異世界に勇者としてTS転生させられたから常識通りに解決していくと、混沌化していくのは何故なのでしょうか?   作:ひきがやもとまち

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ようやくファンタジー感が出せました!・・・と思ったら、やっぱり半端になりました。
おかしいなぁ~、ファンタジー世界ってこういうのでしたっけ?

次回こそ、ファンタジーな世界と展開を!


第4章

 冒険者ギルド。古くは古典的RPGから存在し、比較的新しいところでは『OVER LORD』、もしくは『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?』辺りが有名所でしょうか?

 多くの場合、冒険者と呼ばれる荒くれ者たちを相手に仕事を斡旋したり、時には街の防衛に協力してもらう特殊な組織の名称です。

 

 ゲームなどでもそうですが、この世界のそれにも職業的性を見極めるなどの部署が存在し、我々もお世話になりに来たのですが・・・・・・

 

「いや~、驚きましたね。規模に。

 まさか物品鑑定、倉庫に銀行、保険会社や融資、最新通貨レートの説明役に両替商まで完備していて、止めに職業訓練校まがいの代物まで併設されてるなんて想像もしていなかったですからねぇ。

 あれだけの規模の施設を建てるなのら、そりゃ国と癒着でもしないとやってけないでしょうよ」

「うん・・・私もあれには驚かされました・・・・・・」

 

 この世界全てを統べてるはずの女神様が驚かれているのですから、相当な物だったんでしょう。女神様のスペックについては疑問の余地がありますが、とりあえず今は置いときます。

 

 ちょっとした大学のキャンパスみたいになってましたからねぇ。これなら冒険者街要らないんじゃね?っと思って聞いてみたところ、冒険者街を利用するのは最低限自分で自分を食わせられるようになった初級者以上の冒険者と、生活を楽にできる道具にならお金を払える余裕のある中流階級の庶民が顧客の主力となっているとのことでした。

 あらためて説明されると非常に納得できますね。

 

 冒険者はなり手が多い反面死亡率も高く、初陣が人生最後の戦闘になりやすい。確かに実力主義の世界で弱い冒険者など必要ないと言われてしまえばその通りなのでしょうが、世の中には大器晩成や遅咲きの大英雄と呼ばれる存在も確かに居るには居るので、人的資源の枯渇し始めた人類国家としては無駄に死なれても困るのでしょう。

 更に言うなら、別段戦闘力だけが冒険者の持つ力の全てではない。支援系能力でこそ才能を発揮できる未発掘の原石というのも確かに存在しているのです。

 そういうのを見極めれる様なスキルが存在しない以上、やらせてみて結果を見るより他、その人の向き不向きを確認する術はないのです。

 

 ーーああ、もちろん職業適正を調べる能力はありますよ? ただしこれはあくまで現時点でのステータスから判別されてるだけなので、将来性を示すものではありません。

 定期的に確認しながら自分にあった職業を自分と担当してくれてる職員さんの二人三脚で試していくしかないとのこと。

 ・・・『BAKUMAN。』を思い出したのは、私だけなんでしょうかね・・・?

 

「まぁ、時間的余裕があるのなら初心者向けの講座に参加してみるのも悪くはないでしょう。もっとも、『教科書通りすぎるから、あくまで参考に留めるように。自分にあった戦い方は自分自身で見極めること』って教官殿ご自身の口から聞かされたときは驚かされましたけど・・・」

「うん、私もあれには驚きました・・・」

 

 アンタさっきの台詞をコピペでもしてるんですか。いい加減現実世界に帰還しなさい。置いてきますよ?

 

「診断・判定・鑑定。すべての作業工程にランク付けがされていて値段も異なる。

 訓練生に見てもらう場合はタダだけれども何かあった際には自己責任で終わらせられるから、一定以上のランクを持った判定及び鑑定作業を訓練生に依頼するのは法的に許されない。

 武器の強化、魔力付与に素材の加工。大抵のことは受け付けていますが、どれも担当する係員のレベルを抑えてあるため、高ランク品に関する作業は売り買いも含めて冒険者街のプロたちに自己責任でもって依頼すること。

 一般市街における犯罪行為は地位身分を問わず通常の刑法が適用され、冒険者街内部に限り一部冒険者特例法が適用される。

 概要は、基本的には全ての行動に自己責任が適用されており、国や都市議会などは冒険者たちの責任問題に一切関与しない。街中で一般市民に危害が及んだ場合は問答無用で投獄。抵抗する場合は市民の安全を優先して実力排除が許されている。

 冒険者街の治安維持は冒険者ギルドの管轄であるため国軍が関与はしない代わりに、現役を引退してギルドに所属している古参の高レベル老冒険者たちが事に当たる・・・と。

 ・・・少し細かすぎませんか? ここまで綿密な設定を冒険者ギルドに求めなくても良いのでは? 一応はここ、ファンタジー世界なわけですし」

 

 正直このまま行くとこの世界、設定資料集とか出せそうなくらいに広がっていきますよ世界観が。たぶん、一国だけで。

 

「私もそれには驚かされました・・・」

 

 うん、やっぱ駄目だわこの女神様。ガチで役に立たん。

 いいんですけどね、別に。最初からあんまり期待してませんでしたから。

 

「まぁ、なにはともあれもう一度職業適正検査室へ行ってみましょう。予約受付した時間が迫っていることでもありますしね。なにかしら便利なスキルが手に入ればいいんですが・・・。

 おあいそ、会計をお願いします」

「あ、はーい。ありがとうございましたー。またのご利用をお待ちしていまーす!」

 

 ネコミミ生やしたウェイトレスさんに見送られながら、私たちは喫茶室を出ます。

 付けた、ではありません。生やした、です。この世界にはそう言った異種族が山のようにいて、国によっては共生しているようですね。

 無論、種族差による身分制度をとっている国や奴隷制を敷いている国もあるようですが、この国では比較的穏やかに平穏に暮らせているようです。良かったですね、ネコミミさん。

 

 ーーちなみにですが、今居たお店はギルド内部の中庭に併設されてる喫茶店です。出てくる料理や飲み物も異国情緒溢れた物が多く、冒険者が如何にリベラルな存在なのかを思い知らされる作りになってました。

 考えてるなぁ~、ギルドの代表さん。そりゃ脳筋ぽかった革命軍のみなさんが手玉に取られるわけです。くわばらくわばら。

 

 

 

「すみませ~ん、先ほど1時に予約させていただいたセレニアなのですが。

 私と後もう一人・・・あ~・・・匿名希望さんの職業適正審査をお願いできますか?」

「セレニア様ですね。確認いたしますから少々お待ち下さい。

 ・・・・・・確認が終了しました。係りの者が案内しますので、審査室へどうぞ」

「ありがとうございます、お言葉に甘えさせていただきます」

「それから、これらは情報機密及び冒険者の安全保障にかんする事柄に関わってきますので、調べた内容については原則ご本人様のみにお伝えしております。

 仲間パーティーの皆様にお伝えするのはご自由ですが、それによって他者が被害を被った場合は連帯責任として処罰の対象となりますことを予めご納得して頂いた上で、了承のサインをお願い致します」

「ん、了解です。この契約書にサインすれば宜しいんですね?」

「はい、そうです。これは簡単な契約魔法が掛けられており、紙にも当ギルドの訓練生が作成した魔法紙が使用されています。

 低レベルの間は間違いなく効果が及ぼされると思われますので、よく考えた上でのご利用をお勧めさせていただきます」

 

 なるほどね、ここでも良くできてます。

 実績のない初級者は契約書が信用に対する担保となり、実績を得た経験豊富な高レベル冒険者には、担保の必要性も契約内容の重要性に関して理解を求める必要もないと。

 

「ーーはい、書けましたのでどうぞ」

「拝見させていただきます。ーー登録完了、冒険者セレニアの個人データを転送致しました。これでギルド本部に貴女の名前とデータが永久に保存されます。

 願わくば、貴女の名前が伝説とともに残ります事を」

「社交辞令の機能は要らないような気もしますが・・・まぁ、雰囲気重視なんでしょうね。たぶんですけど」

 

 私は内心苦笑しながらも、目の前で受付業務を担当している魔法生物ホムンクルスの少女を見つめました。

 良くできている反面、ところどころに違和感を感じさせるのは訓練生の制作した品で、整備や補修も彼らが実地訓練として担当しているからなのでしょうか?

 

 国が本腰あげて支援した場合の冒険者ギルドってスゴいですね・・・これなら人類三大組織と呼ばれるのも納得させられますよ。正直いろんな作品の同名組織を知っている身としては半信半疑でしたが、ここまで来ると疑う方が難しい。

 

 本当に良くできた組織だなぁ~。

 

「こちらが検査室になります。順番はどちらの方からでも構いませんが制限時間が御座いますので、一人頭に掛けられる時間は変わり在りません。その上で順番をお決めくださーー」

「はいはいはーい! 私!私が先です! だって私、女神様ですから!

 女神が人間の後塵を拝するとか有り得ねぇでしょう!?

 ですから当然、私の方が順番はいつだって先なのです!

 なんたって私、め・が・み・さ・ま、ですから!」

「・・・・・・畏まりました。どうぞこちらへ、メガミサマ」

 

 あ。最後の一言、カタカナの棒読みだった。ついには人の手で作り出された人工生命体にまで見下されちゃいましたよ、この女神様。

 いったいどこまで落ちていくんでしょうねぇ~。さすがにここまで来ると、ちょっとだけ興味が沸いてきますよ。

 

 とはいえ私の順番が回って来るまで一休みですね。ベンチにでも座って周囲の人たちの話に耳を傾け、情報収集に勤しむとしましょう。

 なにも知らない私たちには、なにが有益な情報で、なにが無益な情報なのかを判断できるようになれる情報が一番必要です。

 自前で済ませられたら聞く手間が省けて経費も減らせて一石二鳥ですからね。大人しく周囲をキョロキョロ眺めて子供らしさをアピールしておきます。

 なにか聞いても不振がられないよう、なにも知らない子供のフリは基本中の基本ですから。

 

 ・・・・・・なんか中途半端にファンタジー感が有ったような無かったような、微妙な感じで半日が終わってしまいました。

 

 残りの半日こそ、ファンタジー展開を期待させていただきます!

 とりあえずは仲間と出会いたいです! 今のままの編成だと、ものスッゲェ不安しかないので!

 

 せめて前衛の盾キャラかもーん!

 

 

 

 

つづく


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