駒王町の空を白と黒のふたつの影が高速で疾走していた。
「もぉっ!?なんでこんなに早く行動するのよっ!!馬鹿なの!死ぬの!!少しはこっちの事情も考えなさいよ!」
黒い影―――黒歌は建物の上を跳び、もしくは短距離転移を繰り返して移動をする。
つい先程に町に仕掛けられた術式を解除した矢先に駒王学園を中心に結界が張られていることを感じ、現場に急行していた。
これほどの力で張られた結界なら今の町の現状からコカビエルに違いないと。
対して白い鎧で全身を覆った者はただ目的の方角から感じる戦いの気配に心踊らせていた。
「クックックッ。ケルベロスを倒しただけでなく、不完全とはいえエクスカリバーをも退けたか。存外に楽しめそうではないか。魔王が来るまでの暇つぶしくらいにはなぁ!」
宙の椅子に座していたコカビエルが校庭に降り立つ。
その威圧感足るや、以前兵藤一誠が倒し、リアス・グレモリーが消滅させたレイナーレなど、赤子にすら感じるほどだった。
オカルト研究部の面々や2本の聖剣を扱うゼノヴィア。そして白音の中で緊張が走る。
ここからが本当の死闘だから。
そんな中で日ノ宮一樹だけが首を傾げていた。
「なぁ、祐斗。今更聞くことじゃねぇんだけど。あの怖ぇオッサン何よ?なんか翼生えてんだけど。それにあのツラいくら何でもヤバ過ぎるだろ」
コカビエルを指差して質問する一樹にこの場にいる誰もが転けた。
一樹の目的は飽くまでもあの実験室の惨状を招いたバルパーを叩き潰すことで、コカビエルだの三大勢力だのといったことは全く知らずここまできた。
ついでに言うなら、この場に現れてからケルベロスとバルパーしか視線に入れておらず、コカビエルの存在も今気付いたマヌケ振りである。
「あれはコカビエル!バルパーの協力者で今回の事件の原因だよ!」
今堕天使のことを説明している暇はなく、最低限の説明に留めた。
しかし、それで理解が及ぶわけなく、1人首を傾げている。
そんな一樹にコカビエルは声を上げて笑った。
「ククッ、ハァーッハッハッハ!!ここに来てまだ状況を理解できてない阿呆がいたとはなぁ!中々頼もしい援軍ではないか!リアス・グレモリー?」
コカビエルの言葉にリアスは答えず、顔をしかめて頭を押さえた。
日ノ宮一樹が合流した以上、ここから先は猫上白音はこの場を離脱する可能性がある。もちろん、この状況で逃げられる手段があるならば、だが。
「しかし、先程の殺意は中々だったぞ、小僧。その殺意を俺にもぶつけて見せろ!この場で捻り殺されたくなければな!」
既に日ノ宮一樹も攻撃対象と認定されている。コカビエルの殺気を感じて祐斗と白音が一樹の前に出て構えた。
白音自身もこの場を離脱は既に難しいと感じていたため、頼みの綱がこの場に現れるまで時間稼ぎに徹すると覚悟を決める。
というより、ソーナ・シトリーとその眷属が張った結界の所為で白音単体ならともかく一樹を抱えたままの転移はかなり難しい。
この場で自分たちの力で勝つ必要はない。情けない話だが、まともにやって勝ち目がないのだ。ならば勝てる者が来るまで持ちこたえる他ない。
(姉さまにあとで怒られるんだろうなぁ)
この町を離れるどころか事件に突っ込んで戦闘にまで手を出している。
馬鹿なことをしているという自覚はあるが、もう引き返せない。
【力】の溜めにはもう少し時間がかかる。それが終わればタイミングを見計らって全力を出す。出し惜しみをしていれば確実に殺される。
白音はいつでも【力】が使えるように意識を集中させた。もう、一樹にバレるのが嫌だなどと言っている場合ではない。
先手を打ったのはコカビエルだった。動くだけで突風をまき散らし、祐斗に接近する。
祐斗はカウンター気味に聖魔剣を振り下ろすが難なく受け止められてしまった。
「ほう。近くで見れば中々の剣だ。俺にはアザゼルのようなコレクター趣味はないつもりだったが。今は奴の気持が少しだけ分かる。このような成長を目の前で見せられてはな」
「っ!!堕天使の幹部にそう言ってもらえるとは光栄だね!」
「だが惜しいな」
コカビエルは聖魔剣を素手で折り、そのまま祐斗を蹴り飛ばす。
「祐斗っ!?」
「もう少し早くその力に目覚めていれば、俺の腕を斬り落とす可能性もあっただろうにな。手にしたばかりの力で俺に勝てると思っていた訳でもあるまい」
「っの!?」
「貴様もだ、小僧」
怒り任せに行動を開始した一樹の頭部をコカビエルが掴む。しかし一樹は掴まれた腕を燃やそうと炎を生み出した。
しかしコカビエルの余裕は一向に崩れない。
「本当に惜しいな。その炎にこの状況で逃げではなく抵抗を選択する適応力。あと5年いや、3年もあれば俺と戦う資格を得るに足る存在に成長していたかもしれん。だが、まだ温いわっ!」
まるで一樹の身体を野球投手のようなフォームで校舎に向けて投げ飛ばす。
「いっくんっ!?」
「一樹くんっ!?」
一樹はそのまま三階の校舎に窓ガラスを突き破って放り込まれた。
その僅かな空白で動いていたのはゼノヴィアだった。
「コカビエル、覚悟ぉ!!」
横薙ぎに振るわれたデュランダル。しかしそれより速く反応したコカビエルは剣の腹を踵落としで蹴り落とした。
これにはゼノヴィアも驚きの表情をする。
「いくら伝説の聖剣といえど、使い手がこれではな。先代のデュランダル使いとは比べるべくもない!奴はそれは常軌を逸した使い手だったぞ!!」
言い終わるや今度はデュランダルを蹴り上げてゼノヴィアごと蹴り飛ばす。
ついでとばかりに光の槍を生み出してゼノヴィアを消滅させようとするコカビエルに後ろと上空から消滅の黒と雷の光が襲い掛かった。
リアスと朱乃が同時に最大に高めた魔力の攻撃を放つ。
2方向からきた極大の魔力の放流。しかし、それでもコカビエルの笑みを崩すことさえできなかった。
「筋は悪くない。だがやはり若いな!それにバラキエルの娘とは。赤龍帝に聖魔剣使いといい。リアス・グレモリーは兄と同じでゲテモノを眷属にするのが趣味と見える」
「私、を!あの者と一緒にするなぁ!!」
「我が兄への侮辱!なにより私の眷属への侮辱は万死に値するわ!!」
「ならば滅ぼしてみろ、【紅髪の滅殺姫】よ!!今貴様らの目の前にいるのは貴様ら悪魔の長年の宿敵だぞ!これを好機と見れぬならば程度が知れるというものだ!」
手にした光の槍を投げようと動く腕に長い1本の舌が巻かれる。
「今だ!いけっ兵藤!!」
「うおぉおおおおおおおおおっ!!」
力の吸収を匙が行いながら最大倍加を終えた一誠が突っ込む。コカビエルは一誠を無造作に払おうとするが、別方向から聖魔剣を再び創った祐斗が斬りかかりに来た。
光の槍で聖魔剣を受けたコカビエルの顔に一誠の赤龍帝の籠手が炸裂する。
「やった!!」
そう喜んだのも束の間、赤龍帝の籠手による攻撃を受けたコカビエルは平然とその場に佇んでいる。
「気概は買うがなぁ!禁手にすら至っていない貴様ら風情が俺の前に立つ資格があると思ったかぁ!」
発せられた魔力の波動。それだけで3人の悪魔を吹き飛ばすに充分な威力だった。
舞い上がった粉塵からゼノヴィアが再度向かう。
当然のようにコカビエルは光の剣を創り、刃を交わす。
「ふん。しかし教会の聖剣使いと悪魔が手を組むとはな。これも神と魔王が死んだ弊害というやつか」
その言葉に、この場にいる誰もがその意味を理解できなかった。
「……どういうこと?」
「そうかそうか!お前たち下っ端には知られていないのだったな!なに簡単なことだ。先の戦争で死んだのは魔王だけではなかったのだぞ!教会の連中が!天使どもが崇めた神は既に亡いのだ!」
哄笑を上げて衝撃の事実を突きつける。当然そんなものが信じられるはずもなく。
「嘘だ!?くだらない出鱈目を!」
「ならばなぜあの小僧の聖魔剣が生まれた?反発するふたつの力が溶け合い融合した?それは聖を司る神と魔を司る魔王が滅びたからだ!なにより俺は前の大戦で神と魔王がくたばる様をこの目で見た!」
まるで幼子にサンタの正体を暴きたてる大人のような笑みでコカビエルは告げる。
「三大勢力でこの事実を知っているのはトップと一部の幹部だけだ。戦後、四大魔王と多くの72柱を失った悪魔。神を失った天使。そして幹部以外の大半を失った堕天使。どの勢力も人間に頼らねば種の存続すら難しいほど疲弊してしまった!!天使が生まれぬ以上、堕天使が生まれることはない。悪魔とて純血の悪魔は貴重であるがゆえに悪魔の駒などが生まれたのであろう?」
「そんな、うそだ……うそだ……」
地に膝をつき、項垂れるゼノヴィア。
教会に裏切られたとはいえ、かつてはその存在を拠り所にしていた祐斗も同様だ。
しかしそれ以上にショックを受けていたのは悪魔に堕ちてなお変わらぬ信仰を保ち続けていたアーシアだった。
彼女は全身を震わせ、絞り出すように声を出す。
「そ、んな……主が亡くなられていた?なら、私たちに与えられる愛は……」
「そうだ。神は既に亡く、残ったのは神のシステムのみ。ミカエルたちはよくやっているが神よりもシステムを上手く扱えるはずもない。そんな中で残った天使や人間どももまとめているのだからな」
コカビエルの言葉を聞いてアーシアは顔色が蒼白になり、その場に崩れ落ちた。
ここぞとばかりにコカビエルの演説は続く。
「アザゼルのやつももう二度と戦争はないなどと宣言する始末だ!耐え難い!耐え難いんだよ!!腑抜けて精神を腐らせて生きていくなど!だから俺は1人でも戦争を始める!!貴様らの首を手土産に!冥界も天界も巻き込み!あの時の続きをなぁ!!」
それは1人の戦争狂の叫びだった。
退屈を嫌い。平穏を憎み。闘争に焦がれた1人の狂人の嘆きだった。
誰もが唖然とし、絶望する中でひとつの小さな影が動いた。
「ひとりでやっていろ……っ!!」
そこには頭に動物の耳が生え、膨大な力を纏った猫上白音だった。
少女は騎士である祐斗をも越える速度で疾走し、コカビエルに拳打を放つ。
「っ!?ほう!?」
ここに来てコカビエルの表情が僅かに動いた。
彼女の種族が扱える仙術の力を発動させた白音はさっきまでとは比べ物にならないほどの力があった。しかしそれでもコカビエルを倒すには余りにも――――――。
「小娘!貴様、悪魔でも人間でもないとは思っていたが、その姿。そうか貴様はあの女の妹だったか!となると先ほどの小僧は数年前からあの女が飼っているという人間だったか!」
「このっ!!」
顔に放った拳は躱され、逆に蹴り上げられた脚を僅かに横へ跳び避けると同時に回し蹴りを脇腹に突き刺す。
しかし、コカビエルの表情を曇らせることすら叶わず、拳で払われてしまう。
地に着地すると同時に一瞬だけ両の手を突き出すポーズを取ると、再びコカビエルに向かった。
掌底を繰り出そうと腕を突き出すがあっさりと手首を掴まれる。
「そのような未完成な技を俺に繰り出そうとはな。見縊るなっ!!」
掴んだ腕をそのまま投げ飛ばそうとして白音の小さな体を持ち上げるがその瞬間にコカビエルの表情が変わる。
それは、強大な聖の力を感じたからだ。
校舎を見ると、そこには投げ飛ばしたはずの一樹が棒状の炎を作り出し、投げる態勢を取っていた。
「白音に、触んじゃねぇっ!!」
コカビエルの光の槍を参考に炎を投擲槍の形作り、一樹は渾身の力で投げつけた。
「ぬぅ!」
急場の障壁とはいえコカビエルが展開した障壁を貫き、手の平を焦がす。
驚いたように自分の手を見るコカビエル。そしてそれはすぐに嬉しそうな笑みに変わった。
「やるな小僧!なるほどあの女が飼う理由があったというわけだ!しかし、その一撃で限界だろう?」
一樹はガクリと膝を折り、床に額をつけて蹲っていた。祐斗たちからは見えないが、咳に血が混じっている。
それを察したのは鼻が利く白音だけだった。
「いっくん!?」
「当然だ。この俺に手傷を負わせたのだからな。むしろ意識を失わなかっただけよくやったというべきか。惜しいな。だがこれが戦いならば、力を振るった以上は討たれるのも必然だろう?」
光の槍を創り、投擲の構えを取る。
それを察した白音が全力で向かい、コカビエルに攻撃を繰り出す。だが、コカビエルが放った無造作の蹴りで飛ばそうとするが、逆にその脚を掴んで噛み付いた。
それはコカビエルにとってさして痛くもない抵抗であったが、邪魔なので鬱陶しそうに軽く拳を顔に振るう。
振るわれた拳が顔に当たり鼻血を出すが気にすることなく喰らいついてくる。
「ハッ!」
仙術を使った内部破壊の攻撃もコカビエルとの実力の差から力が弾かれ、思うように通らない。
「こそばゆいな」
コカビエルは白音の首を掴んで持ち上げた。
「まだ未熟だな。貴様の姉ならば、最初の一撃で殺りにかかってきたぞ!」
言われなくても白音は自分の力が姉に遠く及ばないことは理解していた。
守られていた自分が嫌で。弱いままの自分が嫌で。
今度こそ、自分の手で大切な人の幸せを守りたくて。
そのために力を磨いてきた。
しかし目の前の堕ちた天使はそのすべてを嘲笑うように口元を吊り上げる。
「貴様とあの小僧を殺せばあの雌猫も怒り狂って俺を殺しに来るだろうなぁ!それはそれで面白い!手始めにあちらからか」
コカビエルは再び光の槍を一樹の居る校舎に向ける。
「や、やめっ!?」
「中途半端に力を持った不運。その代償がなにか教訓を与えてやろう!」
首を掴まれながらも一樹を殺させないために抵抗する白音。だがそれはコカビエルにとって些細な抵抗でしかなかった。
人間1人消滅させるのに過ぎた力が放たれようと―――――――――。
その時、結界を破り、上空から何かが落ちてきた。
巻き上げられた粉塵。その中からふたつの影が現れる。そのひとつに見覚えのあった白音と一樹は別々の表情でその人物を当てた。
「姉さま……」
「姉さん……?」
白音は安堵したように。一樹は驚いた表情で黒い和装に身を包んだ女性を呼ぶ。
本人は二人を確認して顔をしかめて頭を押さえた。
「2人の気配を感知したときはまさかと思ったけど……どういう状況よ、コレ?」
「さぁな。しかしどうやら間に合ったようだな」
全身白銀の鎧を身に着けた男はどうでもよさそうに答えた。
そして2人を確認したコカビエルは鼻を鳴らした。
「貴様らがここに現れたということは町に仕掛けた術式は解除されたか。少し遊びすぎたようだな」
「ええ!ええ!解除しましたとも!こっちは町中駆け回ったおかげで睡眠不足よ!おまけに私の家族まで……っ!?」
腕を鳴らして怒りの表情を浮かべる黒歌。そこから放たれた殺気にその場にいた全員が息を吞む。
そしてまるで猫に弄ばれる鼠になったような気分。自分たちに向けられているのでもないのに殺されるのではないかと錯覚した。
だがそんな黒歌を止めたのは全身鎧の男だった。
「待て。コカビエルの相手は俺の筈だ。お前は家族の手当でもしてやれ」
「っ!分かってるわよ!ただ一発くらい殴らないと気が済まないと思っただけ!でもやるからには必ず捕らえなさいよ!」
「ああ。言われるまでもない」
話が終わると黒歌はその場から掻き消え、コカビエルのすぐ傍に短距離転移すると、白音を奪い取り、もう一度転移する。
「速い!?」
それを見たリアスが驚きの声を上げる。
消えた黒歌は一樹の居る校舎三階に出現していた。
術式の展開せずにあれだけ高速の転移。それを行えるのが上級悪魔でも何人いるか。少なくともリアスには不可能だった。
白音を抱えた黒歌を蹲ったまま見上げる一樹。
その呼吸は荒く、焦点も合っていなかった。
黒歌は即座に診察を始めた。
「なにこれ?気が―――というより生命力がほっとんど空じゃない!なにやったのよ一樹!それから早く横になる!」
言いながら一樹を仰向けに寝かせて白音を適当な椅子に座らせた後、一樹の額に触れて自身の生命力を流し込んだ。
蒼白だった顔色は徐々に生気を取り戻して苦し気な様子を緩和する。
「姉さま……」
「白音。訳は後で聞くわ。大丈夫。コカビエルはヴァーリがすぐに鎮圧するから」
黒歌は校庭の空を指さす。そこには衝突と離脱を繰り返す白と黒があった。
「チィ!思った以上に厄介な!」
「そういうお前は思った以上に歯応えがないな。もう少し楽しませてくれるかと思ったが」
「ぬかせ小僧!!」
コカビエルは白の鎧に近づかれたくないのか距離を保って光の槍を発射する。それもひとつではなく幾重もの。
しかしそれは敵に届くことなく消し去られていく。
「無理にでも連れ帰るようにアザゼルに言われている。悪いがあんたの祭りはこれで終いだ」
「嘗めるな!」
リアスたちを子供の様にあしらっていたコカビエルが白の鎧に翻弄され、次々とダメージを負わされていく。
しかしコカビエルの顔には堪えようのない笑みが浮かんでいた。
「既に中級堕天使と同程度に弱体化したはずだが……何を笑う?」
「自分の無様さに反吐が出ているだけだ。なるほど、【白龍皇】。その力は赤龍帝の対を成す半減の力だとは知っていたが、禁手に至ればここまでの力を持つか。それとも貴様だからこそなのか?どちらにせよ今の俺ではお前には敵わんらしいな」
「もう諦めたか?興醒めだな。もう少し粘ってくれると思ったが……」
「諦める?俺が?クックックッ!とんだ勘違いだ!俺は今こそ自分の道が見えた!!」
突如、コカビエルは魔法陣に包まれる。
「ちょっ!?ここまで来て逃げる気!?」
「ああ!俺はこの場を恥を呑み込み、更なる力を!戦いを欲すると決めた!【
高らかな哄笑と共にコカビエルの姿はそこから掻き消えた。
全員が唖然としている中で、黒歌はプルプルと体を震わせた。
「ここまで来て逃げの一手とか――――――ふっざけんなぁあああああああああああああっ!?」
この場にいる全員の思いを代弁した黒歌の叫びが夜の校庭に響いていた。
コカビエルさんは逃亡。
彼は今後、本作品で1番の自由人として活躍させる予定です。
次話で聖剣編終了。次にライザー編が開始されます。