消す黄金の太陽、奪う白銀の月   作:DOS

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第1話『ヒノ=アマハラ』の最後の登場人物紹介欄に挿絵を投稿してみました。良ければみて見てください。出来に関してはあまり突っ込ま無いで頂ければ幸いです。



第33話『水面に映る花模様』

 

 前回のあらすじ!

 サダソさんは実家に(多分)帰って、リールベルトさんはミヅキによってKO!

 

 ここからはあらすじじゃなくて結果報告。

 その後に続いた試合なんだけど、まずはゴンとギドさんの闘い、リベンジマッチという事で、正面から独楽を迎え撃ち、鉄製の義足を拳ぶち折って、ゴンの完勝!200階に上がってきた当初とは比べ物にならないくらい強くなったね。成長速度が速い。

 

 ちなみにギドさんを倒した方法だけど、釣り針を舞台に引っ掛けて、ギドさんが乗ってた石板をひっくり返して回転を止めたの。やり方が豪快と言うか、よく思いつくとつくづく感心する。あと石を持ち上げるあの釣り竿が何でできているのかも気になる。エレベーターで使うワイヤーとか?

 

 天空闘技場から去ったサダソさんも、車椅子が壊れたリールベルトさんも、義足を折られたギドさんも、最終的にゴンとキルアの試合には出られず、残りの試合は全てこちら側の不戦勝となりました!パチパチ!

 

 私?いやいや、私はまだ準備期間残ってるし、特に戦って無いよ。

 とりあえず200階でも勝ちを得た事で、ヒソカから戦いの許可をもらったらしい。

 

 いつでも、相手になると。

 

 ウイングさんによる念の修行も、残すは【発】のみ!さあ、今日も頑張ろう!

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「いよいよ今日から【発】の修行に入ります。これをマスターすれば念の基礎は全て修めたことになります。あとは基本に磨きをかけ、創意工夫をもって独自の念を構築していくだけです。それでは始めましょう」

 

 ヒソカから戦いの了承を得たゴンはキルアと共に四体行、最後の【発】の修行に入るのであった。

 ちなみにウイングさんの宿屋、つまりこの場所には、私とミヅキも普通にいる。

 

 

 【発】とは念能力の集大成。

 

 放出系・強化系・変化系・操作系・具現化系・特質系の6つのタイプに大別される。

 

 【発】とは念能力者にとっての必殺技にもなり、自分にあった能力を見つけることが大事である。6つの属性それぞれ六角形に配置して、相性を示す六性図という図形で表される。自分の系統が最も覚えやすく、その隣あった2つの系統が相性が良いとされている。

 

 並びは上頂点に強化系、次に変化、具現化、特質、操作、放出、そしてまた強化に戻るという順番。

 いわゆるこんな感じ?

 

     強化

 放出     変化

 

   

 操作      具現化

  

     特質

 

 なので強化系の人間が覚えるなら、自身の系統と、隣り合った放出系、変化系の能力がベスト!他の操作、具現化などは、覚えられない事は無いが、相性はイマイチなので、能力も微妙なのになってしまう。

 

 例を上げると、ヒソカの能力であるバ【伸縮自在の愛(バンジーガム)】は、オーラをガムとゴムの両方の性質に変化させる為、これは変化系の能力。そしてジェイの【不可思議な刃物(ジャックナイフ)】もオーラを刃物の性質に変化させる為、この能力も変化系。

 

 二人共自身の系統が変化系と知っており、故に相性抜群の変化系能力を会得した。

 

 しかし、例えばカストロさんはウイングさんの見立ててでは強化系に属する人なんだけど、自身と相性の悪い具現化・操作系の能力の【分身(ダブル)】を作ってしまった為に、結果的にすごいけど色々と今一つの能力者となってしまった。

 

「要は選択ミスってことだろ。でもさ、自分のオーラがどの系統属してるかなんて調べる方法なんてあんの?」

 

 最もな疑問だねキルア。でも大丈夫!過去の人は偉大な人がたくさんいるけど、そんな人が発見したり生み出したやり方は今でも語り継がれている。

 ウイングさんはワイングラスにいっぱいの水をいれその上に一枚の葉を乗せて用意した。

 

「【水見式】。ここに手を近づけ【練】を行う。その変化によって資質を見分けます」

 

 ウイングさんが【練】をすると、ワイングラスになみなみと注がれていた水が勢いよく溢れ出し、下の机を濡らした。おお!

 

「へぇ!すごい、初めて見た!あとウイングさんって強化系なんだ!」

 

 なんかイメージと違ったよ。強化系って単純ってよく聞くし。ウヴォーとかウヴォーとか、あとはウヴォーとか!

 

「おや?ヒノさんは初めてですか。しかしそれなら自身の系統はどうやって?」

「私が知ってるのは【開花法】っていう調べ方。ミヅキ、あれ持ってる?」

「ああ………確かここに、ほら」

 

 そう言って、ミヅキは鞄から何かを取り出して私に放り投げる。

 小さく、およそビー玉くらいの黒い粒が私の掌に乗る。ゴン達は覗き込むように見て、ぽつりと呟いた。

 

「これって………植物の種?」

「そ!これに少しだけオーラを込めると」

 

 とたんに、まるで植物の成長動画でも見ているかのように、私の掌に乗っていた黒い種に亀裂が走り、そこから生まれた芽が膨らむように伸びて、茎も葉も無い、蕾を作り出した。水に浮かぶ蓮っぽく見えるけど、これはそういう感じじゃなく、本当に今の時点では蕾しか無い。条件によっては葉も出るけど。

 

「ほう。これは、随分不思議な花ですね………」

 

 ウイングさんは興味深そうに、一連の蕾の動きを観察する。

 

「〝リヴリアの花〟だよ。ゴン、これ持って【練】してみてよ」

「いいよ。………それじゃぁ【練】!」

 

 その瞬間、ゴンの掌の蕾は、外側の花びらが数枚動き、開く。このままいけば満開になると思うけど、咲いている途中、のような感じで止まってしまった。

 

「これって………どういう事?」

「〝蕾が開く〟のは強化系の証だよ。ゴンはウイングさんと同じで強化系だね」

「おお!」

 

 【練】を解いた瞬間、ゴンの掌の花はゆっくりと、再び蕾に戻ってしまった。これで次の人ができる、というわけなの。これが、私の知ってる系統判別方法【開花法】。シンリに教えてもらった。この種も貰ったけど、どこに生息しているとかはよく知らない。ただオーラを吸って花を咲かせる特殊な花らしいけど。

 

 ちなみに他の系統では別の変化が起きる。

 例えば変化系のジェイだったら〝花弁に模様が浮かぶ〟とかね。

 

「次は自分っす!」

 

 次はズシの番。【水見式】の方で【練】をしたら、葉っぱゆらゆらと水の上で動いた。

 

「葉っぱが動いてるっす」

「〝葉が動く〟のは操作系の証です」

 

 操作系といったらイルミさんとかシャルか。戦うとしたらズシもなにか操作するのかな?でもズシだとあの二人みたいに人を操作とかは似合わなさそう、というか性格の問題で無理っぽいから、人以外の何かか、自分を操作。

 

 念は使い手の性格とかに反映されやすく、自分が得意な事に関する能力なら抜群の相性になる。あ、そういえば操作系って愛用の品とかだったら操作しやすいって言ってたけど、ズシだとなんだろ?

 

 最後にキルア。こっちも水見式で【練】をしたけど、見た目に何も変化は起きない。

 

「何も変わんねーぞ。もしかして俺って才能無い?」

「いえいえ、水を舐めてみてください」

「………………!?少し甘い……かな?」

「〝水の味が変わる〟のは変化系の証です」

 

 甘くなったのか。確かちょっと前にジェイがやったときは、水が辛くなったんだよね。ここらへんの味の変化も人それぞれなので、キルアみたいに甘いとなんか得した気分だね。

 

「じゃあヒノとミヅキも見せてみろよ」

「そうだね、やってみて」

「いいよ。それじゃあ、」

 

 せっかくなので私も【水見式】をやってみよう!

 ワイングラスに手を掲げて、私は【練】を行った。

 

 すると――――――

 

「あれ!?ワイングラスが空になった?水と葉が消えたよ!」

「ウイングさん、これは?」

「〝5つの系統の変化以外の変化が起こる〟のは特質系の証。この変化はどの系統の変化でもないので、ヒノさんの系統は特質系ですね」

「へー、特質系って何ができるの?」

「特質系は他に類を見ない特殊なオーラ。なので人によって少々変わった念能力となるのですよ」

 

 例を挙げるなら、旅団のリーダーのクロロは他人の能力を盗むし、パクだったら触れた相手の記憶を読む。こういう、特にパクみたいな割とローリスクな条件で相手の情報を知れるタイプは結構珍しいけど、いる故に念能力者は自分の痕跡を極力消そうとする。自分がわずかに残した肉声や髪の毛からも、念を使えば深い情報を知られる恐れがあるから。

 

 これがある意味念能力の恐ろしい所。本人の知らない部分も知れる能力とかもあるらしいし。

 

「そうなんだ。じゃあヒノも変わった能力があるの?」

「まあね。でも正直言って一切参考にできないよ?」

 

 それが特質系が特質たる所以。六性図の一番下に位置してはいるが、だったら具現化系と操作系の能力者は、自身の系統の次に特質系が覚えやすいか?と言われたら、否だ!

 

 特質系は覚えようと思って覚えれるわけじゃなく、あれは独立した、いわゆる念の中のブラックボックスの一つ。ただ具現化系は後天的に特質系に代わるケースがあるらしい。 特殊な能力を付与した物質を具現化する、というのが一般的な具現化能力だから、分からないでも無いけどね。

 

 一先ず特質系を参考にするのは基本的に無理、という事で、キルアは少々残念そうだった。

 

「ちぇっ。じゃあ次ミヅキ、やってみてくれよ」

「いいよ。ゴン、それ貸して」

「うん!」

 

 ミヅキはゴンから先程の蕾を受け取ると、【練】をした。

 すると、蕾は徐々に沈み、まるで内側からブラックホールに吸い込まれていくかのように歪み、最終的には、元の種だけが掌に残る事となった。

 

「逆再生!?ヒノ、これは?」

「〝5つの系統の変化以外の変化が起こる〟のは特質系。ここらへんは【水見式】も【開花法】も一緒みたいだね。ミヅキは私と同じ特質系なんだよ」

 

 流石は双子!まあ兄妹間でも一人一人性格が違うように、系統も違ったりするけどね。 確かに両親の系統が子供にも流れる可能性もあるらしいけど。………そう言われると私の周りに正確に親がいる人少ないんだけど。私もミヅキもジェイも旅団の皆も

 ………いやいや、よく考えたらゴンやキルアだって現時点では親の系統知らないんだしね!

 

「さあこれで3人がどの系統に属しているのかが分かりました。これから4週間はこの修行に専念し今の変化がより顕著になるように鍛錬を続けなさい」

「「「押忍!」」」

「「はーい」」

「いや、お前らは修行しないだろ!?」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そしておよそ4週間後、ヒソカとの対戦を明日に迎えたゴンはキルアと共にウイングさんの宿へ、修行の成果を見せにきた。もちろんズシだっているし、私もミヅキもいるよ!

 

「あ、ヒノその鞄のストラップどうしたの!それってキツネグマでしょ!」

「うん!少し前に貰ったんだ!知ってる人形屋の支店が近くにあってね」

「ヒノ、その話はまた今度だ」

「そうだぜ、ゴン。今日来たのは明日の為だろ?」

 

 明日はヒソカとの対戦日。

 今までの念の修行の成果、今日の出来次第!

 

「それでは修行の成果を見せてもらいましょうか」

 

 ウイングさんに、【水見式】の用意されたグラスを差し出され、一番手のゴンが手を掲げて、一度深く呼吸をし、一息に【練】をした。

 するとグラスから勢いよく水が溢れて、グラスの下の机が水浸しになった。

 

「おお!」

「すげー勢いだぜ!」

「水浸しだな」

「よろしい、次キルアくん」

「おう」

 

 2番手は、キルア!

 同じくグラスに手を掲げて【練】を行う。しかしその水はピクリと揺れる事無く、一切の変化が無い。しかしそれは外見だけ、その中身は一体!【練】を終了したキルアは、手で示す。

 

「いいぜ」

 

 変化系の変化は見た目ではわからないから、私達は水を舐めてみると――――――

 

「!!」

「すごく甘い!はちみつみたいだよ!」

「美味しい!なんて便利な!」

「ヒノ、なんか感想違くね?」

 

 やっぱり甘いのはいいよね。でもこの場合【練】で甘くしたから、本来砂糖水やジュースなどに含まれるような甘味成分、例えば果糖(フルクトース)砂糖(スクロース)みたいな、言い方はあれだけど人体に影響のある成分が一切入っていないのだろうか。

 もしかしたら、いわゆる甘味はあるけどカロリーとかは少ないダイエット系のノンカロリーシュガーみたいな感じの水が出来上がるのかな?

 

 そう考えると色々と便利な使い道が――――――

 

「ヒノ、どうしたの?」

「ゴン、ほっておいていいよ。ヒノはたまに深読み、というか思考が脱線するから」

 

 なんて事を、ミヅキだってたまに思考が戦闘態勢(バトルモード)に入る時があるじゃない。

 まあそれはいいとして、4週間の修行の成果は、ウイングさんも認める所となった。

 

「まったく、たいしたものです。2人とも、今日で卒業です。そしてゴンくん。裏ハンター試験合格!!おめでとう!!」

「え」

 

 プロのハンターになるためには念法の会得は最低条件。

 ハンターは密猟者や略奪者など、例えば賞金首(ブラックリスト)ハンターになれば指名手配犯を捕まえる機会だってある。その為、ハンターそれに見合う強さが求められる。

 

 念というものは、やろうと思えば誰でも使用できる為、悪用されればその場合は凄まじい破壊力となる能力。

 なのでハンター試験に合格したものにだけ、裏ハンター試験と称し、密かに先達のプロハンター達が、新人ルーキーハンター達に念を伝授することになったそうだ。こちら説明ウイングさんより!

 

「じゃあウイングさん。私は?」

「ヒノさんは最初から条件を満たしているので、ハンター試験合格とともに裏試験ももちろん合格ですよ。師範はジャポンにいた時に伝えるつもりだったそうですけど、忘れていたそうですよ」

「ねえヒノ、師範の人って?」

「心源流の師範代はゴンも知ってるネテロ会長だよ。私はジャポンの道場に一回行った事あるんだ」

 

 そう教えると、ゴンもキルアも驚いていた。まあここまで話を聞けば、色々とネテロ会長(ハンター協会)に仕組まれてていた感は否めないしね。実際に仕組まれてたし。

 

「ちなみにヒノさん同様に、ヒソカやイルミも同じく試験時から念を修めているので、裏試験はパスしています」

 

 まあそうだよね。ていうかネテロ会長、ハンター試験終わってから2回も私に会ってたのに裏試験の説明をしないなんて。別にしなくても支障は無いけど、ハンターに関する知識力が低下していたね、うん。次に会ったら一言文句の一つや二つ言っておかないと。  例えば「やっほー、うっかり会長!」とか?

 

「キルアくん、ぜひもう一度試験を受けてください。今の君には十分その資格がありますよ。私が保証します」

「………ま、気が向いたら」

「あ、キルア嬉しいんでしょ!そうでしょ!」

「俺も、キルアなら合格間違いなしだって思うよ!」

「………そか」

 

 頬が少し赤くなって、キルアも照れてるんだね~。しかもゴンの方は純粋な勝算だから、キルアみたいなタイプは照れるしかないね!

 

「ミヅキもハンター試験受けてみれば?色々と便利だよ」

「例えば?」

「外国にずっと滞在してられる!」

「ほう、確かに便利だな」

「ヒノさんもミヅキさんも、なんかズレてるっす………」

 

 ちなみにウイングさんによると、同期のハンター試験合格者であるクラピカとハンゾーはすでに念を修得しており、ポックルは【練】に手こずっており、ポドロさんは【発】の修行段階。レオリオは医大受験をした後に修得するみたい。

 

 念は心源流の師範代か、もしくは近場(この場合場所の近さではなく、近しい人間など)のプロハンターが教えてくれる場合があるらしい。という事はウイングさんってゴンに念を教えるために天空闘技場に来たのかな?いやまさか、偶然だよね。

 もしくはズシの修行と同時にゴンの修行もつける、まさに一石二鳥の修行方法か!他の合格者達もどういう経緯で師範代と出会うんだろうね?

 

 まあなんにしても、これでようやく念の修行が終わった。

 基礎の、っていうのが前に付くけど、その先の応用や念能力は、この先のゴン達次第だね。

 

 明日のヒソカ戦に備えるゴンに、ウイングさんは激励を送った。

 

「最後に一つ忠告です。明日の試合、くれぐれも無理しないように!!」

「はい」

 

 そして、ゴンとヒソカの決戦当日!

 

 

 

 


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