絶剣を愛する転生者の物語   作:小木 琉山

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どうも、小木 琉山です。

先に申し上げさせて頂きます。

今回はユウキが登場しませんごめんなさい!!!

いや、本当は出したかったんですよ。ですけど、ほら、物語の進行上のあれこれがあり・・・作者の技量不足です。申し訳ないです。

では、本編をどうぞ。


作戦

 

「「「「ギャアアァァァ!!!」」」」

 

ALO内のとある森の中、そんな絶叫が辺りに轟く。

 

その発生源たる、俺達男性陣は後ろにオークの大群を引き連れながら森中をその目から大量の涙を流しながら駆け回っていた。

 

「おい、キリの字!これなんとかする方法はないのか!!」

 

「んなもんあったらとっくの昔に実行してるよ!!」

 

走りながら、切羽詰まった声で問うクラインに、同じ様な声で答えるキリト。

 

先程から軽く30分は逃げ回っているのだが、後ろのオーク達は一向に止まる気配がない。

というか、寧ろ俺達の悲鳴を聞くのを楽しんでいる様に見える。

 

「ん?・・・おいおい、勘弁してくれ!あいつら更に増えてやがるぞ!」

 

エギルの声に、後ろを振り返ってみると。・・・うん、確かに増えてるな。

最初は分身合わせて10体程だったのが、今では三十体くらいになってる。

 

まずいな、このままだとその内追いつかれる。かと言って倒すのも骨が折れる・・・

 

「・・・三人共よく聞いてくれ!」

 

「っ!何か思いついたのか!」

 

キリトが救世主を見るような目をして答えた。

 

いや、そこまで大層な物じゃない。ただただ、生物的な反応に基づいたら、すぐ思い浮かぶようなものだ。

 

「あぁ!作戦としては三つある!名付けて作戦KI、作戦KU、作戦EGだ!!」

 

「「「おぉっ!!」」」

 

三人が合わせて俺に尊敬の眼差しを送ってくる。よせやい、照れるだろうが。

 

「まず、作戦KI。プレイヤー、キリトを後方へ三人でスパーキング!!」

 

「おい」

 

キリトが底冷えするような声音で呼びかける。

 

「二つ目、作戦KU。プレイヤー、クラインを後方へ三人で全力でスパーキング!!」

 

「おい」

 

クラインが座った目でこちらを見ながら言う。

 

「そして、最後に!作戦EG!プレイヤーエギルを後方へダイナミックにスパーキング!!」

 

「おい」

 

エギルが若干血管を浮かしながら仰る。

 

あれ?なんか雲行きが怪しくなってきたような気がするぞ?

こんなに完璧な作戦は他にないだろうに。

 

あれ?なぜ俺だけ除け者にするように固まって走ってるんだ?さっきからコソコソと内緒話なんかしてないで、どの作戦を実行するか決めてほしいものだ。

 

「おい、そろそろ実行しないと洒落にならないぞ。」

 

「あぁ、分かってるって。」

 

「安心しろよ。シンヤ」

 

「ちゃんと、こっちでもどれを実行するか決めといたから。」

 

お、何だ、もう決定してたのか。流石、ベテランプレイヤー達だ。どう行動するか迅速に決める事ができる。

 

こちらとしても、軍師冥利に尽きるよ。

 

そう、俺が心の中で嬉し涙を流していると。突然いつのまにか背後に回っていた三人に首根っこを掴まれた。

 

全く、こんな緊急事態に何やってるんだ。

 

一言文句を言ってやろうと後ろを向くと。完全に目の座った三人の姿がそこにあった。

 

「・・・お、おい。ど、どうしたんだよ。こ、こんな時にふざけ過ぎるのも良くないぜ!・・・ところで、どの作戦を実行するのかなんだけど・・・」

 

「ん?あ、そうかシンヤにはまだ言ってなかったな。」

 

「どの作戦を実行するか。」

 

「それはな・・・。」

 

三人が順々にそう言うと。突然、首根っこを掴んでいた3本の腕に力が入り、奇妙な浮遊感に襲われた。

 

お、おい?ま、まさか・・・

 

「「「作戦SH!プレイヤー、シンヤを後方へ怒りのままにスパーキング!!!!!」」」

 

そう言ったと同時に俺は後方のオークに向かって、正に一本の槍のように投擲された。

 

だが、俺もただでは終わらない。

 

咄嗟にキリトとエギルの服の袖をそれぞれ掴んだ。

 

当然、エギルとキリトは体制を崩して後ろ側に倒れこんだ。クラインは真ん中におり、二人が両手をそれぞれ掴んだことにより、一緒に倒れた。

 

そのままならば、オーク達に引かれて終了であっただろう。寧ろ、それこそ、この悪夢から逃れられる方法だったのだろうが。

 

オーク達はカーディナルから無駄にAIを強化されているらしく。

俺たちを避けるように広がると、全方位を円形に囲んできた。

 

「・・・どうするんだよ、この状況。」

 

「知らない。こっちが聞きたいくらいだ。」

 

「・・・俺は悪くないぞ、いや、全員同罪か・・・」

 

「ふぅ、どっちにしろ、こうなる運命だったのさ。誰も悪くねぇよ。」

 

上から順に俺、キリト、クライン、エギルだ。

 

ジリジリと迫ってくるオーク達に四人で固まって、絶望の中。最後まで争ってやろうと、各々獲物を手に取る。

 

キリトも二刀流となり、どれだけ追い詰められているかが伺える。

 

そして、距離が近づく中、オークの一人が踏み出したことにより、戦いの火蓋は切って落とされた。

 

「来るなァァァ!!俺はユウキに操を捧げてるんだ!!!」

 

「スターバースト・ストリーム!!!ジ・イクリプス!!!」

 

「こんな所で、こんな所で終わってたまるかよぉ!!」

 

「ここで負けたら、嫁さんに合わす顔がねぇ!!」

 

俺は神から教えられた、ありとあらゆる秘剣やら奥義やら最終奥義やら、出し惜しみもせず、もてうる限りの剣を放ち。

 

キリトは、お前それ本当にスキルアシスト無いのかよと思うくらいの速さで剣を振るっている。おそらくヒースクリフ戦での速度を軽く凌駕している。

 

クラインは、刀身が見えぬ速度で抜刀術を連打している。その内ラストサムライと言われそうな勢いだ。

 

エギルは、一発ソードスキルを放つごとに地面がめくれ、顔は鬼気迫るものを感じさせる。普段の強面顔の数倍の顔になっている。子供が見たら一発で泣くだろうな。

 

 

そして、しばらくして、そこに立っているのはその四人のみであった。

 

 

 

〜〜〜〜

 

「いやぁ、四人共お疲れ様!お陰でイベント報酬コンプリートよ!」

 

戦いが終わり、キリトとアスナさんのログハウスに帰還すると。そこには、ゆっくりとくつろぐ女性陣が居た。

 

こちらに気付いたリズベットさんが労いの言葉をかけて来るが。疲れ切った俺達に返す気力は無かった。

 

それを見て、何を勘違いしたのかリズベットさんは続けて。

 

「あ、もしかして、意外とその女装気に入っちゃったのね!心配しなくても、いつでも協力してあげるわよ!」

 

軽快に笑うリズベットさんに俺達は膝をつき。

 

「「「「勘弁してください!」」」」

 

完璧な土下座を遂行するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 





この度はこの様な駄文を読んで頂き誠にありがとうございました。

やはり、ユウキが出てこないと、中々モチベーションが上がらないと言いますか、なんと言いますか。

最後に一言。


次回こそ、ユウキを登場させます!!

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