消す黄金の太陽、奪う白銀の月   作:DOS

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ヒノは基本年上はさん付けで呼ぶタイプ。後は相手による。


第9話『情報交換は基本』

 あんなこんなな出来事があって、第三次試験トリックタワーを無事に通過できた!後の時間は試験終了まで自由に過ごしていいと言われているのだけれど、ここが問題だね。残り67時も、一体何をすればいいんだろう?ヒソカしかいないのに、暇だなぁ。

 

「そういえばヒソカってなんで試験受けに来たの?正直ハンターなんてタイプじゃないでしょ。シャルがいれば情報収集は問題ないのに」

「ハンター証を持っていれば色々と便利だからねぇ♥殺人をしても免責になる場合とか結構あるんだよ♠」

「ヒソカにはあまり関係ないんじゃない?無法者だし」

「くっくっく、まあそうだね♥」

 

 そう考えると、本当にヒソカは暇つぶしで来てんのかな?まあ正直割とどうでもいいと言えばどうでもいいんだけど………。

 

「ヒソカ何か面白いことない?」

「そうだね♦じゃあさっき()れなくて欲求不満だからボクと遊―――」

「ばないから。何かない?」

「(つれないなあ♠)………それじゃあ、トランプでもやるかい?」

「いいじゃない。ヒソカにしてはまともだよ。それにしてもトランプが武器って実際かなり愉快だね」

「くっくっく♦それはどうも♦」

 

 そんなわけでヒソカとトランプで勝負。結果は私が勝ちました。え、展開が早すぎる?確かに間一文字も無く終わったけど、これでもたくさんやったんだよ。10連勝くらいしてきたら飽きてきちゃった。

 

「勝ってばかりだからつまんない………」

「………君は強すぎだよ♣」

 

 ゴゥンゴゥン。

 ヒソカとのトランプ勝負の終了と同時に、重苦しい音を立てながら、扉が一つ開いた。そこから出てきたのは、例の顔面針男さんでした。

 

「やあ♠君も合格したんだね」

「ヒソカいたのか。それに………」

 

 私の方を見て来た。よく見るとホント恐ろしい顔してる。肌が灰色で焦点のあっていないような目。それにモヒカン頭に顔面の針。でももしかしたらこんな顔でも心が優しかったり………は、さすがに無いかな?

 

「この人ヒソカの知り合い?」

「ボクの友達さ♥」

「違うよ」

 

 即答で否定されてやんの。でも知り合いなのは確実だよね。

 

「あっ、はじめまして。ヒノです」

「ギタラクル」

 

 ギタラクルさんか。見た目の度肝を抜くような印象の割りに、意外と普通に話せる人だよね。やっぱり人は見かけによらないと言う事かな。まあこの人念能力者だし、ヒソカの知り合いなら多分戦闘かなりできるタイプの人でしょ。基本ヒソカって強い人にしか興味ないし、あとは熟してない果実、つまり今後成長する可能性のある人。

 ギタラクルさんは名前を言うだけ言うと、少し離れた所で座り込んでじっとした。

 

 しばらくすると、今度は禿げてるのか剃髪したのか分からないけど、禿げ頭のおしゃべりなジャポン出身の忍者がゴールした。ヒソカは論外としてギタラクルさんは人がいるところでは基本黙秘を貫くスタンスみたいだから、暇だし話しかけよう!

 

「お疲れ様、忍者さん」

「あん?何!!嬢ちゃん俺より早く合格したのかよ!!それにしてもよく俺が忍者だとわかったな」

「いや、見た目で分かるし、それに私ジャポンから来たし」

「はっはっは!そうか、嬢ちゃんジャポンから来たのか。いやー良かったよ、話せそうな奴がいてよ。今ここにいんのは44番と301番でハンター受験生話にくいやつNo1とNo2だからな。嬢ちゃんみたいなやつがいて正直助かったよ!最近の奴らはノリが悪くってさ」

「まああの人達は関わり合いにならない方が正解みたいだしね。私はヒノ」

 

 私はとんでもなく深く関わってるけどね。

 

「俺はハンゾー。それにしてもヒノは二次試験合格しただろ。ああ、ゆで卵じゃなくて寿司の方な」

「あ、気づいてたんだ。寿司は食べたことあるし作ったこともあるからね。それにしてもハンゾーは、いい寿司って食べたことないの?おにぎりよりは難しいよ」

「いや………どっちも同じかなって思ってよ。だって飯握って作るんだから料理の仕様がねぇだろうがよ」

「何言ってんの!!だったらプロの寿司職人ってどんな職業なのさ。素人の寿司と玄人の寿司じゃ雲泥の差があるんだよ。ジャポンに戻ったら高級な寿司屋に行ってみるといいよ!あのシャリのほぐれ具合とネタとがとっても絶妙なんだからね!!」

「うっ、そう言われるとちょっと食べてみてえな。よし!!帰ったら寿司でも食いに行ってみるかな!」

「うんうん。それで感動するといいよ」

 

 なかなか話の分かる忍者じゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そんなこんなでそろそろ3日が過ぎようとしていた。ゴンたちはまだ来ていない。ちなみに塔の最下層のこの部屋は生活する分には問題ないような最低限の設備は整っているので、特に問題は無い。そして、試験開始しておよそ71時間59分。つまり、そろそろタイムアウトの時間が迫ってきている。大丈夫かな?

 

 ん?なんか地面をこするような音がしてきたような?

 

 ゴゥンゴゥン。

 

 まだいくらか閉じていた扉の一つが、重苦しい音を立てて開く。扉が開いて中から出てきたのはゴン、キルア、クラピカ………そしてレオリオ、トンパさんの5人だった。まさかこの5人が一緒だったとは。しかも下剤を飲ませようとしたトンパさんじゃないか。私のペアもなんとも言えないけど、向こうも向こうで大変そうだったね。

 まあなんにしても4人ともぎりぎりだけど無事に合格してよかった。

 

『タイムアップ!!第三時試験通過人数25名!!』

 

最初に400人以上いた参加者が、一次試験、二次試験、三次試験を通過する内にあっという間に10分の1以下だなんて。さすが難関と言われるハンター試験なだけである。倍率高いねー。

 スピーカーの合図と共に、私達は塔の外へ、3日ぶりの太陽を浴びるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「諸君タワー脱出おめでとう。残る試験は四次試験と最終試験のみ。では早速、これからくじを引いてもらう。このくじで決定するのは狩る者と狩られるもの」

 

 モヒカンの試験官の人が言うには、くじで引いた番号と同じ受験者のナンバープレートを手に入れると3点。自分自身のプレートも3点。それ以外は全部1点のプレート。合計6点集めればいいらしい。

 

 自分自身の3点プレートを守りつつ、自分の選んだ標的(ターゲット)のプレートを奪えば晴れて6点。もしくはそれ以外の3人倒して1点プレートを3つでもオッケーらしい。あとは試験終了までプレートを守りきればはれて合格。

 

 舞台は無人島。滞在期間一週間のサバイバル試験。

 ちなみに私の番号は80番。………誰だっけ?正直他の人の番号は話した人くらいしか覚えて無いから、まだ私が話していない人の誰かって事になるけど、他の人はすぐに自分のプレートを隠したからもう分からないや。

 

 私を含めて受験生の皆は、船に乗り込み次の試験場であるゼビル島を目指した。甲板の上を歩いていると、並んで座っているゴンとキルアを発見した。正直他の受験生皆、誰が敵が変わらない状況で沈んだみたいな感じだったから、ゼビル島に着く2時間こうじゃやってられないよ。

 

「やっほう。二人共」

「あっ!ヒノ、合格してたんだね」

「二人共合格してよかったね。5人で試験してたの?」

「ああ、ぜってーいらねー奴が混じってたけどな」

 

 分かりきってる事だけど、それは誰のことなのか考えないでいてあげよう。

 

「ヒノは一人で合格したの」

「いや。顔に落書きした変な人と一緒だったよ」

「ヒソカと!ゴンもヒノもくじ運ないなー!!」

 

 今の表現でヒソカと断定するとは、さすがキルア。ていうか該当するのがヒソカしかいなかったか………いや、よく考えたらそんな事も無かったよ。なんとか3兄弟って人も少し落書きしてあったよ。というかキルア―――、

 

「ゴンも?」

「うん。四次試験のオレのターゲットヒソカなんだよ」

「ご愁傷様」

「ちょっと!そんなあからさまに縁起でもないこと言わないでよ!」

「だってねーキルア」

「だよなー」

「二人共息合ってるね」

 

 だってしょうがないよね?ヒソカだし。二重の意味で危ないし。

 

「でも実際ヒソカからプレート奪う手立て考えるか、別に三人倒すかだね。どっちが確実かな?」

「ぜってーヒソカと戦うくらいなら三人倒すほうが楽だよ」

「でも奪うだけならチャンスあるじゃない。やってみるよ」

「そう、頑張ってね」

 

 まあ確かにガチの戦闘ならほぼ100%負けるけど、プレート奪うだけならまだいけるはず。………20%くらいでなら、とれるかな?

 

「そーいやヒノ。お前のターゲットって誰だよ」

「受験番号80番。二人とも誰か知ってる?」

「なんだ、お前も分かんねーのか。俺のターゲットも知らねーんだよな」

「二人共頑張ってね」

「まあ私達よりゴンの方が大変だろうけどね」

「同感だな」

「やっぱり二人とも息合ってるね」

 

 そしておよそ2時間後、船はゼビル島へと到着した。そこそこ広い無人島だけど、一応動植物は豊らしいので食料や水分も結構豊富らしい。ほんとサバイバル専用の島って感じだよね。

 三次試験の合格順に島へと入っていくようなので、ヒソカが入島して2分後に私が入るらしい。最後の扉を潜った時はヒソカの方が前にいたからしょうがないね。

 

「それでは一番の方スタート!!」

 

 合図と共に、悠々とヒソカが一番に森の中に消えていく。そして2分後。

 

「それでは二番の方スタート」

 

 さてまずは寝床を確保してご飯でも食べようかな!!

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 ゼビル島は割と大きな無人島。中はほとんど森となっており川や草原なんかもあるし木の実や魚もいる比較的平和な島。こんなところでハンター試験をして荒れないかどうかが心配だね。まあハンター協会が何とかしてくれるでしょ。多分!

 

 私が今いるのは、目の前を小川が流れている森の中。

 やっぱり野宿するんだから水は欲しいよね。それに川には魚が生息してるし、周りの木々にはいろんな木の実がなってるから食料にも困らない。

 

 問題点を挙げるとすれば………お米がないからご飯がたけないのが残念かな。

 

 というわけで食料確保でまずは魚を取る。小枝を数本用意して、川を泳いでいる魚に向かって狙いを定め、そのまま投擲!!

 無事に魚が取れました!あとは焼いて食べようっと。

 

 火を起こして魚を棒に突き刺して焚き火に当てて焼く。塩もかけておく。獲って焼いて食べてって豪快な感じだけど、割とこういう料理も好きなんだよね。とりあえず焼いている間に木の実でも探してこようかな。

 と、歩いていると、ばったりとハンゾーに出くわした。

 

「おっ、ヒノじゃねえか」

「やーハンゾー。奇遇だね、調子はどう?」

「まだターゲット見つかってないんでね。正直ヒノはターゲットじゃないしほっといても良かったんだが、お前のプレートもらおうか」

 

 ひらひらと手を振って進展なしのアピールをしたと思ったら、にやりと笑いながら構える。その視線は、私のパーカーの裾についているナンバープレートに向いていた。

 

「ターゲット探せばいいじゃない」

「獲物をみすみす逃すやつがいるかよ」

「ちなみにハンゾープレート何番?」

「294番だ………しまったつい言っちまったよ!!」

「私のターゲットじゃないや。木の実もとったしじゃあね」

 

 そう言って、くるりと体を反転させてダッシュで逃げる。お腹もすいたし、こんなとこで戦ってらんないよ。

 

「まて!俺は忍びだぞ!逃げられると思うなよ!!」

 

 流石忍者だけあって素早い、伊達じゃないね。………しょうが無いなぁ。ハンゾーの死角となる茂みに一旦隠れて【絶】!そのまま木の陰に隠れて素早く移動した。

 

「あれ?気配が消えやがった!どこいった、ヒノー!!!」

 

 ひっそりと、完全に気配を絶って、音を立てずに陰から陰へと動く。しばらくハンゾーはきょきょろとしていたが、すぐにどこかへと去って行った。とりあえず仮拠点に戻って、魚でも食べようっと。

 戻ってくると中々に香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。塩だけでも結構おいしいよね。

 

 「それじゃあ、いっただっきまーす」

 

 もしゃもしゃ。塩焼き最高!そして木の実をデザートに食べる。

 そんな割と能天気に過ごしながら、一日目の夜は更けていくのだった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして次の日!

 夜は木の上で割と快適に眠ったし、朝ご飯も食べたし、さてどうしようかな?帰還が1週間もあるし最初から全力でターゲットを探すのもどうかと思うし、かと言って何もしないってものあれだしなぁ。

 

 ………………とりあえず適当に歩いて誰かに会ってこようっと。

 そんな消極的な考え方で気のままに森の中を歩いていくと一人の少年を見つけた。帽子をかぶり弓を背に背負った少年。年齢は、多分クラピカと同じくらいかな?

 当然の如く早速驚かせようと思い、【絶】をしてこっそりと後ろの近づく。僅か1メートルとなっても全く気付かれていないので、見ている分にはすごく愉快。

 

「こんにちは」

「うわっ!誰だ!!へっ?」

 

 ここまで気づかなかったのは問題だけど、驚きながらも振り向くと同時に背中の弓と矢を引き抜き構えに入る様は流石のここまで残ってきただけはある。

 こちらを向いて弓を構えてきたが私の姿を確認すると、強張った表情が驚きで崩れた。

 

「ちょっと、そんなもの人に向けないでよ。当たったら痛いよ」

「えっ!?い……いや今は試験中だし、君が俺を狙ってるかもしれないからね」

「私のターゲットは80番だから違うよ。ほら」

 

 ポケットからターゲット札を見せると、相手は少しだけ安堵の表情を見せた。けど、それでもまだピリピリと臨戦態勢は解かないみたい。

 

「………俺を狙う気はないのか?」

「もちろん。それなら声かける前に攻撃するよ」

 

 気づかれずに背後から声をかけられた事を思い出したのか、先方はとりあえず納得してくれたみたい。

 

「私、ヒノ。何してんの?プレート集めた?」

「俺はポックル。プレートはもう集めたから今は終了まで隠れてる最中かな」

「あ、そうなんだ。所で私のターゲット80番なんだけど誰だか知ってる?」

 

 ここで知っていたら儲けもの、知らなくてもまあ時間はあるしいいかな。そんな面持ちで聞いてみると、意外や意外、ポックルさんは普通に知っていた。

 

「ああ、80番か。確かサングラスをかけた女だよ。名はスパー。俺と同じで遠距離攻撃、向こうは銃器だけど、その関係で一応覚えてたな」

「あ、なるほど。自分と同じタイプだから知ってたんだ」

 

 弓と狙撃銃と、少し違うけど。何にしても、まさかの初対面で教えてもらうとか、三次試験でヒソカに減らされた幸運値が戻ったのかな?いや、そんな事ないか。

 

「でも助かった、ありがと!あ、携帯食料とかあるけどお礼にいる?」

「え?いや、ありがたいけど、いいのか?貴重な食料だし」

「いいのいいの、ハンター試験受けに来る前に念の為に色々買っといたし。それじゃ、私はそろそろぶらぶらと適当に散歩してくるから」

「ええ!?まだプレート集めてないんだろ?探したほうがいいんじゃないか?いや、無理はしないほうがいいけど」

「大丈夫だって、私三次試験は2番で合格したし」

「マジッ!?そういえば島に44番の次に入ってたな………」

 

 あ、そこは知ってたんだ。まあポックルが三次試験合格したのゴン達の少し前だから誰が一番だったとかの順番は知らないのか。

 なんにしても、貴重な情報ももらったし、そろそろ次に行こうっと。

 

 ポックルさんと別れた私は、近くの木の上に飛び上がり、周りを見渡す。見渡す限りの森、森、森………あ、川もあった。ついでに人もいた、ていうかゴンだった。川に向かって竿を振ってるけど、何してるんだ?魚釣り?にしては竿を振ってすぐに引っ込めてを繰り返している。竿の振り方を練習してるみたい。というわけで、行ってみよっと!

 

 例によって、気配を完全に絶った状態でゴンの背後から近づく。

 すごい集中力で竿を振ってるから、気配を消さなくても気づかなさそう。そう思って【絶】を解除したけど、本当に気づいて無い。普通にてくてくと歩いて、ゴンの背後から肩にポンと手を置いた。

 

「何してんの?」

「うわっ!!ヒノ!全然気付かなかったよ!」

 

 ゴンの集中力が凄すぎ。周りの音とか聞こえてなかったよね。

 

「釣竿降って何してんの?魚釣り………じゃなくて鳥釣り?」

 

 見た感じ、小川を飛んでいる鳥を釣竿で取ろうとしているようにしか見えない。随分奇抜な趣味をお持ちで。

 

「いや、動く獲物を取る練習をしてたんだよ」

「ふーん、なるほど。それでヒソカのプレート取るってわけね」

「うん。真正面からじゃ勝ち目がないから釣竿で奪おうと思って」

「それで鳥は取れたの?」

「うっ………それが難しくて。ヒノならどうする?」

「そうだね」

 

 一瞬だけ考えてから、私はカバンから少し硬い木の実を細かく砕いて手のひらに載せ、口笛を吹く。すると水辺の木にとまってた鳥が一羽こちらにやってきた来て、私の右腕に止まり、掌の木の実をつついて食べ始めた。

 

「ほら捕まえた」

「………それでどうやってヒソカからプレート奪うの?」

「ゴンでヒソカをおびき寄せてヒソカが攻撃してきたら、クロスカウンターでプレートを奪う………とか?」

「それってオレそのあと死ぬんじゃないの?」

「まあ今のは冗談だけどね」

「だよね………ん?攻撃の瞬間………!!それだ!」

「え、どれ?」

 

 ゴンは釣竿を構え鳥を狙う。そして鳥が魚を取ろうとした瞬間を狙い竿を投げ、鳥を捕まえた。

 

 なるほど、相手が攻撃する殺気のタイミングで同時に自分の殺気も紛れ込ませ、横からかっさらおうと。確かにこれならヒソカでも、プレートを取られるかもしれない。最も、其の後に追いかけて来るかもしれないから、逃げ切るまでが大変だと思うけど。

 

「う~ん、やっぱりもっと練習しないとね。それよりヒノはプレート集めたの?」

「まだだよ。ターゲット探さないとね。ゴンはこのまま竿振ってる?」

「うん。後もう一日くらい練習して百発百中で鳥を捕まえられるようにならないと!」

「オッケー。じゃ、お互い頑張ろうか」

「うん!ヒノも頑張ってね」

 

 晴れ晴れとした笑顔を向けて、再び竿を振り始めるゴンを見て、すぐに周りの声が聞こえない程集中し始めたのを感じた。邪魔しないように静かにその場を離れる。

 

 そっとその場を離れたと同時に、【絶】のまま近場の幹を踏み台に木の上へと一瞬で移動し、枝を蹴って目の前に見えた人影の首へと手刀を打ち付けた。

 

「ぐぉお!?」

 

 一瞬の呻きと同時に、がくりと体を崩して、木の上でぐったりと倒れた。どこかの民族っぽい黒人の人だけど、とりあえずみぐるみをっと♪

 

 そして―――――――――――――ヒノは384番プレートを手に入れた。

 

「やった、プレートゲット!」

 

 

 

 

 

 

 




ちなみにゴンは何も気づかず竿を振り続けている。

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