟白さん!命中しましたよ!」

「…当たった、だか…」

「本当にスナイパーライフルだな……」

デンデが凄く喜んで、ミスターサタンが唖然としている中、自分はまだ何か出来ることはあったのだな、と感じていた。

…もうあるか分からないけど。

離れた距離が短すぎたのか、悟飯は爆風に巻き込まれていた。

…自分の技が当たっただけで危機なんて去っていないのだ。どうか、どうか勝ってくれ…!

 

 

 

 

ボコボコにされ、立ち上がれなくなって寝転がっている悟飯。

そこへゆっくり歩いていき、何かを言っている魔人ブウ。

…このタイミングなら確実にさっきの技は命中する。

だが、そんな事をしてもどうせ魔人ブウは穴を元に戻すし、それに、守らなければならない人達がいるのに注意をこっちに向けても意味がない。

…自分に一体何が出来る…?

「あ、あれ?ワンちゃん?ワンちゃん?!どこだ、いないぞ!?」

「え?」

振り返ってみると、犬を探すミスターサタン。

…どこにも犬の姿はない。

「ワンちゃん!!ワンちゃんー!!」

後ろをしきりに探すミスターサタン。

きっと見つかるだろうと、心配ながらも前に向き直った瞬間、デンデが指を指して、「あ、あれ!!」と言った。

鳴きながら、魔人ブウと悟飯の元へ向かおうとしている犬の姿。

…魔人ブウが、悟飯の首を掴み持ち上げている。そんな中へ向かっていく犬。

「あーー!!!!?」

ミスターサタンが驚いている。…彼の寿命はどのくらい縮まってしまっただろう。

「あ、ああ…、」

「い、犬が!」

一つの小さな命が、危ない。

「く、ああっワンちゃ、戻ってこいったら!!」

聞こえてもいないのかそのまま犬は向かっていく。

その間に悟飯の、抵抗していた手が落ちる。

………まずい。

守るどころの話でなくなる。

そんな中、魔人ブウの空いている左手に橙のエネルギーが集まっていく。本当に危ない。悟飯が、悟飯が死んでしまう!!

そんな時、犬が魔人ブウに鳴いた。

それに、魔人ブウが反応して犬を見た。

「クソッタレ!!」

「あ、ま、サタンさん!!!」

ミスターサタンが、飛び出して行った。

デンデは手を伸ばしてミスターサタンを捕まえようとしたがあと1歩、届かず見送ることになってしまった。

「……!!」

情けない。

犬は、怖いと分かっているのだろうに飛び出して行った。

ミスターサタンは、その犬の為に自分が死ぬかもしれないのに、飛び出した。

…どちらも、魔人ブウがハエを避けるような動作をすればすぐに死んでしまう。

それなのに、怖いのに、到底かなわないのに。

二つの命が目の前の敵に向かって行ったのだ。

……自分は?

犬に、高エネルギーが集まった手のひらが向けられた。

瞬間、

「でやっーーー!!!!」

と叫びながら、魔人ブウの触覚と引っ掴み、後頭部にミスターサタンが3度蹴りを食らわせバランスを崩し尻餅をついた。

…そんなミスターサタンにも、魔人ブウはその手のひらを向けた。

怯えて、犬を抱き抱えその魔人ブウを見ながら動けなくなってしまったミスターサタン。

…魔人ブウが、手のひらにあった高エネルギーを人差し指に集約させて放たんとし、向ける。

「や、やめろ、」

あんなに勇敢な、小さな命が立ち向かった。

「やめてくれよ、」

自分は守らないとと、敵わないからと、後ろへ下がって守っているつもりで。

「……!!」

逃げていただけ。

 

「やめろー!!!!!!」

 

「悟白さ、!!」

デンデが、勢いよく飛び出して行った自分に声を上げたが、無視して飛び込んでいく。

そして人差し指を構え、ビー玉大の蒼い気弾を込める。

狙いは勿論決まっている。

「スナイパーライフル砲!!!」

魔人ブウの、高エネルギーの集まった人差し指の先。

「!」

見事、魔人ブウの人差し指の先を突き抜け、肩から抜け、魔人ブウの頭へ向かっていく。

「ちっ、」

間一髪で脳天に命中するのをかわした魔人ブウ。

だが、こめかみに直撃し、貫通した。

一人と一匹の前に立つ。

…前に出てきたら、もう戻れない。

「…ミスターサタン。おら、貴方に二度助けられただよ……さ、デンデの所へ戻るだよ。」

「あ、は、はいぃ!」

ミスターサタンは震えながら速攻で戻って行った、

「…おやおや、まさか初めて傷をつけたのが君だとはね…悟白君?」

「っ」

「驚いたよ、素直にね。しかも傷どころじゃなく一直線に穴を開けるなんてね…」

…悟飯が危ない。

なんとかしないと……そうだ、ヤムチャは気弾を器用に操れたはず…即興だけど…行けるだろうか。

…そうだ、それにクリリンの気円斬の切断力を合わせれば…

…いや、やる。やれ、悟白。やれ!!!

「…」

「おや、それは…またさっきのか?」

空いた穴を治したらしい魔人ブウ。

「…ちげぇ…」

人差し指に、また蒼い気弾を込める。

込め終えると、中指を出し、人差し指と中指の間辺りに気弾を持ってくる。

「…しなる……気弾!!」

放つと同時に下から上へ腕ごと動かす。

すると、ムチのようにしなり、スッパリと切れるような刃先をもった気弾が、悟飯を持ち上げていた手首を切り落とす。そしてすぐに気のコントロールをやめ地面に叩きつけて爆破させ、悟飯をなんとか抱えて離れた。

首にまだつく魔人ブウの手を外し気で粉々にする。

…やりきれていなかったのか速攻で魔人ブウの元へ飛んでいったピンクの塊を見もせずに咳き込む悟飯の背を撫でる。

「…大丈夫だか?」

「はっ、はぁ…!ご、悟白…?」

「…到底力になれねえと思うけど、おらも…やっぱりやる。」

「な、何言ってるんだ!もう下がってろ!充分だ!」

「…どうせ負けるならやった方がいい。」

「!」

「…ピッコロさが、そういってただ。当たって砕けろって事だな。」

「…、」

「…やっぱ、飯兄さも分かってるだろ?…負け戦って事。」

「…し、しかし…」

「勝てなくても…立ち向かうって、凄いことだと思うわけだ。

…はは、ミスターサタンはすげぇ人だ。やらなきゃって思わせるのがうめぇ。…それも無意識にだべ。」

こんなことを言っているが…死ぬ程怖い。

やめたいし、出来るなら話し合いで解決させたい。

…そんなこと出来る相手じゃないことなんて分かっている。

だから、どれだけしたくなくても、自分を守れる程の余裕がある人がいないなら…

「勝てなくても」

「…」

「まだ残ってる人の為に、やらねぇと。」

希望は、もう2人しか居ないのだ。

…絶対にかてない、希望が二つ。

「…ブルマさ…許してけれ。ドラゴンボールもクソもねぇだよ、こんなの…でも、それでもやるしかないんだ…やるだけやること、許してけれ…」

そういって、超サイヤ人3になる。

吸収を怖がっている暇はない。

手数がまだ残っているなら使わないと。

煙が晴れると、手を直した魔人ブウが手の調子の確認のためにグリグリと回していた。

「…すごいぜ、これは。こんなに強くなったのに…悟飯より格下の相手に手首を切り落とされて、しかもそいつが勝てない癖に混ざってきた…こんな愉快なことなかなかないだろうね…」

ニッと笑った魔人ブウがこちらを見ていた。

震える手を強く握って震えを無かったことにする。

縮み上がった尻尾を服の下で腰に巻いて仕舞う。

もう自分は壁ではない。戦闘要員なのだ。

「悟飯兄さん。……無事だったらまた、ちゃんと会話しましょうね。」

「……ああ。」

そうして、魔人ブウに向かって突っ込んだ。

 

 

 

悟飯を確実に殺そうとする魔人ブウの邪魔を次々入れていく。

最初はギャラクティカドーナツを砕き悟飯を突き飛ばして向かってきたかめはめ波をかめはめ波で対抗してここだという時に放っていたかめはめ波を放棄してかわし、次は共に岩場に隠れていてバレた時に自分よりボロボロの悟飯を逃がして遊ばれていると分かっていながらも本気で応戦し…そして、スキをつかれて触覚に巻き取られ、逃げた悟飯は追い付かれた。

「な……悟白!」

「ほらほらどうした?弱ってきているぞ、もっと頑張れよ…じゃないと悟白の骨が粉々だぞ」

ギリギリと絞められ、骨がみしりと音をあげた。

「あ゛っ…!!」

「悟白!!くそ!」

自分を解放するために飛びかかった悟飯は軽々と避けられ、肘で打たれて地面に叩きつけられた。

「にい、さっ……!!」

「ははは!お前の兄貴は情けないなぁ…ん?」

下から黄色の光が放たれた。

「でやぁ!!!」

だが、やすやすと弾き返され、悟飯へ返っていく。

「に、さっ…!避け、」

だが、悟飯の気はそこから動くことなく、気弾に当たったのが分かった。

それだけでなく、その気弾はどんどん地を抉り、大穴を開けた。

「あ、ああ…」

兄の気は、まだあった。

それに向かって魔人ブウが逆さになって穴の中へ入る。

そして、穴の中のある部分に山吹色を見つけた。

そこで止まり、魔人ブウが声を掛ける。

「まだまだ、時間が残っている限り楽しませてもらうぞ。」

「…!!」

___悟飯が危ない。

「〜、!波ァ!!!!!」

体に気を纏わせ、一気に爆発させる。

そして触覚を消し飛ばして離れ、魔人ブウの下から大きな気弾を何度も放って魔人ブウを上へなんとか押し上げる。

「ごは、」

「兄さん、休んで!」

それだけ言って穴から出る。

悟飯をこれ以上戦わせると危ない。

…死ぬかもしれないが、悟飯を少しでも休ませないと。

「…決して強くは無いはずだが…お前に何故そんなパワーがあるのか…」

触覚を治しながらそういう魔人ブウを前に、構える。

不思議そうだがそれでも笑っている魔人ブウは、面白いといいながら構えた。

…魔人ブウが二の次にしていた自分に、初めて真正面から殺気が向けられた。

死ぬかもしれない。

…でも、やらないと。

…時間が残っている限り楽しませてもらうぞ、と言っていた事から、これも遊びの一貫だろう。

…もしかしたら遊びで殺されるかもしれない。

…恐ろしい。

「…ははは、どうした、震えているぞ?」

「…、」

「そうか、死ぬかもしれないと思っているんだな?

ははは、そうだな、死ぬかもしれないな…お菓子になってな。

お前は吸収してもお菓子にしてもどっちでもいいと思っているんだ。なんなら選ばせてやってもいい。お菓子か吸収か…さあ、戦っている間に考えろ!」

「!!!」

目の前に現れた魔人ブウの拳を間一髪避ける。

「ははは!ほらほらほらほら!」

ラッシュが続く。避けるが、たまに当たる。その度に心臓が跳ね上がり緊張と恐怖で心臓が速く脈打ち、汗を流し……痛みを受けて鈍くなるのが分かる。緊張によるストレスも積み重なり体の動きがどんどん鈍くなる。

だめだ、悟飯は休めていない!

休ませると決めたなら動け、機敏に動け!

そんなのでよく魔人ブウの前に立てたものだ、この…臆病者!!役立たず!魔人ブウの言う通りになるな!

「ぅ…おあああああ!!!!」

「おっと、反撃か!」

拳を受け止め、跳ね返して逆に自分がラッシュを仕掛ける。

…全て受け止められている。

「弱い弱い!でやぁ!!」

「うぎゃッ!」

脳天に、重たい一撃を食らわされた。

すると目の前がブレて、動きが止まる。

それに畳み掛けるようにみぞおちを蹴られて、背中を両手の拳で打たれて穴へまっすぐ落ちていく。

 

「大丈夫か、悟白…!」

底まで落ちるかと思われたが、その前に悟飯に受け止められた。

「ご、は……」

「無理をするな!俺の為なんかにお前が命を張るな…!お前はもう休め!」

「ははは!そんな暇はないぞ!」

「…!」

上からそんな声がした。それと同時に、眩い光。

気弾が放たれたのだ。

「くっそ…!!」

「っ、今から、スナイパーライフル砲を気弾の中心目掛けて打つだよ…だから、その真ん中を突っ切って穴から上へ…!」

今度は手のひらを突き出し、その前にテニスボール程の大きさの蒼い気弾を作り出す。

…超サイヤ人3から元に戻ってしまったが、この位は出来る筈。

「大きめ…スナイパーライフル砲…!!」

そして、一気に大きな直線を描き気弾の真ん中を抉っていくスナイパーライフル砲に、悟飯が大急ぎでついていく。

そして、出た時には、魔人ブウの右肩から先が消し飛んでいた。

「な、な…き、さま…!!」

瞬時に飛んだ右手を治して構えた魔人ブウ。

「くっ……!ミスターサタン!!受け止めて!!!」

「へあ!?」

悟飯がミスターサタンの気のある方へ自分を放り投げた。

自分は迷うことなくミスターサタンへ飛んで行く。

「うわっと…!!お、おい大丈夫か!」

脳天に入った一撃が意外と重たかったらしく、自分の意識はゆっくりと落ちていった。

 

 

 

 

 

何やら赤く眩い光が照らしてくるのが分かる。

目を開けると、周りが全て赤い光に照らされていた。

何事かと思っていると、目の前には頭を抱えて蹲るデンデの姿があった。

「…?デンデ、これは…」

起き上がると、全身に痛みが来なかった。

体を見ると、傷がなかった。デンデが治してくれたのだろうか。

「ご、ご、悟白さん…!!!」

目を覚ましたのを見て恐怖に満ち溢れた目でデンデが上を見た。

自分もそちらを見ると、魔人ブウが両手を上にやり、大きな高エネルギー体を今にも放たんとしていた。

「!?」

「ははははは!何もかも…!消えてしまえッー!!!!」

「す、すまん…!魔人ブウ!!!」

謝りながら魔人ブウに銃を放ったミスターサタンだが、効くわけなど無く、魔人ブウはびくともしていなかった。

振り下ろす直前、誰かの気が魔人ブウの後ろに現れた。

「え?」

 

 

 

信じられない…死ぬまで会えないと思っていた悟空が…悟空がいる。

だが、泣いている暇はないらしい。

耳につける装飾品を悟飯の右耳に付けなければならないらしいが、その為に悟空が投げ渡した装飾品が遠くに投げ過ぎて悟飯に届かなかったのだ。

「あ!!やべ、悟飯悟白!探してくれ!!!急げ!」

「え、あ、はい!」

「わ、わかっただ!」

と、言うことで探しているのだが、超サイヤ人3になった悟空が時間を稼いでいる衝撃がこちらへどんどん飛んでくる。

「飯兄さ、あっただか!」

「えーと、えーと……あ、あった!!!」

そういうと、悟飯へ向けて気弾が放たれ、あともう少しというところだったのに装飾品がまた飛んだ。

飛んでいった方へ急いで向かい、二人してそれらしい所を探す。

見つかってくれ、見つかってくれ早く!早く!!

すると、キラリと光る何か。

…もしや。

取ってみると、やはりそうだった!これだ!

「兄さ!あっただ!あっただよ!ほら!」

「え、あ、ありがとう!」

投げて渡すと、悟飯がどうするのか聞くために悟空を向き直った。

自分は何も言わずに見るが…あれ?

「なして魔人ブウの気が下がっただ…?あと格好が…なんか…ピッコロさ??」

「あ…あれぇ…?」

不思議に思っていると、悟空が超サイヤ人3を解いた。

「ちょっとがったりだなあ…今のおめぇなら、悟飯だけでも…いや、悟白が超サイヤ人3にならなくても、なんなら超サイヤ人でも勝てちまうぜ?」

「くっ……、………ふ、もしもの時のために、保険をかけておいて良かったよ…」

「保険?なんの事だ」

そして、魔人ブウが触覚を前に持ってきた。

「この切れた部分……何故、元に戻さなかったと思う?」

何を言っているのかよくわからなかったのか質問に悟空がぽかんとして返す。

「い?」

だが、自分は理解した。

そして、すぐ周囲を警戒した。

まさか、まさかまさか。

すると、視界の端で魔人ブウがこちらを見たのが分かった。

…!!絶対そうだ!!

悟飯へ向き直ると、悟飯の後ろから迫る…ピンク。

悟飯も自分に被さる影に気付いて後ろを向いたが…

「ぐ…、うわあああああ!!!」

…遅かった。

そしてすぐ助けようとした。

だが、行こうとしたとき、自分の周り全てからピンクが飛び出してきた。

「なっ…!?」

「お前はよく周りを見る!ははは、さあ、お前の兄貴を助けられるか!!」

と、上から言葉を投げられた。

「くっ…そぉぉおおお!!!」

しなる気弾をぐるんと回転して回し、ピンクを切断する。そして行こうとしている方向のピンクに向かってしなる気弾を放る。

爆発したのを確認してそこから飛び上がった。

助けたかった兄は……装飾品をぽろりと落とし、そのまま…魔人ブウに……

そして少し遅くなった自分はピンクに囲まれ、捕まった。

…だが、そんな事どうでもよかった。

「う…うぅぅうう……!!うわあああああああああああああああああああああ!!!!!」

たった1人になってしまった兄を助けられなかった悔しさと悲しさで、思い切り気を放った。

そして包んでいたはずのピンクを全て弾き返した。

「おまえ、お前ぇぇええええ!!!!!」

体に張り付いていたピンクの気持ち悪いそれを掴み取って気で灰にした。

「なんてこと…なんて事してくれただか!!!!」

未だ向かってくるしつこい畜生に気を放ってやると、全て交わして自分へ張り付いてくる。

「悟白ー!!!」

「くっ…ぐ、ううううぅぅぅうううああああああ!!!!」

全て気で焼き、灰にしてやる。

「酷く……残念だよ………またお前を取り込むのを失敗してしまった。だが…これはいいぞ…!前よりさらにパワーアップしてしまったぞ…!」

「あ…」

「しかも今度は時間制限なしだ!」

「貴様っ…!!!」

怒りと悲しみが降り混ざったような不思議な感情が、涙を流させ、目の前を真っ赤にさせる。

思わず超サイヤ人になったが、その超サイヤ人の状態でも稲妻が身体中に走る。

まだついていたらしい畜生の塊が稲妻で燃え尽きて落ちていったのを感じた。

「悟飯との合体ができなくなっちまった…!」

下で装飾品を見ながら慌てている悟空もそっちのけで、ただただ魔人ブウを睨みあげる。

……もう、本当に勝てる領域じゃない。

だけど、だけどこんなの…

「こんなの、ねぇべよ…!!!!」

悔しい、悔しい…!

「うう、うううう…!!!!」

溢れる涙が、止まらない。

「…ほう、超サイヤ人3でもないのに、その力…素晴らしいじゃないか。」

「黙れ…!!」

腰にまいていた尻尾を解いた時にちらりと見えたが、茶色でなく金色になっていたが…関係ない、今、そんなことはいい。

 

 

こいつを…どうやったら殺せる?

 

 

 

 




指先から放っただけだけど速度と貫通力が異常に高いオリジナル技…スナイパーライフル砲(SR砲)。起爆しません。
あと、深く考えながらやると絶対成功しないタイプの難しさの、どうしてそう出来た技、しなる気弾(のち、鞭切弾(むちせつだん))。使い終わったら煙幕がわりに叩きつけてドカンしてもいいし相手に投げつけても良し。とりあえず気のコントロールをやめた時にぺってすると起爆する。結構デリケートな気弾。水風船みたいな…感じ?

閲覧ありがとうございました!

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