時間は少し前に遡る。
ヒノやクロロの元へとマチ達が来る、およそ数分前。
「何も無い。確かに盗賊のアジトらしいと言えばアジトらしいが、人っ子一人見当たらない」
ボロボロと、今にも朽ち果てそうな建ち並ぶ廃ビルの群団を見上げながら、ミヅキはやや嘆息していた。
太陽の下で映える銀の髪を揺らしながら、重い足取りでとりあえず歩く。ビルの中には入らず、外側から見るだけに留めて探索を続けるのは、何かに警戒してか、はたまたただ面倒なだけなのか、それは分からない。
「おらぁ!」
「ぬぁっ!」
「ノブナガもフランクリンも、遊んで無いでさっさと行くよ」
「言ても無駄よ、ほとくね。アジトはすぐそこ。ささと行くよ」
そんな時、風に乗って、微かに声が聞こえた。
誰もいない廃墟と思い、向こうも隠す気の無い普通(?)の会話。気配を消しつつ聞き耳を立てるミヅキは、徐々に音の発生源に近づいていく。この辺り、ヒノと同じく怖い物知らずというか、無鉄砲と言うか。何も考えてい無いわけでは無いが、何を考えているか分からない。
「………?話声、打撃音、誰かが、戦っている?こんな所で?誰が?………旅団」
聴覚から入る情報を元に、一人自問自答したミヅキは、およそ勘も入り混じるがほぼ正しいであろう正解を一人で呟く。元々旅団のアジトを探しに来ていたので、ミヅキでなくても想像するに容易い事だろう。激しくなる打撃音の音を聞きながら、ミヅキは相手がいるであろうビルの角を曲がる。
その瞬間、人が飛んできた。地面と平行になりながら、吹き飛ばされてきたであろう人が文字通り、角を曲がったミヅキに向かって跳んできた。
(丁髷に和服に刀、ジャポン人?けど………ぶつかってやる義理は無い)
突発的な事案に、ミヅキは存外冷静に思考していた。
ここら辺もやっぱり似ている。突発的な事案に狼狽える事が少なく、愉快に思考するヒノとは違って、割と真面目と言うか冷徹と言うか、ミヅキはそこらへんの
急に迫ってきた、と言っても、音を置き去りにして衝撃波を出しながら、という程の速度でも無いので、避ける事はそう難しくない。ヒノであればそのまま避けて様子見しそうな場面だが、ミヅキはその場で、跳び上がった。
「ぐへらぁ!?」
跳び上がり、足元を和服のジャポン人(仮)が通過するのを見越して、その腹の上を盛大に踏みしめ、2度目の跳び上がりを見せる。空中での2段ジャンプは流石だが、飛んできた人間を踏み台にすると言う割と容赦の無い行動に、もしもヒノが見ていたら苦笑を浮かべる事だろう。
2度目のジャンプで少し距離を取る様に、瓦礫に埋まる地面に着地し、その衝撃でジャポン人らしき男は地面へと派手にぶつかり苦悶の声を上げる。最も、男が一番ダメージを受けたのは、最初に吹き飛ばされた事でもなく、地面に叩きつけられた事でもなく、ミヅキによって腹部を踏みつけられた事なのだが。
近くにいた彼の仲間と思しき似たような和服の女性、小柄な黒い外套の男、傷だらけの大柄な体格の男性、の3人が近寄ってきて、ぴくぴくとわずかに痙攣する男に向かって、心配そうに声を投げる。
「ノブナガ………生きてるかい?それとも死んだかい?」
「自業自得、やぱりほとくね」
「何やられてんだよ。情けなねぇな」
違った、あんまり心配そうにしていなかった。
その言葉にがばっと起き上がった侍風ジャポン人の様な男は、怒りに染まった表情をちらりと仲間であろう3人に向けるが、すぐに少し距離を置いて立ってこちらを見ている少年、ミヅキの姿を視界に捕捉して、ざっと足を踏みしめ近づいていく。
「ガキぃ、よくもやってくれやがったなぁ!」
「自業自得、正当防衛………としか言いようが無いんだけど」
今にも鬼すら切り殺さんばかりの憤怒を浮かべる侍風の男に、ミヅキは臆する様子無く至極まっとうな意見を述べる。全く持って混じりけ無い、虚実の欠片も無い正当な言葉だった。避けるだけでも良かったので少々やりすぎ感はあるが、傍から見ていた第三者なら、悪いのは先にぶつかりそうになった侍風の男と言うだろう。
もしくは、その男を吹き飛ばした、仲間であろう大柄な体格の男。しかしあの喧嘩は両者同時に始めた事でもあるので、やはり自業自得としか言いようが無かった。
「おい、ノブナガ!やめとけよ、相手は子供だぞ」
「ガキなんてほとくね。ワタシ達アジトに向かてる、余計な手間増やさないで欲しいよ」
「そうだよ。あんたのせいなんだから構ってんじゃないよ。どうせ子供のした事なんだし」
その事は他の仲間も同様に感じた事でもあり、宥め始める。
しかし、そのどれもが逆効果、と言うのをミヅキはなんとなく察した。目の前にいる男の怒りは、すぐ霧散できる類の物でも無い。一つ何かを清算しなければ、おそらく止まらない、そう感じた。
「ざけんな!
突如侍風のジャポン人(仮)の男、ノブナガが驚愕に表情を歪めた。
叫び声をあげると同時に、腰に差された2本の刀の内1本に手をかけて、ノブナガ必殺の〝居合〟の構えを取ろうとした瞬間、まるでそれが分かっていた様に、ミヅキが一瞬でノブナガの前へと肉薄していた。初見の人間に対して行われた異常な行動、それに居合と分かっていても普通は相手との距離を取るのがセオリー。それを、あえて近づいて来るという異様な光景に、ノブナガは思わず不十分な態勢の居合を放つ――――――しかし、それを後ろに飛んだミヅキに躱される。
不十分な態勢で放てば、それは〝居合〟で無く、ただの〝刀を抜く行為〟に他ならない。
前段階の準備で、足の位置、重心、呼吸、刃の位置、研ぎ澄ます必要のある行動が阻害された事にわずかに内心で疑問と動揺を誘われながらも、刀を抜き放った自分と、素手であろう相手の姿を捕捉して、まだ何も始まっていない事を即座に理解し、跳び出した。
(やはり、居合を得意とする剣士、いや侍?………………まぁ、一度居合を阻害しただけで、激減に力が減る事は無いだろうけど)
真っ向から引力に歯向かう様に、背後へとバックステップで跳び出すミヅキは、迫るビルの壁面に足を付け、再び跳ぶ。そのまま、やはり異様な光景であろう、地面の方を向きながらバックステップで壁を登るという光景に、様子を見守っていたノブナガの仲間達も少々感心した様だった。驚く事は無かったのは、壁を走る動作くらい、彼らにとっては造作も無い技術。
後ろ向きで、という条件が付けば、少しできる者に制限が付くのは否めないが。
ノブナガはビルの上へと壁伝いに上っていくミヅキを見て、同様に壁に足を掛けて垂直に駆け抜けていく。
一瞬で接近するノブナガの技量は、流石としか言いようが無い。そのまま抜身の刀を振るい、ミヅキに向かって脳天直撃で振り下ろした。
バシィ!!
「なっ――――――」
「真剣、白刃取り」
ノブナガは一流の剣士。ほぼ我流に近い剣術ではあるが、念の取得と常人離れした身体能力や彼自身の技量により、旅団の中では最も強い剣士と言えるだろう。まあ旅団で剣を
そのノブナガの剣を、正面から両手の平で挟んで受け止めた事に、地上で見ていた仲間達も今回は素直に驚いていた。
「ほぉ、ノブナガの攻撃を正面から受け止めやがったぞ」
「きとノブナガ、子供だから手加減してるよ」
「あたしにはそうは見えないけどな。ていうか先にクロロの所行った方がいいね。事情説明しとかないと後が面倒だし」
この3人の中では比較的に常識的な和服の女性マチの提案に、残りの二人も同意して一足先に目的地であるアジトへと向かう。一見して薄情にも思える様な光景だが、3人共仲間であるノブナガの負けなど一ミリも疑っていない。それだけの実力、力、技量、全てにおいて、幻影旅団という集団は、有象無象の念能力者も、プロハンターすらも凌駕する。それは相手が子供だろうと大人だろうと関係無い。
だが、ノブナガ本人は、目の前の相手に驚きを隠せなかった。こちらをじっと見つめる、自身よりも2回り以上も歳下であろう、少年の姿に。
(動かねぇ!?このガキ、どんな腕力してやがる!)
体格差があっても、押し切る事が出来ないミヅキの腕力。
ノブナガ自身は旅団の中で比べれば中堅程の腕力ではあるが、それでも常人とはかけ離れている事には変わらない。にも拘わらず、自身の刀の一撃を受け止められた事に加え、それを離す事も出来ない。
ミヅキ自身の腕力がノブナガより強い、というのもあるが、態勢的にミヅキの方が力を籠めやすい。
忘れているかもしれないが、二人の足場は未だ、ビルの壁面に立って攻防を繰り広げている。必然、態勢が上のミヅキの方が重さを掛けやすい。
「隙――――――」
驚いたノブナガに、ミヅキは右足の蹴りを、刀の持ち手に叩き込んだ。一瞬だけ緩んだ隙。しかしそれは、僅かに握り直し再び力を籠めようとする、刹那の動きを突く攻撃。それを見極めるミヅキの慧眼もさることながら、それに対応して咄嗟に、ノブナガは刀を持つ手を放した。
「ちぃ!このガキ!」
刀に多少の愛着あれど、己の魂より大事というわけでは無い刀を離し、もう一本の刀に手をかけて、再び居合の構えを取った。
その行動に、ミヅキは両手で挟んでいる刀を離し、自身はさらに上へと、ビルの壁面を登っていく。ノブナガも振り抜いた刀で、重力に従って落ちてくる刀を振り払い、さらに上へ上へと駆け出していく。
(俺の〝居合〟が見切られている?このガキ、やっぱりただのガキじゃねぇな)
一度目の〝居合〟を邪魔された事が偶然か必然か、ノブナガは内心で疑問視していたが、2回目の居合が躱された事で、確信したくない事実を確信した。意図的に、ミヅキによってノブナガの居合が阻害されている事に。
ミヅキは、基本素手戦闘のヒノと違い、剣術の心得が深い。九太刀流という流派の皆伝でもある九太刀緑陽より剣を教わった。達人を超える剣の超とでも称される緑陽の剣を何度と無く視た事のあるミヅキにとっては、ノブナガの剣は確かに超一流の達人と呼べるが、それでもまだ最高ではない。
(
ミヅキは、ノブナガによる最初の居合いの体勢も、彼のわずかに上下に開く様な足運び、少し落とす重心、鞘に宛がう左手の力加減、速度を速める為の脱力………それらを視抜き、居合の形が完成する直前で懐に入り、抜かざるを得ない状況を作り出した。
陣を取り、思う様に動かされたノブナガは苛立ちながらも、どこか楽し気に口角をわずかに上げる。
(
上へ上へと登り続ける二人は、ついに、屋上に到達した。
強く叩きつける風を両者共にものともせずに、数メートルの距離を取って相対する。屋上の中央程にノブナガが腰を落とし、左手に鞘、右手に柄を握り居合の構えを。距離を取り屋上の角には、背後に高所を備えた、ミヅキの姿あった。
「正直ただのガキかと思ったが、面白いじゃねぇか。逃げるだけなんてやめて、かかってこいよ」
挑発的にそう叫ぶノブナガに対して、ミヅキはちらりと、僅かに背後を見る。屋上の端から見える景色は、遥かな高所。そのまま落ちれば、ただじゃすまない高さ。
ミヅキは、己の背後に背負われた、自分の身長に近い包みを解いて、掲げた。
(!?…………何だ?あの剣は………………ただの剣じゃねぇ。【周】?いや、それにしては……)
ミヅキの手に握られているのは、刃の長さが110cm程もあるロングソード、念剣のエディン。見る者を惑わす様な、鍔元にはあざやかな真紅の石がはめ込まれ、柄に金色と銀色の装飾の施された両刃の洋剣。刃の輝きから、単純に美術品としての価値だけでなく、戦闘用でも十分な力を持っている事が理解できる。
だが、ノブナガが【凝】をした瞳で見れば、悍ましい程のオーラの籠められた、怪しげな魔剣。
後退しないまでも、警戒する様に刀を握る手に力を籠める。完全なる後の先の構え。自分から攻撃する事無く、どんな攻撃が来ても完璧に切り捨てるという意思が現れた構え。
その構えに対して、ミヅキは奇策を選んだ。
「エディン――――――放て!」
念剣エディンを振り下ろし、
***
ズウウゥウン!!
突然地響きの様な音が鳴ったと思ったら、眼前に見えていた、今にも朽ち果てそうなボロボロの廃ビルの一つが、音を立てて崩れ始めた。ガラガラと瓦礫をまき散らし、巨大な粉塵が巻き起こる。ビルが一棟崩れる光景って、中々見ないよね。
「うわ、あれ何があったの?ねぇマチ、フェイ」
「あー、どうだろうね。ノブナガとあの子供があそこで戦ってると思うけど………」
歯切れの悪いマチの言葉。どうせなら一人くらい残してくるべきだったかなぁ~、と今更の言葉を呟きながらも、被害が出ないくらいのそばに近づいてみた。
瓦礫が降り注ぎ、中に人がいれば生き埋め必至な状況。あー、ミヅキもノブナガも、一体何をしているのか。
ビルを破壊するって事は、ウボォーやフィンならともかく、ノブナガは強化系と言っても破壊力重視なタイプじゃないし、ミヅキの仕業かな。ミヅキの場合は私と同じ特質系だけど、エディンもあるから廃ビルを壊す破壊力くらい出せるだろうし。
わずか数秒で、先程まで聳えていたビルは倒壊して、瓦礫の山が出来上がった。
………………大丈夫かな、これ?
後ろからやってきたクロロも、目の前の現状を見てやや面倒そうな表情を浮かべた。
「どうしたらこうなるのか………。ヒノ、【円】で瓦礫の中を探れるか?」
「いいよ」
私は瓦礫の山に登りながら、【円】を広げて中を視て行く。ちょっとした山になっている瓦礫だけど、動きながら見れば大方全体を見渡せるから、【円】って便利だよね。
「ヒノって【円】使えたんだ。ていうか、でかくない?クロロ知ってた?」
「半径100メートルはいけると聞いた事あったが、流石にあそこまで軽快に動きながらできるとは予想して無かったな。普通無理だろ」
さて、ミヅキとノブナガはっと………ん?瓦礫の下で何かが動く音が………近づいて来る。
そう判断したら、すぐに瓦礫から飛び降りる。その瞬間、ドゴォッという瓦礫を吹き飛ばす音と共に何かが這い出てきた。
「ぷはぁ!死ぬかと思った!【堅】で全身守らなきゃ危なかったぁ!」
ノブナガが復活した。見た感じそこそこ汚れたりちょっとした擦過傷くらいあるけど、ほとんど無傷に近いね、さすがノブナガ!伊達や酔狂で旅団してないね。機嫌は悪そうだけど。
「ノブナガ―、大丈夫ー?」
「あぁん!?………………て、ヒノじゃねぇか!ひさしぶりだなぁ、おい!」
一転して、表情が変わったノブナガは瓦礫を滑り降りて私の前に来る。
「なんだ、元気そうじゃねーか」
「ノブナガも元気そうだね」
「この状況見てそのセリフを言うたぁ、相変わらず豪胆な奴だな」
わしゃわしゃと私の頭を乱暴に撫でながら、ノブナガは笑って迎えてくれた。髪がちょっとぐちゃっとしちゃったけど、こういうスキンシップは結構嬉しかったりする。
「ノブナガ、生きていたか」
「お、団長!久しぶりだな!つーか、フランクリン!てめぇのせいで散々な目にあったぞ!」
「後半は明らかに自分で突っ込んで行ったけどな」
「るせぇ!」
否定はしないんだ。ていうかミヅキどこ行った?
あの崩れたビルの瓦礫を探してもミヅキいなかったし、となると崩壊直前に離脱したのかな?
「それで、お前は誰と戦ってたんだ?マチからはヒノと同じくらいの子供と聞いたが」
「ああ、正直子供と思って舐めてた。あれ、普通のガキじゃねぇぜ」
「まあヒノみたいに(実力が)おかしい奴もいるし、あながちいないとは言い切れないが、このタイミングで現れるというのも気になるな。明日はオークションが始まる事だし」
「ワタシ達仕留めに来た言うのか?」
「どう思う、マチ?」
「そうだねぇ、そういうのとは違う気がするんだよね。勘だけど」
そう言ってマチが会話しながら私の髪を櫛を使って整えてくれる。あとさりげなく私クロロに馬鹿にされてる?
マチの勘はよく当たるから、クロロも基本情報とか作戦に組み込む程らしい。それは旅団内では基本オカルトや幽霊を信じない団員も信じると言う信憑性の高さ!一体どうなってるの?いや、私もマチの勘すごい当たると思うよ。
それにしてもミヅキだけど、一体どこに行ったのか。ノブナガの話を聞いてるとビルの上で最終決戦!みたいな状況だったみたいだから、屋上に近い別のビルに飛び移ったのかな?となると、あの辺りのビルにいそうな気が………………あ、いた。
「………………」
隣のビルの屋上から、私の方をじっと見ながら、手元の携帯をひらひらと振っている。
いや、充電無いんだって!ごめんってば!すぐに察したのか、少し溜息を吐いたミヅキはその場から飛び降りて、壁を蹴って威力を殺しながら、すぐに地面まで到達して、こちらに向かってきた。
そして、私達の近くまで歩いてきた時、一瞬風が吹いた気がした。
「てめぇ、よく現れたな」
そう言ったノブナガがミヅキの正面に、背後にクロロ、フェイタンが取り囲むようにして一瞬で移動していた。マチとフランは私の横に普通にいる。ノブナガは言わずもがな、好戦的なフェイタンとリーダーでもあるクロロが直々に相手を確かめに………て感じかな?
「質問に答えて貰おう。お前は、一体何者だ?」
静謐に、ゆっくりとした口調で語るクロロの言葉。一言で、相手の素性を全て含めた疑問をぶつける言葉。その言葉に対して、抗う術など何人も持ち合わせていない。有無を言わさない迫力と貫禄、そして目の前で繰り広げられた圧倒的実力の檻。この中に囚われて、黙っていられる人はそうそういないだろう。
まあ、今回はそういうのは一切無視するんだけど。
「ミヅキ、一体今まで何してたのさ」
私が、その檻をぶち破った。いや、しょうが無いよね?このまま戦い始められても困るし!
「あ、ヒノ。いや、正当防衛だからしょうが無いだろ。それより、携帯の電源入って無いのか、充電して無いのか、通話繋がんなかったぞ」
「
「それはまぁ………成り行き?」
成り行きでビル壊されても困るんだけど。別に私のビルとかじゃないから、まあ実際は全然いいんだけどね。問題はもう一人の当事者だったノブナガなんだけど……………あれ?なんか皆が唖然としている様な。
「マチ、皆どうしたの?」
「いや………ヒノ、こいつの知り合いなのかい?」
「うん、私の双子の兄」
『はぁ!?』
正直、クロロですらびっくらこいた!という様な表情をして、この場にいるノブナガもマチもフランもフェイも同様に程度の差と表情の変わり方は違えど、素直に驚いているみたい。そんな中で、ミヅキは改まって、というのもおかしいけど、あまり変わらない表情で自己紹介をした。
「どうも。ヒノの兄のミヅキ=アマハラ。よろしく、幻影旅団」