アリシゼーション編をどの様な展開にしようか迷っている今日この頃です。
どうすれば戦闘模写なしで、話を進められるのか・・・
では、本編をどうぞ。
倉橋先生から、明日奈さんが搬送された事を知らされた俺と木綿季は、倉橋先生に教えてもらった、明日奈さんのいる病室に来ていた。
倉橋先生はこれから用事があるらしく、場所を伝えるとすぐさま何処かに行ってしまった。
幸いにも明日奈さんは、ショックで気絶したところを母親に発見され。救急車で運ばれたそうだ。
今は、意識も戻っているらしく。俺たちはそのお見舞いというわけだ。・・・木綿季も一応患者だから、お見舞いと言っていいのかよく分からないが・・・
コンコン
ノックをすると中から「どうぞお入りください。」と、明らかに明日奈さんではない声で返事が帰ってきた。
誰だ?と思う間も無く、その声を聞いた木綿季が小さな声で呟いた。
「あ、京子さんだ。」
「京子さん?木綿季の知り合いか?」
木綿季の知り合いって事は、木綿季の親戚とか?いや、でもそれならなんで明日奈さんの病室にいるわけないし。
え、本当にどなた?
「失礼します」
疑問に思いつつもいつまでもここで突っ立っているわけにもいかないので、そう言いながら、俺はドアを開ける。
すると、部屋には、ベッドの上でションボリして座っている明日奈さんと、その隣に、厳格という言葉を体現したかの様な女性がいた。
この人が木綿季の言っていた京子さんだろう。
「久しぶり、京子さん!」
「ええ、お久ぶりですね、木綿季さん。明日奈が心配を掛けてしまってごめんなさいね。」
木綿季が朗らかに挨拶をすると。京子さんは、その厳格な容貌とは裏腹に、柔らかな物腰で木綿季に返事をした。
「ところで、木綿季さん。そちらの方は?」
ふと、京子さんはこちらに視線が向けると、木綿季に問いかけた。
「あ、紹介するね。この人は桐本 真也君。ボクの・・・・・・あれ?ねぇ、真也。真也とボクってどんな関係なの?」
「ちょっと木綿季さん酷くないですか!?」
確かに言われてみれば出会って数ヶ月も経ってないんだよな。現実世界では出会って数日だし。そう考えると俺と木綿季ってあまり繋がりがないんだな。
・・・少し前にアタックするって覚悟決めたばっかりなのに、既に心が折られそうだ。
「あはは、冗談だよ!真也はね、ボクのゲーム友達だよ!すっごく強くて、まだ一回も勝ったことがないんだ!」
「あら、それなら勝てる様にもっと精進しなくてはね。でも、ゲームのやり過ぎには注意するように。」
「はーい!」
その二人のやり取りはまるで親子の様な。いや、むしろ祖母と孫の様なやり取りに思える。
うん、それは良かったんだけど、木綿季さん、あまり心臓に悪いこと言わないでくれ。一瞬本当に心折れそうになったからな?
でも、取り敢えず、スタートラインには立ててそうだ。
「それで、桐本真也君だったかしら。初めまして、明日奈の母の結城 京子です。」
そっと微笑んで京子さんが言う。
あ、そうか、この人明日奈さんのお母さんか。何回かユウキ関連の原作知識で登場してたっけ。
明日奈さんのお母さんなら木綿季と面識があって当然か。何しろこの春から一緒に生活する訳だしな。
そこまでは分かる、んだけど。・・・明日奈さんのお母さんってこんなに雰囲気柔らかかったっけ?
俺のイメージだと、本当に厳格そのものの性格だった気がするんだけど。笑顔だって、原作では殆どっていうか、ほぼ描かれてなかったと思うんだけど。
「あ、えっと、改めまして桐本真也です。初めまして。」
内心の動揺を出さないように気をつけながら答える。
何が原因だろう、やはり、明日奈さんと和解したのが原因か?それとも・・・
「それで、明日奈。反省したの?」
「はい、母さん。」
いきなり、先程とは打って変わって、厳しい声を出す京子さんに、明日奈さんが沈んだ声で答える。
それもそうか、娘が危ないことをしたんだ。それを叱るのは親として当然だよな。
「こんな威力だと木綿季さんを守りきれないでしょ!もっと出力を上げないと・・・!」
・・・ん?
「それだけじゃなくて、やっぱり、同時にスタンガンと催涙ガスも装備しないと、確実性が足りないわ!」
「安心なさい。それなら、海外の強力なものを既に取り寄せました。後は設置して調整をするだけです。」
「・・・流石母さん、抜かりがないわね。」
「当然です。明日奈。退院したら、すぐに作業に取り掛かるわよ。」
「了解。」
・・・明日奈さんの暴走癖の根元が分かった気がした。
血筋に恐怖を覚えたのは初めてだよ。
〜〜〜〜
明日奈さんと京子さんが二人の世界を展開してしまったので、木綿季の病室に戻る事にした。
階が違ったので、エレベーターに乗ろうと思ったのだが、木綿季がリハビリがしたいと言い出したので、階段を利用する事にした。
だが、ここで一つ問題が発生した。
「お、おい、木綿季。大丈夫か?」
「・・・大丈夫・・で・ない・・かも」
明日奈さんのいる階は木綿季の病室の階より4階下だった。すると、帰りは必然的に上に上がらないといけない。
階段というのは、長ければ長いほど、体力を持っていかれる。この病院はそれなりに大きいから、4階分というと、俺でも少し息切れをするくらいだ。
それを、病み上がりで万能薬で多少体力が戻ったくらいの状態で登ると。
結果 木綿季の体力が尽きた。
今は、手すりにもたれかかっている。その足は産まれたての子鹿の様になっている。これで残りの2階分を登るのは酷というものだろう。
「・・・仕方ないな。ほら、おぶってやるから。」
俺は未だに手すりにもたれかかっている木綿季の横まで行き木綿季が乗りやすいようしゃがんだ。
「え、でも。それだと真也が」
「俺を和人の様なもやしっ子と一緒にしてくれるな。それなりに鍛えてはいるから大丈夫だよ。」
少し遠慮していた木綿季だが、そう言ってやると。やはり、キツかった様で素直に乗った。
「よし、じゃあ、行くか。しっかり掴まってろよ。」
そう言い、ゆっくりと立ち上がる。
「うん、真也、ありがとう。・・・重くない?」
「全然、むしろもう少し太って欲しいくらいに軽い。」
ほんと、少し怖いくらいだよ。これからは、もっと栄養豊富な物も買ってこないと・・・!
そうこうしている間に、階段を登りきった。だが、流石にここで木綿季を降ろしても歩けなさそうなので、そのまま病室に向かう事にする。
「真也って、意外と背中大きいんだね。」
「意外ってなんだよ、俺そんなに細いか?」
後ろの木綿季がふと気がついた様に言った。
木綿季の目には俺がガリガリに映っているのだろうか?
これから筋トレの量増やそうかな。
「ううん、そういう訳じゃないんだけど。・・・なんだか凄く安心する。」
そう言って、木綿季はぎゅっと腕に力を込めた。
おぶさった状態の木綿季が腕に力を入れ込めると必然的に、俺の背中に木綿季が密着する事になる。
木綿季は、小さくはあるが年相応に発育はしているのだ。
俺は、背中の幸せな感触をあまり意識しない様に病室へと歩みを進めた。
この様な駄文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。
少し、甘めな展開の練習をしてみました。やはり難しいですね。
次回は、まだ、病院んでのお話です。どこまで引っ張るんだとお思いになられるとは思いますが。
お付き合いの程よろしくお願いします。
誠にありがとうございました。