消す黄金の太陽、奪う白銀の月   作:DOS

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アットノベルスの頃は1話平均2000~3000字くらいだったので多少の改変増量。ツギハギしてみました。


ハンター試験編
第2話『ドキドキ魔獣と少年少女』


 

 

 

 

 尾行されている?

 

 疑問符で一応考えたけど、完全に背後から尾行されてる。といっても、大した問題じゃなさそうなのは一目瞭然。建物と建物の隙間から、こちらを伺うように観察しているがすぐに分かった。ただの変質者とかの可能性もあったけど、視線が鋭いし身のこなしも素人じゃなさそうだから、いわゆるカタギの人じゃ無い感じ?

 

 ドーレ港から迷わず一本杉に向かったからか、多分ハンター試験の受験者とかが情報を求めてるとか。つまりこのままいけば……なんかまずい事になるかもしれない。そんなわけで、振り切ろう!素人じゃないって言ったけど旅団の皆と比べたら月とスッポン、ドラゴンとダンゴムシくらいの差があるし。そもそも気配がだだ漏れだし。

 

 もしもここにいるのが好戦的なフィンクスとかフェイタンだったらすぐに捕まえて拷問でもなんなりして情報を逆に吐かせるくらいの事は朝飯前だけど、私はそんな趣味が無いので普通に無視するよ!

 

ダッ!

 

 足先に念をわずかに込めて、一息の内に一気に数十メートル先まで離れ、さらに加速する。さすがに音は置き去りにしないけど、壁を走り屋上を走り、ここまでやる必要はあるかな?と思うようなルートを縦横無尽に走り回り、気づいたら一本杉に向かう道中、廃墟のような建物まで来ていた。

 

 ちらりと後ろを見れば、なんの変哲もない道が続いているのみ。もちろん気配を探っても、後をついてくる人は一切皆無だったので無事に撒く事ができたみたい。

 

「とりあえず安心かな?」

 

 ちなみに、山道の途中に左右に廃墟があったので止まる必要もなかったけど、背後ではなく建物の中の気配を探れば廃墟の中に複数の気配を感知したからちょっと気になったの。こんな人気のない場所にこれだけの人数。

 

 確かハンター試験は試験会場に着くまでにも試練があるとシャルが言ってたけど。

 

 まさかこの人たち――私の邪魔するつもり!?

 

 そうと決まれば(別に決まってないけど)、こんな所で足止め喰らってたまりますか!

 再び足先に念を込め、地面をわずかにへこましながら一瞬で加速!廃墟から人が出てくるよりも早く通り抜け、すぐに景色は流れて、私の視界から廃墟は見えなくなり、反対に深い森が見えてきた。なんだか後ろから声が聞こえてきた気がしたけど、きっと気のせいだよね☆

 

 よし!このまま一本杉まで一直線だ!

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そんな私は絶賛、魔獣に囲まれています。

 

 どうやらこの山には魔獣や猛獣などの危険な生物が普通に生息しているらしく、歩いているだけでわらわらと出てきた。人が歩けばそれだけで音と匂いと気配を振りまくので、魔獣達にとっては格好の餌の到来というわけだしね。

 

 こんな事ならさっきの廃墟で人に話を聞いておくんだったかなと少し後悔してます……。

 そういえばシャルから、「ナビゲーターを見つけたら試験会場まで楽だよ♪」って言ってたのを今更思い出した。てことは、あの廃墟の人はナビゲーターだったのかな?まあ今更だけど……。

 

「グルウルルウゥ」

 

 なんで今後悔しているかって?

 ほら右を向けば、4つの目をぎょろぎょろと動かして唸り声をあげる魔獣が。どう見ても僕の私の考えたモンスター集とかに出てきそうなオドロオドロしい外見の生物は、例え畑〇憲さんだって2秒で回れ右をするに違いないって私は確信するよ!外見だけでSAN値が下がるよ!

 

 そんな外見の魔獣が、最低でも10体以上私の周りを取り囲んでいる。

 

 それにしても、この状況は見る人が見れば、10人以上の兄弟で、1枚のクッキーを取り囲んでいる状況ではないだろうか。つまり例え私が餌として食べられるとしても、皆の空腹が満たされるわけではない。となると、己の空腹のみを満たす為、血で血で争う兄弟(仮)達の闘争が始まるかもしれない!

 

「それじゃあ、私は賞品って事で離れた場所に行ってきまぁ――」

『グルウウゥグルグァアァ!!』

 

 そそくさと立ち去ろうとしたら、当然の如く怒り狂ったように雄たけびを上げる魔獣が、一斉に迫ってきたのだった。

 強靭な四肢を振るえば、か細い少女の体など一薙ぎの内に肉片に変わる事だろう。獰猛な牙を突き立てれば、身体には幾重にも風穴が空き、暖かい鮮血が大地に飛び散る事だろう。

 

 無論それは私がただの少女であるならの、話だけどね。

 

「せぇーのっ!」

 

 巨大な爪を受け止め、力任せに魔獣の体を浮かせて、そのまま周りの魔獣にぶつけて薙ぎ払う。

 

 単純な筋力だけでなく、念も使用しているのでまるで普通のバットで素振りでもするかのような気楽さ。魔獣に魔獣をぶつけ、私の周りにいた魔獣は跡形もなく吹き飛ばされた。といっても、止めを刺したわけではないので、その隙に再び地面を踏みしめて爆走する。他にも魔獣はいたが、周りの木や岩を蹴ってアクロバティックに動きながら群れの中を駆け抜けた。途中途中、迫ってくる魔獣は手刀で気絶させながら。

 

 そうしてしばらく走っていると、目的の一本杉が見えてきた。

 

「やった!魔獣の森から抜け出した!」

 

 今私は最も満ち足りているかもしれない。黄金に輝く月明かりの下、魔獣が跋扈する森から抜け出すことができたのだから。しかも一本杉の下にあるログハウスから、暖かいオレンジ色の光が漏れているのを見るとなぜだかほっとする。これが夜の帳の下りた山で出会えた人家の温かみか!

 

 きっとあそこにナビゲーターがいるはず!というかいて欲しい!

 

 というわけで、さっそく入る事にした。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 家を出て、船に乗ってジャポンからドーレ港へと問題なくたどり着き、そこからダッシュして追跡者を振り切って、試験を邪魔する人も魔獣も蹴散らしたり素通りしたりして、無事に一本杉へとたどり着くことができた。

 

 特に魔獣だらけの森の中を突破した時は、とても満ち足りていた。いや、魔獣自体は別にそこまで大変じゃなかったんだけど、こう、魔獣のシルエットとかそこらへんが人の感性をガリガリ削ってさ。

 

 そんな感じで魔獣地帯を抜けたら、なんだかとてもいい感じだったので、若干うきうきとした気分で、一本杉の下の家を開けたはずなのに、今の私の心情は反対に若干ブルーである。

 

 それはなぜか?私は今現在、最も出会いたくない者に会ってしまった。

 

 もちろん―――魔獣に。

 

 

「きるきるきるきるきる」

 

 

 不気味な鳴き声をぶつぶつと漏らし、体格は2メートルを超す細いシルエット。明らかに一般的な動物の枠を超えた立ち振る舞いに、腕には民族服を纏う女性を抱え、背後では同系統の服を纏う男性が怪我をして倒れている。この家に今いるのはあきらかに……魔獣。

 

種族はよくわからないけど、細い目をさらに細め、私の開いた扉から、風のように素早く出て行った。

 

 否………出ていこうとした。

 

「とうりゃ!」

 

 

 が、私の一撃で魔獣は家の中に戻された。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「いやはやまいったね。まさかこんなに早くやられるとは思わなかったよ。ははは」

 

 からからと笑い、少し赤くなった自身の額を摩るのは、私が一撃のもと意識を沈めた変幻魔獣、もとい|凶理狐≪キリコ≫さん。ちなみに彼が抱えていた女性が、人間に変身した娘さんで、後ろで怪我(演技だったけど)してた男性が、人間に変身した息子さんらしい。

 

 それにしてもこの魔獣一家がまさかナビゲーターだったとは。

 手刀一撃を食らわせて気絶させたのはまずかったかな?これで失格になったらどうしようかな………。

 

「それにしても、まさかあの魔獣の森を抜けてきた人がいるとは思わなかったよ。とても敵わないね。それに………ククク………まさかあの廃墟を通り過ぎてくるとは。今年の新人は面白いな、あっはっは!」

「言わないで!後の黒歴史が一個増えた気がする!でもハンター協会に報告されて失格とかにならないかなぁ………。ねぇキリコぉ」

「いやそんな泣きそうにならなくても………。さすがに試練をしていないのに失格にする事は無いと思うよ。そもそも向こうはヒノの姿を見ていないかもしれないしね」

「そう?」

 

 良かった、本当に良かった。そうだとしたらありがたいけど、ナビゲーターのキリコが言うならきっと大丈夫だよね?試験を始める前に失格とかシャレにならないよ。いや、でもこのハンター試験は基本試験会場に行く前にも脱落者が多いらしいからあながち普通の事なのかな?私はごめんだけど。

 

「しっかし、人は見た目によらないと言うけど、ヒノは随分と腕が立つんだねぇ。あそこの魔獣はどいつも狂暴なのに、見たところ無傷とはね」

「見た目の傷は無いけど精神的に少し削れたけどね」

「あはは。それはまた随分と余裕な発言だ」

 

 割とグロテスクなのが多かったのが辛かった。みんながみんなキリコみたいな魔獣だったらよかったのに。この場合は性格的な意味合いもあるけど今はどちらかと言えば見た目の方で。

 

「それで、ハンター試験ってどこでやるの?受験票にはザバン市って事しか書いてなかったよ?」

「ああ。確かにザバン市に試験会場があるけど、そこにたどり着くには我々のようなナビゲーターに聞くしかないんだよ。普通の方法じゃ、決して見つからないように試験会場は設置されているからね」

 

 まさかこんな所に!?と思うような場所に、ハンター試験会場は設置されているらしい。キリコはどうやら長年ナビゲーターを務めているらしく、毎年何人か案内しているそうだ。あ、ちなみに私が素通りした廃墟にいたのはクイズを仕掛けるおばあさんで、その問の答え如何によって一本杉までのルートを教えてもらえるらしい。

 

 失敗したら魔獣ルートを教えられて、そのまま魔獣に食べられるという地獄が待っていたらしいのだが、どうにもそこらへんのイベントを私は全部スルーしてしまったようだ。 まあ正規ルートよりは早く来れたってことで、いいかな?

 

「いや、普通はあそこ通って来れないからね?」

 

 そんな丁寧に突っ込まなくても……。

 

「まあ何にしても、文句なしの合格だよヒノ。魔獣の道を無傷で渡り、一瞬でこちらを気絶させる手腕は見事だったよ。会場まで、責任をもって送り届けよう」

「うん!ありがとう!」

 

 ばさりと、腕から蝙蝠のような羽を広げて羽ばたくキリコ。変幻魔獣の異名通り、人間に化ける事も出来れば鳥など翼を持つ者に化けて空を飛ぶことができるという。なんて便利な。私も自由に空飛んでみたいなぁ。案外世界を探せばそういう念能力を収めてる人とかいるかもしれないね。こう、例えば自分を飛行機にして皆を載せて飛んだりとか。……何それ楽しそう!

 

 一先ず、キリコの足に捕まって、緩やかにザバン市に向けて、つかの間の空中遊泳を楽しむのだった。うん、実際アトラクションみたいですごい楽しかった!

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そしてやってきました、ザバン市!

 

 観光名所などもある割と広めの街であり、私のいたジャポンの街と比べたら背の高い建物があちこちに見える。早い時間帯だけど人も結構多いしお店も多い中々な賑やかな街みたい。今度機会があったら観光したいと思うくらい。

 

「それじゃあ試験会場に行こうかね。場所はそう遠く無いし人目もあるからここからは歩いて行くよ」

 

 そう言うのは、ターバンを巻いて民族風、しいていうなら砂漠の民(?)みたいな格好の細目の男性。無論キリコが人に変装した姿。キリコの本体を知っていればそれっぽいと思うかもしれないけど、知らない人が見たら魔獣が変装してるなんて絶対考えない完璧な擬態能力。そう考えるとこの世界に人の姿をして街に溶け込む魔獣は結構いるのかな?

 

 ………なんか怖くなってきたから考えるのやめよう。

 

「そういえばハンター試験の会場って簡単に出入りできるのかな?行った後で買い物とかできる?」

「う~ん、そういうのは試験会場にもよるけど、今回の場合なら行ってから戻るのは無理そうだね。何か必要な者があるなら会場入りの前に揃えておく方がいいよ」

「それなら先に買い物しておこうっと。キリコ、ていうかナビゲーターいなくとも試験会場って入れるものなの?」

「それについては問題ないよ。あくまでナビゲーターが教えるのは会場に入る方法だからね。先に教えておくよ、ついておいで」

 

 そう言ってキリコは、懐からどこかの住所と思わしき数字の羅列が書かれたメモを見ながら歩きだす。迷いなく、しばらく歩くと、キリコはぴたりと止まった。

 

「ヒノ、あそこに定食屋があるだろう」

「うん」

「あそこに入ってステーキ定食を頼むといい。そうしたら店主が焼き加減を聞いてくる。そこで「弱火でじっくり」って答えると試験会場まで案内してくれる」

 

 なるほど、こりゃ確かに難関だね。普通に考えたら絶対にたどり着けない試験会場。キリコ曰く、試験会場にたどり着けるのは1万人に1人だとか。まさかこんなところに。応募者数百万のハンター試験会場があるなんて誰も思わないだろうし。

 

「ハンター協会って毎回こんな手の込んだことしてるんだ」

「ま、それだけそう簡単にはハンターにはなれないって事さ」

 

 しかしざっと見た感じそんなに大きいお店じゃないみたいだけど、それで試験会場にここから行くってことは多分地下とか行く感じかな。そう考えると試験会場の試練の為だけのこの定食屋建っているって事なのかな。でもこの入場方法が一回こっきりなら、試験が終わった後に残された仕掛けはどうするんだろう?

 

 案外ハンター試験が終わって見に来たらこのお店なくなってたりして………ま、考えてもしょうがないか!

 

「じゃ、ここらで失礼するよ。新人にしちゃ上出来だぜ。落ちたらまた来年案内してやるよ。それじゃ、検討を祈る」

 

 そう言うと、ひらひらと手を振ってキリコは一本杉へと戻っていった。無論ここは人ごみのど真ん中なので去り際は普通に歩いてだけど。流石にここで変身を解いて一気に空へと飛び立てば、明日の朝刊の一面を飾る珍事件となるだろうしね。

 

 後ろ姿見えなくなると、とりあえず私は店の場所を一応地図にメモっておく。ちなみに地図はザバン市に来た当初チラシ配り感覚でそこらへんにあったのでもらっておいた。

 一先ず試験会場へと入口と、入る方法は分かった。まさに気分は、入場方法、ゲットだぜ!みたいな?

 

 まあそれはいいとして、とりあえず買い物済ませちゃおうっと。具体的には食料とか食料とか食料とか。ほら、試験が何日続くかもわからないし、最低水と塩と光があれば人は生きていけるってどっかの刑事さんとかも言ってたし。あ、私は普通に携帯食料とか買うけどね。

 

 てくてくと石畳の上を歩き、人があちこち歩いている広場へと来ると、ふと妙な違和感を感じた。というよりかは、何も感じなかった、と言った方が正しいかな?

 

 くるりと背後を向いて、私の横を通り過ぎた人影を見つけると、じっと観察する。

 白に見える銀髪の癖っ毛に、若干吊り上がった瞳。特筆すべき点の無い普通の服装と、脇に抱えているのはスケートボード。年齢は、多分私と同じくらいかな?あ、ちなみに私は今年で13歳になるよ。

 

 広場には確かに多くの人がいたし、普通に家族連れでも一人でも子供も多かった。けど、私がこの少年に目を付けた理由。多分だけどこの子……殺し屋だ。

 

 いや、別に確信があるわけじゃないけど、殺し屋とか暗殺者とか(意味一緒)泥棒とかそんな感じ、裏稼業の人って言ったらわかるかな。つまらなさそうにどこか達観したような表情はあんまり子供らしくないし、そもそも足音消してる子供を普通とは言いたくないよね。無意識内でしてる歩き方じゃなくて、教え込まれた歩き方を無意識でしているって感じかな。

 

 そう考えるとこの子供、年齢に反してかなりレベル高いんじゃね?って思ったり。

 

 まあ念は使えないみたいだし気にする必要は無いけど、ハンター試験会場のあるザバン市で普通じゃない少年がいるとなると、どうしてもハンター試験と繋げたくなる。

 難関とされるハンター試験を子供が受けるって滅多に無いだろうけど(人の事言えない)、もしそうなら話し相手になるかも。少し退屈だし。

 ていうか、殺し屋とか泥棒なんて旅団に比べたら可愛いものだけどね。まああと気になったのは、銀髪でクールっぽいのがちょっと()()()と似てたからかな?

 

 そんなわけでレッツトライ!

 

「ねぇ、そこの少年。銀髪のしょうねーん」

 

 私がそう言うと、少年はこちらを振り向く。

 

「何?俺の事?金髪のお前」

 

 髪色の事を言ってくるとは、意外とノリがいいんだね。

 

「突然だけど、もしかしてハンター試験受けに来てるの?」

「そうだけど………もしかしてお前も?」

「うん」

 

 少年の言葉に肯定すると、少年は少し驚いたような表情をした。子供が試験を受けるのがそんなに珍しいのかな?失敬な、自分も子供じゃない(人の事言えない)

 

「マジで?へぇ、俺以外で子供で受ける奴がいるなんてな。もしかして会場の道のり知ってたりするか?」

「知ってるけど」

「マジか!ちょっと教えろよ」

 

 おお、普通に食いついてきた。まるで宿題が分からない時に、横から解答冊子を差し込まれたような瞳の輝かせ方。こうしてみると実に普通の子供にみえるんだけねぇ(自覚してないだけでヒノも普通の子供じゃない)

 しかし教えろと言われてタダで教える義理も無いので、

 

「人に物を頼むときはそれなりの頼み方があるんじゃないのかな?」

 

 別に私は最初から教えて一緒に行くつもりだけど、まあ話の流れは組まないとね☆当然ながら、こういう言い方をすれば銀髪の少年は心外だとばかりに食って掛かる。

 

「はぁ!?何様のつもりだよ。お前俺より年下だろ」

「失敬な!きっと私の方が年上だね。そっちこそ年下なんじゃないの?」

「ざけんな、俺よりチビの癖に」

 

 なるほど、そう来たか。普段は怒らない事で定評のある私も、さすがに堪忍袋の緒が切れたよ!私の心の中の獣がガオーってしてる気分だね!(言う程対して怒ってません)

 

「へぇ、いい度胸だね。それじゃ、せーので自分が今年何歳になるか言ってみようよ」

「はっ!望むところだ。せーのっ!」

 

 

少年「11歳!」

ヒノ「12歳!」

 

 

少年「……」

ヒノ「……(ドヤァ)」

 

 

「うわっ!うぜぇ!どう見てもお前の方が年下じゃねーか!年齢サバ読んでんじゃねぇのかよ!」

「やーい、おとなしく認めなさい!お姉さんの言う事は聞きなさい!」

「うるせぇ!俺と1コしか違わないくせに何がお姉さんだよ!悔しかったら俺より背を高くしてから言ってみろ!」

「ふーんだ、そっちも悔しかったら私より年上になってみるんだね。まー無理だろうけど」

「ぐぬぬ!!」

 

 うん、結構気分爽快だ!年齢は生まれた時から、一生変わらない物。これを変える事は誰にもできないのだ!最初から年齢上乗せしとくか不詳にしておくべきだったね。あ、ちなみに少年と私の身長差は目測だけど10センチくらいあると思う。まあ男女だししょうがないよね。

 さてお仕置きも終わったし、愉快愉快。っと、本題忘れてた。

 

「それで、試験会場の場所教えて欲しいんだっけ」

「いいよ別に。自分で探すから」

「まぁまぁそう言わずに。私今すごく気分いいから教えてあげるよ」

「俺は今すごく気分悪いけどな」

「そんな事言わないで。私はヒノ、よろしくね」

「………俺はキルア」

「じゃ、行こうかキルア」

「………」

 

 これが、私とキルアの初めての出会い。

 

 この後、そういえば買い物するつもりだったのを思い出して、キルアを引きずって買い物を終えてから試験会場に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 




ウ〇ペディア情報のキルア身長158cm。
対するヒノの身長は150cmと平均よりは少し小柄です。

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