異世界に勇者としてTS転生させられたから常識通りに解決していくと、混沌化していくのは何故なのでしょうか?   作:ひきがやもとまち

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前回の続きです。電池残量の問題で最終確認が出来ておりません。
誤字脱字は結構あると思われますが、ご勘弁の程を。
最後ら辺は割と本気で汲々としておりました・・・。


第17章

 私の活躍というか、暴走によって活路が開かれたお姫様護衛部隊は何処にあるとも知れない建造物の中を、ひたすら上へ上と昇っておりました。

 状況情報数配置。全てにおいて敵よりも劣っていると思われる私たちの陣営ですが、気持ちだけは負けておりません。やる気というか、殺る気満々マンさんたちで満ちあふれてます。

 

「へっへっへ。大人しく眠ってりゃ痛い目を見ずに済んだものを。わざわざ苦しむ抜いて死にに来たがるとは気が知れねぇぜ。

 まぁ、いい。こっちもビジネスだ。俺としては殺した奴が多ければ多いほど金になーー」

『ずおうりゃぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』

「ぐへはぁっ!?」

『多人数相手に一人で来んな素人野郎! こちとら数で押すことの専門家だ!

 卑怯汚いは負け犬の遠吠えと知っときやがれ!!』

 

 機先を制して気宇が大きくなってるらしい冒険者の皆様方は、相も変わらず卑怯卑劣な手段で勝つことのみを優先してます。

 部隊中央でお姫様を円陣組んで守ってる正規軍兵士のみなさんは、ドン引きしてます。あれ見て平然としてられても困りますが、今の私はどちらであろうとやっぱり困る。

 

 ーーと言うのも・・・

 

 

「・・・八つ当たりで大量虐殺してしまうなんて・・・・・・」

 

「「それを今更気にされてもなぁ~(で御座る)」」

 

 冷淡に冷静にツッコミ入れてくる女神様とトモエさん。

 くそぅ・・・深夜テンションで盛り上がった翌日の朝に昨晩でのことを思い出して『やっちゃった感』に苛まれ、床を転がり回っていた前世の日々を思い出させられる情景です。

 認めたくないのに認めなくちゃいけない黒歴史という若さ故の過ちは、地味に痛すぎる・・・。

 

 皆が盛り上がりを見せる中、ついカッとなってもいないのに殺りまくってしまった私一人だけは絶賛自己嫌悪中。戦いはなにも生み出さず、黒歴史だけを積み重ねていくものなんですね・・・。

 

 

「まぁまぁ、そんなに落ち込まないでくださいよセレニアちゃん?

 私の膝枕で眠りについた時の寝顔はもっと可愛かったんですから、いっそあちらをデォルトにしてみては?」

「うむ。寝る子は可愛く育つで御座る」

 

 ーーーあああああぁぁぁぁぁぁっもう!!

 

「分かりましたよ! やりますよ‼ 殺ればいいんでちょ!?」

「「・・・・・・(に~っこり)」」

 

 ちぃぃぃぃくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突入まで三秒前。3、2、1・・・よし、開門!」

 

 バンッ!

 

「はい、宮廷魔術師団の先陣さん。《ファイヤーボール》一発発射ー」

 

「魔力よ、火球となりて敵を撃て。《ファイヤーボール》」

 

 シュバァァァァァッ!!!

 

 チュッドーーーッン!!!

 

『ぐぁあああああああっ!?』

 

 ・・・・・・5、6、7、8、9、10。

 

「はい、第二陣の人。第二射を発射ー」

 

「魔力よ、火球となりて敵を撃て。《ファイヤーボール》」

 

 シュバァァァァァッ!!!

 

 チュッドーーーッン!!!

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

 ・・・うん。やっぱり死んだフリしてた人がいましたか。あるいは、防火マントでも装備してたんですかね?

 どちらにせよ死んでくれたなら問題ないのですが、念のためにもう一発と。

 

「第三陣の人。威力を抑えて魔力消費は最小限にして、最後の確認のためにもう1発ー」

 

「魔力よ、火球となりて、細やかなる敵を撃て。《ファイヤーボール(小)》」

 

 シュバァァァァァーー。

 

 チュドーーーン。

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しーん。

 

 

「室内の安全は確保できたみたいですね。

 念には念をで、防御力高い重装備の方が先に入室してってください。倒れてる人たちは生死は気にしないでいいので片っ端から頭に剣なり槍なり突き刺して止めをお願いします。

 防御力も体力も低い私たち支援組は、死に損ないの放った破れかぶれの一撃でも死ねますのでね。回復要員は全員残してありますので、気にせずどうぞ」

『応! 殺・戮!!』

 

 嬉々として突入していく冒険者の皆さんを見送ってから、私は紙に書いた地図の一つに×印を付け足します。

 

 ふむ。これでフロアの大部分を制圧完了しましたね。

 ・・・今思ったんですけど、今の私がやってる行為ってネルフ本部を奇襲した戦略自衛隊じゃね? 室内に向けて火炎放射器放って「きゃーっ!」と何度も何度も断末魔をあげさせてた奴。

 人類の敵と戦うロボットアニメで一番残忍だったのが日本の自衛隊だったとは、これ如何に。

 

「・・・うん、良し。建物の構造はだいたい把握しましたので、2階層からは多少なりとも楽が出来るかと。最低でも大規模な罠が配置されてる部屋かどうかは判別が可能になったと思いますので」

「セレニアさん? ダンジョンの地図を手書きしていくマッピング作業の使い方を間違えていますよ?」

 

 女神様の苦言に私は肩をすくめながら、

 

「あいにくと私はマッパーではなく、指揮官なので。地図を見ながら戦略練るのがお仕事なクラス補正のお陰でだいぶ楽に配置やら何やらがわかって、意外と重宝してますよ」

 

 代わりとして後方(宮廷魔術師団のみなさん)から睨まれるようになるのは、避け難い前線指揮官の背負うべき宿業として理解し、受け止めておりますよ。

 

 

「では、ダンジョンを攻略するため、いざ出発しんこー。

 無事に脱出して、ギルドに帰還して報酬を受け取るまでがクエストですので最後まで気を抜くことなく頑張りまっしょい」

『おおおおぉぉぉぉぉっ!!!!!』

『・・・・・・・・・・・・おー』

 

 やたらテンションの差が明確な冒険者(前線)と宮廷魔術師団(後方)の皆様方。

 

 戦争を支える後方と前線の関係性なんて所詮、こんなモノです。

 

「いい加減に慣れてきたので構わぬので御座るが、つくづくセレニア殿は敵と悪が一致しない状況をつくる天才で御座るなー」

「天災とも言いますけどね。あるいは、人災と書いて戦争です」

 

 ーーうっさいですよ! ほっとけ外野!

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでダンジョンの構造を(一層目の時点で)あらかた把握できた私たちは効率よくダンジョン内のイベントを消化していきました。

 どうやら上へと続く階段は各階に一カ所だけで、それはボスが待ちかまえている中ボス部屋を抜けた先に配置されてるのが基本のようでした。

 

 ザコ敵とのエンカウントを警戒していたのですが、よく考えてみると最初に出会った敵さんが犯罪者グループであった時点でザコモンスターは出ませんよね、このダンジョンには。

 

 だって食べられちゃいますもん。彼ら自身が。RPGだと、飼い慣らした設定の敵魔獣系のモンスターには事欠きませんが、ブリーダーでもない上に学がないから犯罪者になるしかない人たちに扱えるもんでもないでしょうし。

 「魔物使い」とかなら分かりますが、彼がいない場所で犯罪者たちが魔獣に襲われないためには室内にトラップとして配置しといた方が安全と言うものです。

 

 え? 盗賊とのエンカウント? ・・・なんで?

 だってこっちは大人数ですよ? 廊下の幅的に敵がこちら以上の数で向かってくるの不可能なんですよ? 軍隊じゃないんですから「いくら犠牲を出そうと構わん!」なんて言ったらボスが先に部下たちの手で殺されてしまいますよ。

 

 

 なので中ボス部屋で一緒に待ちかまえているかな~と、勝手に思い込んでいたのですが。

 

 

「ほう。牢を突破したのか。どうやら我らが利用している人間どもの大臣よりかはデキるらしいな。

 どれ、この塔を魔王様から預けられた魔王軍幹部さまの御為にも、貴様等を我自らの手で抹殺してくれんーー」

 

 ターーーーーーーーッン!!!

 

 

 ・・・・・・・・・・・・ガシャーーーッン。カラン、カラン・・・・・・。

 

 

「ーー第二階層のボス撃破」

 

 さまよう鎧か、もしくはピサロナイトっぽい鎧騎士さんの中ボスモンスターがDQ5のジャミと似たようなことも言ってたので一先ず撃ってみました。

 青銅の鎧を着てさまよっていたのか、それとも鉄の鎧だったのかは判然としませんが、少なくともオルテ党武装親衛兵団に所属していた重装兵よりかはモロい甲冑を装備していたようですね。

 さすがは中世ヨーロッパです。製鉄技術で日本のそれとは程遠い。

 

 数百年以上続いた騎士の支配も武士の支配も終演させた、次なる時代へ続く扉を鉛弾でぶち壊してしまった鉄砲の前では騎士の鎧など紙屑も同然です。

 

 ・・・と言うか、なんだって人間見下してるくせに長々と前口上述べたがる? 実は構ってちゃんだったりするんでしょうかね魔物の皆さんは。

 

 

 

「さ、それはともかく次へ行きましょうか皆さん」

「あ、ああ。ところでだがな、冒険者の娘よ。我々は国の政を担う一員に名を連ねる者として、その筒に非常に興味がーー」

「政を担う一員であるならば、まずはご自分の部下を警戒されてはいかがです? 王女様を危険にさらしてしまった責任は大きいですよ? 現場責任者の宮廷魔術師団長様?」

「・・・・・・!!!」

「そう言えば、私は余所者なので詳しくは存じませんが、この国の王宮では人事とかどうなってるんでしょうかね? 仮に今回の件で魔術師団長様が失脚した場合、誰が後任に選ばれるのでしょう?

 次席殿ですか? それとも副団長様ですか? あるいは実力と実績で実質的ナンバー1に目されてる方とか他にいらっしゃったりするのですか?」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

 よし、黙り込んだまま互いに互いを不審に満ちた瞳で見渡し、警戒し始めました。これでダンジョン脱出に紛れ込む形で脱走しても何とかなりそうです。国境を越えたばかりの町で良かったですね。

 

「鬼だ。鬼が再び限界しているで御座る」

「いや、鬼は鬼でも「人」と言う名前の鬼ですよ。邪鬼が来たとも言いますけどね」

 

 クェスかよ。αジールは好きです。

 でも、ヤクト・ドーガはギュネイ機の方がもっと好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 第二階層。中ボスの間「嵐の大蛇」

 

「おーっほっほっほ。ようこそ妾の待つ部屋へ。愚かな人間どもよ、歓迎しよう。

 まずはこの、飛んでくる弓矢さえ弾き飛ばす風の結界『テール・ウィンド・ハリケーン』を見るがよい!」

 

 ヒュオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!

 

「ほーーっほっほっほっほ!

 これで妾の急所である頭部にまで矢は届かなくなった。

 貴様等の矮躯でもって妾の巨体を前に如何がする!?」

「こうします」

 

 ターーーーーーーッン!!!

 

 ・・・・・・ドベシャっ。

 

 風を捉えて乗せて飛ばす弓矢と違って、鉄砲の弾は風を引き裂きながらだろうと真っ直ぐしか飛べないんですよね。

 いえ、正確には重力とか射角とか色々あるのですが、今回に関しては敵がデカかったので的当てみたいなもんでした。楽でいいです。

 

「次行きましょう」

『・・・・・・・・・』

 

 さっきと違って冒険者さんたちからも返事がこなかったのが、地味に痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 第三階層。最後の中ボスの間「最凶戦士」

 

「・・・あ! どなたか知りませんが、助けに来てくれたーー」

 

 ターーーーーーッン!!!!

 

 ・・・・・・ぱたり。

 

 

「ーーちょっ!? セレニアさん!? 今のは完全に民間人の女の子が人質に取られていただけでしたよね!?」

「鎖で繋がれてるとは言っても、ダンジョンの最上階近くに民間人の女の子が服を着たまま拉致されてるなんて事はあり得ません。私たちが地下から這い出るとき地下牢を見つけたのを忘れましたか?」

「あ、そっか。じゃあコイツは敵ですね。殺します。えい」

 

 ズゴンッ!!!

 

 グシャッ!!!

 

「・・・女神様。もう少し女神らしい戦い方にシフト変更いたしません?

 見た目だけでも人間風な倒れてる女の子モンスターを頭部に踵落としてドミノピザって酷すぎませんか?」

「その台詞をあなたが言いますか・・・セレニア卿・・・。それから“どみのぴざ”って何ですか、魔法用語ですか古代言語ですか興味あります教えてください」

「ネレイド殿は隠れ魔法バカだったので御座るな・・・見た目美人なのに殿方が守って差し上げようとなされないのは、そう言うご事情か?」

「自分は、一介の宮廷魔術師に過ぎません。そのようなご質問にお答えするのは分を越えます」

『ハイホー♪ ハイホー♪ 敵ボースの首~♪』

 

 ・・・なんだろう、この頭がおかしい集団は。これから最上階のボス部屋に行こうとしてるって言うのに緊迫感ないなぁー。

 

 ま、いいや。とりあえずは入ろう。

 

 

 ギィィィィィィィッ・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 チャ~♪ ラーラーラーラーラーラー、ラ、ラーラーラー♪ チャラーラーラー♪

 チャラララララーラー♪ トゥットゥットゥットゥ♪

 

「・・・おや? 階下がなにやら騒がしいと感じておりましたが、御逃げになったのですか王女様。いけませんねぇ、そのような不作法な真似を王族である貴女がやらねるのは実に感心できません」

「な!? クロード侯爵!? なぜ貴公がこのような場所にいる!

 ま、まさか貴公・・・!!!」

「ふっふっふ。お察しがよくて助かります。ええ、ご想像の通り私は魔王と契約して吸血鬼となりました。そしてそちらの王女様こそ、私の后として国を治めるに足る器と見初めたのです。だからこそ浚いました。魔王軍の下っ端と、宮廷貴族のバカ息子どもと、大臣の末席と犯罪者グループによる反政府勢力を結集してまでね」

 

  タキシード着てグランドピアノ弾いてた黒髪の兄ちゃんがゆっくりと振り向きながら、いやアンタやりすぎだよってツッコまずにはいられな台詞を笑いながら述べられました。

 

 ・・・つか、ダンジョン歩いてる最中ずっと聞こえてた変な音って、城主自ら演奏して聞かせてくれてたんですね。

 

「はじめまして、城主殿。冒険者の一人でセレニアと申します。この度は長い時間ずっと我々の心を休めるために音楽を演奏していただいてたようで有り難うございました」

「うっ! い、いえいえ滅相もございませんとも。なにしろ私は限りある命の人間をやめ、吸血鬼になることで不老不死を手に入れた身なのです。

 たかだか6時間ピアノ演奏しているぐらいどうって事は・・・・・・って、なに言わせようとしているのですか貴女は!」

 

 貴族っぽい見た目の男性(たぶん、元は王国貴族さん)で吸血鬼にジョブチェンジしたらしい男の方は途中から、口角泡を飛ばして猛抗議しはじめられたのですが、私としてはそれどころではありません。

 

 まさか・・・そんな事になっていただなんて・・・・・・。

 

 

「6時間も・・・・・・それは何というかその・・・・・・ごめんなさい・・・」

「いや、謝らないで! わりかし本気で謝らないで頂けません!?

 これだと私が自分の娘さえ生け贄にして吸血鬼になった理由が、ただ6時間ぶっ続けでエンドレス演奏したかっただけになっちゃいそうだからマジでやめてお願いだから!」

 

 必死に慌てられる吸血貴族さん。しかし、しかしですよ? アイドルコンサートの裏事情とか、アーティストが如何に苦労しながら演奏し続けているか等の特番を視聴してきた身としては、些か以上に気にせざるを得ない問題なのですよ。

 

 24時間ライブでさえ6時間もの間ずっとエンドレス演奏なんかさせたりしません。つか、現代だったら録音して流してます。現代文明の恩恵を受けて育った自分の身の上が酷く卑しい者のように感じられて、私は・・・私は・・・!

 

「本当に・・・私なんかが生き残っちゃっててご免なさい・・・・・・」

「なんで吸血鬼になった私に言うのですか、その台詞を!? これから言うつもりだった諸々が全部台無しにされてしまったのですが!?

 え、もしかしなくても嫌がらせですかこれ?」

「あー、すまぬで御座る。吸血鬼殿。コレは余所に退かしておくで御座るので、貴殿等は適当にやっておいてほしいので御座るよ」

「ほら、セレニアさん。お呼びじゃない? 失礼しましたーを、しましょうねー?」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

 

 前回のことが未だに尾を引いてるせいで情緒不安定になってしましました。

 テンション戻るまで脇役になってまーす♪

 

 ・・・ふぅ、一番メドいボス戦は他人に押しつけられて良かったですね。武器の性能と相性だけで勝ってきたザコが、ボス戦にまで参加するとかマジ勘弁ですよ。ーーん?

 

「・・・・・・(にっこり)」

 

 な、なんでしょう・・・? さっきからずっと黙りこくってたお姫様が(いえ、今も黙っていることに変わりはありませんけども)私のことを見つめたまま柔らかく高貴な笑みを浮かべられたのですが・・・ものすっごい寒気に襲われたのですが?

 つか、この人って外見が他の同国人と違いすぎてません? 和風美人風なんですが・・・?

 

 定番で考えるなら、異種族の血が混じった王族故に差別の対象にされていて、その境遇に自分の生い立ちを重ね合わせたブサイク貴族が家族を生け贄に差し出すことで彼女との幸せな結婚生活を望んだ・・・そういう展開を期待したいところなのですが。

 

 

 ーーどうにも私はこの人に対して「あ、この人とは合わない」と感じさせられてる気がするんですね。

 なんと言いますか・・・決して分かり合えない運命の星の下に生まれた二人とでも言いましょうか。とにかくそんな印象の人です。

 

 

 

 

「さぁ、アイリス姫よ! 貴女に下賤の血が混じっているという根も葉もない噂話を根拠として、貴女に嫌がらせを繰り返してきた貴族のゴミ共はおまけと一緒に一人残らず処分いたしましたぞ! これで何ら後顧の憂いはありません!

 旅立ちましょう! 純白のバージンロードの向こうにある、ボクと貴女の愛の旅路、へ!」

「・・・好きですわ。愛しておりますの。一目惚れです。わたくしの身体にはサキュバス王家の血が色濃く流れておりますので、性欲を抱くと抑えられませんの。

 大変失礼だとは存じますが、結婚を前提に今すぐこの場でレズビアンセックスいたしましょう」

「NOォォォォォォォォォォォォォォォォっ!!!!

 ガッデム・ファッキンゴッドビーーーーーッチ!!!

 僕の夢は今死んだ! 幼い頃に夢見た姫君とともにな!

 こうなったら皆まとめて、あの世へ道連れにしてやるーーーーーーーっ!!!!!」

 

 

 

 ターーーーーーーーーーッン!!!!!!

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・ぱたん。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・サラサラサラサラ~~~~~~。

 

 

 

「銀の弾丸です。吸血鬼の身には効くでしょう?」

「・・・どっから手に入れたんですか? それ・・・・・・」

「ダンジョン内の宝箱からですが、それが何か?」

「ああ、なぜか自分を倒せる唯一の武器を地下室の宝箱に入れておく系のボスだったんですね、この人。・・・なんで?」

「おそらくで御座るが、見つけてほしかったのでは御座らぬか? 「そんな物を持っていても無意味だ! 君たちでは使いこなすことなど出来ないのだからな!」とか言ってみたくて」

「ショッボ・・・。小物臭ぇー・・・・・・」

「まぁ、彼は元々家柄だけしか取り柄がないと評判のバカ貴族でしたから仕方がありませんわよ。

 父親も祖父も曾祖父も、先祖代々ずーーーっとそんな家系でしたからこそ、これだけに人員が集まってきたのかもしれません。傀儡にする気満々で」

「「「「世知辛い世の中だな~」」」」

 

 

 

 

 

 

 ・・・お~い? 現実逃避したいのは分かりますけど、そろそろ助けてもらえませんでしょうかね? 割と必死にパンツを死守してるせいで声出す余裕もないんですけども?

 

 つか、この姫様の力強い! なんで王女様が片手で冒険者を圧倒できるの!

 ちょ、本気で誰か助けて! このままだと脱がされ、るーー。

 

「一度感じてしまったら、セックスするまで止まりません。セックスし始めたら、し終わるまでは辞められません。英語で言いますと、セックスライフ・イズ・ワンダホー。

 さぁ、セレニア様! わたくしと共に憎むべき敵の城で強引に肌を重ね合わせられるという屈辱的なクエストを!!」

 

 私が殺した真犯人に、自分の罪を擦り付けてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!

 

 

変態サキュバス系王女様が物語にサブキャラとして加入しました。

 

つづく




今クエストでの感想

セレニア「今思うと、ダンジョン駆略しないでさっさと逃げ出せばよかったですよね。
     敵はダンジョン内から出て追ってきませんし」
女神「セレニアさん。それは言わない約束でしょう? 
   いい加減にしないと、ぶちますよ?(に~っこり)」

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