絶剣を愛する転生者の物語   作:小木 琉山

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どうも、小木 琉山です。

今回は、比較的文字数が多くなりました。

駄文ですが、お付き合いのほどよろしくお願いします。

では、本編をどうぞ。


足止め?

 

prrrr prrrr

 

「ん?電話か。誰からだ?」

 

ユウキとの決闘から1日が経った1月8日

 

強制ログアウトの後、俺が、ユウキと出会うことができたという事実の幸せに浸りながら自室でダラダラしていると唐突に携帯電話が着信を知らせた。

 

「もしもし、キリトか?いきなりどうしたんだよ。」

 

キリトから連絡が来るのは結構珍しいと言えるだろう。まぁ、学校とかALO内でほぼ毎日会ってるから連絡する必要があまり無いのだが。

 

『あぁ、それが昨日お前が決闘した絶剣に関わる事なんだが少し厄介なことがあってな。力を借りたい。』

 

ユウキに関わる事だと?

 

「任せろ、何をすればいい。俺にできうる限りの力を、いや、それ以上の力を持ってしてユウキを取り巻く厄介ごととやらを排除してくれよう。」

 

『お、おう、助かる。取り敢えずALOにログインしてもらっていいか。それで、27層の迷宮区の入り口まで来てくれ。そこで詳しく話すよ。』

 

「わかった、じゃあまた後で。」

 

ピッ

 

通話を終わると、ユウキに関わると言われた時点で既にアミュスフィアの電源を入れいつでもログインできる状態にしていた俺はすぐさまログインした。

 

 

 

 

「リンクスタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ログインするとそこは、ユウキと決闘した24層の小島だった。

 

「あ、そうだった。昨日失神してからそのままなんだ。・・・と、キリトが待ってるんだった。急がないとな。」

 

言うが早いか、俺は羽を広げ一気に加速しながら飛び上がった。最初の頃のように制御できずに頭をぶつける事はない。

 

時間節約のため外周から外の虚空に飛び出し27層にそのまま入る。そこから迷宮区の塔まで一直線に進んだ。

 

27層は常闇の国なのだが、俺はインプで、暗視能力があるため問題はない。

 

入り口に着くとそこには潜伏しているキリトとクラインがいた。

 

「よう、キリト、クライン。いきなりだが詳しく話を聞かせてもらおうか。」

 

いきなり声をかけたのだが、こちらに来る姿が見えていたのか、特に動じる事もなくキリトが答えた。

 

「わかった。まず、アスナから絶剣のギルドのメンバーとここのボスを攻略すると聞かされたんだが。おそらく、大手のギルド連盟から妨害が入る。だから、もしアスナ達の手に余る人数が突入したら時間稼ぎをしようと思う。協力してもらっていいか。」

 

ほうほう、事情は分かった。つまるところデスペナルティ覚悟の捨て石をやれということか。

 

「まぁ、全員殲滅すればいい話だろ?よし、その話乗った!」

 

「いやいや、流石にキリの字とシンヤがいるとしてもそりゃ無理があるってもんだろ。・・・無理だよな?冗談だろ?」

 

クラインが呆れ笑いを顔に浮かべながら言ってきたが、途中から自信が無くなってきたのか最後には念押しをしてくる始末だ。

 

「いくら人数がいたところで俺の師匠?には遠く及ばない・・・。だから安心しろ。・・・マジだ!」

 

たとえフルレイドが相手でも、正直あの神に比べたら恐竜とチワワみたいなもんだ。

 

前衛がいっぱい。後衛もいっぱい。全員強い。しかも後衛には銃持っているのもいたり。魔法を滅茶苦茶に打ちまくって動き制限してきたり。動けなくなっても強制的に治されて続行された。

 

あれほどの絶望感を味わうことがあるのだろうか。いや、ない。

 

 

俺が地獄の日々を思い出して震えていると、遠くから30人ほどのプレイヤーがこちらは向かってくるのが見えた。

 

「うわ、本当に来たよ。キリト、俺はお前が時々人知を超えた力を持ってるんじゃねーかと思うんだが。」

 

「それを言うなら、お前の剣技だって人知超えてるだろ。」

 

俺たちが言い合っているとクラインが

 

「両方共ブーメラン投げすぎだろ!」

 

と、突っ込んできた。・・・解せぬ。

 

キリトも納得してなさそうだが、先ほどのプレイヤー達が迷宮区に突入していった。

 

「そろそろ行こう。」

 

そう言ってキリトはプレイヤー達の後を追うように走り出した。俺とクラインもそれに続く。

 

しばらく進んでいると違和感に気づいた。

 

「なぁ、キリト。クラインどこ行った?」

 

「え?あ、本当だ、いない。」

 

既に一名脱落か。中々厳しいミッションになりそうだ。

 

強く生きろよ、クライン。

 

あと、戦闘が始まるまでに来なかったら後で鼻にワサビ詰める。

 

そして、遂にユウキ達が前方にいる集団と戦っているのが見えた。

 

俺とキリトは、互いに頷きあうと俺は左の壁を、キリトは右の壁を使って《壁走り》で、追随していた集団を追い越すと床に飛び降り、ユウキ達と集団の真ん中、中間付近で停止した。

 

「悪いな、ここ「通行止めだ!!」・・・おい、シンヤ!人のセリフに被せるなよ!」

 

「いや、なんかここでお前にそのセリフを言わせてはならないと天啓が降ったんだ。」

 

「なんだ、その天啓は!そんな天啓あってたまるか!」

 

そんなこんなでショートコントを始めた俺たちに集団の殆どが度肝を抜かれていたらしいが立ち直ったのか口を挟んできた。

 

「おいおい、ブラッキー先生に剣帝さんよ。幾らアンタ達でも、この人数を食うのは無理じゃねぇ?」「黙れ、チワワ!」

 

ブフッ!

 

あ、口が滑った。隣でキリトが吹き出している。後ろからも聞こえたので、後ろでも誰かが吹き出したらしい。

 

「な!?誰がチワワだ!メイジ隊!!焼けぇ!」

 

顔を赤くしながら叫んだリーダー格らしき男の声に反応して後方から、スペルワードの高速詠唱が聞こえる。

 

だが、俺は特に構えない。剣は抜いているがそれで十分だ。なぜなら・・・

 

 

 

 

 

「キリト!ここはお前に任せた!俺は後ろの20人くらいを殺ってくる!」

 

「は?お、お前煽るだけ煽っといて放置からの押し付けかよ!!」

 

そう言いながらもソードスキルの体制に入るキリト。いや、煽るつもりはなかったんだ。

 

ただ、さっき考えてたことがついつい口をついて出てしまっただけなんだ。

 

「悪いとは思っている。だが、後悔はしていない!!」

 

「ふざけるな!」

 

キリトの悪態を聞きながら俺は振り返り扉の前にいる20人ほどの集団に向かって走り出した。

 

本音としては、ユウキにまた会いたかったから後ろの方に向かっている。

 

「おっと!手が滑って仕留め損ねた魔法が1つだけシンヤの元に!!いや、全部シンヤの元に!!しね!シンヤ!」

 

は?と思いながら後ろを振り返ると一直線に進んでくる高速魔法が・・・

 

て、しぬしぬ!!

 

幸い。発射された後にキリトが叫んだおかげで少し猶予があった。俺は咄嗟に剣を構えて全ての魔法の真ん中を斬って、迎撃した。

 

「て、殺す気か!!わざとだろ!絶対わざとだろ!」

 

「俺に押し付けようとした罰だ!」

 

まぁ、後ろからユウキが「うっそぉ」と可愛い声で呟いてるのが聞こえたから許すけど。・・・むしろグッジョブ。

 

「ウオリャアアア!俺もいるぜェ!見えねーだろうけどな!!」

 

キリトと向かい合う集団の後ろからクラインの声が聞こえてきた。

 

「遅いよ、何やってたんだよ!」

 

「お前、後で両鼻ワサビ詰めな!」

 

「悪ぃ、道に迷ったわ!後シンヤ、恐ろしいこと言わないでくれ!アレはトラウマなんだよ!」

 

あ、既に経験積みでしたか。

 

だからと言ってやらないわけないんだが。

 

「すぐ戻るから、そっちは頼むぞ!」

 

言うだけ言って、俺は返事も聞かずにまた振り返ってユウキ達のいる方へ走り出した。

 

まだ、戦闘は再開してないらしく比較的早くアスナさんの元に来れた。

 

「アスナさん!取り敢えず前のやつら潰すの手伝うから早く部屋の中に!」

 

「うん!ありがとうシンヤくん。」

 

「おう!・・・じゃ、早速行きますか。」

 

俺は剣を構えて、集団に向かって駆け出した。

 

 

 

いきなりだが俺は、神との特訓で効率の良い多数相手の戦い方を学んだ。

 

一人一人削っていったのでは効率が悪い、しかも回復役が居ればすぐ回復される。うん、地獄だな。

 

と、話を戻そう。ならば、一太刀で一人落とせば良い。一太刀一殺。それを最も効率よく行うためには首を落とすのが一番早い。

 

「貴様ら全員首を出せぇ!」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、そこに立っているプレイヤーは俺とアスナさんとユウキと《スリーピングナイツ》だけだった。

 

後にシンヤの二つ名に、『処刑人』や、『首はね男』など、不名誉な名前が追加されるのは別のお話。

 

 

 

「それじゃあ、俺はキリト達の方に行くよ。ボス戦頑張れよ!」

 

「うん、でも、お兄さん達は・・・ボクらを・・・行かせるために・・・」

 

ユウキが、申し訳なさそうな表情でそう言ってきた。よく見れば、他の《スリーピングナイツ》のメンバーも同じ様な表情だった。

 

俺たちは特に気にしないんだが、やっぱりユウキ達は気にするらしい。

 

このままでも、ボス戦に支障は出ないとは思うが、少し心配だな。

 

「あー、突然だが、《スリーピングナイツ》の皆んなに頼みたい事があるんだけど。今度統一デュエル・トーナメントっていう、PvPの大会があるんだけど、それに参加してもらって良いか?」

 

「え?う、うん。それは皆んな参加しようと思ってたんだけど。でも、どうして?」

 

ユウキとまた会えるんだ、これ以上ないご褒美だろ!と、言いかけたが流石に口には出来ない。

 

幾らユウキのことが大好きだといっても、本人を前に公言はできない。いや、したくてもできない。逆に、言える奴っているのか?

 

「えーっと、やっぱり、熟練のプレイヤーが多い方が大会も楽しかなるしな。それに、ユウキ・・・さん、ともまた決闘してみたかったし。」

 

危ねぇー、いつものノリで呼び捨てにするところだった。

 

「そういうことなら。ボクもお兄さんとまたやりたかったし!あ、ボクの事はユウキで良いよ!」

 

え、マジで?これでユウキのことを合法的に呼び捨てで呼べる!!

 

「あ、あぁ、そ、それじゃあ、俺の事もシンヤで良いよ。」

 

・・・あ、そういえばキリト達の方に向かうんだった。

 

「そろそろあっちもキツそうだな。それじゃあさっきも言ったけど、ボス戦頑張れよ!」

 

「うん、ありがとう。シンヤ!」

 

口々にお礼を言ってユウキ達はボス部屋に入っていった。

 

それを見届けた俺はすぐさまキリト達に加勢する為に、駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





この様な駄文にお付き合い下さり誠にありがとうございました。

前回、やっとユウキを登場させることが出来たのですが。どうしても、ユウキとの会話シーンなどが少なくなります。早く、会話を多くしていきたいです。

誠にありがとうございました。

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