どうも、小木 琉山です。
今回は少し短めとなっております。
では、本編をどうぞ
女装をさせられて、オークに追いかけられて、と昨日散々な目にあった男性陣は、いつのまにか溜まり場となっているキリトとアスナさんのログハウスで、かの有名な明日の誰かさん宜しく燃え尽きていた。
そんな俺たちのSAN値と引き換えにイベントでの総合ポイントは報酬をコンプリートするまで溜まっているため特に何の精神ダメージも受けていない女性陣は各々好きなように過ごしている。
「・・・なぁ、キリト。そこの、カップ。取ってくれ。」
「・・・断る、・・・シンヤこそ、そこのクッキー取ってくれ。」
「・・・無理。」
「・・・おい、クライン。お前、今日は仕事じゃなかった、のか?」
「・・・有給、とった。」
「・・・俺も、今日は休みに、するか・・・」
この様に、最早動くことすら億劫な程、ダメージを受けた男性陣である。
そして、そのまま会話は終了し、そこに4体の白いオブジェがログハウスに誕生した。
そんな彼らの思考は、この時完全に一致した。
((((あぁ・・・平和とは、なんて美しいんだろう・・・))))
穏やかな心と、慈愛の精神。これこそが悟りの境地。
彼らは悟ったのだ。争いには何の意味も価値も無いと。
彼らの心は更なる進化を遂げ
「あ、シンヤ。これから買い物に付き合ってくれない?」
「勿論だ!モチのロンだ!!例え地の果てまでもユウキのためなら付き合おう!!」
る事はなかった。
悟り?知るかそんなもん!!ただ今はユウキとの買い物への期待と希望と歓喜で胸が弾け飛びそうなんだ!!
分かっている!ただの荷物持ちとして誘ったんだとは分かっている!!
だが、ユウキとデートもとい買い物が出来るんだったら俺は荷物だろうが象だろうがなんだって持ってやる!!
あれ?でもインベントリに入れれば良いんじゃ・・・細かいところはいいか!
「ぐっっ!!ぢ、ぢぐじょゔ!!」
そして、横からのいつのまにか元に戻っていたクラインの鋭い視線が送られてくる。
・・・いや、本当に早く良い人見つけないと独り身人生送ることになるんじゃないか?
ふと、横を見てみると、キリトの方もアスナさんが声をかけていて、何を話したのか二人揃って茹でダコになっている。
エギルは・・・現実の方で嫁さんにでも慰めてもらうんじゃないか?
「ほら、シンヤ!早く行こうよ!」
「そうだな、じゃあ行こ・・・」
急かしてくるユウキにそう言いながら、改めてユウキを見て固まった。
・・・天使が、いや間違えた。天使がそこに居た。
うん、変わってないな。そりゃ事実だから変わりようがないか。
いつもであれば、戦闘用の装備を着ているのだが。いや、それを着ていてもユウキは天使なのだが。
今は、白のワンピースを着ていて、いつもと違う、清楚な印象を受ける。
つまり、一言で言い表すと『最高』です!!
「え、ど、どうしたんだよ、それ。」
「ん?・・・あぁ、さっきリズにシンヤを買い物に誘うって言ったら、いきなり着替えさせられちゃって・・・。
・・・似合ってるかな?」
なんなんだその上目遣いは、反則だろレッドカードだろ。可愛すぎて辛いんだよ畜生!しかもいつもと印象違って、また違った魅力感じんだよ。
永久保存しなければ!
「最高に似合ってる。ちょっと待ってくれ今脳内に焼き付けるから・・・!」
「あはは、大げさだよ。それより、早く行こう!」
苦笑いしながら手を引くユウキに、半ば引きずられるような形でログハウスを出る。
「そういえば、ユウキの私服姿見るの初めてかも」
「あれ、そうだっけ?えっと、病院だと基本的に病衣で。あとは戦闘用の装備を着て・・・あ、本当だ!」
「ユウキって意外と抜けてるところあるよな。」
「う、うるさいな!」
そんな軽口を叩きながら話していると、ふと気付いた。
「ところで。買い物をするのは良いんだけど。何処で買い物するんだ?」
「それを聞かずにここまで来るって・・・シンヤも抜けてるところあるよね。」
「・・・うるせぇ。」
なんだ、さっきの仕返しのつもりか!
まぁ、特に気にはならないというか、寧ろ、してやった顔のユウキが可愛すぎて、軽く盗撮してしまう。
よし、これで写真集がまた厚くなるな。
このペースだと一年後には部屋が写真で埋もれるんじゃないか?
「えっとね、ボク達が今向かってるのは『アルン』だよ。」
アルンか、確か世界樹があった街だよな?
「確かに、あそこは買い物に向いてるな。」
央都というだけあり、様々な出店や珍しい物を扱っている店もある。
更に世界樹が直ぐそこにあることもあり、景色も良い。
あれ、そう考えると央都凄いな。
今だったら、丁度アルンの近くにアインクラッドもあるし。飛べば十分と経たず着く・・・ん?飛ぶ?
「・・・なぁ、ユウキ、そのアルンにはどうやって行くんだ?」
「え?普通に飛んでだけど。」
「・・・その服で?」
そう、今ユウキはワンピースを身につけている。つまり下はスカートということになり、そんな状態で飛べば・・・いや、いかん、想像はしない。
「スカートの事?それなら大丈夫だよ!よくは分からないんだけど。システム上、何をしてもめくり上がったりしないようになってるんだよ。」
「・・・そうなのか」
「・・・なんで若干沈んだような声を出したのかな?ねぇ、シンヤ。ボクに教えてよ。」
あ、やばい。ユウキが見たことないジト目をしてこっちを見てる。
「あー、ほ、ほら、先に行くぞ!」
「あ、シンヤ。逃がさないよ!」
こうして、俺たちの買い物のは空での追いかけっこから始まった。
この度はこの様な駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
次回は今回の続きからとなります。
誠にありがとうございました。