ペルソナによる襲撃から数日が過ぎたある日、教室に入ってきた秋十はクラスの賑わいに驚いていた。
「なんか凄く賑わってるね。」
《喧しいほどにな。》
「そういうことは言わないの…。」
「あら秋十さん。ごきげんよう。」
「ごきげんよう、オル…セシリア。凄く賑やかだけどどうかしたの?」
あれから秋十とセシリアは互いに名前で呼び合うようになった。理由はセシリアがこれからは仲間だと言うことからだそうだ。
「どうやら二組に転校生が来たそうですわ。」
「転校生?確かにIS学園の転入試験って。」
「ええ。ここの入学試験よりも難しいですわ。確か中国の代表候補生だったと思いますわ。」
「中国か…。」
秋十は少し懐かしむような顔をする。
「どうかしたのですか?」
「あ、いや。中国に引っ越した友達を思い出してさ。」
「もしや秋十さんの恋人ですの?」
「こ!なんでそうなるのさ!」
「ちょっとからかっただけですわ。」
セシリアはふふっと微笑み、秋十は肩を落とす。
「でもクラス代表戦は織斑君が居るから楽勝だよね!」
「優勝したら学食のデザート一年間フリーパス貰えるし!」
「専用機持ってるの一組と四組だけだし余裕だよ。」
女子がワイワイと話していると一組のドアが勢いよく開きツインテールをした少女が姿を表す。
「その情報古いよ。二組も専用機持ちがクラス代表になったからね。そう簡単には優勝できないんだから。」
少女を見た途端一夏は席を立ち声かける。
「あれ?もしかして鈴か?久しぶりだな!」
鈴と呼ばれた少女はあからさまに嫌そうな顔をする。
「ゲッ、なんであんたが居るのよ…。」
「おいおい、幼馴染みにいきなりゲッは無いだろ。」
「あんたを幼馴染みと思ったことは一度もないわよ。で、クラス代表は?確かイギリスの代表候補生が居たわよね?その人なの?」
「私のことですか?」
イギリスの代表候補生と呼ばれ、セシリアが鈴の前に立つ。
「あんたが代表候補生ね。あたしは中国代表候補生の凰 鈴音(ファン リンイン)よ。よろしくね。」
「イギリス代表候補生のセシリア・オルコットですわ。以後お見知りおきを。あと私はクラス代表ではありませんわよ?」
「え?じゃあ誰よ?」
「俺だよ。俺。」
一夏は自分に指を指すが鈴は驚く顔をする。
「はぁ!?あんたがクラス代表?馬鹿も休み休み言いなさいよ。」
「生憎だが本当のことさ。」
「あっそ。まぁいいわ。ボコボコにぶっ飛ばしてあげるから。で、確かもう一人男性操縦者が居たわよね?顔とか名前とか公開されてなかったからさ。このクラスにいるの?」
鈴はキョロキョロと教室を見渡し、秋十と目が合う。
「え、秋十…?」
「や、やぁ鈴。久しぶり…。」
「あ、秋十ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
鈴はダッシュで秋十の元に向かい抱きつく。
「えっ!ちょっちょっと鈴!///」
「久しぶりじゃないの!何よ、一年会わないうちにかっこよくなって!あ!あたしがあげた眼鏡まだ使ってくれてるんだ。嬉しいなぁ。」
「り、鈴。再会を喜びたいけど早く教室に戻らないとね。また昼にでも話そうよ。」
「わかった!じゃあまたね後でねぇ!」
鈴は嬉しそうな顔を浮かべて嵐の如く去っていった。そしてようやく思考がまとまったクラスメイトは。
「ええええええええええええええええ!?」
と驚きの声をあげ、千冬に全員出席簿アタックを喰らった。
◇
「秋十ーこっちこっちー!」
秋十達が食堂に着き、昼飯を持つキョロキョロ席を探してると、鈴が席を取って手を降っていた。
「席取ってくれてたんだ。ありがと。」
「別に良いわよ。色々話したいことがあったんだから。」
「そうだよね。それにしても一年振りだね。元気にしてた?」
「まぁね。そっちこそたまには怪我とか病気とかしなさいよ。」
「便りがないのは元気な証拠だろ?」
「それもそうね。」
二人の甘い空気に思わず声をあげる者が一名。
「あの~、私はお邪魔でしょうか?」
「あ、いや。友達だし改めて紹介したくてさ。」
「そうね。改めましてあたしは凰 鈴音。気軽に鈴で良いわよ。」
「では私のことはセシリアとお呼びください。」
「わかったわ。それにしてもあいつがクラス代表ねぇ。そんなに強い?」
「えーっと。」
秋十とセシリアはクラス代表決定戦の事を話した。
「なるほどねぇ。となるとあたしも気を引き締めないとね。
「頑張ってね鈴!」
「あの、いくら恋人でも他クラスを応援するのは…。」
「「こっ!?」」
セシリアの発言に二人揃って顔を赤くする。そしてその姿を見てセシリアはニヤニヤしていた。
「と、ところで!話を聴いて思ったけど、秋十はどうやって操縦覚えたの?あの自称天才はどうでもいいけど、普通初心者が一週間で代表候補生と渡り合えるものかしら。」
「え!?あ、いや。そ、そう!実は僕に操縦教えてくれた人がいて、かなりスパルタにしごかれたんだ。」
「いや、スパルタにしごかれてもほんの一週間よ?操縦はともかく格闘とかどこで習ったのよ?」
「えーっと…。(言えない…!本当は一年前からウルトラマンやってて、格闘はそのとき覚えたなんて絶対言えない…!)」
秋十は鈴の感の良さに焦り始める。
「まぁ良いじゃないですの。早く食べないとお昼休みが終わってしまいますわ。」
「あ、そうね。ラーメン伸びちゃうし。」
鈴がラーメンを食べるのを見てセシリアは秋十にウインクした。このときばかりは秋十はセシリアの心遣いに感謝した。その後三人で昼飯を食べながら楽しく談笑した。
◇
「へぇ。君の彼女、こっちに来たんだ。」
「だから彼女じゃないですよ!」
「まぁそれは置いといて。頼んでいたの出来たよ。」
放課後にアリスラボを訪れた秋十は、この前ベリアルが頼んだ物を取りに来ていた。航が秋十に渡したのはベリアルのギガバトルナイザーに似た形をした金棒だった。ただ少し違うのは、色が黒から銀となっていて、下の方にカードをスキャンするような溝があることだ。
「あの、先生。この溝はなんですか?」
「ああ、これ?これはこう使うんだよ。」
そう言い航は一枚のカードを取りだし金棒の溝にスキャンした。
《デジタルゴモラ!》
金棒から電子音が鳴り人間サイズのゴモラが現れる。だがその見た目は普通のゴモラとは違いメカメカしく、体の各箇所に0と1が刻まれていた。
「こうやってカードに描かれたデジタル怪獣を呼び出せるのさ。で、戻すときは"シャットダウン!"」
航がそう言うとデジタルゴモラは姿を消し、カードとなって戻ってきた。
「こんな風に俺とベリアルで共同開発したデジタル怪獣を呼び出せるってわけ。呼び出せるのはマスター限定だから君にマスター権限を移行しておくよ。」
そう言い航は少し操作をして秋十に渡す。
《マスター認証しました。》
「うわっ!」
突然音が鳴り秋十は驚いていて落としそうになった。
「これでその武器は君専用になった。くれぐれも悪用はしないでくれよ。」
「しませんよ。」
「あ、それとウルトラフォンも貸してくれる?それで出せるようにするからさ。」
「あ、はい。」
航にウルトラフォンを受け取ると金棒と接続に操作する。すると金棒は粒子となり消え、ウルトラフォンの画面に金棒のマークが現れる。
「よし。これでいつでもウルトラフォンで呼び出せるよ。あとカードはまだゴモラだけだから勘弁してね。」
「い、いえ!何から何まですみません…。」
「いいよいいよ。好きでやってるし、今後のシステムにも使えるからさ。じゃあ今日はもう遅いから寮の戻っていいよ。」
「はい。」
◇
航から武器を受け取った後、秋十は自分の寮の部屋に向かっていた。
「今日も疲れたなぁ。早く風呂に入って、いつものメニューしないと。」
ちなみに秋十のいつものメニューとは風呂上がりに柔軟やストレッチ、授業の予習と復習だ。ちなみにIS学園に来てからは早朝ランニングと筋トレも増えている。
《で、その武器の名前何にするんだ?》
ウルトラフォンから声が聞こえ秋十が取り出すと、画面の中にベリアルがいた。
「あ、ベリアル。って今日はウルトラフォンからなんだね。」
《こっちの方が面と向かって喋れるしな。で、どうするんだ?ダサいのは嫌だぞ。》
「わかってるよ。うーん。ウルトライザーとかは?」
《それはもうある。》
「え、あるの!?じゃあ…あ!ベリアライザーは?」
《正体バレる可能性があるぞ。だがネーミングは悪くないな…。》
「じゃあかっこよくG・Bライザーでどうかな?」
《どっからG持ってきたんだ?》
「ギガバトルナイザーのGだけど?」
《はぁ…じゃあそれで良い。》
「よしっ!じゃあこれはG・Bライザーだ!」
こうしてG・Bライザーと名付けた秋十は嬉しそうな顔をして自分の部屋のドアを開けた。
「ただいまー!って誰もいないけどねー♪」
「え…、秋十…?」
「え…?」
ドアを開けた先には
髪や体が濡れていて、一糸まとわない姿をした鈴がいた。
はい、ラッキースケベ発動!
どうなる秋十君!
あと一夏がグラウンドに穴開ける話とクラス代表就任パーティはちゃんと書きます。
け、決してわわわ忘れてなどいいいいま、いままません!