そん、ごはく。孫 悟白っていいます。   作:鯱の助

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前回までの閲覧、感想、ありがとうございました!


17号撃破!息付く間もなく現れる敵

エネルギー波を吸収し強くなる超17号。

それに何とか近づき近接戦に持ち込む事になった。

だがことごとく瞬間移動地点を把握され、なかなか近づけない。

そしてばらばらに瞬間移動を繰り返し錯乱させてどちらかが1発入れようと奮闘したが、二人の顔面を鷲掴みにされ、ゼロ距離でエネルギー波をくらい、仲良く地面に叩き付けられた。

上では、禍々しい気弾を用意する超17号。

決め技を封じられてしまい地面に伏せる自分たち。

「あーあ…ほんとにこりゃあ…地獄行きになっちまうかもなあ」

「父さん、多分父さんはいい事しかしてないから天国行きだよ」

「だといいけどな。地獄の食いもんは合わねえからさ」

「…父さん。らしくないんじゃない?まだまだやれることがあるんじゃねぇか?」

「…」

「…父さん。俺に一つ考えがある。」

「…?」

「…もし駄目だったら…後のこと頼むよ」

悟空はそれを聴こうとしたようだったが、その前に超17号が技を放った。

それと同時に悟空の腕を握って範囲外であろう場所へ勢いだけで放り投げ、自分は二本指を眉間に当て、超17号の真後ろへ出現してしがみついた。

「!??!なっ、貴様、何を…!!!」

「あんな隙だらけの技なんだ、こうならないわけないだろ?」

つよくしがみつき、暴れる超17号に振り落とされないようにする。

「体術に関しての技が少ない俺に出来る精一杯だッ…!!!受け取れ!!!!プレゼントだ!!!!!!」

Dr.ミューが外野で騒がしいが、気にしていられない。

「離れろ!!!離れろこいつ…!!!!」

「はっ…!俺の全部をやろうってんだ、しっかり受け取れよ!!喰らえ!!!フルパワー最大爆波!!!!!!!」

自身に纏うように爆波を発生させ、どんどん大きくしていく。

体内にある全てのエネルギーをこの一撃に込める。

抑える力が落ちて、逃れられそうになった時、爆波は内側に起こった超17号の髪の揺れに反応し、一気に収縮し、そして広がるように爆発した。

それにより自分は超17号と離れ、地面に墜落した。

自分の全てを込めた爆波は…まあ、自爆と似たようなもので、自分に大打撃を与えた。

超サイヤ人4は解けて通常に戻ってしまった。

強力すぎる爆破が、自分の体の骨たちを粉々に粉砕し、内蔵がダメになったのか…とにかく、熱い。血液が、熱い。

「は、は……い、てえ……」

「悟白!!おい、大丈夫か、悟白!!!」

駆け寄ってきた悟空。だが、小さくなっている。

パワー切れか?

「…身体ん中、痛え……いてえ、よ…」

「良くやったぞ、おめえ、ほんとに……!!」

だが、悟空はすぐ海面に目を向けた。

「…野郎、悟白のフルパワー喰らって生きてやがる…!」

「…お、とう」

「な、なんだ?」

「…あと、頼ん…だ、ぞ……」

 

そうして、自分は全身の力を抜いた。

 

 

______________

 

 

 

「…お、おい、悟白!!」

あちこち肉が見えて痛々し過ぎる悟白を揺さぶることなどできず、大声で声を掛ける。

だらりと身体を地面に預ける悟白は、まるで…死んでいるようにみえる。

焦って心臓に耳をすませる。

辛うじて動いている。

…放っておけばすぐにでも止まるだろう。

「…駄目だ、駄目だぞそいつは…!許さねえぞ、悟白!!」

悟白の懐を漁った。

そこから出てきたのはボロボロの小袋。

中身を出すと、粉々になった何か。

…これはダメだ、もう効かない。

自分の懐を漁った。すると、そこからは無事な小袋。

中身を出すと、仙豆が1粒。

それを悟白の口に押し込んだ。

近場にあるのは悟白から流れる血だけ。

仕方なくそれを掬いとって流し込んで、口の中に手を突っ込んで血と一緒に無理矢理飲み込ませた。

喉奥まで指で仙豆を押し、流れていったのを確認すると口から手を出し、その場に寝かせてやった。

じきに元に戻るだろう。

「…あん時悟白がカリン塔に行ってよかったぜ、全くよ…!!」

あの時、帰る前にカリン様に仙豆を2粒持たされたのだ。

それのお陰で、1粒は使えないが自分の分で悟白が死ななくて済む。

先程の粉々になった仙豆は自分が食べた。

少し良くなった。

海面から出てきた片腕が関節から先が無くなり、背中は肉が見える超17号を睨みあげる。

「…今のは……流石に効いたぜ………バリアを張るのがあと1歩遅ければ死んでいただろうな…!」

「当たりめぇだ、悟白があんなになってまでやったんだからそんくらいなってもらわねえと困んだよ…!」

「…孫悟白…殺す…!勿論孫悟空、貴様もだ…!!!」

「一万歩許しても悟白はぜってえ殺させねえぞ!!!」

構えを取る。

何してでも絶対にあいつを倒す…!!!

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

会話が聞こえる。

賑やかで、居心地良さそうだ。

自分も混ぜてもらえるだろうか。

「……ん…」

ゆっくり目を開けた。

自分がいるのは……何だろう、柔らかい……ああ、ベッドの上のようだ。

周りは……カプセルコーポレーションか?

起き上がる動作の度バキバキとなる関節。

寝過ぎだろうか。

体全体を見回すと、何やら服が変わっている。

洋服らしいが…まあいいか。

伸びをして、バキリと背を鳴らし、体の動きを確認する。

普通に動けるようだ。

それに、前よりパワーアップしたようにも感じる。

ここはカプセルコーポレーションの一室らしく、窓があったのでそこから外を見た。

なにやら、丸く固まっている人達が。

…何かを囲んでいるようだが…

気になって、ベッドから降りて外へ向かう。

「お父!何やってるだかー?」

「んぉ?あ!悟白!!」

歩いて向かっていると悟空が物凄いスピードで迫ってきた。

「どこも悪くねえんか!大丈夫か!?」

「え、あ…そりゃもう」

「本当か!?骨の破片とかなんかあるとか感じねえか!?」

「骨の欠片?…いや…強いて言うなら口の中が鉄の味がするくれえかな?」

そういうと悟空は安心したように離れた。

「はあ…なら良かったぞ。」

「それより、一体何やってんだ?」

「え、それよりっておめえ…なんで寝てたか覚えてねえんか?」

「え、何でって…眠かったから?」

「…覚えてねえんか?おめえ17号と…」

「…………あ」

あやふやだった記憶が急に鮮明になった。

そうだ、自分は17号を粉々にするためにフルパワー最大爆波を自分にも喰らったのだ。

……それなのにこんなピンピンしてるのか?

「おらの分の仙豆を食わしたんだ。お前のは爆波で粉々だったからな。」

「そうだっただか…お父、ありがとう。」

「へへ、あったり前だろ?」

そしてみんなの元へ連れていかれ、声を掛けられながら今の状況を説明された。

ドラゴンボールを集めたので神龍を呼び出してクリリンや街などを直そうとしているが、ドラゴンボールにヒビがあるので不思議に思ってまだ呼べていない、という状況らしい。

因みに、17号は悟空と18号と連携し、悟空が龍拳爆発で倒したらしい。

 

 

 

何はともあれ呼ばなくては話が進まないということで、神龍を呼び出した。

1度目では何故か来なかったがもう1度呼ぶと、空が暗くなった。

だが、雰囲気が違う。

「やった!」

「やっと来た!」

「…でも…なんか、雰囲気が…」

途端、空に赤い稲妻が走った。

そして地震が起きた。

みんながいつもとは違う雰囲気と、邪悪な気を感じ取り、辺りを警戒する。

すると、ドラゴンボールから黒い煙が出てきた。

正確にはドラゴンボールの亀裂から。

「…なんだ…?」

「これは…」

煙がどうなるのかを見守っていると、最終的に邪悪な雰囲気を醸す龍が現れた。

「何だありゃあ?!」

「あ…あれも神龍なの…?」

「いや…それにしちゃあ…」

「でも多分そうじゃねえかなあ」

「一応ドラゴンボールから出てきたんだもんねえ…」

と、みんなと話していると、上から大きな声で下品な笑いが響いてきた。

『ブァハハハハハハ!お前らよく呼び出してくれたなァ…!』

「うっ…なんか…」

「変よね、なんか…ちょっと下品じゃない?」

今までの神龍は、なんとも高貴な雰囲気があったが、この龍は…ギャンブルをして、葉巻を吸って酒を飲んでいそうな下品な雰囲気がある。

神の名は付きそうもない。

「ちょ、母さん…!失礼ですよ…仮にも神龍にたいして…!」

トランクスがそういうが、存外トランクスも失礼である。

『外の空気というのは実に美味い。生き返ったようだ…!

これで、思う存分暴れられるぞ!!』

「…ぜったい神龍じゃねえ…!」

葉巻を咥えそれに火をつけた龍。

『人間共よ、よォく聞けよ?呼び出した事には感謝するが、だからと言って言いなりになんてやってやらんぞ』

「!?」

「な、何言ってんのよ!何の為に呼び出したと思ってんの!?」

ギャアギャアとブルマが言っているが、それを無視している龍。

《悟空!そいつは神龍じゃないぞ!!》

そう言ってきたのは、おそらく界王様だろう。

やはりあれは神龍ではないらしい。

「おめぇ…神龍じゃねぇならなんだ!!」

聴くと、無視して葉巻を吸い、そしてこちらに吐いた。

ニコチンの香りに思わず鼻を塞ぐ。

前を見ると、ドラゴンボールが浮いていた。

「ああっ、ドラゴンボールが!」

パンが走っていったが、その前に龍の周りに集まったドラゴンボールが上へ上がっていき、なんと龍が飲み込んでしまった。

ブルマが怒鳴ったが、龍は目を赤く光らせ、黒い煙が竜巻のようになった。

それで起こる強風に全員が腕でガードしたりした。

腕の間から見ていると、黒い煙が龍のようになり、その一つ一つの口にはドラゴンボールらしきものがくわえられていた。

いきなり強い光に襲われ、目を瞑った。

だがそれも一瞬ですぐ顔を上げ、見ると、その龍達がそれぞれの方向へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

老界王神に怒鳴られ1人責任を負うのが嫌なのか悟空に責任の大部分を擦り付けたブルマ。

正直に受け止めた悟空が行ってくると言って準備運動をした。

ドラゴンレーダーを作った事がまず駄目だろうという意味を込めてじとりとブルマを見た。

「…?…ぅ、な、何よ悟白君。…言っとくけど絶対孫君にあるからね、責任」

「………………………ふうん」

「ぐ、作ったって集められなきゃ意味ないんだから!」

「……………………………へえ」

絶対に悪くないという雰囲気を出すブルマ。

絶対にブルマも悪いと思う。絶対に。

 

 

飛んで行った悟空を見送りふと、悟空が何も持たず行ってしまったのを思い出した。

そうだ、ドラゴンレーダーがないと駄目じゃないか!

急いでトランクスにギルの所に案内してもらった。

 

ギルを持ち、じゃあ届けてくると言って二本指を眉間に当てる。

悟空の気を見つけ、来い、と呟いて飛んだ。

「あっ!パンちゃ」

 

「あれ?」

「おっす。ギル忘れてるだぞ」

「ああ!そうそう、ないと探せなくて困ってたんだよなあ、サンキュ!」

「うん。じゃあおら帰るかんな。」

「おう!またな!悟白、パン!」

眉間に二本指を当て、トランクスの気を探し当てたところで止まる。

「………パン?」

「ん」

悟空が自分の左足を指さした。

見ると、そこにはしがみついているパン。

「………パン。」

「えへ。着いてきちゃった」

「………じゃあとりあえずパンと一緒に帰るだ。じゃあな」

「わ、わっー!!!待って!待ってよ!お願い!!お願い待って!」

仕方なく待つと、パンが離れた。

「ねえお願いおじいちゃん!あたしを連れてってよ!」

「え?」

パンがそんなことを言った。

「悟白お兄ちゃんと一緒に!」

「!?」

「ねえ、お願い!ね、最初宇宙にドラゴンボール集めに行く時は行かずに大人しくしてたでしょ?ねえ、お願い!」

「んー、でもおめぇ行こうとして悟白に放り出されてたじゃねえか」

「大人しくはしてなかっただな」

「うぅ…!でも、ベビーの時は活躍したでしょ?ねえお願い!」

どうしてもついて行きたいらしいパン。

「ねえ、お願いよ…悟白お兄ちゃん、ねえ、邪魔にならないように悟白お兄ちゃんのそばに居るから…ねえお願い」

「……だってよ、お父どうする?」

「いぃ?オラが決めんのか?」

「おらとパンが着いてってもいいか、だべ?おらはどっちでも構わねえけどお父はさっき一人でやるって言ってたからな。

もともとお父一人の仕事についてくっていってんだ、お父が決めるべきだ」

「うーん…なら帰って、」

「そんなに言うならあたしが勝手に行っちゃうわよ!!いいの!?」

そう言って自分の肩に掴まっていたギルを鷲掴んで遠ざかる。

「お、おいパン!」

「連れてってよ!」

ムッとした表情でパンが言う。

選択肢にはい、しか用意されていないようだ。

悟空が呆れて、頭を掻きながら仕方なさそうに了承した。

「やった!大好きよおじいちゃん!」

そう言ってギルを離したパン。

ギルがすぐに自分の肩に戻ってきた。

『ギル…パン、悟白寝てる時宇宙一緒に行ったけど乱暴、ギルちょっと苦手』

「ギル、大声で言ったらひどい目にあうだぞ」

『ギルルル……』

「さ!行きましょ!」

そう言って促すパン。

仕方なく悟空と頷き合って進み始める。

悟空を先頭に自分、パンの順番になって飛ぶ。

 

…前途多難な旅が始まる予感だ。いや、始まった。

 

 

 

 




〜飛んでいる間の会話〜

「なあ、パン。オラずっと変に思ってたことあったんだけどよ」
「なあに?」
「おめぇ悟天をなんて呼んでんだ?」
「え?何よ急に……悟天おじちゃんだけど」
「悟白は」
「悟白お兄ちゃん」
「それだよ、オラずっと気になってたんだ」
「何?どういう事?」
「悟飯の兄弟は叔父のはずなんだろ?なんで悟白はお兄ちゃんなんだ」
「あ、おらも気になってただ。」
「はぇ?!だ、だってそれは…ご、悟白お兄ちゃんは悟白お兄ちゃんだもん…」
「でもよ、それだと悟天もお兄ちゃんって呼んでもいいんじゃねえか?だって悟天と悟白は…なんだっけ、ニラ?のフタ?」
「二卵生の双子、だべ」
「そうそう、それだ。双子なんだし歳一緒じゃねえか。なんでだ?」
「えっ、ええっ?!」
「?」
「だって…好き…な、人だもん…」
「え?じゃあ悟天は嫌いなんか?」
「は?…悟天おじちゃん嫌いなわけないじゃない」
「じゃあお兄ちゃんって呼んでやれよ」
「は?…ま、まさかおじいちゃん何言ってるか分からないんじゃ無いでしょうね」
「何がだ?」
「あっ…きれた…ね、ねえ。悟白お兄ちゃん…」
「ん?」
「悟白お兄ちゃん…パンの、今の言葉…受け取ってくれた?」
「??ああ、うん。おらも好きだぞ」
「え!!本当!?」
「大事な姪っ子だからな。勿論だべ?」
「あ………あぁ………う、うん…嬉しいな……うん……」




じわじわと終わりが近付いてきています。
成長を嬉しく思いながら寂しく思います。
成長して親元から離れていく子供、みたいな気分です。


【挿絵表示】

一星球編の悟白です。洋服を用意してくれたのがブルマなのでベルトにカプセルコーポレーションのマーク入れときました。
初超サイヤ人です。描くのはね。
ベジットポーズ、決めてもらいました!
ほんとに大好きだね君は!!

閲覧ありがとうございました!

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