異世界に勇者としてTS転生させられたから常識通りに解決していくと、混沌化していくのは何故なのでしょうか?   作:ひきがやもとまち

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久しぶりの投稿となる『異世界に勇者としてTS転生』最新話を更新です。
本当だったら前線地域の世界観説明も書きたす予定だったのですが、リハビリの意味もあって次話に続かせていただきました。ご了承くださいませ。

…最近いろいろな転生作品のアニメが出てて誘惑多いものですからね…。


第31章

「もしもし? 大丈夫でしたか? お怪我はしておられませんか? ・・・生きてますかー・・・?」

「ちょっ!? セレニアさん! 台詞の最後が勇者らしくなかったですよ! もっと勇者らしく優しい言葉でいたわりを込めてオブラートに!!」

 

 消炎たなびく森の中で、私たちは追っ手らしき兵士さんに追いかけ回されていた男性を、兵士さんたちに奇襲しかけて全滅させて安全を確保した後に村人Aっぽい服装をした男性の安否と、ついでに生死を確認しておりました。

 

 せっかく人殺してまで助けた人なので生きてて欲しいんですけど、こればかっりは人間の領分じゃどうにもなりませんからねー。命は神様からの贈り物。死んだら返してハイ終わりが、日本の伝統的な古式死生観ですし。

 

 ――要するに、この世界を統べてるはずの女神様がやるべきことです。私の仕事じゃありません。いい加減なんか人の役に立ちなさいよ、この堕女神様。

 

「う、ううぅぅ・・・・・・」

「あ、生きてたようで御座るな。ただ気を失っていただけみたいで御座る」

「おそらく、負傷によるものではなくて疲労によるものと思われますわ、セレニア様。生命力がだいぶ弱まっていますし、生気が息をするたびに弱まっていく気配が感じられますから」

「・・・それは、貴女が近くにいるせいで吸い取ってしまってるから――とか言うオチじゃないですよね? 信じてますよ? アリシアさん?」

「うふふ♪ イヤですわ、もう。セレニア様ったら冗談ばっかり☆」

 

 そう言って朗らかに微笑みを浮かべられながら、一歩ずつ一歩ずつ村人の男性から距離を取っていく元王女様。・・・この悪王女さまめ・・・・・・。

 

「う! こ、ここは・・・・・・?」

「大丈夫ですか? 私たちは近くを通りかかった行きずりの者で、あちらの方で兵士さんの死体を見つけて魔物にでも襲われた後かと思い、慌てて生存者が残っていないか見に来た者です。何かあったのですか?」

 

 適当に最もらしく嘘八百を並べ立ててみる私。疲労困憊から目覚めたばかりで意識朦朧としている相手に真相など不要。死にゆく者なら尚のこと必要ありません。

 耳障りのいい綺麗事を吐いて、安心して死んで逝かせてあげるのが世間一般でいうところの勇者の役目。私は勇者としての義務を果たしているだけですよ、本当に。

 

「だ、誰かは知らないが村を・・・俺の村を救ってくれ・・・! 頼む・・・っ! このままだと俺の家族が・・・っ」

「落ち着いて下さい、怪我は大したことないそうですから、あなたも直ぐ村へと帰れます。お気を確かに」

「俺のことはいい! それより村を・・・村を救うために俺は行かなくちゃ行けない場所があるんだ! ここから北に行ったところに俺の村があるか・・・ら・・・そこの窮状を西側の領主様のもと・・・へ・・・・・・(バタリ)」

「あっ!? ちょっと!? 名前があるかどうかも知らない村人Aさ――――ッん!?」

 

 女神様が再び意識を失われた自己紹介まだの村人Aさんが倒れ込んでくるところを抱き止めて、ガクンガクンと前後に力一杯振り回し・・・って、オイやめろ死んでしまいますから。

 

「ちょっと退いて下さい、女神様。邪魔ですし迷惑です。――うん、大丈夫そうですね。

 気を失われただけです。しばらくすれば意識も回復して目覚めてくれることでしょう」

 

 私は患者さんを暴行犯の魔の手から救い出すと、胸元に手の平当てたり、瞼を開けさせて光を照らし眼球の反応を見定めたりしながら簡易的ながらも症状を確認。

 気絶しただけであることを確認し終えると、余計な負担がかからないように地面の上に横たえて、顔の角度も調整して気道も確保。

 ついでとして、毒などを食らわされている場合のことを憂慮して女神様に最上級レベルの状態異常回復魔法を一回だけかけてもらってから、回復魔法もそこそこ良いのをかけてもらいます。

 

 ファンタジー作品だと、先に体力を回復させて体内に埋め込ませていた怪物活性化~とか言う展開が多いですからね。あらゆる状態異常を完全に治癒することが出来る神様レベルの奇跡魔法を使える術者がパーティーにいるなら念のために石橋を叩いて渡った方が安全なのですよ。

 

「・・・いや、いいんですけどね別に。神様的にもオールOKなご指示なんですけど・・・それどう考えても勇者のやる人助け方法じゃないでしょ。僧侶ですらやりませんよ今のは。むしろ明らかに違う別のナニカ的職業に就いてる人たちが出しそうな指示でしたし。具体的には救急隊員とか」

 

 女神様がなんかうるさいですが・・・いいじゃないですか別に。人助けしてる結果に変わりはないんですし、やり方が古式だろうと新式だろうと問題なしでも助けたらそれでいいのです。

 結果良ければ~、とまでは言いませんが、少なくとも『結果悪けりゃ全てダメ』なのは当たり前のことでしょう?

 

 ・・・それより何より、私たちは早急に決断しなければならないことが他にあるので、そちらを先に議論した方が少しはマシと言うものです。

 

「それで、その『北にある村』とやらに行ってみますか? ・・・正直、私はあまり行かない方が良いと思っているのですけども・・・」

『『え、ええぇぇぇっ!?』』

 

 予想通り女神様と、今度はトモエさんからまで批判的な驚きの悲鳴を上げられてしまいました。・・・分かりますけどね、気持ち的には。“気持ちとしてだけ”ならば。

 

「ちょ、ちょっと待って欲しいで御座る! それはあまりにも酷というものでは御座らぬか!? 苦しんでいる民草の住む村落が直ぐ近くにあることを知らされ赴かぬのでは武士道と仁義に悖るというもの!

 『義を見てせざるは勇なきなり』という、ヒノモトに伝わる有名な言葉を知らぬので御座るかセレニア殿!?」

 

 知りませんねぇ~。なぜなら私はヒノモト人ではなく見た目だけ白人で、中身極東の黄色いサルですから。異世界にある国の諺なんて知っていたとしても中身別物かもしれませんので知りません。

 

「トモエ様、ことはそう簡単ではないのです」

「?? どういう意味で御座るか? アリシア殿」

「考えてもご覧なさいませ」

 

 軽やかに手の平を上向けする優雅な所作で元王族のアリシアさんが、気絶している村人さんAを指し示し、トモエさんにこう続けて説明してくれました。

 

「気絶している彼は危機的状況にある村から脱出してきた難民であり、それを救ったわたくしたちはドコの馬の骨ともしれぬ怪しげな外国人。

 仮にわたくしたちが気絶したままの彼を村まで送り届けてあげたとして、疑心暗鬼に陥っていて身内以外は信じられなくなってるやもしれない辺境の村人たち相手に、いったい誰が正しい事情を説明して理解を得られるというのですか? 不可能でしょう? そんな芸当」

「うぐっ!? そ、それは・・・」

「むしろ、わたくしたちこそ犯人だと思い込んで攻撃してくる可能性だって高いのです。救うつもりで赴いた先で、救出対象と戦闘状態に陥るのが貴女の言うところのブシロードだとでも言われるですかトモエ様。

 現実に苦しんでいる村人たちを救いたいと願うのであるならば、夢幻の綺麗事ではなく現実をこそ尊びなさいませ」

「う、う、・・・うぐぅ・・・・・・」

 

 悔しげに黙り込まされるトモエさん。こう言うときは、元王族でリアルな政治手法を身近で見てきたアリシアさんは頼りになりますよね。・・・お近づきにならずに済むなら、それが一番よいことであるタイプなのが困りものでもありますけけどね・・・。

 

「そ、そこは村人たちも話せば分かってくれるはずで御座――」

『『甘いですね(わね)』』

 

 今度のは私もアリシアさんに加勢して反論しました。まず先方はアリシアさんからです。

 

「追い詰められ、生き延びようと足掻いている民衆というのは怖いものです。自分が生き延びるためなら、どんな事でもやってしまえるパワーがありますからね。

 それこそ、友を踏み台にして城壁へと這い上がり、愛する我が子を置き捨ててでも迫る凶刃から逃げ延びようとする・・・そして、生きて安全な場所へ辿り着いてから己の犯した罪を悔やみ、出家して教会へ入り、一生を償いに捧げることで安楽な生活を享受する道を選ぶのですわ。それこそが民衆という者たちが持つ自覚のない悪意的な側面なのです」

「農民を侮っているなら改めた方がいいでしょうね、トモエさん。彼らは弱い故に強い。

 完全武装した騎士百人も、手作りの棍棒や槍を持った千人の農民に勝つことは出来ません。数で押し潰されてしまいます。

 素人故に一度暴走すると退くことを知らず、血と興奮に酔いやすい部分も持ち合わせていますしね。

 生き延びるため戦わざるを得なくなった農民たちというのは、決して救ってもらうしか取り柄のない無力な群衆ではなくなるのが戦乱の世の常なんですよ」

 

 私たち二人のコンビネーション悪意的解釈による民衆の脅威説明を聞き終えて、トモエさんは冷や汗タラタラ垂らしながら黙り込んでしまわれました。

 

 ――が、しかし。今日の彼女はそれだけでは終わらず、最後の最期に毒の一針を放って来やがりましたのです!

 

「・・・前々から思ってたので御座るが・・・お二方は民衆に対してなにか恨みでもあるのでござるか・・・?」

『『・・・・・・(ぷいっ)』』

 

 ゆっくりと、ごく自然な態度で視線を逸らし、改めて私たちは倒れている彼を見下ろす姿勢に戻りました。

 さてはて、本当にどうしたものか・・・。

 

 

 

 

「――見えてきましたわ。おそらくアレが、この方の言っていた村なのでしょう」

 

 高レベルな格闘家で身体能力の高い、先頭を行くアリシアさんが後ろについてく私たちに教えて下さいました。

 結局あのあと私たちは、彼の村に行ってみることを決めたのです。

 理由は『他には特に行く当てもなかったから』という、適当極まりないものでしたが、まぁRPGで新天地についた時に村の危機を救うことになる勇者様なんて大方はそんなようなものですよきっと。

 

 隊列は、未だに目を覚まさない村人さんをお姫様抱っこで運んであげてるアリシアさんを先頭に、二番手が私。三番目がトモエさんで、支援職の回復魔法系プリーストである女神様は定石通りに一番後ろについてきてもらってます。王道でしょう?

 

 ちなみに、この隊列の隠された意味は、村人さんを前面に出すことで敵に攻撃を躊躇わせ、背後からの奇襲に対しては一番頑丈でバカだから死にそうにない女神様を盾として防ぎ、左右からの奇襲は私とトモエさんで一方向ずつの警戒を担当。そんな布陣です。

 

 最悪の場合、村人さんを盾代わりにして最後尾を守ってもらいながら全速力で逃走し、距離が離れた隙に適当な場所へと放り投げることで追っ手を分散。邪魔な重りがなくなって速度を増した私たちは更に前進して全力逃走。そういう算段に私とアリシアさんの間で打ち合わせ済みです。

 

 非人道的なやり方なのは承知の上。ですが、コレが一番人死にの出る確率と、出た際の犠牲者が少なくなる方法として有効でしたのでね。仕方がありません。外聞なんか気にしているより人命を優先した方が、まだしも人道的対応というべきものなのですから。

 

 

「で? 村のご様子は?」

「明らかに武装してらっしゃいますね。それに、警戒もしておられます。いつどこから敵に襲われるか判らずに怯えきっているようです。

 まだ、わたくしたちの接近に気付いていないから大人しいですけど、気付いてしまったらどうなることやら・・・そんな状況ですわ」

「・・・それは難儀そうですね~・・・」

 

 相手がどんな反応をするか判断するための要素が存在しないというのは、思う以上に厄介な状態です。

 村の近くまで送ってあげたんだからと、このまま村人Aさんを置き捨てていった方がいいのかすら判りゃしない。

 

「・・・・・・っ!? 誰だ! 止まれ! そこから一歩も俺たちの村に近づくな!!」

 

 しばらく歩いて接近すると、相手方の普通の視力を持つ一人が私たちの存在に気付いて警告を発し、近くにいた弓を持つ年配の男性――たぶん村落に一人はいる狩人さんだと思われます――が弓をつがえて構える前に陣取って、震える声で私たちの素性を明らかにするよう命じてこられました。

 

 私としては隠すような要素は(この件に関してのみ)何ひとつ持ち合わせていませんでしたので、余すところなく素直に正直に白状したのですが。

 

「あ! アイツが抱えてるのってピーターじゃないのか!?」

「なに!? ・・・本当だ! ピーターだ! 貴様ら! ピーターに何をした!!」

 

 うん、まぁ、やっぱりこうなりますよね。予想通りです。

 

「落ち着いて下さい。別に私たちが彼を傷つけたわけじゃありません。助けて運んできてあげただけです。私たちは――」

 

 

『うるさい! 黙れ! ピーターを返せ! さもないとブッ殺してやるぞ!?』

 

 

 ・・・うわーい、テンプレなお約束てんかーい。ぜんぜん嬉しくな~い。

 ――とは言え、こうなってしまったら止むを得ませんか。礼の手でいきましょう。

 

 私はアリシアさんとアイコンタクトして意思を伝え合い、トモエさんが。

 

「ま、待つで御座るよ! 拙者たちはただ――」

『うるさい! ザイアンの手下め! ピーターを離せぇぇっ!』

 

 と、村の皆様方とファーストコンタクトを取っているのをボンヤリ見物しながら、押し寄せてきた大人数のお客様方の前で大きく息を吸って吐いて深呼吸。

 

 

 

『渡しはしない! 大事な古里と仲間たちを、お前たちなんかに渡してなるものかぁぁぁっ!!!!』

 

 

 ズダァァァァァァァァァァァッッン!!!!!!!!

 

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(シ――――――――――――・・・・・・ン)』

 

 

 空へと向かって私が撃った、一発の実弾が場に沈黙をもたらし、一時的なエアポケット空間を形成させました。

 火薬の最たる効果は身を焼く炎でも、切り裂く破片でもなく音と光。衝撃と畏怖。

 即ち恐慌です。

 銃の本質は恐怖と、ノブさんも言ってらっしゃいましたからね~。

 

 初めて見る鉄砲の発煙砲火と発砲音。

 それは恐怖を与えて、暴発するまでの間に一時的な意識の空白時間を作り出し、その場にいる全ての者の時間の流れを心身共に空白化させる効果をもたらしてくれるものでもあるのです。

 

 空砲じゃなくて実弾ですけど、空に向けて撃ったから問題なしです。

 『当たらなければどうと言うことはない』と、赤い英雄さんが保証してくれています。だから大丈夫です、問題はありません。フラグじゃなしに!

 

 

「き――ッ」

 

 

 そして、誰か一人が危うい緊張の上に保たれた意識の空白の糸を断ち切る寸前。

 止まった時間を利用して、もう一つの『衝撃と畏怖作戦』を発動させる。それが私の考えた、この状況になった時の対応策なのです。

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!」

 

 

 ズドガァァァァァァァァァッン!!!!!!!

 

 ミシミシミシ!!!

 

 ・・・・・ドドォォォォォォォォォォン・・・・・・・・・

 

 

 

 裂帛の気合いと共に放たれる強大無比な打撃音。

 それに続くようにして、巨大なナニカがへし折られ、地面に倒れゆく轟音が轟き渡る。

 

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

 騒ぎかけていた村人たちの誰もが静まりかえり、声を出そうと開けかけていた口を開けっぱなしにするか、もしくは「あうあう」と意味を成さない単語を連発するマシーンと化すか、あるいは普通に気を失って静かになるか。・・・まぁ、最後に人が一番多かったらリムル・テンペストさんになりかねませんでしたので、そうならなかったのは不幸中の幸いです。

 

 

「申し訳ございません、村の皆様方。手元が狂ってしまいましたの。わざとではないですので、どうかお許し頂けませんでしょうか?」

『・・・・・・』

 

 ウルウル瞳で「お願いポーズ」をするアリシアさん。

 私の火縄銃に注目が集まった隙を利用して、近くにあった適当な大木まで密かに移動し、タイミングを見計らって拳一本でへし折ってしまわれた美少女からのお願いであれば、まぁ話ぐらいは聞く気になってくれるでしょう、たぶん。

 

 

「さて、皆さんも落ち着かれたようですので、私たちの話を聞いては頂けませんでしょうか? そして、できれば皆様方からも教えて頂きたいことが幾つかあるのです。

 代価は払いますし、なにか困っていることがあるなら協力できることもあるかもしれませんし話して頂けませんでしょうかね? 無論、イヤだと言われるのでしたら無理強いする気はありませんが・・・・・・」

 

「ええ、わたくしもセレニア様のご意見に賛成致します。

 力尽くで無理矢理聞き出そうとするのは良くありませんものね、力尽くで聞き出そうとするのは」

 

 

 そう言って、顔の高さにまで右手の平を広げて持ち上げていき、言い終わると同時に「グッ!」と拳を握りしめて、村人たちに優しい笑顔で微笑まれるアリシアさん。

 

『イヤなら、こうだ』と言うわけですね、判ります。

 

 アリシアさんは相も変わらず、優しくて怖い悪女らしい悪女な美少女王女様なようで安心です。

 

 こうして私たちは前線地域最初の事件にして、ファンタジー異世界に転生した勇者らしい内容の事件に遭遇することが決定されたのでした。

 

 

 

「・・・・・・なんか、どんどん勇者の概念から遠ざかって行ってる気がするのわ私だけですか? セレニアさん・・・」

「いいじゃないですか。人死には出ていませんし、戦闘は発生していません。結果だけ見れば世界を救う勇者らしい成果を出せてるはずですよたぶん」

 

 ものは言い様、口は重宝。親を売るにも国を売るにも理由や理屈はつけられるもの。

 耳障りの良い詭弁で殺戮行為を正当化しようとする勇者さま方よりも、よっぽど正々堂々として良いじゃないですか、この方が。

 

「それに最近では、世界を救うために世界全土を壊すような戦いを勃発させる殺戮のイフォーシュアな勇者様とかもいるような世の中ですから、これぐらいはギャグで済む範疇かなーっと思っている私です」

「・・・・・・本っ当にものは言い様ですよね、セレニアさんの言い分って・・・・・・」

 

 

つづく

 

 

 

セレニアのパーティー紹介:

根っから悪女な元王女:ヨヨ・ミレイユ・アリシア・イスパーナ。

職業:魔拳士(特殊条件必須のユニークジョブの中でも職業名が変わらないタイプ)

 セレニアに惚れて旅に同行するため手段を選ばなかった元王族のお姫様。

 自らの拳で殴り殺した敵の血と憎しみを吸収して、己の力とする呪われた武闘家少女でもある。――が、本人は便利な職業としか思っていない。

 

 性格など様々な面で元通りだが、前より更に性格が悪い部分が増えてきており、最近セレニアと話が合う機会が増えてきている。本人は喜び、セレニアを自己嫌悪で胃痛中。

 パーティー中、最もコスチュームが変化したキャラで、今までの美しいが禍々しさも感じさせる服装ではなく、装飾過剰ながらも露出度を押さえた清楚さを感じさせるドレスに変更されている。

 一見すると動きにくそうな服装だが、「ふんわり」と大きく広がって動きを阻害しない、ゆとりのある造りになっているため意外にも動きは遅くなっていない。

 

 スカートに履き替えたので、蹴り技の名前が『パンチラ蹴り』に変更されたが、見えそうで見えない絶妙な体捌きと、遮蔽物を利用して見えると思ったら見えなかった演出、見えると思った次の瞬間に蹴り飛ばされてきた味方にぶつかって見えなかったり等、男心を弄ぶ戦い方に磨きがかかった。

 

 清楚に見えるような服装を着たら、余計に悪女らしさが増した悪女の王女様。

 彼女の辞書に『後悔』の二文字は「男心をくすぐる涙」としか書かれていない気がする・・・。


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