「以上で、『ヒノの旅日記~華麗なるゾルディックまでの道のり~』の発表を終わりまーす。はい拍手!」
「わー、面白かったね」パチパチ
「「面白くねーよ!」」
ふむ、ゴンはこんなに素直に喜んでるのに、キルアとレオリオは一体何が不満なのかな?そしてクラピカ、なんで額に手を当てて目を伏せてるの?頭痛いの?冷えピタ使う?
「だいたい!何が華麗なるゾルディックまでの道のりだよ!結局分かったのは密猟団ぶっ潰してハイジャック犯ぶっ倒して飛行船飛び降りただけじゃねーか!その後どうやって家に来たんだよ!」
「そーだそーだ!キルアの言う通りだ!つーかここらへんさっき聞いたわ!」
「けどもうキルアと会って外に出たんだし、もうそこらへん掘り下げなくてもいいんじゃない?」
「クラピカ!お前も何とか言ってやれ!」
「いや………私は正直どうでも良くなってきたよ。何にしてもヒノの言う通り、キルアと再会できた。過去の事は忘れようじゃないか」
「クラピカ!?クラピカからあるまじき言葉が出てきたよ!これ絶対バグってるよ!作者さーん!」
やり直します。
「クラピカ!お前も何とか言ってやれ!」
「いや………わたしは正直どうでもよくなってきたよ。ヒノのここに来るまでの過程は興味深いが、あまり解決した人の仕事に口出しするというのは無粋だ。ここは素直にキルアの再会を喜ぼうじゃないか」
「そうだね」
「あれ?いま変な間が無かった」
ゴン、それはきっと気のせいだよ。神様的なあれ、ちょっとこれ以上は発言がおかしくなるからそろそろ流れを元に戻します!
「そういえばゴン。ゴトーの使ったトリックは、おそらくこういう事じゃないのか?」
クラピカ先生による、手品講座!
キルア曰く、種を聞いたら腹立つくらい簡単と。確かに聞いてみたら、とてもシンプルな手品だった。
右手にあらかじめコインを持ち、左手で2枚目のコインを弾いて、相手に分かりやすく左手で掴む。この時、両手にコインが1枚ずつ握られている事になる。そして、掴んだ方、左手のコインを、さりげなく拳をわずかに開き、隙間から袖の中に入れる。
そうすれば、後は右手に残ったコインのみ、という寸法。おお、確かに簡単だ。
「まあそのトリックを使ったのは最後だけだと思うよ。例えゲームでも、ズルは嫌いだからな、ゴトーは」
キルアがそう言うなら間違いないね。ゴトーさんは何年もキルアを見てきたなら、キルアも何年もゴトーさんを見てきたはずだからね。なんかどっかの哲学者の格言みたいになったね。
「それで、この後どうするの?どっかご飯でも食べに行く?」
「お前は何というか、ゴンとは別の意味で能天気だよなぁ」
そうかなぁ?一段落したし今なら何してもオッケーな感じしない?まあ皆さほどお腹は空いて無いみたいだし、私も冗談半分だったんだけど。
「けどゴン頑固だよな。ハンター証使えば観光ビザ使わずずっと滞在できるのに」
「そういえばゴンはハンター証使ってないんだ。どうして?」
「とりあえずやる事やってからにしようかなって」
ちなみにそのやる事は、世話になった人の挨拶周りやらなんやら色々あるらしいが、最も肝心なのは一つ。ゴンは自分のポケットから、『44』と書かれた、ハンター試験受験番号のナンバープレートを取り出して宣言した。
「このプレート!ヒソカに顔面パンチのおまけつきで叩き返す!そうしてからじゃないと、絶対ハンター証使わないって決めたんだ!」
3次試験のゼビル島にて、一度はヒソカのプレートを奪取する事に成功したけど、その後、他の受験者にヒソカのプレートとゴン自身のプレートを奪われた。それは結局ヒソカが受験者からまた奪い返して、2枚とも返してもらったらしい。実際はそんな優しい感じじゃなくて、施しを受け、ヒソカに生かされた。
その時ヒソカに顔面を殴られ、同じように顔面を殴ってきたら、ゴンがナンバープレートを付き返すのを受け取ると約束したみたい。
ていうかそのプレートって持って帰ってきても良かったの?受験者の位置が把握できるようにハンター協会側が発信機組み込んだり、ICチップとか入れて電気的な事おっけー、みたいな感じで技術使ってるみたいだけど大丈夫なのかな?これ使いまわしたりとか。
あ、でも受験者結構番号付けたまま行方不明(事実をぼかしてます)になってるから結局新しく1番から作るしかないんだよね。ていうか発注作業とかその方が楽そうだし!足りない単品より一気にセットで!……………て、ジェイが前に言ってた気がする!本当かどうか知らないけど!
まあ話を戻すと、ヒソカを殴ってプレート返すのがとりあえず目標だってさ。中々遠いね~。そのゴンの行動予定に対して、キルアは至極当たり前な質問をした。
「ふーん、でヒソカの居場所は?」
「………え?………と」
「私が知ってるよ、ゴン」
いきなりつまずいた!?と思ったら、意外なところから救援がきた。確かクラピカは最終試験の時にヒソカと何か話してたから、聞くとしたらその時かもしれない。確かヒソカもクモについての話をしてたって言ってたけど。
クラピカ曰く………、
「クモについていいことを教えよう♦」と。
自分がクモのメンバーとは言わず、クモの情報を流すと。ヒソカ的に、クロロと戦いたいからある程度旅団内がひっかきまわされる方が好都合らしいしね。あわよくば、クラピカが何人か倒してくれれば御の字って所かな。
私の事はもちろん言ってないみたい。まあ私は旅団を知ってるけどメンバーじゃないからね。
ヒソカが言ったのは「9月1日ヨークシンシティで待ってるよ♦」ということ。ってことは旅団はヨークシンシティで何かするつもりかな。旅団の行動予定とか実際そこらへん私知らないから、今度聞いてみよう。
で、結局その日にちに何があるかというと、レオリオの話によると世界最大のオークションがあるみたい。目的はそれか!やっぱり今度クロロにでも聞いてみよ。
「じゃあ私はここで失礼する。キルアとも再開できたし区切りがついた。オークションに参加するためには金が必要だしな。これからはハンターとして本格的に雇い主を探す」
「具体的にどうするの?」
「そうだな………クモがヨークシンでオークションの品を狙っているのであれば、そのオークションに強いコネクションを持つ雇い主を探す………というのが一番無難な所だな」
なるほど。まあ客としてオークションに参加する、というだけじゃほとんど分からないしね。裏側から見なければ発見できない場所や物や情報だって多くあるだろうし。あとは単純に、オークションに緋の目出展されるかどうかも気になってるのかもしれないけど。 もし見つけたら教えてあげようっと。
「さて………俺も
そう言って自分のハンター証をひらひらと振るレオリオだけど、ハンター証ってそんな事にも使えるんだ。受験料免除って言うなら、苦学生には願ったり叶ったりだね。
「でもそれなら勉強した方がいいんじゃないの?それともレオリオって医学に関してはもしかして天才だった?」
「ははっ!レオリオに天才とか、なんか似合わねーな!」
「あ!ひでーキルア!事実だとしても人に言われると腹立つぜ!そうだよ!帰って猛勉強だよ!」
「レオリオなら大丈夫だよ!それにレオリオ医者に向いてると思うよ」
「くぅ、泣かせてくれる!ありがとよ、ゴン!」
「ま、別段レオリオの頭の出来に関しては否定も肯定もしていないけどな」
「クラピカぁ、お前はいつも一言多いんだよ」
ぎゃいぎゃいと騒ぐけど、なんだか楽しい光景だね。キルアも合流できたし、ハンター試験が終わってようやく一段落、だね♪
「それで、ヒノはどうするの?」
そこで、ふと話題が私に振られてきた。
「そういえば、ヒノに関しては俺達あんまり知らねーしな。どっから来たんだ?故郷にかえるのか?」
「言ってなかったけ?私ジャポンから来たから帰る時もそっちだよ」
「ジャポンっていうと、確かハンゾーの故郷だったよね。それにしてはヒノってそれっぽい恰好してないんだね」
「言っておくけどね、ゴン。ハンゾーの恰好は特殊だからジャポンの人が皆あんな感じじゃないからね?あれ特殊だよ、特殊!ここ重要!」
「あ、そうなんだ」
ジャポンで忍者というのが、世間一般に認知されているかと言われると、あくまでサブカル的な感じでしか認知されていない。街中の子供見たら多分「ナ〇トオォ!!千〇ィイ!」「サ〇ケエェエ!!螺〇丸!!」とかやってるんじゃないかな。ハンゾーの言動を見ればそう思えないだろうけど、実はそうなんだよ!あ、でも知っている人は割と知っている。ハンゾーの言動を見れば、そう思うでしょ?
「とりあえず、一旦家に帰って少しのんびりしようかなぁ。別にお金に困ってるわけじゃないし」
「お前は本当に能天気だな。いや、別に良い意味でだけどさ」
「あ、でもどうせオークション行くなら少しくらいお金貯めておこうかな。その方がオークションって楽しめそうじゃん」
「お、ヒノもオークション参加する気か?ま、ああいうのは緩く見る分でもおもしれーしな」
「とりあえず10億くらあればいい物買えるかな?」
「と思ったら結構マジだぜこいつ!?」
「なんかヒノの人生楽しそうだね」
「客観的に見たら結構どす黒そうだけどな」
私の生い立ちを少し聞いたからか、にやりと笑い気味にキルアが語る。けど、それブーメランだよね、キルア。
少なくと一族全身暗殺一家の英才教育を受けてきたキルアには言われたくない。そっちに比べたら私は結構ほのぼのとした人生を歩んでいると思うよ。………多分。
「ま、なんにしてもここで一旦別れだな」
「「「「今度は、9月1日ヨークシンシティで!!」」」」
そして私達は、それぞれの旅路に向かって歩を進める。
長いようで、あっという間に終わったハンター試験も、成り行きで言ったゾルディック家も、ちょっと寄り道した私の巻き込まれた事件も、こう思い返せば中々楽しかったね。
ジャポンに行くには、パドキアから飛行船で2日程でミンボ共和国に行った後、そこから船でおよそ3日。
ま、切羽詰まってるわけじゃないし、気長に行くとしますか。
「久しぶりだなぁ、家に帰るの♪」
キルア「20話って、割ときりがいい話数でおれん家の話終わったな」
ゴン「じゃあ次は俺達の番かな?」
ヒノ「――と思ったら、それは違うよダブルボーイズ!」
キルア「その登場シーンに意味はあるのか?」
ヒノ「いや、特にないけど?」
ゴン「あ、そうなんだ。それで違うって?」
ヒノ「来週からは私が帰宅する『ジャポン編』が始まるよ」
キルア「ええ?それいらねーだろ絶対。俺達の『天〇〇〇〇編』しようぜ」
ヒノ「ちょっと、それ完全に先のネタバレしてるから自重してよ」
ゴン「発言が危ないよねー」
ヒノ「なんにしても、次話からは私の家事情だよ!知ってる奴とかそのうち出るかもだけど!というわけで、またねー!」