どうやら私が眠っている間に、色々あったみたいです。
寝込んでいたって話をミヅキから聞いてたらしく、普通に現れたから皆驚きつつも出迎えてくれた。なんだか照れるね。で、色々と寝てる間の話を聞く。
ゴンとキルアの2人が一度キャッチ&リリースされたのは本人に聞いたのさておき。
多少ドンパチあったけど最終的にミヅキが回収してくれたので軽傷があれど大した事無くてよかったよ。特筆すべき点はノブナガがゴンに腕相撲で1度負けた事かな。流石強化系!ノブナガもだけど。
そして重要なのは旅団の皆がマフィアのオークションに乗り込んで派手にやらかして、競売品を全部盗みぬいた事。鮮やかなお手並みだねー。
しかも偽物を用意して競売は普通に続行、しかも自分達の死体を偽装したという。
この作戦の要は、コルトピの念能力【
簡潔に言えば触れた物体のコピーを具現化する。本物に触る必要があるのと、具現化して24時間で強制解除されるっていうデメリットはあるけど、オーラが枯渇しない限り無尽蔵にコピーを作れる。そしてこの能力のすごいところは、偽物ではあるけどあくまで〝本物を具現化〟しているから、一流の鑑定士がどうやって見ても本物としか判断されない、ある意味完璧な偽物を作れる。
けど、24時間で消えるし多分今日の夜辺りになったら競り落としたマフィア達は騒ぎ立てるかな。まあその辺りジェイとの電話で察してたけどね。
というか、ジェイとの会話を思い出せば、なんかご機嫌斜めみたいだったし、コルトピの偽物に気づいてたっぽいね。なんでわかったのかな?刃物愛のなせる業?
まあジェイの事は置いておいて。
そんな感じで実に鮮やか(?)に競売品を盗み出したらしいけど、その過程でクロロはとても大変な物を盗んでいきました。
それは、ネオンのハートです!
という冗談も置いておいて、クロロがネオンの念能力盗んだらしいんだよね。ラヴリーって言うくらいだからハートと言っても過言ではないはず!まあ【
たまたま町中を1人で薄着で歩いていたネオンにクロロが声をかけて、競売会場のビルまで連れて行ってなんやかんやお茶したりしてうまーく能力を盗み取ったらしい。ていうかなんで1人で歩いてたの?お嬢様迷子だったのかな?マフィアの1人娘なのに普通に悪漢に攫われそうなんだけど。無事にビルまでたどり着いてよかったね。
まあクロロが1番の悪人なんだろうけど。
で、最終的に皆で競売成功!アジトに戻って乾杯!そして皆を予知して今に至ると。
なるほどなるほど。
というわけで、感想です。
「………クロロ、夜道を1人で歩いてた女の子(17)に下心満載で近づいて、最終的に無理やり気絶させて大事な物奪ったんだ」
「待て、確かに言葉だけなら事実だが、そうじゃない。というか絶対分かってて言ってるだろ。見ろ、他の奴からの俺を見る目が白いぞ」
何人かは笑いをこらえてるけどね。見てよヒソカなんて背中向けて肩震わせながら近くの瓦礫ガンガン叩いてるし。あそこまであからさまに笑いこらえてるヒソカなんて初めて見たよ。写メっとこ。ちなみに男性陣は大半が爆笑して女性陣からの反応は軒並み悪い。
「クロロ………あんたやっぱり………」
「おいマチ、やっぱりってなんだ!絶対わざとだろ!?」
「大丈夫よ。例え団長の好みが未成年だろうが一回り近く下だろうがなんだろうが、ワタシどんな性癖でもついてくよ」
「
「クロロ…クロロ………クロロリ―――」
「シズク、それ以上は喋るな。こんなくだらない事で団長命令を出したくは無いから頼む。お菓子やるから。あとヒノ人聞き悪い!」
別に嘘は言ってないよ、嘘は!
ネオンに
「普通に言葉の選び方に悪意がある気がするよ」
ミヅキにまた心を読まれた!これが双子特有の以心伝心って奴?
「いや、違うと思う」
そう?
「それにしてもネオンが1人で歩いてたんだ。護衛とかいなかったの?誰かしらいるはずでしょ」
「いや、普通に1人で歩いてたぞ。どうやら父親の反対を押し切ってオークション会場に自力で向かうつもりだった様だ。正直うまく誘導するつもりだったのが自分からわざわざ護衛を振り切って1人で外に出てきたから正直罠かと思ったくらいだ」
「まあ都合が良すぎると逆にね………」
世間知らずにも程がある。いや、会話した感じで分かってたけど、そんなにオークションに行きたかったんだ………。
声をかけたのがクロロじゃなければ最悪どうなっていたことやら。いや、クロロなら良いってわけじゃないけど。まあ無事に競売会場のビルまで連れてってもらったから結果オーライって所かな。マフィアの巣窟なら普通は危険地帯だけど、マフィア令嬢的には逆に一番安全だろうしね。
ふと、私の言葉に引っ掛かりを覚えたのか、クロロがネオンについて聞いてきた。
「そういえばヒノ、お前ネオン=ノストラードの事を知っていたのか?予知能力も知ってたみたいだが」
「うん、昨日………じゃなくて一昨日か。一緒にカフェでケーキ食べたよ」
『………』
ヒノの言葉に、旅団メンバーは何とも言えない表情をする。具体的にに言えばお前の交友関係どうなってんだ!?って心の中で思ってる。特A級賞金首の旅団が言えば盛大なブーメランだが。
クロロも予想外の返答だったのか、コツコツと自身のコメカミを指で叩きながら深呼吸する。一応ヒノとの付き合いも長いので、こういう突拍子もない情報がポロっと出てくる事があるというのは分かっていた。なので努めて冷静になろうとする。流石癖の強いメンバーをまとめる団長と言った所だろうか。
そして冷静な思考のままで、じっとヒノを見つめる。
(正直知り合いだったのは驚いたが………さて。ヒノが予知能力をネオン=ノストラードに返してあげて欲しいと言い出したらどうしようか………)
ネオンの予知能力は有用だ。世界中のマフィアが認めるその価値は計り知れないし、クロロが今後同じ能力者と出会う事もほぼ無いだろう。
特質系の能力というのは、たいていが血筋か、個人の突然変異だ。ネオンの父親が念法を扱えない常人であり、ネオン本人も念を全く理解していない事から、完全に1人の個人から突然変異的に生まれた能力。作ろうと思って作れる能力ではない。その為クロロは興味本位で手に入れた。
とはいえ、絶対手放さないか、と言われるとそこまででもない。
常に先を知る事は圧倒的なアドバンテージを得る事であり、全くの理外から降ってくる偶奇の事故死による死すら回避できる。しかし、それを永遠と見続ける事は、己の運命を全て予知能力に委ねる事になる。
それは果たして、生きていると言えるのか?
少なくとも、クロロにとっては否だ。
己の足で立ち上がり、己で力を蓄え、己の選択で今この場に立つ。それがクロロ=ルシルフルであり、幻影旅団だ。何者にも束縛されず、己の自由を謳歌する。
予知を使い続ける事は、死ぬ事と変わらない。目の前に壁が立ちはだかった時に解答を見せられ続ければ、人はいつしか思考する事すら忘れてしまうだろう。
故に、元々クロロはこの予知の能力を余程の場面でも無ければ使うつもりもなかったし、【
実際に、クロロにとって付き合いの長いヒノが返して欲しいと願えば、まあ別にいいかな?と思う程度には考えていた。
まあ、せっかく盗んだのでちょっともったいないという気持ちが無い事も無いが、精々がそれくらいだ。
「………ヒノ、お前元々ネオン=ノストラードと知り合いだったのか?」
「元々って言うか、歩いてたらナンパされて一緒に成り行きでカフェでケーキ御馳走になったんだけど」
「………………」
ありのままの説明をしたのに、クロロが黙りこくってしまった。ついでに旅団の皆もなんとも言えない表情をしている。なぜ?
いや、言いたい事は分かるけど、しょうがないじゃん!?成り行き以外の何者でもないよ!
再び考え込むクロロだけど、数秒して目を開いて再び質問タイム再開。
「あー、ヒノ。俺が予知能力を奪った事に感想あるか?」
「んー………クロロ、ネオンみたいに予知して商売でもするの?」
「最初に出てくる言葉がそれか………別にそんな事をする気は微塵も無いが、返してあげろとか言わないのか?知り合いなんだろ?」
「うーん、知り合いだけどあくまで知り合いだし。困ったら助けてあげようかなって気にはなるけど、正直予知能力盗まれたらどうしたものかな?」
「俺に聞くなよ………」
「というか返してって言ったら返してくれるの?」
「まあ能力は貴重だがどうしても持っていたいわけじゃないから、お前の頼みならやぶさかではないが」
え、ホント?クロロ男前。だったら返してもらった方がいいのかな?
それにネオンには私も予知してもらったし、多分絶対困ってるだろうし。けど正直マフィアが壊滅したらしいこの状況でネオンと予知がどれだけ重要かと考えると本当に返してもいいかなって気がしてくる。マフィア達がネオン巡って戦争とか起こさないよね?
あ、そうえばウボォーの事忘れてたよ。
「そういえばウボォー今うちのマンションの部屋で寝てるから、目覚ましたら連絡するね」
『!?』
その瞬間、確かにヒノ以外のこの場の全員が凍り付いたのだった。
【