異世界に勇者としてTS転生させられたから常識通りに解決していくと、混沌化していくのは何故なのでしょうか?   作:ひきがやもとまち

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チートファンタジーに憧れて方針転換してみたはいいものの後が続かなくなり、結局は当初考えていたアイデアの一つ、8話目のファンタジー日常系バージョンを投稿する羽目になるという己のダメ作者っぷりに涙です・・・(ToT)/~~~

やっぱり私にはコッチ系しか向いてないのかな~・・・と、意気消沈しながらもスムーズに書けてしまう悲しさよ。


ファンタジー日常系風に書き直した『第8章』

「ん・・・しょっと。ーーふぅ~、結構疲れる作業ですねー」

 

 額に浮かんだ汗を拭いながら、私は一息つきました。

 そこそこ大きめの石を指定された場所まで持って移動して置いて、また戻って持って置きに来る機械的作業。前世で夏休みにやったアルバイトを思い出します。

 

 ・・・あの時はベルトに乗って流れてくるソフトクリームに、ひたすらフタつけて密閉する作業だけでしたからねー・・・。意外と精神的に来るモノがあるバイト内容でした。

 まぁ、高時給に惹かれてドンキに行った同級生は店卸しやらされて、始業式の日に休んでましたからアレよりゃマシだったんでしょうけれども。

 

 ま。つまるところは、要するにーーー

 

 

「お金のためにする仕事というのは、得てして夢がないし求めるものでもない・・・と言うことですかねぇー」

「そういう現実話を異世界でする展開は、もういいんですよぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 おや、女神さまが来ちゃいましtーー来られたようですね。

 

「どうされたんですか女神さま。クエスト中ですよ?」

「コレのどこがクエストなんですか!? 穴掘ったり石押したり持ち上げたりと、完っ全に土木作業と一緒じゃないですか!

 こんなの私が求めていた遺跡発掘クエストなんかじゃ全然なーいーっ‼」

「・・・ご自分でもってきた依頼書の内容を、私に批判されましてもねぇ・・・」

 

 ポリポリと、私は自分の頬をかきながら誤魔化すように周囲を見渡します。

 何十人もの冒険者さんたちが、岩を退けたり瓦礫を撤去したりと、遺跡の上にのっかっている発掘調査をするのに邪魔なものを退かして遺構確認面を路程させる作業・・・所謂『荒掘り』をしている最中です。

 

 現代だとブルドーザーやパワーシャベルなどの大型作業機械を用いておこなう作業ですので、レベルやステータスが存在していて一般人と冒険者の間に力の差がある異世界だと私たちの仕事に該当するというわけ。普通の人より力の強い冒険者は、人間ブルドーザ~。

 

 

「いや、そういう現実論はいいですから! もっと遺跡発掘クエストらしい夢とロマンと一攫千金を! 一夜にして平民が国家的大英雄になれるような強敵との出会いと討伐のイベントをーっ‼」

「・・・そんな国を揺るがす大陰謀が国内で進められていたにも関わらず、気づいてなかったとしたら治安当局が大慌てで隠蔽工作計りそうな気がしますけどね・・・」

 

 いつの時代、どこの世でも責任をとりたくない人たちが憧れて目指すのが『権力者』という名の責任者。責任をとるのが一番のお仕事なのに、誰よりも責任を取りたくない人が一番目指したがるとは、これ如何に。

 

「プリーズ! 古びた遺跡らしいモンスターPOP!! ゾンビにスケルトン、リッチにデュラハン! デス・ナイトぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!」

「・・・人前で奇声上げるのやめてくださいよ、恥ずかしい・・・。他の人たちから変な生き物でも見る目でみられてるじゃないですか・・・」

 

 まぁ、慣れたからいいっちゃいいんですけども・・・。

 

「OoooooVeeeeeeeRLORoooooooooooD!!!!!」

「フォーサイドになって全滅したい願望でもあるんですか、あなたは・・・」

 

 あるいはウェブ版で大変なことになっていたアルシェさんとかね・・・。今の服装が後半のそれっぽいと言えないこともないですから、もしかしたら・・・シャルティアさまが嫌がるでしょうからたぶん無理か。

 

「ほら、女神さま。呼ばれてますから早く入ってきてくださいよ。即主戦力の大型新人として期待されているのでしょう?」

「うっ、うっ、うっ・・・プリーストなのに力自慢の冒険者たちの中で最高の成果を出す大型新人とかイヤすぎます・・・私、美少女なのにぃ・・・美少女なのにぃぃぃぃぃ・・・・・・」

 

 泣きながらしゃくりあげつつも担当しているポイントに向かう女神さま。

 そうして現場にいた屈強なオジサンたちから満面の笑顔で期待とともにツルハシ(っぽい異世界の土木用具)を渡されて、めちゃくちゃ複雑そうな表情をされた後。

 

 

「・・・・・・もぉぉぉぉう、あったまキタ━(・∀・)━!!!!

 やぁぁぁぁぁぁってやればいいんでしょ!? コンチクショォォォォォォ!!!!」

 

 ーーと。モノスゴい勢いで作業が押し進められてゆく手腕に、拍手喝采な周囲の王国政府関係者たち。逆に冒険者のみなさまがたは不満顔。

 

 

「・・・ヤベェな・・・これだと予定よりかなり早く作業が終わっちまってクエスト完了しちまうじゃねぇか・・・せっかく楽して安全に小銭を稼げるいいクエストだったってのに・・・」

「まったくだぜ。俺たちは日雇い労働者やりたくて冒険者になったんじゃねぇ。英雄になりたいって夢を抱いて農家を飛び出し、はるばる王都まで上洛してきたんだ。

 ・・・だってのに、いざ着いてみりゃ現実は非常。その日暮らしで明日の仕事にあり就けるかどうかすら保証がねぇ、夢も希望もありゃしない仕事だったときたもんだ。

 純粋無垢な子供だった頃の俺様に英雄サーガを語って聞かせた吟遊詩人どもは、みんな詐欺師だったって言うことかねぇ~」」

「あーあー。どっかに、見つかってから大分経ってて中身調べ尽くされてる洞窟なのに調べてみたら未発掘の横穴があって、世界の命運を決めるマジックアイテムが眠ってましたとかの、おいしい儲け話落ちてたりしないもんかね~」

 

 

 ・・・・・・どこの世界にも『このすば』主人公カズマさんみたいな人はいるものなのですね・・・いや、嫌いな作品ではないのですが。

 

 そうこうしている内に笛が鳴らされます。担当者の方が休憩時間を知らせてくれる合図の音色です。

 

『よーし、午前の作業はここまでにして休憩に移れーっ! 使っていた道具類は係りの者にいったん預けてから休憩にはいるように』

 

 そう叫んでから、さも“忘れていたことを今思い出した”風をよそおって付け足されます。

 

『ああ、そうだった。今さら言うまでもないとは思うが、今回のクエスト報酬は一日事、半日ごとに分けて配られる仕組みになっている。

 道具類を集める係りの者が給金の手渡し役も兼ねており、道具の返却と午前分の支払いは同時に行われるから、そのつもりでいるように。以上! 休憩開始!』

 

 そう言って締めくくり、責任者の方が退がっていった頃には半数ぐらいの冒険者の皆様方が再活性化されて係りの人の元へ我先にと走っていきます。

 

 近くにいた普通に休憩しているベテラン風の冒険者さんたちが、

 

「あいつらの内、何人が午後まで残ってると思う?」

「一人だ。装備を見れば誰でもわかる。どこの世界に遺跡発掘などの悪路を進むこと前提のクエストに、戦闘用のブーツを履いてくるバカがいる。

 受注したクエストの内容にあわせて自前で最適な装備を揃えてくるのは当然のことだ。その基本すら出来とらん苦労知らずの阿呆どもに何が期待できるというのだ?」

「ま、確かにな。あの調子じゃぁ、とっぽい人生に憧れて都会に出てきたはいいものの・・・な典型で終わりそうだし。午前分の給料もらったら逃げ出して酒かっくらって帰ってこようとは思いもしねぇか。・・・バカだねぇー。そこで踏ん張れないからランク審査でダメ出し食らって、実入りのいい仕事を回してもらえないって言うのにさぁ」

「ふん。地味な苦労を嫌がらずに続けることで上がる評価方式など連中は知らんだろうし、知っていても考慮はせん。屁理屈を並べて今まで通りのやり方を続けるだけだろうさ。

 仕事から逃げ出した負け犬どものご都合主義など、所詮その程度にすぎんよ」

 

 

 ・・・耳に痛い内容の会話があちらこちらから聞こえてきて、現代日本人としては辛すぎるのですが・・・。

 ようするに今回のクエストは“そういう人たち用”のもの。

 

 田舎から「家の仕事を継ぐのはイヤだから」と逃げ出して上京してきたはいいものの、根気がない癖に夢ばかり見ているロクデナシさが原因で長期の仕事にあり就けない、もしくは最初から『冒険者になりさえすれば全て上手くいくに違いない!』と根拠もなく信じ込んで登録してしまった方たちへの施しとして、小銭を恵んで上げるのが一番の目的。

 日がな一日働きもしないで飲んだくれられたり、喧嘩ばかりされていたのでは迷惑ですからね。と言って州都である以上は追い払っても追い払っても必ず来る類の人たちでもありますし、適当な仕事をやらせる代わりにお金を恵んで上げて治安維持しているというわけです。

 

 考えてみなくても「俺は農家なんかで終わる男じゃない! 英雄の器があるんだ!」とか叫んでるプー太郎な若者見かけたら誰だって頭の中身と正気を疑うでしょうからねー。

 『海賊王に俺はなる!』と言って、ハイスピードだけど着実に実績を積み重ねていったルフィさんとは違うのですよ、ルフィさんとは。

 

 

「・・・ところで、さっき言ってた“帰ってきそうな一人”って誰だよ? 今年の新入りで見込みのありそうなのは、あそこでボンヤリしながら休憩してる銀髪の重装備娘以外にいたっけか?」

 

 ・・・・・・はぅ・・・(////)

 遺跡発掘と聞いて『吉村作治教授の古代エジプト発掘ミステリー』を思いだし、思い出に浸っていたことが今更になって墓穴フラグに・・・。

 

「・・・いの一番に係りの奴まで走ってった女だ。ここからは見えたが、おまえのいた角度からだと見えなかったかもしれんがな。

 あれはスゴいぞ? 絶対に午後も帰ってきて終わるまで作業するだろう。断言する」

「? なんでだ? そんなにランク上げるための評価基準気にして準備万端整えまくってきてたのか?」

「逆だ。ーーーパンツ一丁みたいな格好してサンダル履いたまま、俺たちの何十倍も活躍していやがった。あれは俺たちよりも王国政府の連中が手放したがらん。絶対に他の奴らよりも日当上げまくって確保しようとするだろう。断言できる。それぐらいに凄まじかったから・・・・・・」

 

 

 ーーごめんなさい、ごめんなさい。うちの連れが美少女なのに人外すぎてて、ホントーにごめんなさい・・・・・・。

 

 

 ・・・・・・斯くして私たちは、異世界生活最初の大きなイベントを達成したのでありました。

 今回得た報酬はお金の他にも称号があります。

 

 女神さまーーー『エロい格好の破壊神』

 

 私ーーー『辺境の聖女』・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

メガ「なんでだよ!?(激怒)」

セレ「知りませんよ!!(涙)」

 

 

答:前回までやってたバイトクエスト《食堂でお客様に注文された冷水を魔法で注げ》で上がったスキルを遺憾なく発揮しまくった休憩時間を過ごしたせいです。




注:ついにPomeraがご臨終に近くなってきましたのでDM200を近々購入したいと思ってます。その間、今使ってる方の不調から書ける時間が制限されますので更新が遅れる場合がございます。ご承知おきくださいませ。

・・・バックライトがほとんど点かなくて、夜とかキツイのでね・・・。

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