そん、ごはく。孫 悟白っていいます。   作:鯱の助

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〜地球〜

「あーあ、もう九ヶ月かあ…」
「そうだ、ブルマさん確かテレビ電話っちゅうやつ悟白に持たせてただろ?あれで連絡出来ねえんか?」
「んーん、全然ダメ。遠過ぎて繋がんないの。」
「繋がってるならおらにも話させてほしいと思ってただに…」
「それだったらすぐ教えるわよ…あ、そういえば九ヶ月悟白君に会えてないからパンちゃん、凄いことになってるんですって?」
「…やっぱ聞いてたんけ。ずっとぐったりしててな…」
「ブラとも遊んでないらしくて、心配してるのよ。
どんな感じなの?」
「『あー…悟白お兄ちゃん…ああぁ…』って感じだべ…あの家からでないでずっと悟白のアルバム見てんだ。
なんか、もうあれだ、廃人ってかんじだべ。」
「…重症ね」
「…んだ。」

〜〜

パンはきっとそうなってるだろうと思いました。


でももう大丈夫ですね、あの方が生まれ変わらせて下さっていますから。





ベビーめ、いつの間に地球に…!

ドラゴンボールがやっと七つ揃った。

長かった旅も漸く終わりを遂げたのだ。

Drミューとベビーが出てこなくなってからのドラゴンボール集めは簡単といっていい程に簡単で、すぐに終わった。

「おい!見ろよ悟白!地球だぞ!」

「!ほんとけ!?」

ドラゴンボールを磨いていると掛けられた言葉に嬉しくなって走っていく。

窓から見えるは蒼い星。

…地球だ!

すぐそこの故郷の存在に尻尾が大きく揺れる。

悟空はトランクスに天界に降りてくれと言っていた。

自分は、幼少から治らない泣き虫を発動させてしまいながら見つめた。

やっと、帰れる。

お金は沢山取られたし、女装もさせられたし、人形にもなったし、ギルの故郷で酷い目にあったし、金属板にもなったし、赤ん坊の名を持つ危険なやつにはサイヤ人だからと何やら狙われているし…

………酷い目にしかあっていない。

だが、これだけ濃厚な、力になる旅はもう宇宙に再び出ない限り出来ないだろう。

だから、もうこれで旅は本当に終わり。

そう思うと酷く寂しくもなる。

矛盾した気持ちで思わずわらってしまったが、やはり今は帰りたい気持ちでいっぱいだ。

 

大気圏に入るらしく、操縦室に呼ばれた。

「さ、座れ悟白。」

「ん」

「はは、また泣いたのかー?この泣き虫め!」

「ほっといてけれ!」

「いいじゃねえか、もう変わんねえなら仕方ねえことだ」

「いや、文句じゃないんですよ。

子供のままで時間が止まってるのは羨ましい事だって!」

「…貶してんか?トラ兄さ」

 

 

天界でドラゴンボールを渡し、トランクスについていくらしいギルと別れ、悟空と共に家に帰った。

 

 

 

『ああ!やっと帰ってきただ!心配させて!』

『お義父さん、悟白君、お帰りなさい。』

『悟白お兄ちゃん!!待ってたわ!パンずっといい子にしてたのよ!』

そう言われると思っていたのだ。

なのに、しんと静まり返った我が家。

帰ってきてすぐ特に話し合えるわけでもなく宇宙に行ってしまったのでやっとゆっくり話せると思っていたのに。

「なあ、チチ。なんで黙ってんだ?」

「…飯の前で待機させる程に怒らせちまったっけな…」

怒らせることなんて何もしていないはずだ。

パンも…まあ投げてだが、ちゃんと探して返したし…

ああ、そのパンも何故か上に気配があるのに降りてこない。

悟飯もいるようだ。

兄達にくっついて話も沢山したいが、帰ってきた気配を漂わせているのに降りてこないようではあちらもこの母達と一緒のように思える。

「…お父、ちょっと上に行ってみるだ。」

「んー?そうか?」

「ん。食べれないみたいだしおらが作っておいた握り飯あっから食っててけれ」

「お!サンキュー!」

 

悟飯の家におらずこの家の上の一室に留まっているパンに不思議に思いながらも、その部屋のドアをノックする。

「パン、帰っただぞ」

…無反応。

「パン?寝てんのけ?」

気をしっかりと探る。

……寝ていない。起きている。

「…機嫌でも悪ぃんか」

すると、後ろを悟飯が通って行った。

「あ、飯兄さ、ただい……」

ま。

と言い切る前にそのまま通り過ぎて下へ行ってしまった。

流石に変だ。

…確かにパンを投げた事を怒っていても仕方ないとは思うが、こんなに長い期間そんなにねちっこく怒る人でない事は分かっているから余計変だ。

「…あれ、本当に飯兄さか?」

そう聞いてしまえるくらいには変だ。

まさか、パンも?

「パン、入るぞ」

ノブを引っ掴んで捻ったところで、下で2人の気が跳ね上がったのを感じた。

……悟飯と、悟天!?

ノブから手を離して2階から降りる。

すると、聞こえてきたのは母が2人を叱る声ではなく。

「悟空さを殺せ!」

という、信じられない母の言葉だった。

「な、お母!?」

「!悟白!」

超サイヤ人になった悟飯と悟天に囲まれた悟空がこちらに顔を向けていた。

「ああ…会いたかったよダイスキな悟白…お帰り」

大きくなってからよく自分に構ってくれるときの明るい笑顔ではなく、敵に向けるような好戦的な笑顔で自分にそういった悟天。

「ああ…さっきは無視して悪かったな悟白。お前ともあの方がいらっしゃるまでの間遊んでやるよ」

ようやく話してくれたかと思ったら、そんな事をいう悟飯。

「誰だおめえ…気は兄さ達のものだが何かちげえ…誰だ!」

「お前の兄ちゃんさ。不思議なことは無い。」

「酷いじゃないか悟白、僕を疑うのか?お前の双子の兄貴、悟天だよ?」

そう言って腕を広げる悟天。…違う、こんなのじゃない!

首を横に振り続け否定する。

「さあ、悟空さをころせ!」

もう1度掛けられた言葉に、悟飯と悟天が気を上げた。

「やめろ、悟飯、悟天!おめぇら地球をぶっ壊す気か!?」

「地球?……なぁんだこんな星なんか!」

「ふふふ、父さんと悟白と一緒に吹っ飛ばしてあげますよ」

信じられない。

兄達の口から、そんな言葉を…?

 

『僕も故郷を失いたくありません。だから、父さんと一緒に行くつもりです。』

 

…嘘だ。思い出した、あの時あんなことを言っていたじゃないか!

「飯兄さ、おめぇ怪しいべ…!」

だって誰と行くか決めている時、故郷を失いたくないといって穏やかに笑っていたのは、貴方じゃないか。

「故郷を失いたくないって言ってたんは自分だべ!!それが自分の手で壊す…!?おめえなんか…!飯兄さじゃねえ!!」

そう言っている間に、家が半壊した。

「それに!天兄さは彼女さんがいる!なのにそんな事いうなんてありえねえ…!」

それを聞いていた悟空は、完全に疑い始めた。

「おめえら、熱があるんか?!それとも、ニセモンか!!?」

すると、普段有り得ないような桃色の気を放って悟飯が家を壊した。

悟空と2人で逃げ、その後も追跡してくる気弾から逃れる。

ばしりと叩き落とし、悟空と背をつけて警戒を高める。

「酷いよなあ悟白。疑ってくれちゃって。」

「ホントだよ。どうしてそんな怖い目で見てるんだ?」

悟天が自分の目の前に。悟飯は悟空の目の前に浮かんできた。

「「おめえ…本当に悟()か?」」

悟空と被ってこう言った。

「ん?どこからどう見ても孫悟飯。僕ですよ」

「え?正真正銘孫悟天だよ。それに、兄貴を呼び捨てなんて可愛くないな」

一瞬普通の顔に戻った兄に懐かしい気持ちと泣き付きたい気持ちが湧いたがその気持ちを振り払って対峙する。

「なんだ?お兄ちゃんに甘えたくなっちゃったかな?

やっぱり野蛮なサイヤ人は脳味噌の発達も遅いからまだお子ちゃま気分なんだなぁ?」

「っ!なんだと…!?」

「チビのサイヤ人から生まれたサイヤ人は脳味噌がチビのままなんだなぁ、情けない憐れで憎たらしい一族め」

「オラサイヤ人じゃねえ、地球人だ!!」

「フッ…巫山戯たことを!」

そう言って一斉に飛び掛ってきた兄達を、目の前に立っている方を相手する。

「おらは構わねえがお父を馬鹿にしておめえ…!!許さねぇだ!!!」

「ははは!許さない?バカを言うな、許されないのはお前達サイヤ人の方だ!!」

「何言ってんだ!おめぇもお父の血縁者ならおめぇもサイヤ人!何に許されないのか知らねぇけんど許さないならおめぇらもだ!!」

「僕は違う、あの方の手によってサイヤ人などという下等な運命から生まれ変わったんだ!!」

「意味分かんねぇこと言うな!!波ぁぁぁああああぁぁああ!!!」

気迫で遠くへ飛ばし、すぐに追いかけてラッシュを仕掛けてやって脳天割りで飛ばしてやった。

終わっていたらしい悟空の隣へ並び、警戒を怠らない。

悟飯の元へ戻った悟天は、悟飯と共に不敵に笑う。

そして自分達へ手のひらを翳してきた。

「おめぇ達…もちっと痛い目みねぇと分かんねぇようだな…!」

悟空がちらりとこちらを見た。

頷き合って、両手を上下で合わせる。

「か……」

そして、それを捻る。

「め………」

捻った両手を後ろへ持っていく。

悟空と自分の間へ。悟空もそうした。

「は…………!」

二人同時に両手の中に青く輝く気弾を作る。

「めぇえ………………!!」

徐々にでかくなる気弾。

そして、二人の気弾が混ざり合おうと言う時、下から声を掛けられた。

見ると、そこには懐かしのミスターサタンとブウの姿があった。

「やめろ、悟空さん!悟白君!!!」

何事かとやめて見下ろすと、衝撃の事実を聞かされた。

 

ベビー、というツフル人にどちらも操られているだけだ、と。

 

ベビーだと?

「ベビー…、て、まさかあいつ!!」

悟空と一緒に悟飯達を見る。

まだニヤニヤと笑って構えている。

「地球の人間みんな、全員が操られているんだ!!」

そう言われて、心臓が急に鈍くなった気がした。

みんな…?

じゃあ、パンも?

……まさか、ベジータも?

呆然としていると、悟天から声が掛かった。

「さっきも言っただろ?あの方のお陰で生まれ変わったんだよ」

「は、え……」

 

「ツフル人として、な」

 

驚いてショックを受けたままの表情で振り返る。

すると、そこに居たのは…白い髪になって、謎のラインの入ったベジータがいた。

「べ、ベジータさ…」

「ベジータ、お前まで…!」

地球に残ったサイヤ人の中でダントツに強いベジータが、やられた。

「だから何だ?」

声が高い。あの時トランクスから聞こえたあの声。

…ベビーだ。

絶望が、募っていく。

「あ、あ…」

ベビーに乗っ取られたベジータ…ベビーがサタンの方に話しかけていた。

なんて事だ、自分達以外は…悟空、トランクス、自分以外は全て、敵…?

とにかく、構えを取った。

 

 

 

 

「そいつはベジータの記憶によると、悟空の次に強い体らしい。

丁重に扱え、それは俺の次の体になるのだからな」

 

そう言われ、悟空とベビーの戦いに助太刀することも出来ず、歯痒い気持ちを抑えながら悟飯達に応戦する。

…襲い来る中に、先程加わったブラとトランクスの姿。

…やられていたのだ。

あちらは本当にベビーの言いなりで丁重に傷を付けずに置くためか超サイヤ人にもならず応戦してくる。

「だれが、あんなやつの体に…!」

「光栄だろ?お前が選ばれたんだ。」

「どいてけれ!じゃないと、じゃないとお父が、お父が!」

「あんな奴いいだろ」

「っ!………〜〜〜〜〜〜ッうるせええええ!!!!!」

気迫を放った。それで遠くまで飛んだのはブラだけだったが、戦闘員が一人減るのだから儲けものだ。

…だが、徐々に自分が押されてきている。

理由は分かっている、洗脳されているだけで彼らが自分の兄達だからだ。

すると、考え事をしていたせいか隙が生まれて鳩尾に一発入った。

「ぐっ…!!!」

すると怯んだ瞬間ボコボコに殴られ始める。

そして、一気に決めようにも決められない自分は、呆気なくやられて地面に落ちていった。

 

 

 

サイヤパワーを送られ強くなったベビー。

それが、恨みのパワーとやらを地球上の人類達から集めた超巨大な暗黒の気弾が、悟空へ放たれた。

震える体に鞭打ち、走っていく。

立ち上がるしか出来ないほどにボロボロな悟空の前へ出てきて、受け止めようとリベンジデスボールとやらを見る。

…が、察した。

今の自分では無理だと。

だから方針を変えた。

前に出てきた自分に驚いた顔をする悟空へ向き直って庇うように抱き締めた。

それで、小さい頃されたように、抱きしめたままバリアを張った。

気休め程度でいい。悟空が生きてくれれば。

「悟白、おめぇ…!」

「おらに出来んのは壁になって生かすことくらいだ、だからお父、頼んだぞ…!!」

「やめッ…」

矢継ぎ早にそう言って強く抱き締めた。

背を覆う服に、チリ、と気弾が触れた音がした。

 

 

 

 

 




悟白と悟空がリベンジデスボールに!!
おのれベビータ許さんぞ!

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